峰崎直樹の発言 (本会議)

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○峰崎直樹君 私は、民主党・新緑風会を代表し、塩川財務大臣の財政演説に対し、総理始め関係大臣に質問をいたします。
 なお、私の質問に対し明確な御答弁がいただけない場合は再質問をさせていただくかもしれないことをあらかじめお断りをしておきたいと思います。
 まず、政策の優先順位です。
 歴代自民党政権の経済失政により、企業倒産の増大や雇用不安の高まりに象徴されるように、我が国経済は危機的な状況にあります。とりわけ、ペイオフの凍結が解除される予定の四月一日を控え、金融危機が深刻です。
 小泉総理、政策の優先順位を間違えているのではありませんか。真っ先にやらなければならないのは、予算審議からではなく、金融危機を三月末までに解消することなのではありませんか。金融失政のA級戦犯である柳澤金融担当大臣が閣内にいるためそれができないのだとしたら、総理は金融担当大臣を罷免してでも金融危機解消のために手を打つべきです。総理のお考えをお伺いいたします。
 もう一つ、直ちにやるべきことがございます。狂牛病に対する武部農水大臣や農水省の無責任かつずさんな対応により失われた国民の食に対する不安を一刻も早く解消することです。とりわけ、武部農水大臣については、当事者意識も責任感も感じられない発言を繰り返し、国民の不安を一層あおってきました。武部農水大臣には即刻お辞めいただかなくてはなりません。武部農水大臣を罷免する意思があるのかないのか、総理にお尋ねいたします。
 次に、小泉内閣の政治姿勢について質問いたします。
 ちょうど一年前、KSD事件が世間を騒がせていました。正に国民の政治に対する信頼を失墜させる事件でありました。そして、今年もまた、小泉総理の盟友である加藤紘一衆議院議員の金庫番と言われる私設秘書による口利き、脱税疑惑が取りざたされています。総理、あなたは自民党を変えると絶叫されて自民党総裁に、そして総理になられました。しかし、政官業癒着という自民党の体質は何も変わっていないではありませんか。この件について総理の御見解をお伺いします。
 私たちは、あっせん利得処罰法の対象に私設秘書も加えるべきだとこれまで強く主張してまいりました。これに対する総理の御見解も併せてお伺いいたします。
 自民党は、政官業癒着の外にいる人々に対しては極めて冷酷です。一昨日のアフガニスタン復興支援国際会議では、アフガン復興に取り組んできたNGOが外務省によって一度は出席を拒まれました。報道によると、鈴木宗男衆議院議員が外務省に圧力を掛けたということであります。外務省はなぜ当初出席を拒んだのか、このような暴挙が許されるのか、事実関係の有無も含め、田中外務大臣に答弁を求めます。
 次に、総理御自身の政治姿勢の変節についてお尋ねいたします。
 最近、新聞の投稿記事をきっかけに、小泉総理と慶応義塾大学草野教授との間で、自衛隊派遣に関するやり取りがありました。総理の変節を批判した草野教授に対し、総理は誤解だと反論されましたが、ある月刊誌で草野教授は、総理はやっぱり変節していると反論されております。
 すなわち、草野教授は、かつて総理は、九三年、カンボジアPKO撤退論とPKF解除反対論を唱え、九六年には憲法の拡大解釈に反対し、九七年には日本の若者の血を海外で流すことは一滴たりとも許されないと明確に述べているのに、総理が発言を調べないで思い込みで発言しているだけだと言うのは誤りであり、政策を変えたのであれば、きちんとした説明が必要だというものです。この反論に対し、総理はどうお答えになるのか、お聞かせ願いたいと思います。
 小泉総理の変節はこれだけではありません。
 総理は、昨年秋の臨時国会で、第二次補正予算は考えていないと言い続けておりました。しかし、今議題となっているのは、正にその第二次補正予算です。
 かつて橋本元総理が、当初予算審議の最中、ずっと補正予算は考えていないというポーズを取りながら、当初予算が成立した翌日にいきなり記者会見を開き、いとも簡単に変節したという出来事がありました。この出来事が国民の政治に対する信頼を失わせ、その後の我が国経済の転落につながっていったことは、皆さん御承知のとおりです。
 一体、なぜ小泉総理も、またいとも簡単に変節し、橋本元総理と同じ轍を踏もうとしているのでしょうか。あるいは、第二次補正予算は考えていないという国会答弁は元々虚偽の答弁であったのでしょうか、明確にお答え願います。
