柳田稔の発言 (本会議)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○柳田稔君 私は、民主党・新緑風会を代表し、小泉総理の施政方針演説に対し、総理及び厚生労働大臣に質問をいたします。
昨年五月、小泉総理が初めて所信表明演説を行った日の翌日、新聞各紙の一面はこぞって総理の演説を取り上げ、小泉内閣に対する歓迎ムード一色に包まれていました。遠い昔のような気がいたします。今は情勢が様変わりし、今般の施政方針演説が行われた翌日、新聞各紙の一面には総理の演説について触れた記事は全く見られませんでした。政治の必要性を考えると不思議な感じがいたします。総理、こうした状況をどう認識されますか。
また、与党内の抵抗勢力が勢い付き、総理の構造改革は進まないのではないかという危惧がありますが、この点について総理の率直な答弁をお願いします。
まず初めに、経済問題についてお尋ねします。
小泉政権が誕生以降、各種経済指標は加速度的に悪化するばかりです。GDPも民間消費も二〇〇一年四—六月期からマイナスに転じています。
昨年四月二十六日、小泉内閣が発足した日、日経平均の終わり値は一万三千九百七十三円を付けましたが、今や九千五百円付近で低迷し、およそ四千五百円も下がっています。昨年末には失業率が五・六%を記録するなど、今や真っ暗やみと言っても過言ではない状況にまで落ち込んでいます。
勤労者のおよそ八割が働く中小企業もかつてないほど厳しい状況に直面しています。倒産件数が急増し、自殺者は三万人を超える状況になっています。
町を歩いていれば悲痛な叫びばかり。構造改革と叫ぶだけで事態は一向に良くならない、中小企業者には首をくくれと言うのか、一体いつまで何年間我慢すればいいのかと恨み節が聞こえてきます。この最大の原因は、小泉総理と自民党にあることを総理は肝に銘じるべきであります。
そこで、総理の景気に対する認識についてお尋ねします。
総理が現在の経済状況をどう認識されていらっしゃるのか、そして一体いつになったら景気は回復するのか、いつまで我慢をすればいいのか、総理に職を賭して明言していただきたい。
総理の社会保障ビジョンについて伺います。
先日発表された日本の将来人口推計によれば、我が国の出生率は将来的に一・三九にとどまり、生まれる子供の数は現在の年間百二十万人から五十年後には約六十七万人とほぼ半分になる一方、六十五歳以上の高齢者は現在の二千二百四万人から五十年後には三千五百八十六万人と五割以上増加するという超少子高齢社会の到来を予測しています。
この推計は、今後の社会経済情勢など様々な要因によって変わり得るものではありますが、年金、医療、介護など、社会保障の将来像を考える上では参考にしなければならないものであります。
総理、新人口推計が示す超少子高齢社会の姿についてどのような所見をお持ちか、答弁を求めます。また、そうした社会に対応し得る社会保障の将来像をお示しいただきたい。
さらには、今般の医療制度改革や次期年金改革など、今後の社会政策の立案に当たって新人口推計に基づいた検討がなされるのかどうか、厚生労働大臣の答弁を求めます。
次に、医療制度改革についてお尋ねします。
一九九七年、患者負担を一割から二割に引き上げました。当時の厚生大臣は、小泉総理、あなたでした。その際、総理は、負担増だけでは国民の理解は得られない、二〇〇〇年度には医療制度の抜本改革を実施するから理解してほしいと国民に約束しました。しかし、約束の二〇〇〇年には何もやらず、二〇〇一年にもできず、遅れに遅れて今回の改革です。しかも、その内容は抜本改革にはほど遠いものです。
しかも、小泉総理、あなたは今回の医療制度改革について、三方一両損の改革だと繰り返し述べています。増加する医療費の負担を患者と医療保険者、そして医療機関がひとしく痛みを分かち合うことだと。しかし、果たしてそうでしょうか。国民に負担のしわ寄せがすべて押し付けられる一方三両損の改悪ではありませんか。
総理、あなたが今国会でやろうとしているのは、診療報酬制度や薬価制度、医療保険制度などの構造改革を先送りしたまま、健康保険財政、特に政管健保の財政危機を単に患者負担増によって乗り切ろうとしているだけだと言わざるを得ません。五年掛かってもできない構造改革、総理の言う構造改革とはこんなものですか。
総理、今の日本の医療制度をどう思われますか。また、今回の改革が抜本改革だと本当に考えているんですか。総理並びに厚生労働大臣に見解を求めます。
民主党は、良質かつ適切な医療、医師と患者が信頼し合える医療提供体制を作り上げることこそ重要だと考え、さきの国会に医療にかかわる情報公開を内容とするいわゆる患者の権利法案を提出いたしました。この法案の再提出の際には是非法案に賛同していただきたいと思いますが、総理の答弁を求めます。
