小泉純一郎の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 富樫議員にお答えいたします。
 野上前次官の進退及び外務省の体質についてのお尋ねがございました。
 私は、今回の国会の混乱という事態を打開するために、田中前大臣また野上次官の辞意を受け入れるという選択を行ったところでありまして、これは事態正常化に結び付いたものと思っております。御質問のように、野上次官が外務省を守ったとして英雄扱いされているなんとは毛頭思っておりません。川口大臣が外務省改革に意欲的に取り組もうとしておりますので、これを積極的に支援していきたいと思っております。
 鈴木議員の参考人招致等についてのお尋ねでございますが、これは参考人招致、国会の場で皆さんよく議論していただきたいと思います。
 加藤元幹事長、鹿野議員などの証人喚問についてのお尋ねでありますが、私は、世間から疑惑を持たれている場合には、政治家はだれであっても自らきちんと国民に対して説明して対応していくべきものだと考えております。その上で、証人喚問する必要があるかどうかというのは、国会の場でよく議論していただきたいと考えております。
 企業・団体献金についてのお尋ねでございますが、私は、政党活動をする上において、一定の制約の下で企業献金あるいは団体献金を受けることを悪とは思っておりません。これから、政治と金の結び付きについて不信を招かないような措置を取る、仕組みをするということは大切だと考えておりまして、こういう点について、各党各会派で引き続き、民主主義のコストとして政治活動の資金はだれがどのように負担すべきか、国民がどのように政治家にあるいは政党に資金を提供すべきか、また、政党、政治家はどのような形で国民から資金の提供を受けて民主主義を発展させていくかという点について、各党各会派で議論を進めていただきたいと思っております。あわせて、不正防止については適切な対応を取ってまいりたいと思っております。
 不良債権の最終処理を進める意義についてでございますが、不良債権の最終処理は、成長分野への資金の流れを促進する、そして他の分野における前向きの構造改革と併せて実施することにより、我が国経済の再生につながるものと考えております。政府としては、集中調整期間終了後の平成十六年度には不良債権問題を正常化するよう全力を尽くします。
 解雇規制についてでございますが、経済社会の構造変化に伴い雇用の流動化が進む中で、労働関係をめぐる紛争の防止の観点から、解雇基準やルールを明確にすることは大切なことだと認識しておりまして、現在、厚生労働省において、労使を始め関係者の意見を十分聞きながら検討しているところであります。
 公共事業の追加と、社会保障改革に関するお尋ねでありますが、社会保障制度、これは国民の安心と生活の安定を支える基本的な大事な制度でありまして、今後少子高齢化を迎える我が国におきましても、これを維持発展させていくためにも、今までのように給付は厚く負担は軽くというわけにはいかないと考えております。どうして持続可能で安定的、効率的な制度に再構築していくかということを考えるのが重要であると思います。私はこの改革の道筋を、国民との協力の下に制度の見直しを進めていきたいと考えております。
 消費税については、上げるとも下げるとも申しません。今後の税制改革に当たりまして、予断なく、予見なく、幅広い観点から検討を行いまして、活力ある税制改革に向けて議論を進めていきたいと思いまして、その中で議論すべき問題であると思っております。
 日銀の金融緩和政策に関するお尋ねでありますが、日銀が金融緩和を行っているにもかかわらず、実体経済に資金が流れていかないという問題点が指摘されているということは事実承知しております。しかしながら、一連の金融緩和措置は、流動性懸念の払拭や金利の低下などを通じて景気の下支えに一定の貢献をしているものと考えております。今後とも、日銀におかれては、政府の進める構造改革を踏まえ、デフレ阻止に向けて適切かつ機動的な金融政策運営を行うよう期待しております。
 信用金庫、信用組合の検査に関するお尋ねであります。
 金融機関においては、適切な資産査定等を行うことにより、その健全性を確保することは、金融機関の規模のいかんにかかわらず、共通の原則であります。こうした原則に立ちながら、金融検査マニュアルにおいては、資産査定に当たり、特に、信用金庫、信用組合の主な取引先である中小零細企業等について、その特殊性を総合的に勘案して判断するものとしているところであります。検査に当たっては、このような考え方を踏まえ、適切な対応に努めているところであります。
 地域経済に対し資金供給を義務付けること等を内容とする法的措置についてでございますが、御提案の法的措置については、金融機関の融資業務等は、基本的には自主的な経営判断、すなわち市場メカニズムに従って行われるべきであり、政府が何らかの措置を義務付けること等については慎重に考えるべきものと思います。政府としては、先般の改革先行プログラムに基づき、中小企業を含む健全な取引先に対する資金供給の一層の円滑化に努めるよう金融機関に対して要請しているところであります。
 今の経済は、リストラの悪循環という合成の誤謬が発生しているのではないかというお尋ねでありますが、リストラには、雇用削減などマイナスの側面が強調されますが、本来は、企業が業務内容を見直すことなどを通じて生産性を上昇させていくというものもあります。それは高成長分野への資源の移動を通じて経済成長を生み出すなど、マクロ経済全体にもプラスの影響も与えるということを考えなきゃならないと思います。しかし、短期的に失業が上昇します。そういう懸念をいかに払拭していくか、構造改革を推進する中で雇用のセーフティーネットの整備を引き続き進めてまいります。
