吉岡吉典の発言 (憲法調査会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○吉岡吉典君 二つのことを発言したいと思います。
第一に、世界人権宣言五十周年に際して国会が行った人権擁護の推進に関する決議が、「我々は、世界の平和と繁栄は、すべての人々の人権が尊重されることにより、初めて実現されるものと確信する。」と言っていることを改めて重視したいということであります。
人権問題は、かつて国内問題とみなされてきました。しかし、現在は、国連憲章、世界人権宣言、国際人権規約などに規定された国際問題とされるに至っております。これは、ドイツのナチズム、イタリアのファシズム、日本の軍国主義が国民の生活と権利を抑圧して、第二次世界大戦を開始するに至ったことから教訓を生かしたものだとされております。
世界人権宣言五十周年を記念して国連が刊行した「国際連合と人権」というパンフレットは、その冒頭で、現代人権論は、第二次世界大戦の終わりの時点において、この戦争の渦中で目撃された残虐行為と人権の大規模な侵害に対応するものとして出現したと言っております。人権は恒久平和の前提であり、人権は平和によってこそ守られるということだと思います。
こうして基本的人権は、第二次世界大戦後の国際社会の原則となりました。第二次世界大戦の経験と反省による国際社会の進歩の表われと考えます。この世界の進歩に沿って、日本国憲法も、「国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。」と規定したのです。
第二に、普遍的権利とされるこの人権のじゅうりんの被害者にどう対応するかという問題についてであります。
この問題は、先ほど小泉議員が指摘したように日本国憲法と現実の乖離という問題と同時に、過去において人権じゅうりんされた犠牲者、例えば治安維持法犠牲者とか従軍慰安婦として戦時性的奴隷にされた人々の人権を今日の時点でどうするのかという二つの問題があると思います。
憲法と現実との乖離は解消しなければなりません。過去の人権じゅうりんはどうするのか。
本調査会で国際法学者の横田洋三参考人は、治安維持法に関して、治安維持法は古い大日本帝国憲法の下で作られたものであるが、新しい憲法に照らしたときに明らかに憲法違反である、その被害者及び被害者の遺族等に対して日本国憲法の下でどう対応するかという問題について、もう解決済みではないかと言うのではなく、国際的には、法律が変わって状況がよくなっても、以前の問題のある法律によって被害を受けた人々、その家族に対して、国がきちっとし、対応するのが人権の立場だという考えが現在の国際的常識になっていると述べました。そして、日本政府及び国会もそういう人たちに対して積極的に救済措置を取っていただければと思っておりますという要望も述べられました。
治安維持法犠牲者の問題にしろ従軍慰安婦の問題にしろ、この調査会での参考人の意見を聴いたというだけに終わらせることなく、国会が何らかの方法でその解決に向けて動くことを検討すべきではないかと思います。
以上であります。