中山正暉の発言 (憲法調査会政治の基本機構のあり方に関する調査小委員会)

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○中山(正)小委員 きょうはまことにありがとうございます。
 クリーム色のスーツがよく似合う若武者のような先生から、温故知新、まさに古きをたずね新しきを知るという感じです。
 私は十三歳まで明治憲法のもとで成長してまいりました。いろいろな時代がありましたが、グナイストに伊藤博文が指導を受けに行ったときに、維新後の日本はどうして運営していったらいいだろうかということを聞きましたら、あなた方の村々町々には氏神様があるじゃないか、その氏神様の先祖が天皇陛下だということにして、天皇親政をやれ、むしろ天皇で日本の明治維新以後の人心をまとめる役割をしてはどうかということをサジェスチョンをいただくといいますか、フランスは王様を殺してしまったからだめだ、英国がちょうどいいんじゃないか、ドイツも王様が亡くなる、だから英国式がいいんじゃないかということを指示を受けて、その後、明治憲法第三条に「天皇ハ神聖ニシテ侵スヘカラス」とやっております。これは内閣制度が発足する三年、四年前に憲法ができてしまったので、総理大臣、首相という言葉が明治憲法の中には一言もないんですね。
 これが統帥権の干犯、ロンドンの軍縮条約、ここ、私の隣には、海軍で御活躍をなすっていた大勲位の中曽根元総理もおられますが。それで、軍人が大変興奮をして、戦前の内閣というのは、今は大臣の首は一人ずつすげかえられますが、昔は、一人がやめるということは総辞職するということでした。陸軍大臣を送らないとか海軍大臣を送り込まないとか、海軍と陸軍の対立があるとか、それが結局は統帥権の干犯ということになった。
 今でも大臣と、明治憲法の何か伝統を踏襲しているみたいなところがありまして、天皇の臣ということになっています。
 高橋是清のような、日露戦争のときには英国へ行って、クーン・ロエブとかシフというようなユダヤ財団から、日露戦争の戦費は十八億かかっておりますが、六億は外債を借りております。そういう、世界に顔のきいた英米派の人が二・二六事件でみんな一掃されてしまいました。政治家が軍人に物を言わなくなってしまいました悲劇の時代。昭和十四年には、陸軍大臣東条英機に対する反軍演説をした斎藤隆夫先生がこの国会の議場からすぐに除名をされてしまう。
 憲法の、先生がお話になっていらっしゃったような、いわゆるいい部分が生きずに、全部軍人等、北一輝のような国家社会主義を唱えた人たちに導かれて二・二六事件が起こりました。陸軍の真崎甚三郎、真三郎兄弟が日本に国家社会主義の政権をつくろうとしてクーデターを起こしました。五・一五もそうでございます。そんな中での悲劇が、結局は、かつてない、日本に困窮の社会を呼んでしまったと私は思っております。
 先生が、日本のにおいのする憲法ということをおっしゃいました。私は、はるか聖徳太子様の十七条の憲法には大変すばらしいことが書いてあると思うんです。和をもってとうとしとなせ、逆らうことなきを旨とせよ、人には皆たむろあり。たむろという字は、民主党とか自民党とか共産党とかの党という字が書いてあります。
 だから、聖徳太子様という方は、蘇我と物部、どっちかと言えば物部の方の系統に属しておられましたが、中国の大混乱、隋とか周とか唐とか明とかは必ず大混乱が起こって、民衆が逃げ惑う、そんな悲劇を日本には起こさないようにというので、いわゆる易姓革命それから天命思想という、英雄豪傑が出てきて国をひっくり返すというのはいかぬ。そこで天皇制という知恵が出てきたと私は思うんですね。権力と権威を全く分離した、この考え方は、やはりこれからも伝統を守っていく上で、大変必要なことではないか。百二十五代という天皇が続かれた、この知恵というのは私は大変な知恵があると思うのです。
 英国は、元首といい、王様といってもまだ二百年しか実績はありません。日本は皇紀でいえば二千六百六十一年になるんでしょうけれども、現実は千五百年ぐらい前のときからはっきりしたぐらいのところでしょう。その中でのこれからの世界というのは、私は、キリスト教の社会、ロシアとかアメリカが、無宗教の中国がイスラムの世界を背後にして、悪いシナリオを考えると、それが世界を舞台にして一神教の世界が激突する時代が来るんじゃないかと思うんです。そのときに私は、日本のにおいがして、世界の平和のために大変に貴重な思想が備わっているのは聖徳太子様の十七条憲法の心。
 いきなり大昔にさかのぼりまして恐縮でございますが、私はこの間、自民党の役員会でも十七条憲法の六条を読んだんです。なかなか疑惑のある人を始末できないものですから、ここには、悪い人には悪いと言わないと国を滅ぼす剣になるぞと書いてあります。大変立派なことが書いてある。これこそ私は倫理の基本だと思っているんですが。
 その意味で、先生、今度は中国の空軍大佐ですが、喬良と王湘穂という「超限戦」の著者ですが、新しい戦争というのを言っておりまして、軍人にとって、ますます戦場以外の天地が戦場となる、それから、非軍事の戦争行動、戦争状態に対する理解は軍事行動の包容能力をはるかに上回る人類すべての活動領域に拡大するだろうと。それから、非戦争の軍事行動というところでは、平和維持活動、麻薬取り締まり、暴動の鎮圧、軍事援助、軍備管理、災害救助活動、海外在住の自国民の退去、テロ活動への打撃なんという、戦場は世界全体になるというような恐ろしい予測をしているときに、日本は核を持たないという宣言をして、世界に平和を私どもは徹底させようとしている中に、今度は専守防衛ですから、日本国土が戦場になるということを前提にしないといけないと思うんです。
 私なんかはもう死んでしまうからいいんですが、先生が生きていらっしゃる間にはいろいろなことが起こってくるんじゃないかと思います。新しい憲法を論議する、論憲といいまして、改正までいかないということが悲しいこの委員会の宿命のような気がして残念でなりませんが、その意味での、先生が理想的とする、そういう世界の悲劇を救うための日本のにおいのする憲法というのはどんなふうに考えたらいいか。質問の方が長くなってしまいましたので、先生のお考えの凝縮した部分を拝聴できればありがたいと思います。

発言情報

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発言者: 中山正暉

speaker_id: 32328

日付: 2002-07-04

院: 衆議院

会議名: 憲法調査会政治の基本機構のあり方に関する調査小委員会