大脇雅子の発言 (憲法調査会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○大脇雅子君 明治憲法から現行の憲法へ、天皇主権を明記する欽定憲法から、現行の憲法は主権在民、国民主権となりました。
マサチューセッツ工科大学教授のジョン・ダワー氏、「敗北を抱きしめて」の著者で、次のように述べております。日本という国家が相も変わらず連続している面を探すよりも、一九二〇年代後半に始まり一九八九年に実質的に終わった一つの周期に注目する方が有用である。そして、高度経済成長を支えたのは官僚制的資本主義であると言いまして、占領軍が最も重大な影響を残した行動は実は不作為という行動であった。つまり、経済の面に関して占領軍は官僚組織の力を抑制しなかった。官僚制度を温存したことにすべての罪があるというように述べておられます。すなわち、行政、我が国の国の機構の中心化現象というのは、官僚制であり、官僚制の弊害が政策の実現を阻んでいるということに着目しなければならないと思われます。
行政の権限が情報の秘匿と管理、そして通達行政を根幹として進められている現状を我々は直視する必要がありましょう。行政が複雑多様化し、行政の技術性や合理性が専門性を求めて、議員から実質的な政策決定権を奪っているという現状であります。官僚と与党が利益団体を共有することから、官僚と族議員と業界の癒着が始まっています。
これに対して、私は立法府としての国会の復権について述べたいと思います。
国民の立法権の保障が最も重要であります。現実の国会での審議は閣法が圧倒的で、とりわけ成立率も大きいと言われております。平成十三年度までの内閣提出案件は八千二百四十二法案で、継続案件を含んで成立率は八八・二%、議員立法は、衆議院が三千十五件で成立率は三六%、参議院は千六十三件で成立率はわずか一六・五%であります。
内閣提出法案は憲法の第七十二条、内閣法第五条に基づいて、いわゆる肥大した官僚群の政策意思というものが提示されているわけですが、国会が議員立法を活性化するためには必要不可欠な要件が幾つかあります。
一つは、現在の公設秘書制度を見直しをすることも含めて議員スタッフの充実が重要であります。また、衆参法制局、国会図書館の立法調査局の機能を更に強化することが喫緊の課題であります。さらに、公聴会あるいはパブリックコメント等、国民の声を直接聞く制度を最も活性化する必要があります。
現在、私が指摘したいのは、請願制度の空洞化の問題であります。現実、請願は会期の終末までに、終末に各委員会の全会一致で採否が決まり、既に立法化された請願については何ら審議もされません。閣法又は議員立法等法案審議前に、市民から正当な請願の権利に基づいて提出された案件を真摯に審議する機会が設けられるべきであると思います。
さらに、市民が立法をするためには法制局等が市民にも開かれるべきではないかと思われます。地方自治が大きく国の委任事務を自治事務とし、地方におきましても、条例制定権というものが国民の意思をどのように形成するか、その民意の反映の手だてが問題になっております。地方自治にも、そのような市民に開かれるべき立法補助手段が充実することが必要であると思います。
二院制に関しましては、幅広く国民の意思を反映させる方式として、議員選出形式や定数や任期等異なる衆参両議院を設けて国権の最高機関として位置付けたこの制度は維持されるべきであろうと思います。
確かに、衆議院の優越性は規定しておりますが、参議院は六年の任期で、良識の府としての存在意義を十分に果たし、更なる立法機能をアップさせることが必要であります。さらに、参議院においては、議員の自主自立性を尊重し、党派を超えたクロスボーディングの投票方法を導入することが重要でないかと思われます。
また、首相公選制に関しましては、議院内閣制を形骸化させ、行政優位の官僚政治や、リーダーシップに名をかりた危機管理対策をますます強めたり、国民に犠牲と負担を強いる構造改革の推進に利用されるおそれもあることを忘れてはなりません。
特に、首相公選が英雄待望論と結び付くことによってかえって人々の政治への責任を放棄させ、民主主義の空洞化をもたらし、危険な政治状況を作り出すことを危惧するものであります。首相と国会とで判断が異なるとき、どちらが国の意思決定なのか、法的に大きな問題となります。
国会の行政府に対する監督、統制機能の強化こそ必要であり、行政優位に拍車を掛け、強権政治の推進につながる首相公選論には賛成できません。政党も国会議員も民意との距離を埋める努力を十分にし、国会が国権の最高機関として首相を選出し、内閣をチェックするという現行憲法の制度を真実生かし切ることが大切であろうと思われます。
一回目の陳述を終わります。