 総理は、第二次補正予算の財源であるNTT株式売払収入について、うまいへそくりがあったなと無邪気に喜んでおられました。では、このへそくりがなければ第二次補正予算を組むことはなかったのでしょうか、お答え願います。
 元々、NTT株式売払収入は国債の償還に充てるべきものであり、実際には、後で述べるように、借金の先送りにほかなりません。国債発行額を三十兆円に抑制したと堂々と胸を張れるようなものではありません。結局、総理もとうとう空腹に耐えかねて米百俵に手を付けた、私はそう思わざるを得ないのであります。総理に反論があればお聞きいたします。
 次に、第二次補正予算の内容について、財務大臣にお尋ねいたします。
 NTT無利子貸付制度にはAタイプ、Bタイプ、Cタイプの三つのタイプがあります。第二次補正予算ではこのうちのBタイプ、補助金型が多用されるということですが、地方公共団体などへの無利子貸付けの返済財源は将来の国庫補助金であり、単なる借金の先送りにすぎません。しかも、自治体には約一兆六千億円の裏負担が押し付けられ、ただでさえ逼迫している地方財政を更に窮地に追い込むのは必定です。また、Aタイプについても、収益回収型とは名ばかりであり、問題三セクに貸し付けたばかりに、結局は自治体が税金で損失を穴埋めするというケースが非常に多いというのが実態です。にもかかわらず、無理やりNTT無利子貸付制度を利用するのは、やはり国債発行額三十兆円以下という総理の公約を見掛け上守ったとするため、すなわち、粉飾するためだったと思わざるを得ません。財務大臣は、このような批判にどう答えられるのか、お伺いいたします。
 歳出面では、緊急対応プログラムに従って大きく分けて四つの公共事業を列挙されています。いずれも、構造改革のための社会資本整備あるいは改革推進公共投資特別措置という誠に耳障りのいい文言が使われております。
 しかし、予算書を詳細に読んでいくと、治山治水対策事業、道路整備事業、農業農村整備事業など、旧来型公共事業の看板を掛け替えただけの事業が目に付きます。そもそも、今年度も残り少なくなってから突然地方自治体に公共事業をやれといっても、本当に構造改革に資するような事業がすぐに出てくるとは考えられません。財務大臣、いかがでございましょうか。
 私は、第二次補正予算を執行しても、国と地方の借金が増えるのに見合うほどの効果は得られないと考えます。高名な経済学者でもあられる竹中経済財政政策担当大臣はどのような御見解をお持ちでしょうか。第二次補正予算を執行すれば我が国経済は立ち直るとお考えですか。お答え願います。
 次に、経済財政諮問会議が先日決定した構造改革と経済財政の中期展望についてお尋ねいたします。
 中期展望では、二〇一〇年代初頭にはプライマリーバランスが黒字化するとうたわれています。しかし、塩川財務大臣は、個人的には二〇一〇年はちょっと早いかなと思っていると述べたといいます。財務大臣らしく正直な感想だと思いますが、竹中経済財政政策担当大臣はいかがお考えでしょうか。実現可能だというのなら、プライマリーバランスが黒字化するまでの過程を具体的な手段、数値を示した上で御説明願います。
 また、財務大臣が無理だと認めているようなものが経済財政諮問会議で決定されて国民に示されても、国民はだれも信用しないのではありませんか。これは小泉総理にお尋ねいたします。
 中期展望では、また、今後二年程度の集中調整期間を経て、その後は民間需要主導の着実な成長が実現、二〇〇三年度にはデフレを克服するという楽観的なシナリオが描かれています。かつて経済戦略会議がまとめた答申にも似たようなシナリオが描かれていました。経済戦略会議の描いたシナリオはなぜ実現することができなかったのでしょうか。経済戦略会議のメンバーだった竹中経済財政政策担当大臣にお尋ねいたします。
 また、そもそもデフレの原因はどこにあり、どのような方法ならデフレを解消できるとお考えなのか、財務大臣及び経済財政政策担当大臣にお聞きいたします。
 次に、税制改革についてお尋ねいたします。
 小泉総理は、経済財政諮問会議、政府税調などに対して、税制の抜本的改革について検討を指示されました。そこでお尋ねしますが、総理及び塩川財務大臣は、それぞれ、我が国の税制のあるべき姿について、そしてその認識の前提として、我が国が今後目指すべき社会経済モデルについて、どのようなお考えをお持ちなのでしょうか。
