中川昭一の発言 (憲法調査会)
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○中川(昭)委員 安全保障及び国際協力等に関する調査小委員会における調査の経過及び概要について御報告申し上げます。
本小委員会は、七月三日に、委員近藤基彦君及び藤井裕久君から、自衛隊の海外派遣をめぐる憲法的諸問題を中心とした第九条に関する基調発言を聴取いたしました。
会議における両委員の基調発言の概要を簡潔に申し上げますと、
近藤委員からは、
国際情勢の変化に対応するためには、憲法改正を視野に入れた防衛体制の整備及び国際貢献の推進を図る必要があるとの認識のもと、第一に、九条一項の侵略戦争放棄の理念は堅持した上で、平和と安全を武力により担保することもあり得るとの立場から、人道上個々の人間の安全保障に着目する人道上の人間の安全保障という考え方を未来志向の強靱な平和主義の形として提示し、国際貢献を積極的に行う姿勢を示すこと。第二に、第九条二項を削除した上で、個別的、集団的自衛権の権利及び自衛隊の存在を明記すること。第三に、侵略、大規模自然災害等の非常事態への対応に関する条項を設けることを内容とする九条の改正に向けた具体的提言がなされました。
また、二十一世紀にふさわしい国民のための憲法の制定に向けた議論を深めると同時に、憲法改正国民投票法等の整備を図るべきであるとの意見が述べられました。
藤井委員からは、
国家としての平和確立の基本については、憲法に明記するか、少なくとも安全保障基本法を制定することで国民に提示し、近隣諸国を初めとする国際社会の信頼を得る必要があるとの認識のもと、まず、個別的自衛権と集団的自衛権とを一体のものとしてとらえた自衛権を保持すること及びこれを抑制的に行使すべきであることとともに、首相が自衛隊に対し指揮監督権を有することを憲法に明記すべきであり、また、自衛権の抑制的な行使を前提として、日米共同防衛体制を重視すべきであり、さらに、日本及び国際社会の平和と安全の基礎となっているPKOを初めとする国連の平和活動に対し積極的に参加する旨、憲法に明記すべきであるとの意見が述べられました。
その後、両委員の基調発言を踏まえて、質疑または発言及び自由討議が行われました。
総括いたしますと、
まず冒頭、中山会長から、党派を超えて九条問題に関する冷静な議論ができたことは大変意義深いものであったとの御指摘がありました。
そして、この議論を見てみますと、各委員とも、侵略戦争を放棄した九条一項の理念を堅持していくことについては認識を共有しているものの、二十一世紀の我が国の安全保障及び国際協力の方向性を示すものとして、現行憲法の前文に掲げる平和主義や九条二項の戦力の不保持、交戦権の否認といった理念を今後も維持していくべきなのか、それとも、我が国をめぐる国内外の環境の変化等を踏まえ、生命財産を守るという国民に対する政治家としての最大の責務を果たすため防衛体制を整備するとともに、新たな国際協力に係る理念を打ち出していくのかといった点で見解を異にしており、問題の争点はこの点に絞られてきたのではないかと考えております。
今後も、これまでの議論を踏まえ、我が国の安全保障及び国際協力等のあり方についてさらに議論を深めていくと同時に、急激な変化を遂げている国際情勢にかんがみ、この争点に関する憲法上の問題について早急に合意形成を図る必要があると考えております。
以上、御報告申し上げます。