高野博師の発言 (国際問題に関する調査会)

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○高野博師君 自由討議ということでありますので、若干所感的にお話をさせていただきたいと思います。
 中東の問題については、私、今まで何回か発言したのに大体尽きているんでありますが、最近の出来事を含めまして述べたいと思うんですが、先般、川口外務大臣がアフガンとイランを訪問された。私の感じでは、ほとんどインパクトがなかった。国際社会へのアピールも余りなかった。無難に事務的にこなしてきたのかなという感じがいたしまして、アメリカから見た悪の枢軸国であるイランと我が国の関係強化というのは、戦略的、経済的に様々な観点から重要な意味を持つはずではないかなと。
 その感想と、イスラム世界と直接は関係ないんですが、去る五月二十日の東チモールの独立記念式典で、最大の援助国である日本の代表の紹介がなかったということでありますが、ほとんど存在感を示せていないという、これはどういうことなのかなと。だから、援助と政治力というのが結び付いていないという感じを受けました。
 それから、先日の日経新聞主催のシンポジウムで、フィリピンのアロヨ大統領が東アジア経済圏構想を打ち上げている、アジアの統一通貨などを含めて、将来、EU並みの統合について言及していると。私自身もこういうことを前から発言してきているものですから全く同感なんですが、日本側の外務大臣のスピーチを読んでみると、全くインパクトもない、これも。事務方が作成した原稿を読み上げたかなという感じで、注目もされていなかった。こういうことも含めて、日本の外交に理念とか構想力がやっぱり欠けているというのは、これもよく指摘されるとおりだと思うんです。
 それから、国際社会へのアピール、あるいはメディア対策の努力というのは非常に不足しているんではないかな。基本的には、やっぱり米国追随の外交では国際社会の中でダイナミックな政治的役割は果たせないんではないかという私は感じを持っております。
 そこで、対中東政策あるいはユーラシア外交、シルクロード外交、これらの問題において、こういう問題を乗り越えるということにはどうしたらいいのか、あるいは何をすべきかというのは、私自身は今、思索を深めているところでありまして、ここで今言う段階にはありません。問題提起だけにしておきたいと思います。
 もう一つは、テロ特措法で自衛隊の派遣の基本計画の延長がされたわけですが、テロ問題は解決していませんし、長期間にわたるということが予想されているんですが、去年の九・一一のテロについては、これも報道によれば、ブッシュ大統領もかなりの情報を持っていたと。また先日も、米国内あるいは米国民とか米国の施設をターゲットにして大規模なテロの再発の可能性についても副大統領が発言している、これを受けてニューヨークの株も下落している、こういう状況でありますが、FBIの情報では自由の女神がねらわれている、こういうことも報道されておりまして、去年の九・一一のあのテロというのが、ワールド・トレード・センターのビルじゃなくてエンパイアステートビル、そして自由の女神であったならば、米国民はもうこぞってアフガンに攻めていったろうと言われるぐらい、要するに、アメリカにとってのアイデンティティーというか自由と発展の象徴、こういうものがターゲットにされるということは、これはもう大変なことだと思うんですが、私が心配したのは、万一、大規模テロが再発した場合に、これはもうあってはならないことなんですが、アメリカはイラン、イラク含めてテロ支援国家に対して問答無用で攻撃していくんではないか。そうすると、米国とイスラム世界との対立というようなことが起こり得るんではないかと。
 そういう行動にアメリカが出たときに、日本はアメリカと違った行動が果たして取れるのかということについては大変難しい対応を迫られるのかなという感じを持っております。これも感想的な意見であります。
 もう一つは、これはもう政府がよく言うのは、アメリカと日本というのは価値観を共有していると、自由主義とか民主主義とか、したがって日本は西側の一員として行動すると、こうよく言うんですが、イスラム世界に対しては我が国はアメリカと違ったアプローチができるんではないか。イスラム世界も日本がアメリカと同じような価値観を有しているとはとらえてはいないんではないかと私は思うんですが、これはアメリカと違って、日本の場合は長い歴史と文化もあり伝統もある。多様な価値観を内包している。かつてはイスラム文化の影響も受けている。シルクロードあるいはイスラム世界には寛容の精神を重んずるというところもあって、これも我が国と共有する部分がある。したがって、アメリカ式の単純化した価値観でイスラム世界を見るあるいは推し量るというのは、これは慎重であるべきではないかなと。
 そういう意味では、アメリカばかりじゃなくて、やっぱり長い歴史と伝統を持っているヨーロッパ諸国、成熟した民主国との意見交換をしながら、この中東外交を進める必要があるんではないかなと。
 ちょっとまとまりませんが、取りあえずの感想であります。

発言情報

speech_id: 115414308X00820020522_006

発言者: 高野博師

speaker_id: 15245

日付: 2002-05-22

院: 参議院

会議名: 国際問題に関する調査会