簗瀬進の発言 (本会議)

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○簗瀬進君 議長不信任決議案提案趣旨説明をいたします。
 私は、民主党・新緑風会、日本共産党、社会民主党・護憲連合の三会派及び西岡武夫君外一名提案の、ただいま議題となりました議長不信任決議案について、提案の趣旨を説明いたします。
 まず、決議案の案文を朗読させていただきます。
    議長不信任決議案
  本院は、議長倉田寛之君を信任しない。
   右決議する。
 七月二十六日午後三時五分、倉田議長は本会議開会のベルを押しました。そして、全野党が欠席する異常な光景を物ともせず、ギャベルを打ち鳴らして、本会議を主宰したのであります。
 まず議長に申し上げたい。あなたが押した本会議開会のベルは、参議院の自殺行為のスタートボタンにほかならなかったのであります。
 議長、むしろあなたが押すべきだったのは、委員会に差し戻すという民主主義のリセットボタンでなければならなかった。
 議長の行為は、正に民主主義の破壊に自ら手を染めたことにほかなりません。
 私たちは、このような議長を院の代表者と認めるわけにはいきません。良識の府参議院をよみがえらせるためにも、議長、あなたは即刻退任すべきであります。
 倉田議長、あなたは、四月二十二日、参議院本会議において選任されました。井上前議長の秘書給与問題による議長辞任、そして議員辞職を受けて、議長として新たに選出されたのがあなたであります。
 井上前議長は、正に良識の府参議院の名誉と信頼を著しく傷付けた。とするなら、その後任のあなたに課された重大な使命は、失われた参議院の名誉を回復し、参議院の存在意義を高め、参議院に対する国民の信頼を回復することにほかならなかったはずであります。言葉を換えれば、倉田議長は、参議院の復権という大きな十字架を背負った議長だったはずであります。井上前議長によって地に落ちた参議院の名誉を回復する救世主でなければならなかった。しかし、あなたのやったことは、救世主どころか三途の川の渡し船の船頭さんでしかなかった。参議院は名誉回復どころかその存在感はあなたの決断によって更に希薄にされてしまったのであります。
 議長、国会法を読んでいただきたい。
 国会法の十九条は、議事整理の最終権限が議長にあることを明記しています。その上で議長は、「議院を代表する。」と定めております。
 議長、正にあなたは参議院の代表者であり、参議院は与党と野党によって構成されているということをお忘れになっては困る。議会が生きるも死ぬるも、議長、あなた次第。あなたは院の顔であり、院のシンボルでなければならない。
 昨年、議運の視察でオーストラリアとニュージーランドの議会を訪問し、党首討論の状況を見てきたとき、実に驚いたことがあります。それは院における議長の強烈なリーダーシップでありました。議場がどんなに混乱しても、議長がオーダーと一言発するや、一瞬にして議場は粛然とする。なぜそうなのか、ここが肝心です。なぜそうなのかと問い掛けると答えは実に簡明でありました。与野党のそれぞれの言い分を最も真剣に聞いているのが議長だから、我々は議長を尊敬をしている、これがその明快な答えであります。
 議長、あなたは就任に当たって党籍を離脱したはずであります。それは、一党一派に偏することのない中立公正な議会を運営することを身をもって示すだったはずではありませんか。そして、そのようにして初めて、院全体の、国会法十九条が定める代表者になれるからだったはずであります。しかし、議長の取った行動は院の代表者の行動ではない。院の代表者というよりも、与党の代弁者でしかなかったのであります。
 議長は、委員会の強行採決後、阿部委員長から報告を聞いたそうであります。その際、議長御自身から、委員会では瑕疵はなかったのかと質問されたそうであります。この議長の質問自体、瑕疵の存在を議長が認識していたことの先行自白ではないでしょうか。そして、瑕疵を認識しながら、あえて瑕疵はなかったかと質問する、それは議長自身の保身の老獪さを示す以外の何物でもありません。
 瑕疵はあったのであります。それもふんだんに、そして、重大な瑕疵が間違いなく存在しています。
 まず第一に、法案送付の際に見事に現れた衆議院による参議院軽視であります。
 これは、与野党ありませんよ。一月二十一日から始まった今国会に、内閣は勝手に四重要法案などと名付けて、本来なら数次の国会にわたって慎重に審議すべき重大な問題点を含む法案を立て続けに国会に提案してきた。これら重要法案の中で、とりわけ健康保険法改正案は、国民の暮らしと経済に深刻な影響を与える法案であります。したがって、国民各界各層の意見を十分に集約し、必要なら修正を加えた上で、更に意見集約の努力を行うべき法案ではないでしょうか。
 本来、今国会は六月十九日が会期末であった。しかし、その時点において、これら重要法案の一つでも衆議院を通過していたでありましょうか。正に、どれも衆議院を通過していない無残な状況、そんな無残な状況を知りつつ、重要な健康保険法改正案を参議院に送り込んできたというのは、会期延長の後であります。審議入りの出発点からして参議院の慎重審議が困難な事態を作って送り込まれている。それを無視して審議入りを強行し、不十分でも構わないから通せばよいと言わんばかりの国会運営は、会期末に来て見事にこの馬脚を現したわけであります。
 重要法案を、十分な審議期間なしで、期間限定で請け負った与党の議会運営自体、参議院の自殺行為を呼び込みました。結果として、参議院は衆議院から法案の成立を請け負った単なる下請機関になろうとしているじゃありませんか。議長、あなたは、正に体を張ってこのような暴挙を阻止すべきだったのではありませんか。
 瑕疵の第二は、法案に対する厚生労働委員会の基本的な姿勢であります。