 所得税を払っていない個人や法人税を払っていない企業が多過ぎるという総理の発言や、今の直間比率は異常だという財務大臣の御発言など、断片的な御意見は報道によって承知をしておりますが、これでは、所得課税をもっと充実したいのか、それともその反対に間接税をもっと充実したいのか、小泉内閣の税制改革ビジョンが全く見えず、ただ混乱しているだけに見えるのであります。
 なお、個人所得課税の課税最低限の引下げについては、我が党の鳩山代表が一昨年の総選挙に際して提言をしたものであります。誤解のないように申し上げておきますが、我が党がかねてからこの問題を論じる際に念頭に置いているのは、老親や配偶者、子供などの扶養家族の生計費への社会政策的配慮は、所得課税の中の人的控除ではなく、社会保障給付や福祉サービスなどによって行うべきだということでございます。現行の控除主義は、課税最低限以下の低所得の世帯には何も手を差し伸べられないんです。
 今回、総理が課税最低限問題を論じる際、このようなことも視野に入れておられるのか、それとも単に税収を増やしたいだけなのか、所得税を払わない低所得者はけしからぬという感情を述べているのか、総理の哲学がはっきり伝わってきません。なぜ今税制を改革されようとしているのか、その目的も含め、総理及び財務大臣の御所見をお示しいただきたいと思います。
 最後に、金融についてお尋ねいたします。
 昨年末から、総理の口から金融危機という言葉が頻繁に発せられるようになりました。しかし、柳澤金融担当大臣は、大手行の自己資本比率は一〇%以上あるから大丈夫だと、事あるごとに繰り返してまいりました。しかし、もし本当にそうなら、株価が暴落することもなく、預金が急減することもあり得ないはずです。柳澤金融担当大臣、いかがでございましょうか。
 三年前、大手行に対し七兆円を超える資本注入が実施されました。そのときの責任者であった柳澤金融再生委員長が金融担当大臣として、森金融再生委員会事務局長が金融庁長官として居座っていることが、大手行の自己資本比率は一〇%以上あり、健全性には問題がないというフィクションを続けている理由なのです。真の金融再生のためには、まずこの現状認識の間違いを正し、金融担当大臣及び金融庁長官の責任を明らかにすることから始めなければなりません。また、今後、再び銀行に公的資金を投入するのなら、これまで国民を欺いてきた金融担当大臣及び金融庁長官のみならず、総理自身の責任も厳しく問われなければなりません。総理及び金融担当大臣の御見解を伺います。
 ペイオフ凍結を解除すべきかどうかについて、総理は再延期はしないと明確に言い切っておられます。しかし、問題の本質は、解除か再延期かという制度論ではなく、ペイオフ凍結解除までに金融危機を解消しておかなければならないということです。この点を踏まえてペイオフの凍結を解除しようとしているのか、総理にお尋ねいたします。
 昨日の新聞報道によると、私たちの反対にもかかわらず設置が決まった銀行等保有株式取得機構の理事長に、全国銀行協会会長でもある富士銀行頭取が就任することが固まったということです。さきの臨時国会における法案審議では、保有株を売る銀行とそれを買う機構は利益相反の関係になることから、不公正取引が行われないよう十分注意すべきではないかという指摘が相次ぎました。にもかかわらず、銀行トップが堂々と機構のトップに就任するのは、私たちの指摘を無視したものと言わざるを得ません。くだんの富士銀行頭取は間もなく退任するとのことであり、まるで高級官僚の天下りとそっくりです。金融庁はこのような人事を認可するのか、金融担当大臣にお尋ねいたします。
 我が党は、真の金融再生のために、金融再生ファイナルプランを策定しました。かつて提案した金融再生法と民主党版早期健全化法を復活させるとともに、中小企業に対する深刻な貸し渋りや貸しはがしに対応して、民主党の作成した議員立法である地域金融円滑化法、いわゆる金融アセスメント法を実現し、必要かつ効果的な資金供給を通じた地域金融の円滑化を図ろうとするものです。金融危機回避は一刻の猶予も許されません。五年前の橋本改革の過ちを再び繰り返さないためにも、来年度予算よりも、この金融再生ファイナルプランを実現させて金融不安を取り除くことこそが真っ先に優先されるべきであることを再度強調し、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕

発言情報

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発言者: 峰崎直樹

speaker_id: 8106

日付: 2002-01-23

院: 参議院

会議名: 本会議