 解雇制限法やサービス残業の根絶等の法整備についてのお尋ねでございますが、労働環境をめぐる紛争の防止の観点から、解雇基準やルールを明確にすることは大切なことだと認識しており、現在、厚労省において、労使を始め関係者の意見を十分聞きながら検討しているところであります。
 年次有給休暇の取得促進については、これを取得しやすい職場環境の整備に向け周知啓発に努めるとともに、所定外労働の削減についても大臣指針が遵守されるよう指導に努めているところであります。また、いわゆるサービス残業は、その多くが賃金未払いという違法なものであり、今後ともその解消に努めてまいります。
 医療保険制度の改革についてでありますが、この国民皆保険制度を堅持していく上でお互い国民がどのような負担をし、どのような給付を受けるか、また高齢者医療を始めとする給付と負担の見直しや医療情報の開示など思い切った改革を行うことにより、安定した効率的な国民皆保険体制を持続可能なものにするために、今後も改革を進めていきたいと思っております。
 老人医療における国庫負担、薬価の適正化、健康づくりの推進についてでございますが、まず、高齢者医療制度については、今般の改革において、その安定的な運営を確保する観点から、現行制度の対象年齢を現行の七十歳から七十五歳に引き上げるとともに、公費負担割合を現行の三割から五割に段階的に引き上げることとしております。
 また、薬価については、これまでも適正化対策を講じてきたところであり、平成十四年度の薬価改定においても、既存の医薬品の薬価の引下げを行うとともに、新規性の乏しい新薬について価格の適正化を図るなど、更なる適正化を推進してまいります。
 さらに、より多くの方々が健康で生き生きとした生活を送ることができるよう、健康増進の基盤整備を図るための法律案を今国会に提出するとともに、総合的な健康対策を進めてまいりたいと思います。
 児童扶養手当制度でございますが、今回の児童扶養手当制度の見直しは、新しい時代の要請に対応するため、母子家庭対策を総合的に見直す一環として行うものです。
 具体的には、母子家庭の自立促進のため、相談機能の強化を図るとともに、子育て支援策、就労支援策、養育費の確保策、経済的支援策などについて見直し、母子家庭への総合的な施策の展開を図るための法改正を行ってまいりたいと考えます。
 この中で、児童扶養手当制度については、児童の福祉や自立が困難な者についてきめ細かな配慮をしつつ、母子家庭の自立が一層促進され、また、制度そのものが厳しい財政状況の中でも持続可能なものとなるようにしていきたいと考えております。
 BSE問題についてでございますが、EUの指摘の対応の在り方については、厚労大臣と農水大臣の私的諮問機関として設置されたBSE問題に関する調査検討委員会において議論しているところでございます。私は、その結論に基づき、農林水産行政の改革を実施する考えであります。また、感染経路の究明や関連対策の実施などに取り組んでいるところでありまして、農水大臣には、これらの職責を果たし、国民に安心していただけるよう全力を尽くしてもらいたいと考えております。
 BSE対策や生産者、流通業者等への対策を法律で措置することについては、今後、BSE問題に対してどのような法的対応が適当かについて議論を深めるべきだと考えておりますが、政府としては、BSEの発生・蔓延防止と感染経路の究明に遺漏のないよう関係法令の見直しについて検討を進めているところであり、今国会に法案を提出する予定でおります。
 今回の不審船事案にかかわる共産党の見解と提案についてでございますが、今回の事案において、海上保安庁は、不審な外国漁船を発見した水域が我が国の排他的経済水域であることを十分認識の上、国際法及び国内法にのっとり適正に対処したと承知しております。
 海上における警察活動は、第一義的には海上保安庁が行うものでありますが、今後、今回の経験を踏まえて、自衛隊との連携等の問題については、運用面、法制面の両面から更に見直しを進めてまいりたいと思います。
 我が国は既に、アジア諸国間の信頼醸成のため、二国間及び多国間の様々な形での対話促進に取り組んでおり、今後とも、このような努力を継続していく考えであります。
 有事法制が対象としている事態や国についてのお尋ねでありますが、現在のところ、御指摘のような事態について我が国に脅威を与える特定の国を想定しているわけではございませんが、日本国憲法の下、我が国の独立と主権、国民の安全を確保するため、平素から必要な体制を整えておくことは、国としての責務であると考えております。
 有事法制の検討をやめるべきではないかとのお尋ねでありますが、有事への対応に関する法制の検討が軍備拡張などの理論になるとの議論は、私は理解に苦しみます。むしろ、日本国憲法の下、国の独立と主権、国民の安全を確保するため、平素から必要な体制を整えることは、国としての責務であると考えておりまして、備えがあれば戦争があるという考え方には、全く理解に苦しんでおります。
 憲法九条を生かした平和外交についてのお尋ねでありますが、我が国は、戦後一貫して、経済大国になっても軍事大国にはならないという方針を堅持して外交政策を展開してまいりました。今後ともこの考えには変わりません。世界の平和と安定のための努力を積極的に続けていきたいと思います。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣川口順子君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 115415254X00720020208_008

発言者: 小泉純一郎

speaker_id: 9434

日付: 2002-02-08

院: 参議院

会議名: 本会議