飯田哲也の発言 (経済産業委員会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○飯田参考人 本日は、本委員会で意見陳述の機会を与えていただき、どうもありがとうございました。
 お手元の資料、横長の資料に沿いまして、電気事業者による新エネルギーの利用特別措置法に関して、どういった制度設計をすべきかという点に絞って意見を述べさせていただきたいというふうに思います。
 三年来、私も環境NGOとして、新エネルギー部会あるいは国会議員の先生方ともこれまで、いかにして自然エネルギーを普及させるべきかという議論をしてまいったわけですけれども、申し上げるまでもなく、自然エネルギーは今日非常に重要なテーマでございまして、地球温暖化防止においても最も重要な政策措置の一つであると。そして、一昨年開かれたG8でも自然エネルギーは非常に大きなテーマとしても取り上げられておりますし、来るヨハネスブルク・サミットでも、この自然エネルギー、いわゆる再生可能エネルギーあるいはリニューアブル、これは非常に大きなテーマとなっておるわけです。そして、長期的にはいわゆる持続可能な発展、社会を目指すためには、これをどういう形で成長させていくか、これは非常に重要なテーマかというふうに思っております。
 本日の資料、一枚めくっていただきますと、最大のテーマであります、今回、RPSと呼ばれております固定枠制度に対して、ドイツ等が導入しております固定優遇価格、このどちらを導入すべきかという点を最初に述べたいと思います。
 その上で、昨年の十二月に開かれた新エネルギー部会では、小委員会の報告を受けて、大枠としてはRPSの方向でということで取りまとめが行われたわけですが、それにも相当な異論があったわけですけれども。しかし、現在のこの新エネ特措法は、その新エネルギー部会で取りまとめた方向と若干違うのではないか、その点について、問題点も含めて報告したいというふうに思います。
 三ページ目ですけれども、まず風力発電の状況ですが、その前に、いわゆる再生可能エネルギーあるいは自然エネルギーと今日言った場合に、先ほど勝俣参考人の方から、日本は決して負けていないという話がございましたが、今、日本政府、経済産業省のホームページも、英文を見ますと、ニュー・アンド・リニューアブルというふうに呼んでおります。いわゆる新エネルギーといわゆる再生可能エネルギーをひっかけてニュー・アンド・リニューアブルと言っておりますが、これは、確かに海外でも現在ニュー・アンド・リニューアブルという考え方は、言葉としては一致しております。
 しかし、今経済産業省が呼んでいるところのニュー・アンド・リニューアブルの中身と国際的なコモンセンス、常識としてのニュー・アンド・リニューアブルというのはかなり違っておりまして、基本的には、環境に優しい再生可能エネルギーがニュー・アンド・リニューアブルと。日本の場合は、新エネルギーをそのまま直訳する形で、そこに再生可能エネルギーを含んでいるということでニュー・アンド・リニューアブルと呼んでおりまして、いまだに、統計上あるいは定義上見ていくと、国際比較の上でいろいろな混乱が起きるということは避け得ない。それはちょっと余談ですけれども。
 では、その中身は何かというと、筆頭は風力発電です。風力発電は、制度のつくり込みによって極めて低コストに普及し得る。これは、風力発電が普及しているかどうかが、各国の制度が適切に整備されているかどうかのまず見きわめである。それから二番目に、バイオマスエネルギー。これは、地球温暖化の防止においても、あるいは森林の保全、地域の発展、いろいろな形で非常に重要なエネルギーとして量的にも期待をされている。三つ目は、今後の大きな可能性として、太陽電池、太陽光発電。さらに地熱、そして環境に優しい水力発電、いわゆる流れ込み式の水力発電等々がいわゆるニュー・アンド・リニューアブルという枠に入ってくるというふうに御理解していただければいいのではないかと思います。
 その意味で、風力発電を見ますと、三ページの図にありますとおり、急速な伸びをしております。昨年の暮れで、もうおおよそ二千五百万キロワットに届こうかと。
 それを四ページ目で見ていただきますと、各国別に見ていただきますと、やはりドイツが九〇年に入って急速に伸びておりまして、これが世界の三分の一を占めております。これがいわゆる固定価格優遇制度による効果でございます。その下にあります図が、ちょっとわかりにくくてあれですが米国で、一つその下がスペインです。スペインは余り目立ちませんが、一九九四年に固定価格優遇制度を導入して、ドイツに次ぐ著しい伸びを示してデンマークを抜いております。その下がデンマークで、さらに大きくおくれて日本という状況になっております。
 五ページ目を見ていただきますと、昨年の暮れの時点で各国どういう量かと。
