世耕弘成の発言 (国際問題に関する調査会)

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○世耕弘成君 手短にさせていただきますが、非常に今回、同時多発テロの衝撃がさめやらぬ中、この調査会の調査が始まって、そしてまた、今現在、イスラエル、パレスチナが事実上戦争状態になっていると。このイスラム社会の混乱が欧米の力だけでは解決できないという状況の中で、この調査会、日本の役割を模索していったという意味で非常に意義ある調査だったのではないかと思っております。
 私なりに、日本が今どういう役割をこのイスラム社会に対して果たすべきか、私自身では大きく二つに整理をしております。やはり、一つは日本の資金力をベースとした徹底的な経済援助、そして二つ目は欧米とイスラム社会との懸け橋としての機能、この二つがやはり日本の今果たすべき役割ではないかと思っております。
 経済援助については、先ほども委員から指摘がありましたけれども、まだまだ日本は存在感が示せておりません。私は、やはりこれからの経済援助としては、特にIT関連の経済援助に注力をすべきだと思っております。特にコンピューターのオペレーションシステム、こういったものは正に文化と直結してくる問題でありまして、イスラム社会は単純にアメリカ発のウィンドウズ文化を受け入れるつもりはないと思いますので、是非そういうイスラム社会と日本が共同して新たなOSを作っていくというようなことにチャレンジすべきではないかと思っております。
 そして、二番目、欧米との懸け橋になるという役割ですけれども、まずその前提として、日本とイスラム社会はいろんな意味で理解し合えるポテンシャルを非常に持っているんではないかと思っております。特に、お互いに欧米とは異なった独自の文化とか習慣を持っているということ。
 そしてもう一つは、まあ誤解を恐れずに言わせていただきますが、欧米と戦争をした経験があるということ、そしてまたその戦争の中で、日本の場合は沖縄での地上戦ですとか、あるいは住宅地域への大空爆や原爆といった、そういった体験もしてきているということ。また、自爆テロと同列に論じるわけにはいきませんけれども、神風特攻隊という形で若い命を散らした経験もあるということで、いろいろとイスラム側から理解をしてもらえるかなり大きな素地があるのではないかと思っています。
 その上で、日本が虚心坦懐に今イスラム社会にアドバイスできることがあるとすれば、報復に次ぐ報復、そのまた報復は何も生まないということをアドバイスできるんではないか。単純に怒りのエネルギーを爆発させるだけではなくて、その怒りのエネルギー、そういったエネルギーをやはり平和的な建国に転換をさせていくということが非常にその国の発展のために、あるいは国際社会の安定のために大きなプラスになるんだということを、やはり戦後、平和憲法を作って、経済発展にエネルギーを集中してきて欧米と並ぶ豊かな社会を作った日本としてアドバイスができるんではないか、またイスラム社会にも耳を傾けてもらえる可能性があるんではないかと思っています。
 ただ、こういった懸け橋の機能は相当時間を掛けてやっていかなければいけません。まず今、直近にやれることとしては、やはりサミットの中で日本は非欧米国で唯一の国として参加をしているわけでございますから、そのサミットで、日本が中東各国の意見を酌み取ってサミットの場で中東各国の意見も紹介をしていく役割を果たすというのが一つ大きなポイントになってくるのではないかというふうに思っています。
 ただし、そういう役割を果たすに当たっては幾つかの基盤が必要だと思っています。
 まず一つは、外交力です。中国の瀋陽の領事館のような事態を繰り返しているようでは、やはり外国から信頼してもらうわけにはいきません。それと、先ほど入澤委員からも御指摘がありましたが、中東問題に関する教育とか研究の機関、これを充実させる必要があると思っております。
 そして、もう一つ大きなベースとして、やはり日本人は、今、現代の日本人というのは日ごろの日常生活の中でなかなか宗教的なものについての深い理解が得にくい状態にあります。そういう中で中東社会と付き合っていくというのは非常に難しい点もありますので、何らかの形で宗教的素養というかベースを作っていく必要があるのではないかと思っております。
 以上でございます。

発言情報

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発言者: 世耕弘成

speaker_id: 15381

日付: 2002-05-22

院: 参議院

会議名: 国際問題に関する調査会