小泉純一郎の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 柳田議員にお答えいたします。
 初めに、施政方針演説の翌日の新聞記事及び構造改革についての危惧についてお尋ねがございました。
 施政方針演説の翌日の一面に記事がない。当日の夕刊に全部出ていました。新聞記事はともかく、構造改革の推進に対して、多くの国民の期待また支持があるということを理解しております。
 支持率が高かろうが低かろうが、構造改革の決意は全く揺るぎません。これからも、日本経済再生のために改革に全力で取り組んでまいります。
 我が国経済の現状と景気の回復についてでございますが、確かに現在、景気状況は厳しいものがあります。GDP成長率が二四半期連続でマイナスとなり、失業率がこれまでにない高さに上昇するなど、厳しい状況にあります。また、株価についても低迷が続いております。この動向を十分注視していく必要があります。
 景気の先行きについては、デフレスパイラルに陥ることを回避するため、十三年度第二次補正予算の執行など政策展開の効果や、米国経済の改善も見込まれることなどから、年度後半には、引き続き厳しいながらも低迷を脱し、民需中心の回復に向けて緩やかに動き出すことを期待しております。
 また、先般閣議決定しました「改革と展望」においては、今後、二年程度の集中調整期間後には、民間需要主導の着実な経済成長が実現されることを示しております。我が国経済を再生させ、民需主導の持続的成長を実現するためには構造改革が不可欠であり、この方針の下に、経済・財政、行政、社会の各分野における構造改革を断行してまいりたいと思います。
 新人口推計と社会保障の将来像に関するお尋ねですが、少子化が急速に進んでおります。少子高齢化が進んでおります。このため、子を持つこと、育てることには大きな喜びと価値があるということを基本に、子育てを社会全体で支援していくことが必要であり、こういうことを通じて、家庭や子育てに希望の持てる、夢の持てる社会にしていかなければならないと思います。
 社会保障制度については、これからお互い、高齢者も若い世代もともに支え合うという、そういう意識の下に、持続可能で安定的、効率的な制度に再構築していくことが必要であると思います。
 私は、このような改革の道筋を、国民の理解と協力を得ながら、制度の見直しを進めていきたいと思っております。
 医療制度改革については、平成九年以降、薬価や診療報酬、医療提供体制、高齢者の患者負担などの改革を着実に進めてきたところでありますが、厳しい医療保険財政の下、国民皆保険制度を将来にわたって持続可能な制度としていくためには、更なる改革が必要であります。
 このため、患者、加入者、医療機関の三者がそれぞれの負担を分かち合うという、そういう方針の下に、診療報酬の引下げを行うとともに、サラリーマンについても、また高齢者についても相応の負担をお願いすることが必要と考えております。あわせて、診療情報、医療機関情報に関する規制改革や健康づくりを推進することとしております。同時に、医療保険制度の体系、高齢者医療制度、診療報酬体系の見直しなどの課題についても更に検討を進め、基本方向を明らかにしてまいりたいと思います。
 サラリーマンなどの三割自己負担の実施時期につきましては、私の基本方針は変わっておりません。今、調整中でありますので、いましばらく時間をいただきたいと考えます。
 患者の権利法についてのお尋ねがございました。
 医療情報の公開は推進すべき課題であると認識しております。政府としては、診療内容や医療機関を患者自らが選ぶことができるよう、規制改革や情報提供を進めています。その際、患者の立場を尊重するとともに、医師と患者の信頼関係に基づく医療を提供していくことが重要であると考えており、今回の医療制度改革においても、このための広告規制の緩和や第三者評価の普及などの取組を積極的に進めていくこととしております。
 患者の権利法については、法律で一律に患者の権利と医師等の義務を定めることが適当か、あるいは責任回避のための形式的、画一的な説明や同意の確認に陥るおそれがないかといった問題点があり、このような点について慎重に検討する必要があると考えております。
 介護保険制度についてでございますが、市町村を始めとする関係の皆様の御尽力により、これまで大きな混乱なく実施されており、サービスの利用が増えているなど、国民の間に定着しつつあると考えております。引き続き、現場の方々の声に十分に耳を傾けつつ、介護サービスの基盤整備や質の向上などに取り組み、国民から信頼されるより良い制度へ育てていきたいと思います。
 年金制度の国庫負担割合についてでございますが、平成十二年三月に成立した年金改正法において、基礎年金については、「安定した財源を確保し、国庫負担の割合の二分の一への引上げを図るものとする。」との規定が設けられているところであり、平成十六年に行う次期年金改正において、これをどのように具体化していくかについて、安定した財源確保の具体的方策と一体として検討してまいりたいと考えます。
 パートタイム労働者の在り方についてでございますが、パートタイム労働者の適正な処遇を確保することは重要な課題であると認識しており、パートタイム労働者の処遇改善に向けた指導、支援に努めているところであります。現在、パートタイム労働者と通常の労働者との処遇の均衡の問題も含め、今後のパートタイム労働の在り方について厚労省の研究会で検討を進めているところであり、先般公表したその中間報告を踏まえ、更に検討を進めてまいります。
 ワークシェアリングについては、労働者が多様な働き方を選択することを可能にするため、働き方に見合った適正な処遇を確保することが重要であると認識しております。現在、政労使ワークシェアリング検討会議においてそのような視点も踏まえて検討を行っているところであり、本年三月を目途に基本的な考え方について合意を得ることができるよう、積極的に取り組んでまいります。
 少年犯罪対策についてですが、この問題については、警察による検挙、補導のみならず、少年の立ち直りを目指して家庭、学校、地域、警察等の関係機関が協力し、社会が一丸となって取り組んでいくことが不可欠であります。さらに、各方面における幅広い議論を踏まえつつ、二十一世紀の日本を担う健全な少年を育成すべく、少年を取り巻く良好な環境の整備に政府一体となって取り組んでまいります。
 シビリアンコントロールに関するお尋ねですが、シビリアンコントロールとは、軍事に対する政治の優先を意味するものであります。我が国の現行制度においては、国防に関する重要事項については内閣総理大臣を議長とする安全保障会議の議を経ることとされており、また自衛隊については法律、予算等について国会の民主的コントロールの下に置かれており、シビリアンコントロールが骨抜きになっているとの御指摘は当たりません。政府としては、今後ともシビリアンコントロールを常に確保してまいります。
 施政方針演説における「国民の生命に危害を及ぼし得る勢力」との表現についてでございますが、御指摘の箇所は、さきの同時多発テロや武装不審船事件などに見られるように、国民の生命に危害を及ぼし得る勢力が存在するということを言ったまでであります。一般的に述べたものであります。また、これは、ブッシュ大統領の一般教書演説の特定の内容を念頭に置いたものではありません。
 田中前外務大臣を更迭し、武部農水大臣を更迭しないのはなぜかとお尋ねでありますが、田中前大臣の処遇につきましては、本来外務省の問題であった問題が国会全体の問題になってまいりました。この国会の混乱の解決を図るために私は自らの決断を行ったところであります。
 武部農水大臣については、先日、大臣への不信任決議案が否決されました。信任が得られたところであり、武部大臣に対しては、BSE問題をめぐるいろいろな批判に謙虚にこたえ、このような食の安全に、不安を払拭するようにこれからも職責を果たすために全力を尽くして、しっかりと食の安全について、あるいは食の問題に対して国民の不安と混乱のないような対処を取るように指示しております。このような責任を果たしていくことが大臣としての取るべき責任と考えております。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣坂口力君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 115415254X00720020208_018

発言者: 小泉純一郎

speaker_id: 9434

日付: 2002-02-08

院: 参議院

会議名: 本会議