 アメリカとインドは若干状況が違いますのでこれを外しまして、黒くハッチングをしましたのが固定価格優遇制度、いわゆる一定の価格で有利に買い取る制度で市場形成をした国。世界の風力発電設置量の三分の二がヨーロッパにありまして、そのうちの九割以上はこの固定価格優遇制度で普及したものでございます。この歴史的事実を無視するべきではありませんし、そして、ドイツだけではなくて、それに引き続いてスペインもこのように爆発的に普及した、この事実を無視するべきではありません。
 そして六ページ目、これは一昨年の統計になりますが、世界の風力発電機の市場のトップテン、下からメーカー別に並んでおります。DKというのはデンマーク。その上の、実は二番目に大きい風力発電機メーカー、これは先生方御存じかどうかあれですが、スペインのメーカーです、ガメサという。そして三番目、GE、エネルコン、これはドイツのメーカーです。以下ずっとデンマークとドイツとスペインのメーカーが占めておりまして、上から三つ目にスズロン、これはインドのメーカーです。そして、ドイツのデウインドということです。
 国別に並べますと、実は、インドは、前のページで見ていただきますと、百五十万キロワットの風力発電が普及しておりまして、自前の非常に大きな風力発電市場を持ったところに自前の産業が育つという見事な相関を見ることができるかと思います。とりわけ、このスペインの伸長は見るべきものがあるかというふうに思います。日本の誇るべき三菱重工はこのその他の中に埋もれておるという状況になっております。
 七ページ目でございます。
 どういう制度を普及すべきかということで、これは若干ちょっとややこしい表ですのでごく簡単に御説明しますと、RPSは市場メカニズム的だから望ましいんだ、そういう見方が一説にございますけれども、いずれにしても、何らかの形で政治的に決めなければならない。
 例えば、RPSは枠、つまり、今回の場合は、法案には書かれてございませんが、説明資料にありますように約一%、二〇一〇年という数字を、これは政治的に決めようとしているわけです。ところが、固定価格、これは逆に価格を政治的に決めて、しかし普及量は、今見てきましたように全く自由に販売してよいという、量で見ればこれは自由市場だ。どちらを見るかによって自由市場の側面は変わるということで、価格だけを見てRPSの方が市場メカニズム的だという誤解をするべきではないというふうに思っております。
 八ページ目は、これはもう既に申し上げたことですので省略します。歴史的に固定価格優遇制がいかに産業形成に役立ったかと。
 そしてその理由は、九ページ目、これも、事業リスクを考えれば明らかでございまして、いわゆる金融機関が果たしてその産業に投資をするかどうか、これは、いかに確固とした制度をつくるかどうかにかかわっております。その観点から見て、固定価格優遇制は非常に事業リスクを軽減して普及に役立つ。
 それから十ページ目に参ります。
 コスト削減インセンティブはどうか。これもちょっと図が、字がぼけておりますが、デンマークにおける発電コストの低下です。デンマークの風力発電、既に四円程度に下がっておりまして、これも場所によるんですけれども、もうほぼ石炭火力と同等な競争力を有するところまで来ております。
 そして、このとき忘れてはならないのは、世界の、例えばRPSの方がコスト削減インセンティブがある、あるいはないという議論の前に、ドイツとデンマークとスペインという固定価格市場でつくった風力発電機をどこの国も使っているということです。それが大前提にあるということです。
 十一ページ目に参ります。
 電力市場自由化との整合性。これにつきましては、新エネルギー部会でも、制度設計によってどちらの制度も対応し得ると。とりわけドイツの制度、ちょっと私、最初に申し忘れましたが、きょうの午前中、野党四党の方で、まさにそのドイツ型の固定価格買い取り制に基づく制度について記者会見されておられますけれども、これも、きちんと追加でかかる費用配分、これを平準化するメカニズム、これはドイツが導入しておりますが、この制度を盛り込めば電力市場の自由化等については全く問題はないというふうに考えられます。
 そして、十二ページ目、十三ページ目。
 これは、新エネルギー部会の小委員会、昨年の十二月に取りまとめられたもので、部会評価では、総体としてRPSの方が望ましいのではないかという意見でまとまったわけですけれども、これもちょっと時間がございませんので省略しますが、後ほどちょっと申し上げたいのですが、RPSと政府の新エネ特措法との違いによって、このときに確認されたRPSの利点が既に失われているのではないかという点を私としては申し上げたいというふうに思っております。
 十四ページ目に参ります。
 新エネルギー部会の小委員会では、実際にいわゆるシミュレーションも行いまして、証書取引もしくは電子クレジット取引というふうに書いてございましたが、いわゆる証書取引の概念がございましたけれども、それが消え去っております。これは二つのものが消え去ったというふうに理解していただきたいと思います。
