市川一朗の発言 (憲法調査会)

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○市川一朗君 ただいま谷川団長の方から全般的な報告がありましたので、私は、二院制の問題とEUの問題の二点に絞りまして、調査の概要と所感を申し述べることといたします。
 訪問したイタリア、ベルギー、フランスの三か国はいずれも二院制を採用しているところでありまして、二院制の在り方について格別の関心を持っております私自身にとりましても非常に貴重な機会でございました。
 上下両院の関係は、三か国それぞれに異なっております。簡単に言いますと、イタリアは言わば対等な二院制と言えます。ベルギーは、長らく対等の二院制でありましたが、一九九三年の改正で下院に重点を置いた二院制になりました。フランスは、圧倒的に大統領の権限が強いところに特色がありますが、下院は、予算法律及び社会保障財政法律の先議を行うこと、それから法律案について両院が不一致の場合には政府の要求に基づいて下院が最終決定を行うこと、それから下院のみ政府不信任決議権があることの三点で優越しております。対等な二院制を取るイタリアにおきましても、地方自治の強化を目的とする昨年の憲法改正を契機に、ベルルスコーニ内閣の下、上院を地方代表院の性格を持つ院に衣替えしようという案が検討をされている状況にあります。
 お話を伺った方々は全員、民主主義国家における二院制の意義、必要性については、例えばベルギーのドゥ・デケール上院議長は熟慮の院、フランスのジェラール上院議員は賢者の院と、団長の報告にもありましたが、そういう表現を使っておられました。また、国民からも下院より格式の高いものと認識されているとのことで意を強くしたところでありますが、具体的な二院制の在り方となりますと、各国の政治状況も絡み、集約されたイメージを描くのはなかなか難しいかなと思いました。
 ただ、ベルギーにおける連邦制の追求、イタリアにおける地方自治の進展が上院を地方代表院的な性格を持つ院に変えていこうという動きにつながっていることに、我が国においても、地方分権の強化、道州制の議論などを考え合わせますと、同様な傾向が今後は出てくるのではないかと思われます。
 しかしながら、私個人といたしましては、上院の本来の意義は下院の暴走の歯止めにあると考えておりまして、今回訪問した三か国以外のイギリスやアメリカなど、そういった例も参考にしながら、存在感のある上院として、参議院の真の在り方を研究してまいりたいと思って帰りました。
 さて、それからEUでございますが、今年から御案内のとおり通貨統合を実施いたしました。かつてヨーロッパに旅行をするたびに通貨の両替に苦労したことを思いますと、大変便利になりまして、改めて統合の成果を実感してまいったところでございます。
 EU法は、域内の自然人と法人に直接適用されることとなっておりまして、また加盟国国内法に対し優位性を持つことになっております。EU法に基づく立法は各国内での割合を高めておりまして、ベルギーでは既に半分を占めるとの話でございました。これにつきましてはもちろん、国家の主権が侵されているという反発も少なくありません。しかし、現実は統一化を一層推し進める方向で動いていることも間違いない事実でございます。
 制度の統一が進むと、各国の憲法の見直しも必要になってきます。フランスでは、マーストリヒト条約及びアムステルダム条約の批准に伴い、憲法の規定を改正しております。
 憲法につきましては、我が国と同時期に現憲法を制定したイタリアは十二回の改正、ベルギーは戦後四十九回、フランスも第五共和制下で十五回の改正を行っておりまして、このように小まめに改正が行われているのも、国家の基本を定める憲法であるからこそ、国の現在の姿や方向と憲法の内容は常に一致しているべきであるという考えが基本にあり、言い換えれば、法による支配こそ民主主義の原点という思想がしっかりと根付いている結果であるとの思いを強くした次第でございます。
 以上で私の報告を終わります。

発言情報

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発言者: 市川一朗

speaker_id: 15143

日付: 2002-10-30

院: 参議院

会議名: 憲法調査会