入澤肇の発言 (国際問題に関する調査会)

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○入澤肇君 それぞれの先生方から非常に示唆に富むお話を聞いたわけでございますけれども、今、山本先生おっしゃったように、外交戦略をイスラムに対して打ち立てる場合に、私は基礎的に必要なことが幾つかあると思うんです。
 私は、役人時代に日米のスーパー三〇一の交渉、農業交渉、それから日韓の漁業交渉、日ソの漁業交渉をやりました。いずれもやる場合に、一番その基本に据えたのはそれぞれの国の交渉当事者の物の見方であります。今、例えば大田先生から文明の対話が必要だと、それから、世耕先生からも懸け橋としての役割をいかに果たすかと、それからいろんな援助を進める場合どうするかというふうな話がございました。
 これをもし進める場合に、昔ドイツ人とフランス人の物の見方というんでガイストとエスプリという言葉がありましたね。ドイツ人は信号があると、車は通らなくてもきちんと止まる。フランス人は、信号が赤になると、車が通らない場合には渡っていく。ここにガイストとエスプリの違いがあって、ドイツ人とフランス人の物の見方は違うというふうな話がございましたけれども、やはり欧米的な物の見方とイスラム的な物の見方、あるいは日本的な物の見方の本質を相当究めなくちゃいけないんじゃないかと思うんです、外交戦略を打ち立てる場合に。
 その方法論は、一つは、現象面で見ると、人と人との付き合いですから、いろんな面では理解し合えるんですけれども、その現象の背景にあることが問題なんだと。その現象の背景にある一番大きな問題は、やっぱり宗教の原理、キリスト教の原理、イスラム教の原理、それから日本における仏教や神道の原理、こういうものの原理はある程度共通の知識として持っていく必要があるんではないかと思うんです。
 イスラムについていえば、祈りと行動というのは、これはもう一体不可欠である。だから、一日五回の祈りをすると。これは資本主義を貫く場合に、打ち立てる場合に非常に支障になるわけですね。だから、トルコの大統領が、トルコにおいては一日五回の礼拝をやめて三回にしたということがございましたね。それから、金利についてもいろんな工夫を凝らして、金利取っちゃいけないというんだけれども取れるようにしていると。それから、そういうふうなことであるとか、宗教の本質に迫る話としては、法が先にあって経典解釈が後にある仏教、それがイスラムなどは経典が先にあるわけですね、経典主義。経典の解釈を、膨大な解釈の本がありまして、それに従って生活行動様式が決められている。契約の仕方も、神との契約、縦の契約のイスラム社会と、それから欧米の人と人との契約を大事にする横の契約の社会。このような宗教の原理からくる生活集団、生活の習慣ですね、それから経済活動、それから政治面における行動原理、こういうものが見極められないと本当の意味での外交戦略は打ち立てられないんじゃないか。
 我が国はたまたまお金があるからいろんな援助をしますけれども、その援助が本当に役立っているのかどうか。先ほども高野先生からお話がございましたけれども、幾ら援助しても評価すらされないというのでは余り意味がないわけであります。
 ですから、今日で終わりになるんでしょうけれども、いろんなお話聞きましたけれども、私はイスラムを理解するためのもうひとつ一歩踏み込んだ勉強をする機会があったら有り難いなというふうに思います。

発言情報

speech_id: 115414308X00820020522_021

発言者: 入澤肇

speaker_id: 13057

日付: 2002-05-22

院: 参議院

会議名: 国際問題に関する調査会