小泉純一郎の発言 (本会議)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 山内議員にお答えいたします。
個人情報保護法案に対する姿勢についてです。
個人情報保護法案を含む関係五法案は、IT化の急速な進展に対処するものであり、個人情報の有用性に配慮しつつ、プライバシーを初めとする国民の権利利益を保護することを目的とするものであります。
メディアの活動を規制しようとする意図は全くありません。メディアの批判とは何ら関係がありません。
基本原則についてです。
基本原則の性格については、個人情報保護法制化専門委員会が取りまとめた個人情報保護基本法制に関する大綱では、「基本原則実現のための具体的な方法は、取扱者の自主的な取組によるべきものである。この趣旨は、報道分野における取材活動に伴う個人情報の取扱い等に関しても同様である。」とされたところであります。
政府においてはこの考え方をもとに立法化を行い、基本原則は、報道目的を含めた個人情報の有用性に配慮しつつ、個人情報を取り扱うすべての者が、個人情報の適正な取り扱いを行うよう、自主的に努力すべきことを求めるものとしています。すなわち、基本原則は、これに基づいて具体的な義務が課されるものではなく、公権力の関与や罰則は一切ありません。
このような基本原則により、取材源の開示といった具体的義務が課されるものでないことから、報道機関の取材、報道活動の制限となるものではないと考えております。
報道の自由、表現の自由にかかわる行為については基本原則を適用すべきではないこと及び報道機関による自主的な個人情報保護についてのお尋ねであります。
報道機関が、個人情報保護について一層真摯に自主的取り組みを進めていただくことは、本法案における基本原則の考え方そのものであります。すなわち、基本原則は、官民を通じ、個人情報を取り扱うすべての者が、みずから適正な取り扱いを行うよう努力すべきことを定めるものであり、報道分野に基本原則が適用されても支障が生じるとは考えておりません。
報道及び報道機関等の内容についてのお尋ねです。
法案では、報道機関が行う個人情報の取り扱いに一部でも報道目的が含まれる場合は、義務規定の適用を除外することとしております。御指摘の雑誌、写真週刊誌、ワイドショー等においても同様であることは明確であります。
また、報道機関とは、報道を業として行う者であります。したがって、御指摘のフリーライター、小説家、評論家などの個人であっても、本法案においては、いずれも、報道を業として行う者であれば、当然、報道機関に該当することも明確であります。
報道目的の定義、判断についてです。
報道とは、不特定かつ多数の者に対して客観的事実を事実として知らせること、または、客観的事実を知らせるとともに、これに基づいて意見もしくは見解を述べることをいうものであります。報道目的とは、前記の報道を目的とすることであります。
次に、報道目的であるか否かについては、一部でも報道を目的としているか否かの事実に基づき客観的に判断されるものであり、恣意的判断が介入する余地はありません。
このような判断は、まずは事業者本人が判断し、当事者間で争いが生じた場合には、当事者間で判断され、場合により裁判において決着が図られることとなります。
なお、仮に争いが行政に持ち込まれることがあるとしても、広く表現の自由にかかわる活動を妨げることのないよう主務大臣に配慮義務が課されており、行政の関与は制限されております。
個人情報取扱事業者に対する監督のあり方についてです。
本法案に定める義務規定は、事業活動に伴う個人情報の取り扱いを規律するものであります。事業活動に伴う消費者等の個人情報の保護に関する事務は、既に内閣を構成する各大臣が分担している各事業者の活動に関する事務と一体的に遂行することが合理的かつ実効的であります。
新たな第三者機関の設置については、既存の行政機関と事務が競合し、屋上屋を架することとなるのみならず、責任関係が不明確になるおそれがあります。さらに、地方組織を含む膨大な組織の整備は、行政改革の流れにも反するものであります。
情報主体の関与についてです。
この法案においては、個人情報の取り扱いに関し、本人が能動的に関与できるよう、開示、訂正、利用停止等の具体的な規定が盛り込まれております。
また、業務の適正な実施に著しい支障を及ぼす場合が例外とされていることについては、適正な試験の実施や人事管理が阻害されたり、第三者との信頼関係が損なわれたりする場合などを想定して設けられているものです。
ただし、単に業務に支障を及ぼす場合を例外とするのではなく、業務の適正性や支障の大きさをその要件としていることから、この規定が乱用されることはないものと考えております。
民間に比べ行政に甘いとの御指摘がありました。
行政機関については、既に国家公務員法等に守秘義務と罰則が設けられています。また、本法案では、個人情報そのものの漏えいを禁止しており、違反すれば懲戒処分の対象になります。一方、民間事業者については、まず自主的な是正が求められ、改善されない場合に命令が出され、これに従わないときに初めて罰則の対象となります。
このように、行政機関に対してはより厳格な制度としており、行政に甘過ぎるとの指摘は当たりません。
センシティブ情報の収集制限についてです。
センシティブな情報であるかどうかは、情報の種類や内容のみならず、個々の利用の目的やその方法によって異なるものであります。したがって、この問題については、必要に応じて、個別の法制度や施策ごとにきめ細かく措置する方が効果を上げることができると考えています。
城山三郎氏の発言についてでございます。
この法案は、そもそも、IT化が進展し個人情報がITにより処理されている状況下において、個人情報を利用する有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することを目的としております。
他方、言論、表現の自由を尊重することが重要であることは十分認識しており、メディアが法律の規制対象とならないよう、十分な措置を講じております。
このように、表現、言論の自由とプライバシーの保護は両立できる制度になっているものと考えております。(拍手)
—————————————