池田幹幸の発言 (本会議)
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○池田幹幸君 私は、日本共産党を代表して、財政政策について総理並びに財務大臣に質問します。
完全失業率五・三%、不況はいまだかつて経験したことのない深刻な段階に突入しております。その上に、同時多発テロ、リストラ・空洞化の進展、ずさんな狂牛病対策の影響が景気の足をさらに引っ張っています。他方、財政危機はますます進んでいます。国民生活と財政をどうやって立て直していくのか、政治に課された課題は重大であります。
まず、景気対策であります。
小泉総理、あなたは構造改革なくして景気回復なしと言い続けておられます。では、あなたの唱える構造改革のうち、どれがどのように今国民が求めている景気回復に役立つものなのか、具体的な説明を求めます。
構造改革の最大の柱とされ、景気対策の緊急の課題とされている不良債権の早期最終処理問題について伺います。
総理、あなたは銀行が不良債権を抱えていることが不況の原因だと本当に考えているのですか。もしそうだとするなら、九二年以来七十二兆円もの不良債権を処理してきたにもかかわらず、景気は一向によくならないばかりか、全国銀行の不良債権残高が五年前に比べて四兆円ふえ三十二兆五千億円にもなっている事実をどう説明するのですか。これは、不良債権が景気悪化の原因ではないこと、景気が悪いからこそ不良債権がふえ続けていることを明確に証明するものではありませんか。不良債権処理と当面の景気回復とがどうつながるのですか、明確に述べてください。
不良債権の最終処理とは、大企業では不採算部門を切り捨てて失業者をふやすものであり、中小企業では融資打ち切り、回収強化による倒産と失業の増大をもたらすものにほかなりません。いわゆる骨太方針や改革先行プログラムでは二年から三年で不良債権の最終処理を行うとしていますが、これを実施するとどうなるか。ある民間シンクタンクの試算では失業者が百三十万人ふえる、内閣府の試算でも十万から二十万人ふえるとされています。
不良債権の最終処理の促進策は、景気を悪くし、日本経済の危機を促進する以外の何物でもありません。政治に求められているのは、不良債権の削減を急がず、銀行に対し、中小企業への貸し渋りをやめさせ、銀行本来の信用供与業務を回復させるようにすることではありませんか。答弁を求めます。
改革先行プログラムは、景気が雇用情勢を含めた厳しい情勢にあるとした上で、「このような時期にあってこそ、我が国経済の潜在的な成長力を活かすためにも構造改革を加速させていく必要がある。」として、補正予算では雇用対策、中小企業対策としてセーフティーネットを中心にそれぞれ五千五百一億円、二千五百十一億円が組まれました。
セーフティーネットは失業者や中小企業にとって重要な施策でありますが、潜在失業者を加えると七百八十万人にも及ぶ失業者、中小企業の倒産、廃業が高い水準を続けている現状にあっては、この程度の予算では余りにも不十分であります。しかも、これとても、他方で失業者や中小企業の倒産をこれ以上ふやさないことが前提にあって初めて効果を発揮するものではありませんか。
総理、あなたはこの前提をどうつくり上げていくつもりですか。これ以上失業者、倒産をふやさない対策をとる意思をお持ちでしょうか。あれば具体的に示してください。
失業、倒産が増大している最大の原因は、大企業のリストラ推進とそれによる産業の空洞化にあります。リストラの名のもとに行われている人員削減は、東京証券取引所上場の大企業だけで六年間に百八万人に上っています。さらに、今各社が発表している人員削減計画は三十万人近くになります。問題は、これらが経営の行き詰まりでやむなく削減するというものではないことであります。
電機産業に例をとりますと、ことし三月期の経常利益は大手十七社で七千九百三十九億円という大幅黒字ですが、来年三月期は赤字になるとして人員削減を強化しようとしています。ところが、赤字になる理由は、大幅な人員削減に伴う退職金費用や工場の統廃合による各種コストがかさむためだというもので、まさにリストラの強化にあるのであります。背景にアメリカにおけるITバブル崩壊によって過剰設備を抱えたという事情があるにせよ、見通しを誤った責任を労働者に転嫁し、雇用責任という企業の社会的責任を放棄する、総理、このようなことが許されるとお考えですか。
また、大手電機メーカー、日立、東芝、NEC、三菱、富士通の六社は、工場の海外移転を進め、この十年間に国内従業員を五万六千人近く減らす一方、海外では二十万人近くふやしており、国内産業空洞化の推進者となっております。今や、労働者や中小企業を犠牲にした大企業の身勝手なリストラを規制するルールの確立が求められています。
総理、欧州連合、EUでは、工場の統廃合や大幅な人員整理などリストラに際しては、経営者は従業員代表に情報を提供して協議することを義務づけることを理事会で合意していることを御承知と思いますが、我が国においてもこのような解雇制限法制定が急がれていると考えませんか、答弁を求めます。
小泉総理、あなたは財政改革の基本姿勢として、民間でできることは民間にゆだねると言い続けておられます。しかし、肝心なところではやっていることは逆ではありませんか。
まず、銀行への公的資金投入問題であります。本国会には、銀行の保有する株式の買い取り機構を設立する法案が提出されております。株の値下がりによる銀行経営の悪化を防ぐために銀行の保有株式を制限する。銀行が限度を超えた分の株式を一斉に市場で売却したら値下がりするので、機構で買い取ってやろうというものであります。そして、買い取った株の値下がりによる損失は税金で穴埋めするというものです。露骨な銀行支援であります。
総理、銀行の株の処分をなぜ税金で助ける必要があるのですか。しかも、当の銀行は何と言っているか、そんな買い取り機構は必要ないと国会で参考人として明言しているではないですか。
民間でできると言っていること、民間の責任でやらせるべきことにわざわざ介入し、税金まで投入するなど、言語道断であります。買い取り機構の設立はやめるべきであります。
他方、政府がやるべきことについてはどうでしょうか。今、医療制度改革をめぐって財務省と厚生労働省が競い合っていますが、その中身は高齢者の自己負担増や保険料の値上げなど、国民にどれだけ多く負担させるかを競い合う医療制度改悪競争となっています。ここにあるのは、国民の命と健康を守る上で果たすべき政府の役割をどう逃れるか、いかに国民に負担を押しつけるかだけであり、政府の責任放棄ではありませんか。
株の買い取りや不良債権処理に税金を使うのでなく、国民の命と健康を守るためにこそ使うべきではないですか。少なくとも、予定されている来年度予算での医療費の国庫負担削減と国民負担増は中止すべきであります。
十月二十六日の経済財政諮問会議では、民間議員から、空港、道路などの事業を見直し、五年間でGDPに対する公共投資の比率を現在の五%から三%台にして欧米諸国の水準に近づけるという提案がなされました。これは、むだ遣いをなくし財政の再建を図るために当然の施策であります。ところが、国土交通大臣と農水大臣がこれに反対し、財務大臣が関西空港二期工事の見直しに反対するなど、提案はうやむやにされています。
改革を口にするのなら、公共投資のGDP比三%台への削減は実施すべきではありませんか。答弁を求めます。
以上で明らかなように、小泉内閣の構造改革は、景気回復どころか景気を悪化させるものではありませんか。民間でできることに介入して税金を注ぎ込み、政府のやるべきことをやらないで国民に負担を押しつけるものではありませんか。景気回復のためにも、国民生活を守る上からも、このような構造改革は直ちにやめるよう要求するとともに、国民生活防衛なくして景気回復はない、このことを強調して質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