谷博之の発言 (本会議)
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○谷博之君 私は、民主党・新緑風会を代表して、政府提出平成十三年度補正予算三案に反対する立場から討論をいたします。
私の郷土の誇り田中正造翁が、帝国議会議員の職を辞し、足尾の鉱毒について天皇に直訴してはや百年、その田中正造翁は、真の文明は山を荒らさず、川を荒らさず、村を破らず、人を殺さざるべしという言葉を残しました。
総理、この言葉の意味を十分にかみしめながら私の反対討論をぜひお聞きいただきたいと思います。
今、日本経済を景気低迷とデフレの泥沼から救うために行わねばならないことは何か。それは、財政再建と不良債権の抜本的処理、規制改革とそしてセーフティーネットの整備を一刻も早く断行することです。おくれればおくれるほど将来の選択肢を狭め、国民の苦しみと痛みをより大きくすることになる。
我々民主党は、改革はスピードをもって行わねばならないと主張してまいりました。今回の補正予算のベースとなっている改革先行プログラムの中身を拝見すると、一見、民主党の主張が取り入れられているかのように見えます。しかし、よく読めば、従来の自民党の手法と何ら変わりはない。ばらまきとごまかしと先送りに満ちた括弧つきの改革にすぎないことがわかります。内閣府が現時点で実施したと説明するものは皆、見直す、検討する、調査するの三点ばかりであります。
国民の安心につながる年金や医療制度の改革も遅々として進まず、与党には先送りの声さえ上がっている。これではこの半年間、何もやっていないのも同然と言わざるを得ません。にもかかわらず、総理は、まだ半年だと居直った答弁を繰り返すだけです。私には国民の苦しみと痛みをできるだけ小さくしようという熱意が全く感じられないのであります。
そうした中で、以下、民主党として補正予算に反対する理由を次に三点述べさせていただきます。
その第一の理由は、補正予算の目玉とされる雇用対策の内容が余りにもお粗末な点であります。
過去最悪の雇用情勢にあって、雇用のセーフティーネットを整備し、勤労者に安心感を与え、構造転換に向けた職業訓練を推進することが今何よりも求められています。しかし、その柱となる緊急地域雇用創出特別交付金は、雇用期間が最長六カ月に限定され、更新ができません。成長分野への雇用奨励金もほとんど使われてこなかった。そんなものをもって三年間で百万人もの雇用創出に資するという。これこそ対症療法的、ばらまき、そして絵にかいたもちと言わずして何と呼ぶでしょうか。セーフティーネットとしての機能は全く不十分であります。
我が民主党は、雇用の創出こそ最善の策と考えます。自治体がアイデアを競う雇用創出策のほか、中小企業や女性起業家、NPOの育成支援、民間活力の導入でミスマッチの解消を目指す施策などを提案しています。人的投資を重視した抜本的な雇用対策の実施こそが今何よりも求められているのであります。しかし、政府には我が党の提案にかす耳を持っていない。したがって、私たちは、抜本的改革のないままセーフティーネットに名をかりたばらまき政府案には到底容認できないのであります。
そして第二は、前年度剰余金を全額補正予算の財源とし、財政法の趣旨をねじ曲げている点であります。
これは本来国債の償還に充てられるべき財源ですが、それを流用するのは国債の新規発行と本質的に何ら違いはなく、ことしの国債発行を見せかけだけの三十兆円に抑えるための小細工にすぎません。その結果、このような措置は到底容認できないのであります。
八千三百億円もの義務的経費が計上されている点も、私には見逃せません。義務的経費は、生活保護費など支出が義務づけられている予算であり、当然、当初予算に計上するべきものであります。しかし、近年は毎年四千億円から八千億円もの巨額が補正予算で手当てされることが常態化しています。年度当初では甘く査定しておいて、補正で追加しようというわけであります。
総理、これを姑息と言わずして何と呼ぶべきでしょうか。当初予算の帳じり合わせのための補正予算など断じて認められません。
そして第三は、予算の大胆な組み替えをしていない点であります。
政府は、既定経費を一兆一千億円節減したと大々的にうたっていますが、その大半は、超低金利のおかげで国債の利払いが少なくて済んだにすぎません。あとは、もともと一五%多く見積もるのが慣例の庁費を例年どおり削り、例年どおり人事院勧告に基づいて人件費を減らしたにすぎないのであります。例年どおりの予算執行状況であれば、十一月末時点で未契約の公共事業が二兆円程度はあるのではないでしょうか。むだなものは中止して、少しでも多く予算を雇用対策に回すという努力は全くなされておりません。これでは、森前政権下で策定された今年度のばらまき公共事業関連予算を現政府は是認していることにほかならず、到底容認できないのであります。
以上、本補正予算に反対する主な理由を申し述べてまいりました。
総理、総理は五月の就任時の所信表明で、長岡の小林虎三郎が米百俵を食べずに売って学校を建てたという故事を紹介されました。実はあの戯曲は、栃木県出身の作家、山本有三が書いたものであり、私もその志に胸打たれる者の一人であります。
時代は今、田中正造翁がまさに恐れたような、山が荒れ、川が荒れ、村が破れ、人が殺される、国家と地球の危機にあります。そんな暗い世相の中、総理は就任して以来既に半年の時を経ました。
総理、総理は米百俵を売って国民にどんな希望を与えてきたのでしょうか。景気刺激の効果も雇用創出の効果もない、子孫の借金を膨らませるだけの補正予算という米俵を与えることだけは断じて許せません。
今こそ私たち政治家は、真の文明実現に向け、国民が未来に夢と希望を持てるような大胆な施策を迅速に講ずるべきであります。
以上申し述べ、私の反対討論を終わらせていただきます。(拍手)