中川昭一の発言 (憲法調査会)
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○中川(昭)委員 今の奥野委員並びに冒頭の葉梨幹事の提言を踏まえて御質問したいと思います。
先ほど、葉梨委員からは、四つの疑問というものを安全保障に対して提示いたしました。これは専ら、主に共産党、社民党に対しての質問だと私は理解をしておりまして、この件については両党区別がつきませんから、どっちから答えていただいても同じようなものでございますからいいんですけれども。
まず、一六四八年にウェストファリア条約という、ヨーロッパ中心ですけれども、いわゆる国民国家という体制ができ上がったわけでありまして、それが二度の二十世紀の大戦を踏まえるまで、第一次世界大戦で崩壊したという意見もありますけれども、何とかもっていた。しかし、その中にはいろいろな問題点が抱合されてきたことも事実であります。他方、戦後は、御承知のとおり、米ソ二大スーパーパワーが抑止という観点でやってきたわけであります。
そういう中で、我々が一つ参考になるのが、ドイツが、戦術核をアメリカから導入して、それによって、万が一東からやられた場合にはこちらからも戦術核を撃つことによって相互確証破壊、MADという戦略をとりました。これが日本がとれるかどうかはまた別の議論ではありますけれども、常に世界の安全保障あるいは国際間の政治的な流れというものがあるわけであります。
ただ一つアメリカの高官がデータをミスしたから、だからイラク支援がだめだとか、あるいは、イギリスで間違った情報がリークされて、それでもってこのイラクに対する制裁がだめだったとか、そんな、これが事実だとしても、これは正しくないという意味ではよくありませんけれども、しかし、全体から見れば、一つの細かい事実でもって全体を否定するような流れというのは、私は、国際社会においてはまことに、目的のために重箱の隅をつつくような議論にすぎないというふうに思います。
そういう中で、我々は世界の平和と安全に少しでも貢献をしたい。それはいわば、ある意味では両党が信奉してやまない憲法の前文に書かれているわけでございます。しかし、現実問題を考えると、一つは、国家の問題というものがあります。国家意思としてどういう行動をとるのかということがあるわけでありますが、例えばユーゴの分裂、あるいはソ連の分裂によって、例えばコソボの問題あるいはまたチェチェンの問題、さらには、アフリカの貧困、飢餓という大変悲惨な状況の中でのリベリアやコンゴの内戦、こういったものを国際社会の中でどういうふうに解決していくのかというときに、さらには、パレスチナ、イスラエルの問題については二千年以上の歴史的な、宗教的な対立がある、あるいはまた民族的な対立がある。これはどっちが正義でどっちが悪だというふうに決めつけることはできない。しかし、現実には悲惨な戦いが行われているわけであります。
他方、我が国の周りには、明らかに日本をターゲットとした、意思と能力を持った北朝鮮というとんでもない国が存在をしている。国家犯罪として、平和に暮らしている日本人を拉致、誘拐していった国家が、のうのうとしてアメリカとの交渉のみを訴えようとしているわけであります。
これを憲法前文と照らし合わせたときに、果たして我々は、諸国民の正義と公正に信頼しなんていう絵そらごとのようなことでもって我が国の平和と安全が過去守られてきたのか、今後守られていくのかという保障がない以上は、我々は、先ほど委員長報告でも申し上げましたように、国民の平和と安全と暮らしを守るために最大限の努力をするというのは国家の責務であり、国会議員の責務であるというふうに私は考えざるを得ないわけでございます。
そういう意味で、この戦後五十年だけでも大きく変化をしてきた世界情勢の中で、もっともっと理屈抜き、アメリカの言うことを聞けば、ソ連の言うことを聞けばという世界秩序の中で、民族とか宗教とか貧困とかいうものが、毎日毎日大勢、何万人という人たちが殺されている、他方、食料がない、薬がないということで、お年寄りや子供たちが死んでいっている状況に対して、ただお金を出せばいい、ただ平和的なところに、安全であるという保障のあるところに限って出ればいいということだけでは、真の意味の国際貢献にもなりませんし、それから、我が国の安全と平和にも、国民に対する責務が全うできないというふうに思います。
改めて、どちらの政党でも結構でございますから、返答があればお願いをいたしたいと思います。