ところで、総理は、サラリーマンなどの患者負担を三割に引き上げる時期について、来年四月から実施するとマスコミを通じて明言いたしております。その方針に変わりはありませんか。総理並びに厚生労働大臣、この国会の場で、恐れず、ひるまず、調整中だと逃げずに、明快な答弁を求めます。
このことは、総理が与党内の抵抗勢力に勝つか負けるかの政治的シンボルの一つであることを付言しておきます。
また、介護保険はこの四月から三年目に入ります。総理はこの二年間をどう総括されておりますか。また、問題点の今後の対応について答弁を求めます。
年金改革について質問します。
総理は、施政方針演説の中で、二〇〇四年までに次期年金改正を行うと述べておられます。新人口推計が予測する一層の少子高齢化への対応、女性の年金問題や無年金障害者の問題等々、課題は山積みしております。そして何より、自民党も賛成し成立した基礎年金国庫負担率の二分の一への引上げが大きな宿題として残されています。
総理は、医療制度改革では三割負担の実施時期をマスコミを通じて明らかにしておられますが、年金改革においても、財源の見通しも含め、二分の一引上げの実施時期を明らかにしていただきたい。明快な答弁を求めます。
次に、男女共同参画に関連して、パートタイム労働法についてお尋ねします。
総理は、施政方針演説で男女共同参画に触れてはいますが、具体策を欠き、緊急に取り組まなければならない課題にこたえるものとはなっていません。特に、雇用情勢が悪化する中で、急増するパートタイム労働について、時代の変化に合った法改正を急ぐべきではありませんか。
九七年から二〇〇一年までの四年間で、正社員が百七十万人減少する一方で、パートなど非正社員が二百万人増加しているという調査もあります。仕事や責任が同じなのに、賃金や社会保険の適用において不利な条件を背負ったままパートへのシフトが進んでいることを見逃すわけにはいきません。
九三年に制定されたパートタイム労働法の抜本的見直しは遅々として進まず、当初から検討されてきた通常の労働者との均衡についてはたなざらしにされたままです。一体いつになったら結論が出るのですか。
総理は、施政方針演説でワークシェアリングの実施に言及していますが、パートタイム労働とフルタイム労働の均等処遇が保障されない限りは、ワークシェアリングの実施にも多くの問題が生じてくるのではありませんか。
こうした諸点についてどう考えますか。総理及び厚生労働大臣から明快なる御所見をいただきたい。
少年犯罪の増加について伺います。
総理は、所信において、子供たちの夢と希望をはぐくむ社会を実現することを約束し、終わりに、子供たちの未来のために立ち向かっていくとの決意を示されました。しかし、今、凶悪な少年犯罪が増加するなど、子供たちをめぐる社会情勢は大きな転機を迎えています。こうした状況は治安の悪化、社会の根幹を揺るがしかねないものであるにもかかわらず、総理は思い切った取組や具体的な対策を示せないでいます。
先月二十五日深夜、東京都東村山市のゲートボール場でホームレスの無職の男性が暴行されて死亡した事件があり、中学生三人と高校生二人が逮捕されたことはまだ記憶に新しいことです。
昨年の秋に発表された警察白書は、「二十一世紀を担う少年のために」と題して深刻化する少年問題を特集しています。白書はまず、現在を戦後四回目の少年犯罪多発時代と位置付けています。
強盗の検挙者は、一九六〇年前後の年間二千人台をピークに減り続けましたが、八八年の五百四十六人を底に反転、二〇〇〇年には千六百三十八人になったこと、半世紀前には刑法犯の全検挙者に占める少年の割合は二三%だったのに、今では四二%にもなっていることが如実に記述されています。
また、四割近い少年は、反省はしていないとか悪いことをしたという意識はないと答えるなど、罪悪感のなさに加え、人生そのものを捨てている姿勢が見られます。更なる教育改革の推進、家族や地域の結び付きの強化などに政府は積極的に取り組んでいくべきではありませんか。総理は所信で、努力が報われ再挑戦できる社会を実現するとおっしゃいましたが、子供たちが夢を持ち続けることができる社会につなげていかなければなりません。
少年犯罪に関して、政府はどのような取組を行おうとしているのか、総理の見解を伺います。
次に、有事法制についてであります。
