入澤肇の発言 (国際問題に関する調査会)
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○入澤肇君 それでは、短くやります。
今までこの調査会を中心にいろいろとイスラム・中東情勢の勉強をさせていただきましたけれども、もう一つ表面的でよく分からない面がたくさんあります。一方で、マスコミ等では、アフガンにおける紛争の後、多くの情報がはんらんしております。何が一体真実なのか、何がそういういろんな事実の背景にあるのか、よく分かりません。例えば、新しい政権ができた後も、地方によっては知事部局と元知事部局とが部族間の争いをやっている。一体、その背景は何なのか。それから、いつ収まるのか、どのような手段、方法を講じたら円満に解決するのか、よく分かりません。
私は、そういうふうな状況は、日本の外国を見詰める姿勢、外国を研究する、調査する姿勢そのものにも影響しているんじゃないかというふうな感じを持っているわけであります。
実は、マクナマラ元国防長官とOBサミットの後、会談をすることがございました。そのときにマクナマラ長官が、いずれ本を書くから読んでくれと言われて、その本は、ベトナム戦争はなぜ負けたかということを分析し、ベトナム戦争は間違っていたという表題で本を書くということなんですね。アメリカは、従来、中国に対しては相当のお金と人をつぎ込んで研究をやっている、ベトナムについては研究が抜かっていた、特に民族の背景にある深層心理等にまで及ぶような研究はやらなかったと言っておりました。
私は、アメリカが対日戦争をやるときに、相当前から日本の研究をやったことを指摘いたしました。戦後、その研究の成果が「菊と刀」という題名で出版されまして、私も何度か読んだことがございます。事実に食い違いもありましたけれども、非常に多方面からの研究でなかなか参考になりました。
私は、このことをいつも念頭に置いていまして、日本の外交の基本姿勢として、他国を深く広く重層に研究、調査することが外交の基本に据えられなくちゃいけないんじゃないかというふうな感じを持っているわけであります。
特に、欧米を中心、英国、欧米を見ている我々としては、イスラムの慣習なり宗教なり、それから生活ぶりというのは奇異に映ることが多くて、その実態に迫るような情報が余りありません。最近でこそいろんな本が出てきましたけれども、それはすべてを必ずしもとらえているとは言い難い。
そこで、今までの勉強会の結論の一つといたしまして、是非我が国政府は十分なお金を出し、それから調査人員を養成してイスラム世界の研究を強化していただきたい。現在、中東調査会等がございますけれども、その報告書や研究人員の陣容を見ましても、必ずしも十分ではないと私は思います。
そのことを一つ要請いたしまして、私の意見表明とさしていただきます。