 言うまでもなく、この法案は、サラリーマンの医療費患者負担を三割に引き上げる、老人医療の対象年齢を七十歳から七十五歳以上に段階的に引き上げるというものであり、国民への生活に重大な影響を与える法案であります。
 国民に痛みを伴わせる以上、当然、国民的合意をもってそれを国民に問うべきであります。そのためには、一にも二にも審議を尽くし、法案の中身を慎重に論議を重ね、国民に理解を求めることが我々議会に身を置く者に課せられた共通の使命であります。委員会の運営の基本に真摯な使命感が最初から欠落していたと言わざるを得ません。
 瑕疵の第三は、委員会での審議時間であります。
 衆議院においては、四月十九日の本会議質問から六月二十一日まで二か月以上も審議をし、参考人、地方公聴会も含めると六十時間以上に及ぶ大変充実した審議をしたかもしれません。ところが、参議院においては、七月二日から始まった委員会審議は一か月にも及ばず、政府への法案質疑はたった三十一時間七分しか行っていません。法案の重大性や先例と比較して、全く不十分な審議であったことは明らかであります。
 瑕疵の第四を申し上げます。
 当日朝の理事会で合意していた共産党、国会連絡の会などの質問権を質疑打切りの動議によって一方的に剥奪をいたしたことであります。
 瑕疵の第五は、国民を直撃する重要法案であるにもかかわらず、公聴会の開催を放棄したことであります。
 衆議院ですら行った公聴会、これを良識の府の参議院において、その開催の努力すらなかったということは全く嘆かわしいことでありませんか。重要法案については、採決の前提として公聴会を開くことが先例となってきました。今回も、野党側理事より何度となく、再三にわたって公聴会の提案をしてきたのであります。
 しかしながら、委員長はその提案に耳を傾けることもなく、全くこれを行わずに、国民の声を広く聞く努力を怠りました。国民の声を無視し、国民を軽視した態度にほかならない。国民から離れたところで国民生活に密接したこの法案が採決されることは断じてあってはなりません。民意から離れた国会であってはならないのであります。
 今回の例は、公聴会を与党が暴力的にカットし、国民不在で重要法案を採決したという歴史に残る重大な汚点となるでありましょう。正に参議院の自殺行為にほかならないじゃありませんか。
 瑕疵の第六は、議運理事会での与党のだまし討ち的な対応であります。
 そもそも、二十五日十三時開会の議運理事会、厚生労働委員会から公聴会の提案があるという理由でいったん休憩になっております。しかし、その直後に行われたのは、公聴会開催の決定どころか、正に混乱の極致、委員会の強行採決だった。信頼を失わせる対応であります。その日の深夜の本会議公報掲載、これに結び付く詐欺的な議運理事会の運営が行われたと指摘をさせていただきたい。
 瑕疵の第六は、二十六日の本会議設定のための議運委員会であります。
 委員会での強行採決後、野党は再三にわたって採決無効、審議差戻しの主張を行ってまいりました。厚生労働委員会への差戻しを要求してまいりました。ところが、これに対する明確な返答もないまま、山崎議運委員長は委員長職権によって議運委員会を強行開会。そして、議運委員会も与野党間の合意のないまま強行されたのであります。
 厚生労働委員会においては、一方的な審議打切り、強行採決。議院運営委員会においては、委員長職権での強行開会。二重に委員長の強行運営がなされたにもかかわらず、その上に更に倉田議長は本会議の開会を強行いたしました。正に議長の立場と議長の職務を放棄したものであり、議長としての基本的な資格が完全に欠落していると断ぜざるを得ません。
 さて、今回、議題とされた健康保険法改正案は、衆議院においても強行採決がなされたものであります。そして、参議院においても再び強行採決。議長、こんな有様では、もう参議院を良識の府などと語るのはやめていただきたい。あなたの辞書から良識の府という言葉を削除し、その代わりに暴力の府とでも登録していただきたい。
 議長、あなたがやるべきことは、参議院の強行採決の歴史を刻むことではないはずであります。衆議院の傷を治癒し、参議院での良識ある審議を保障し、そのために全力を挙げてのリーダーシップを発揮することではありませんか。重要法案であればあるほど、与野党対立の溝が深ければ深いほど、合意の上で審議を進め、採決を行うことが当然の務めであります。
 議長、繰り返し申し上げます。あなたは、本会議開会のベルを鳴らすことにより、同時に参議院の自殺行為のスタートボタンを押した。多くの意見を聞き入れ、審議を尽くしていくこと、それが議会の、とりわけ参議院の役目であります。このような強引なやり方が認められれば、それこそ参議院は衆議院のカーボンコピーと呼ばれて何の反論もできないじゃありませんか。衆議院の下請機関と呼ばれて何の反論もできないじゃありませんか。法案成立のための単なる通過儀礼の府となってよいのでありましょうか。
 参議院は参議院として権威を持って臨むべきであります。議長は参議院の存在を示すために全力を尽くすべきであります。その期待を見事に裏切った以上、倉田議長には辞めていただくほかありません。
 よって、我々はここに議長不信任決議案を提出いたします。本決議案に多くの議員が賛同され、速やかに可決されることをお願いをいたしまして、提案を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
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発言情報

speech_id: 115415254X04320020731_003

発言者: 簗瀬進

speaker_id: 23746

日付: 2002-07-31

院: 参議院

会議名: 本会議