小泉純一郎の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 西岡議員にお答えいたします。
まず、昭和天皇の和歌の引用についてでございますが、撤回するつもりはございません。
「ふりつもるみ雪にたへていろかへぬ松そをゝしき人もかくあれ」、敗戦後、まだ半年もたたない中でこの歌を詠まれた。私はいつも読むたびに感動しています。苦難に際して決して屈してはいけないというこの精神、深く胸に秘めて、現下の難局にも雄々しく立ち向かっていきたいという気持ちを持って引用したわけでありまして、天皇制の利用とは全く別問題と考えております。
自由社会の基本的考えについてでございますが、社会の主体は人間、人です。自らを助ける精神、自らを律する精神、これこそが国家発展の原動力であると私は考えております。改革の原動力は国民一人一人です。自らを助ける精神と自らを律する精神、そういう方が多ければ多いほど、どうしても自らでは助けられない、助けることができない人を助けることができると思うんです。私は、個人が能力と個性を発揮し、存分に活躍できる仕組みを備えた社会、こういう社会を実現していきたいために改革に邁進しているわけでございます。
同時に、人をいたわり安全で安心に暮らせる社会の実現、これを目標とするためにこれからも大いに頑張っていきたいと思います。
自殺の問題についてでございますが、確かに、一年間で三万人もの方々が自殺するということは非常に憂うべき事態だと認識しております。
政府としては、今年度より、相談体制の充実強化を図るとともに、職場における自殺防止対策マニュアルを作成するなど、地域、職域が連携した自殺防止対策を推進しているところであります。
また、社会全体として自殺防止に更に取り組んでいくため、本年二月には、厚労省に幅広い分野の有識者による自殺防止対策有識者懇談会を設置したところであります。より多くの国民をこのような悲劇から守ることができるよう、今後、懇談会等の議論を踏まえ、自殺防止対策に取り組んでいきたいと考えております。
議員歳費の削減や国会の改革などについてでございますが、政治も構造改革の例外ではありません。まず、政治家自らが率先垂範して改革に取り組むべきものだと思います。
議員歳費の削減、これまでの既得権や先例、慣例の見直しなどをも含めまして、国会及び国会議員の在り方について、各会派でよく議論していただき、改革を進めていくべきものだと考えます。
また、政治と金をめぐる不祥事、この防止のためにも、早急に改善策をまとめ、政治腐敗の防止に全力を挙げていきたいと思います。
中小零細企業への資金供給についてでございますが、政府としては、昨年末、新たな資金調達手段として売り掛け債権担保融資に対する保証制度を創設したほか、先般の改革先行プログラムに基づき、中小零細企業を含む健全な取引先に対する資金供給の一層の円滑化に努めるよう、金融機関に対し要請しているところであります。
若者の雇用対策でございますが、若年者の雇用対策として、新規学卒者について産業界に採用枠の拡大について協力を求めるとともに、相談体制の充実等、就職支援を強化しているところであります。また、若年者の職業意識の啓発や実践的な職業能力開発を推進することが必要と考え、トライアル雇用事業等、所要の施策を講じているところであります。今後とも、若者の雇用促進に積極的に取り組んでまいります。
特殊法人改革についてでございますが、昨年十二月十八日に特殊法人等整理合理化計画を策定いたしましたが、その内容は、道路四公団の民営化や都市基盤整備公団、住宅金融公庫、石油公団の廃止等、従来では考えられないような踏み込んだ改革内容になっております。
まずは事業の徹底した見直しを行い、その結果、廃止又は民営化できない事業のうち国の関与の必要性が高い事業について独立行政法人化することといたしました。独立行政法人制度は、元々特殊法人の弊害を克服する制度として設計されたものであり、特殊法人にない効果が期待できるものと、これからも監視、評価を続けてまいりたいと思います。
道路公団の民営化を推進する理由でありますが、民営化の推進によってコスト意識の徹底が図られ、採算性を重視した事業運営が行われる等のメリットが生じると考えられることから、昨年十二月に閣議決定された整理合理化計画において、新たな組織について民営化を前提とするとともに、内閣に置く第三者機関において検討し、その具体的内容を平成十四年中にまとめることとしました。今後、整理合理化計画で示された方向性にのっとって道路公団の改革が進められるよう、適切に取り組んでまいります。
道路特定財源の在り方についてでございますが、道路予算についても削減を行っております、この平成十四年度予算においては。その結果、自動車重量税を含めたいわゆる道路特定財源の額が道路予算の額を上回ることとなり、厳しい財政事情等も勘案し、十四年度においては、これを使途の限定なく、一般財源として初めて活用することを決定しております。
なお、道路を含め、特定財源及びその税制の見直しについては、その基本的な在り方について、今後、経済財政諮問会議や政府税制調査会等の場において幅広く検討を進め、平成十五年度予算に反映させていきたいと考えます。