いわゆる有事法制の検討については、我々民主党は基本政策において、平和を目指すことを大前提として、シビリアンコントロールや基本的人権を侵害しないことを原則としながら、有事、危機に際して超法規的措置を取ることのないよう関連法制の整備を早急に進めることを宣言し、検討を重ねてまいりました。自衛隊が出動するような緊急事態が発生したときの自衛隊出動に当たっての要件、手続については、自衛隊の活動が円滑に行われないことで国民の生命、財産に対する侵害が拡大したり、あるいは政府が法の空白に乗じて超法規的措置を取ることのないよう、緊急事態における法律関係について十分な議論を行い、法制化していくことが重要であるとの基本認識に立っております。
そこで、シビリアンコントロールについてお尋ねします。特に、国会とのかかわりについてでございます。
自衛隊の治安出動においては、国会の事後承認、周辺事態法においては、基本計画に定められた自衛隊が実施する後方支援活動について、国会の事前承認、さらに、国連の平和維持活動においては、PKFとしての自衛隊の派遣には国会の事前承認が必要となっています。
しかし、米国同時多発テロを受けて作られた先般のテロ特措法においては、海外の戦闘地域への自衛隊出動でありながら、我々民主党の反対を退け国会の事後承認でよしとする内容になってしまいました。シビリアンコントロールの原則がずるずると骨抜きになっているのではないでしょうか。有事法制の制定においても、最も大切な原則が踏みにじられるのではないかという疑念が残ります。
シビリアンコントロールとは何か、国会の関与はどうあるべきか、総理の見解をお伺いします。
また、総理は、施政方針演説において、「テロや武装不審船の問題は、国民の生命に危害を及ぼし得る勢力が存在することを改めて明らかにしました。」「生命に危害を及ぼし得る勢力が存在することを改めて明らかにしました。」と明言されました。ここで言う勢力とは一体どこなんですか。答弁をいただきます。
また、この発言は、先日、米国のブッシュ大統領が一般教書演説で、北朝鮮、イラン、イラク三国を悪の枢軸と表現し、その後も、世界各国が米国と連携して大量破壊兵器の開発国に厳しく対処することを求め、これら三国に対する国際包囲網を築くよう訴えることと連動するものなのか、総理より答弁をいただきたい。
最後に、最近、また政治家にまつわる事件が起きました。誠に残念なことであります。事実解明を進めるとともに、政治家自身が襟を正さなければならないと考えます。
最後に、総理の手法や行動において、甚だ疑問を持たざるを得ない面があります。
機密費を使いまくり、不正行為を隠匿し、国益よりも官僚の権益を守ってきた外務省及び鈴木宗男議員に代表されるような自民党の族議員と闘っていた田中前外務大臣を、事もあろうに、小泉総理は切って捨てたのであります。悪いのは外務省の体質であり、自民党の族議員ではありませんか。
他方で、狂牛病問題に関して、農水省の体質を変えることができず、役所の行政責任を明確にせず、最悪の事態を招いた武部農水大臣はおとがめなし。いまだ閣僚に据えている小泉総理の見識を疑わざるを得ません。
田中前外務大臣の更迭の理由について、総理は、国会が混乱したからだとおっしゃいました。しかし、国民への実害は一切起きておりません。
一方、我が国で初めてBSE感染牛が発見された直後の農水省の対応はひどいものでした。大臣の部下である畜産部長は、感染牛は焼却処分したと発表しましたが、直後に、焼却処分どころか肉骨粉に加工されて全国に流通していたことが判明しました。武部大臣は、農林水産省の危機意識のなさはあきれたものだと他人事のようなコメントを出しましたが、国民があきれたのは、大臣自身の危機管理、危機意識のなさと無責任、責任感の欠如でした。国全体を混乱に陥れ、国民への実害は二千億円を優に上回ると言われています。また、検査前の牛肉を国が買い取る制度を悪用した企業が問題となりましたが、二月五日付けの新聞に、検査前の牛肉が一部流通した可能性もある旨報道されました。
なぜ田中前外務大臣を更迭し、武部農水大臣を更迭しないのか、私には全く分かりません。理由をはっきりと答弁していただきます。
言葉では構造改革を断行しようと叫びつつも、抵抗勢力がばっこする自民党に振り回され、霞が関の官僚組織の厚い壁に阻まれて、まともな改革一つ成し遂げられない小泉総理の姿が次第次第に浮き上がってくるのであります。
結局、自民党政権が続く限り、だれが総理になっても日本は変わらないんです。小泉内閣の支持率が大幅に下がったことは、国民が幻想から目覚め、そのことを気付き始めたものと受け止めています。
政権交代でしか日本の再生はありません。民主党中心の政権を作ることこそ私たちに課せられた責務であることを申し上げて、質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