井上喜一の発言 (憲法調査会)

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○井上(喜)委員 保守新党の井上喜一でございます。
 私は、憲法とはどういうものかということについて申し上げたいと思うのでありますけれども、国内的、対内的には、基本的人権というのがどういうものなのかということを明らかにする、そしてそれを守っていく、担保していく統治機構等について明らかにするということ、それから対外的には、国際的な平和や安全にどの程度、どのようにかかわっていくのかということを明らかにすること、この二つの対内的、対外的な事項につきまして実体的な規範を規定する、それが憲法だ、こんなふうに考えるわけであります。こういう視点から、今国会の憲法論議全体を振り返ってみまして、私の感じを申し上げるものでございます。
 まず、憲法の前文であります。
 現行憲法が明治憲法に比べて非常に大きな違いがある、根本的によって立つ理念が違うわけであります。そういったことで、私は、そういう歴史的な経緯なり、あるいはよって立つ理念について前文というふうに起こして、現行憲法の骨格といいますか物の考え方を明らかにする必要があったんじゃないか、こんなふうに思うわけであります。
 憲法自身は、やはり規範的なもの、それ自身が実効規定でないといけないと私は思うのでありまして、元来こういった規定は要らない、こんなふうに私は思います。簡潔にして規範となる、その部分、それを明確に書けばいいということであります。それの方が、憲法解釈上からいいましても明快である。前文を置くことによって、前文との関係がどうだとか、そういう無用の議論を引き起こすと思うのでありまして、そういう意味で、次の憲法におきましてはこういう前文は必要がないと思うんです。もう半世紀以上がたっておりまして、こういった原則自身は日本の社会に大体定着をしてきていると思うのでありまして、今さらこういった趣旨の前文を置く必要はない、私はそういうふうに思っております。
 次に、天皇制であります。
 私は、前にも若干申し上げたかと思うのでありますけれども、現行憲法というのは非常によく書かれていると思うんです。私は、天皇制あるいは天皇というものは日本国民の精神的な元首だと思うんですね。精神的にはやはり元首の地位にあると思うのでありますけれども、憲法の上では元首とはなっていないと私は思うのであります。象徴になっている。元首的な権限は内閣が持つということだと思うのでありまして、その長たる内閣総理大臣が元首的な地位にあるんじゃないか、こんなふうに私は思います。
 元首についての規定ははっきりとしておりませんけれども、私は、法律的といいますか、これにつきましては今私が申し上げたような理解でよろしいんではないかと思います。
 総じて天皇制につきましては、私はやはり現行憲法の、規定の仕方はいろいろあると思うのでありますが、実態的には今の象徴天皇制に賛成でございます。
 それから次に、安全保障につきましては、これは私はもう既に申し上げたのでありますけれども、自衛権、これは集団的自衛権を含む自衛権ですね、これがあることを明記していく、その範囲といいますか限度というようなものも明確にする、あるいは国際的な平和や安全に役立っていく、貢献していくような規定もあわせて入れていくということが必要だということであります。これはもう繰り返しになりますので、これ以上申しません。
 それから次に、基本的人権でありますが、現行憲法に規定されております基本的人権は今でも基本的人権として尊重していかなくてはいけないものだと思いますし、さらには、プライバシーの権利、その他幾つかの権利を基本的人権として考えた方がいいんじゃないかという議論がございます。これらについても私は賛成でございます。
 基本的人権についての問題といいますのは、やはり公共の福祉との関係、これをどう考えていくのかということだと思うのであります。基本的人権といいましても、権利のそれぞれにつきまして全く同じじゃありませんので、権利ごとに違っていると思いますけれども、それぞれにつきまして公共の福祉との関係をより明確にしていく、そういうことがよりいいんじゃないか、こんなふうに思うわけでございます。
 それから、あとは統治機構等でありますけれども、これも前回私が報告させていただきましたのでそれに尽きておると思うのでありますけれども、やはりこの基本的人権をいかに守っていくか、守っていくということから、あるいは国際的にも日本がそれ相応の国際社会に対する貢献をしていくというような点などを考えて、現実、非常に速いテンポで国内社会が、あるいは国際社会が変わっておりますので、それに即応するような制度が必要だと思うのでありまして、これは憲法の問題も多少あるかもわかりませんけれども、そういった問題よりも、むしろ運用の問題としてよく検討をしていくべき部分が多いんじゃないか、そんなことをこの前のレポートの中で申し上げたつもりでございます。
 以上でございます。

発言情報

speech_id: 115604184X00920030724_023

発言者: 井上喜一

speaker_id: 2023

日付: 2003-07-24

院: 衆議院

会議名: 憲法調査会