どのような場合に資本増強を行うか、資本増強を行う場合の経営責任をどうするかについてとのお尋ねであります。
預金保険法では、資本増強が行われなければ信用秩序の維持に極めて重大な支障が生じるおそれがあると認めるときは、例外的措置として資本増強が可能とされております。
これが、いかなる事態がこれに該当するかということでありますが、将来起こり得る様々なケースについての発動基準をあらかじめ定めておくことは困難であり、かえって対応できない場合が生じるおそれがあること、また、市場の憶測、モラルハザードを回避する必要があること等から、具体的に申し上げることを差し控えたいと思います。
なお、例外的措置として資本増強を行う場合には、法令に従い、経営責任を明確化することが前提になると考えております。
補助金を廃止してその金額は地方へ交付すべきであるというお尋ねですが、補助金の在り方につきましては、十四年度予算においても、地方公共団体の自主性を尊重する統合補助金について制度の改正を含めた一層の拡充を図るなど、見直しを行っているところであります。今後とも、地方にできることは地方にゆだねるとの方針の下、見直しを行ってまいります。
基礎年金について消費税を財源とすべきではないかとお尋ねがありました。
社会保障制度の財源については、社会保険方式を基本としつつ、利用者負担、保険料、公費を適正に組み合わせること等により、給付に要する費用を賄っていく必要があると考えております。
いずれにせよ、消費税の使途を含め将来の税制、財政の在り方については、今後の少子高齢化の進展など社会経済の構造変化や財政状況を踏まえつつ、国民的な議論を参考にしながら検討されるべき課題であると考えております。
所得税制についてでございますが、累次の税制改正により、課税最低限は引き上げられ、税率の累進構造も緩和された結果、大幅な負担軽減が図られており、その負担水準は主要先進国中最も低いものとなっているなど、基幹税としての機能が空洞化しているという批判も一部にはございます。
このような個人所得課税の現状や、税制全体の所得再配分機能をどう考えるかといった観点等も踏まえつつ、総合的に税制のあるべき姿について検討を行うべきであると考えます。
閣僚の更迭と内閣の連帯責任との関係でございますが、私は、一内閣一閣僚というのは閣僚人事の順送りや派閥主導を廃止するという意味で、この目的を持って発言しております。これと憲法上の行政権の行使に関する内閣の国会に対する連帯責任の問題とは直接関係するものではありません。
集団的自衛権についてでございますが、政府は従来から、我が国が国際法上集団的自衛権を有していることは主権国家である以上当然であるが、憲法第九条の下において許容されている自衛権の行使は我が国を防衛するため必要最小限度の範囲にとどまるべきものであると解しており、集団的自衛権を行使することはその範囲を超えるものであって憲法上許されないという解釈に立っております。
憲法は我が国の法秩序の根幹であり、特に憲法第九条については、過去五十年余にわたる国会での議論の積み重ねがありますので、その解釈の変更については十分に慎重でなければならないと考えます。
他方、憲法に関する問題について世の中の変化も踏まえつつ幅広い議論が行われることは重要であり、集団的自衛権の問題について様々な角度から研究してもいいのではないかと考えております。
沖縄の米軍施設・区域の問題についてでございますが、在日米軍施設・区域の集中により沖縄県の方々に大きな負担を掛けていることは十分承知しております。
政府としては、米国政府とも協議しつつ、普天間飛行場の移設・返還を含め、沖縄に関する特別行動委員会最終報告の実施に全力で取り組み、沖縄県民の負担軽減へ向けた努力を継続してまいりたいと思います。
中国及び朝鮮半島と我が国との関係に関するお尋ねでございますが、中韓両国との関係は我が国にとって極めて重要であります。引き続き両国との関係発展に努めてまいります。
WTOに加盟した中国との間では、双方に利益のある形で経済関係を発展させていくため、各方面での対話の強化とともに、貿易紛争の防止に努めていく考えであります。
北朝鮮については、今後とも日朝国交正常化交渉の進展に粘り強く取り組み、拉致問題を始めとする人道上の問題や安全保障上の問題の解決を目指していく考えであります。
教育改革でございますが、この四月から、完全学校週五日制については、学校、家庭、地域社会が一体となって、自ら学び考える力や豊かな心などの生きる力を育成する上で重要な意義を有するものであり、今後とも、子供たちの多様な活動の場の拡大に努めてまいります。
国立大学の法人化については、単に法人格を付与し規制を大幅に緩和するだけではなく、経営責任の明確化、能力主義人事の徹底、学外者の経営参加など、言わば民間的発想の経営手法を積極的に導入することが必要と考えております。
このような観点から、国立大学を活性化し、活力に富み国際競争力のある大学づくりを目指して、新しい国立大学法人について制度設計の検討を進めているところであります。(拍手)
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