魚住裕一郎の発言 (憲法調査会)

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○魚住裕一郎君 公明党の魚住裕一郎でございます。
 テーマでございます「国民主権と国の機構」について若干申し述べさせていただきます。
 私は、民衆が主役となる政治というものを掲げてやってまいりました。国民主権の概念をめぐる議論の中で、江橋参考人は、市民が主人公になる政治、あるいは長谷川参考人は、国民のための政治というふうに述べられましたけれども、意を強くするものであります。
 さて、国民主権というものは、すべての政治的価値の源泉は個人にあるという個人主義を前提とするものであります。国民すべてが平等に人間として尊重されて初めて国民が国の政治体制を決定する最終かつ最高の権威を有する、こういうふうにこの原理を理解するものであります。
 さて、国の要素として、国民、領土、国家権力、この三要素というふうに言われているわけでありますが、この国民を規定するものは国籍法であります。現在、日本の国籍法あるいは入国管理政策は世界においても極めて厳しく、人的鎖国政策を取っているんではないかと指摘される状況にあるというふうに理解します。
 グローバリゼーションが本格化して、ヨーロッパ諸国はヨーロッパ統合という関係で、また一方で、アメリカではNAFTAでありますとか、あるいはIT革命絡みでその規制というものを緩和してきたというのが現状でございます。
 国籍の出生地主義、これはアメリカあるいはイギリス、オーストラリア、このいわゆる英米系だけではなく、フランスでも一八八九年から出生地主義が取られているわけであります。
 他方、日本、そしてドイツは血統主義を取ってまいりました。ところが、そのドイツにおいても、一九九九年の五月、出生地主義に変えたところであります。ドイツ人のアイデンティティーを歴史的な運命共同体としてのフォルクに見いだすのではなく、連邦共和国基本法の下で国家構成者としての国民の中に見いだしていく、このような発想の転換があったものというふうに理解をしております。すなわち、改正法では、八年以上合法的にドイツに居住し又は永住許可を得て三年以上経た外国人のドイツで生まれた子は、出生によりドイツ国籍を取得し、十八歳から二十三歳の間にドイツか親の国籍を選択する、そのような制度に変わったところであります。
 日本もそういう状況に入ってきたのではないかと、このように考える次第であります。
 日本においては少子高齢化が問題とされ、外国人の帰化、就労の増加というものも考えていく段階に入りました。先ほど申し述べた人的鎖国政策ともいうべき状況の中で非合法的入国が事実上大量に起こっており、かえって、入国を原則合法化し、透明な条件を課してモニターしていく方が治安上も望ましいのではないかと、このように考える次第であります。
 ITの関係でシリコンバレーが言われましたけれども、これを支えたのもインドや中国系の人々であったということも指摘されております。日本の活力を取り戻すためにもこの政策を転換していくべきではないか、このように考えるものであります。
 国民主権を考える場合に、国民と国家をつなぐパイプとして政党とNGOを指摘したいと思います。
 政党は、社会、国民と国家を架橋する存在というふうに指摘されてきましたし、ただ、一方で、世界的現象として無党派現象というものがあります。ただ、そうであっても、やはり政党の憲法秩序体制の中での意義を失うものではありません。任意結社であると同時に、一種の国政上の役割、機能というものが二面性を有するものであり、自由を尊重しつつ適正な助成と規制を図る必要があろうかというふうに考えております。
 その意味で、成田憲彦参考人が政党法の主張をされておりましたけれども、政党内部には干渉せず基本原則のみを定めることがよいというふうにされておりました。細かいことまでの法制化は政党の活力を喪失させるものと考えますし、他方、政党の腐敗に対する責任追及のための法制度は必要であると私も考える次第であります。
 なお、政党法の議論の際には、ドイツ・ボン基本法の二十一条のような闘う民主制というものもやはり視野に含めておくべきだろうというふうに考える次第であります。
 また、NGO、NPOについては、国民の声を反映させるという点でやはり注目、着目すべきであろうというふうに考えております。
 NGO、NPOは社会のどの分野、部分をどれだけ代表しているかという疑問はあるわけでありますが、政府とのパートナーシップが確立しているカナダでありますとかあるいは北欧諸国においては、社会のために市民の力や創造性を引き出す拠点であると同時にセーフティーネットであると、このような社会的コンセンサスがあるというふうに言われております。徹底した情報公開の下、市民は情報を入手し、NGOを通じて意見を発信する、政府も議会制民主主義を補完する回路としてNGO活動を奨励している。税制等を含めて、日本もそのような方向で是非推進をしていきたい、このように考える次第であります。
 最後に、政と官について若干申し述べたいと思います。
 議院内閣制の下で立法府と行政府の共同体制、高度成長下では十分機能してきたと私も考えます。ただ、今年に入って、外務省過剰介入疑惑事件というものがあり、族議員の問題でありますとか、あるいは政官業の癒着が注目されてきたところであります。
 先ほど、舛添委員が指摘された読売新聞のアンケートによりますと、首相公選制、賛成が六三%、と同時に、法案の事前審査制について変えることは賛成ですか、反対ですかという中では、四九・七%の方が廃止すべきであるという意見表明でございました。この結果は、私は、政治のリーダーシップを求め、かつ、利益誘導等、議員と官僚との不透明な関係の是正が求められている、このように考える次第であります。
 昨年の十一月の八日、いわゆる二十一世紀臨調が首相主導を支える政治構造改革に関する提言というものがなされました。その中で、内閣の主体的法案提出権というものが確認をされ、与党の事前審査制・承認慣行を廃止する、あるいは事務次官会議の廃止ということがうたわれたところであります。
 また、論者によりますと、経済の二重構造、かつての二重構造ではなく、現在の生産性の極めて高い輸出関連製造業と規制と補助金に守られた生産性の低いローカルな製造業とサービス業、この二重構造が政治の二重構造と絡み合って今の日本の構造改革を進めているのを阻止し、阻害していると、このような指摘がございます。
 ただ、そのために、この政治の二重構造を変えるために、同じく議院内閣制を取るイギリスのシステムをそのまま横移しにするというのはいかがなものか、このように思う次第であります。歴史的な背景、システムの前提条件をしっかり見据えながら、かつ民意を行政にもしっかり反映させていくという、そういう観点から政と官についてあるべき姿を更に私どもも検討をしていくべきだ、このように考える次第であります。
 以上です。

発言情報

speech_id: 115414184X00420020410_006

発言者: 魚住裕一郎

speaker_id: 33637

日付: 2002-04-10

院: 参議院

会議名: 憲法調査会