 一つは、まさに証書取引の市場が消え去っております。もう一つは、回避可能原価、いわゆる電気そのものは系統を有する当該地域の一般電気事業者が買い取って、その上に乗っかった証書の部分だけは自由に売買できる、この仕組みが消え去っております。後ほどちょっと図で簡単に御説明いたします。
 十五ページ目は、これも新エネルギー部会で、最後の回でさまざまな懸念が提示されておりまして、こういった懸念も含めて、概念としてはおおむね了解せざるを得ないということで取りまとめられたわけですけれども、その概念の部分が揺らいでいるということです。
 十六ページ目に参ります。
 もともとこのRPSで想定されていました仕組みというものは、この十六ページの図であるような仕組みです。つまり、RPSというのは本来二つの要素から成っております。一つはパーセンテージ、枠の義務づけです。これは、今回も一%という枠を持っております。さらに、それを証書取引によって過不足分を充当する、この部分が肩がわりという仕組みに変わってございます。
 本来のRPSでデザインするとすれば、例えば北海道に風車を建てた場合には、北海道電力は電気の価値そのものを買い取って、証書は全国どこの電気事業者にも売れる、いわゆる売り手の自由がなければなりませんが、今回の仕組みは、十七ページに書きましたけれども、その売り手の自由がございません。さらに、買い手の自由もこれはないのではないか。いわゆる一般電気事業者で自前に新エネルギーを持たないところは、要は、直接新エネルギー事業者から買い取ることができず、ほかの電気事業者から買うしかない、いわゆる肩がわりをするしかない、そういう仕組みになっています。
 さらに、この図でもう一つ説明したいのは、先週の十九日の審議も読ませていただくと、いわゆる廃プラ発電と他の新エネ発電とのコスト、いわゆるコスト競争力の問題が出ておりますが、その中で、サニックスという廃プラ事業者があります。これは廃プラ発電事業者ではありませんで、ここの一番下に来る特定規模電気事業者、いわゆるPPSと呼ばれるものです。
 つまりこれは、風力発電事業者とサニックスは、コストだけの競争ではなく、この特定規模電気事業者は、肩がわりしようとしまいと自由に売る権利を持つ。しかし、風力発電事業者は、その立地している北海道ないしは東北電力といったところからだけしか売る交渉ができない。これでは圧倒的に構造的に不利です。
 逆に、このサニックスは、電力市場自由化の中で、例えば東京電力さんと競合しなければならないわけですが、今回のこの法案によって、いわゆる新エネの一%だけがわずか義務量ですから、九九%、いわばプラスアルファの利益を得ることによって電力市場自由化のいわゆる公平な競争もゆがめている可能性があります。
 このあたりの問題点というのをもう少し議論していただいて改善しなければ、なかなか制度としては難しいのではないかというふうに考えております。
 時間がございませんのであとは若干飛ばしまして、十九ページ目の図を見ていただきますと、日本の風力発電はようやく離陸はしておりますけれども、これから先、北海道、東北の風力発電が、ほぼ市場がゼロが見込まれているという懸念もございますので、そこから先の普及が滞るのではないかという、これは私の予測でございます。
 廃プラ発電の話についてはもう先生方も随分議論されておられますので、もう時間もございませんので省略いたしますが、二十三ページ目だけ見ていただきますと、二酸化炭素、長官の答弁でも、燃えているものから発電をするのでふえることはないということでございますが、二酸化炭素は既に千三百万トンから二千四百万トンまで過去十年間で八六%ふえております。この趨勢で、少なくとも今回のRPSの枠内で発電対象となっている枠は、二千五百万トン相当の二酸化炭素で、合計、このままこれが単純上乗せすると、日本の総排出量の約四%になります。このRPS該当分が、すべて従来から燃やしたもので、化石燃料を回避することができれば二酸化炭素はふえませんが、それでもふえないのが精いっぱいです。この間にどこかに解がある、このまま行くと。ということで、地球温暖化防止に関してももう少し配慮をいただければというふうに思っております。
 最後でございますけれども、別の資料も添付しておりますが、今回の一%が日本全体で課せられることによって、自然エネルギーによる地域づくりに取り組んでいる各首長さん、知事等々多数いらっしゃいますが、そういった方々が、今回の法案、余り御存じないままに一気に可決されようとされておりまして、それに対する懸念として、例えば地域だけで独自に自然エネルギーを普及できるような枠ができないものかといった提言も今回配付させていただいております。
 その他ペーパーも配付しておりますので、また後ほどの質問でいろいろ回答させていただければと思います。
 どうもありがとうございました。(拍手)

発言情報

speech_id: 115404080X01220020423_006

発言者: 飯田哲也

speaker_id: 6644

日付: 2002-04-23

院: 衆議院

会議名: 経済産業委員会