山崎拓の発言 (本会議)
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○山崎拓君(続) 米国スペースシャトル・コロンビア号の墜落事故により、七名の勇敢な乗員全員が命を落とされたことに対し、米国並びに関係国政府と国民に衷心より哀悼の意を表します。
小泉内閣は、間もなく満二年を迎えます。その間、一貫して「聖域なき構造改革」に取り組み、改革なくして成長なしと叫んでこられましたが、我が国は、依然として、既存の政治、行政の行き詰まりとデフレ経済の閉塞感に覆われています。
総理は、施政方針の中で、「改革は道半ばにあり、成果が明確にあらわれるまでには、いまだしばらく時間が必要だ」と言われました。そして、続けて、「我が国には、高い技術力、豊富な個人資産、社会の安定など、経済発展を支える大きな基盤が存在します。厳しい環境の中でも、多くの人々や企業、そして地域が、前向きに挑戦を続けています。改革を進め、こうした力を一日も早く顕在化させることにより、我が国の発展につなげてまいります。」と自信のほどを示されました。
総理は、一国を率いるリーダーとして、たとえワンフレーズ・ポリティックスと言われようが、このように国民の先頭に立って未来を切り開いていく揺るぎなき信念、責任感を示されることが必要です。いま一度、国民に向かって、今後も引き続き「聖域なき構造改革」を推進していく断固たる決意を示していただきたいと思います。(拍手)
さて、本国会には、現在予定されているだけでも、法律案、条約等百四十五案件という未曾有の多数の提出案件が準備されています。まさに、「聖域なき構造改革」を実行に移すための法的インフラの整備が行われようとしているのです。
実例は枚挙にいとまがありませんが、大くくりに申し上げますと、産業再生関連、税制改革関連、公正取引委員会体制改革及び司法制度改革関連、特殊法人及び公益法人関連を初め、食品安全関連、環境関連、社会資本整備関連、そして、個人情報保護法制関連等々です。
これらの法律案は、総理が唱える構造改革の方向性である、官から民への転換に資するものであり、その意味で、一つ一つが、出口の見えない閉塞状況を脱出するかぎとなるものと言えます。その意義を体して、すべて会期内に成立させるべく、与党は結束して国会審議に対応しますが、ひな壇におられる小泉総理以下閣僚の皆さんも緊張感を持って国会審議に臨まれるよう、特に要望しておきます。
私は、「聖域なき構造改革」の中心軸は何といっても歳出の見直しを柱とする財政構造改革だと考えます。こう申しますと、必ず、デフレ不況の克服が先決だとの反論が押し寄せてきます。総理は、敢然として、改革なくして成長なしとの持論で押し返してこられました。この話は、ちょっと卵が先か鶏が先かの議論と似ています。
私は、過去の失われた十年を振り返ってみると、景気てこ入れのためにケインズ理論に立脚した公共事業中心の財政出動を繰り返してきたにもかかわらず、一時的な景気カンフル効果は見られても、わずかな時間にもとに戻ってしまう悪循環を繰り返してきました。結局のところ、いたずらに財政硬直化を促進するのみで、公共投資にかつてのような乗数効果は見られないと確信するに至りました。
もちろん、今後とも、均衡ある国土の発展のための社会資本整備の必要性を否定するものではありませんが、問題は、限られた財政資源をいかに、経済波及効果が高く、今後の成長実現に寄与する分野に選択的に集中していくかであり、財政運営に対する戦略が求められています。歳出構造改革について、総理のお考えをお聞きします。
そこで、平成十五年度政府予算案を点検してみますと、一般会計伸び率〇・七%、一般歳出伸び率〇・一%ですから明らかに景気中立型の予算でありますが、一方、財政健全化という視点からは問題なしとしません。
何分にも、国債発行が三十六兆四千四百五十億円、二一・五%増に達しており、ついに、平成十五年度末の国債発行残高が四百五十兆円に達する見通しとなりました。もちろん、一兆八千億円の先行減税これあり、税収及び税外収入の減収見込みが四兆九千六百六十二億円、約五兆円と大きいことが、対前年比大幅な国債発行増を招いています。
このように、デフレ経済のもとでは、当然、税収は落ち込むことになります。財務省の試算によりますと、名目成長率〇・〇%の場合と一定のプラス成長がある場合には、歴然と税収に差が出てきます。十八年度には二兆円超の差がつく試算になっています。
したがって、デフレ不況克服が急務であり、二〇一〇年代初頭のプライマリーバランス回復実現に向け、実効ある政策展開が求められています。
デフレ不況克服のためには、財政、税制、金融、規制改革を四本柱とする政策総動員が必要であることは論をまちませんが、先月末、平成十四年度補正予算が成立したばかりであり、また、いよいよこれから平成十五年度政府予算案と税制改正案の審議に入っていく段階であります。しかも、一部では、三月末決算をにらんで三月金融危機説も取りざたされています。まさに、現時点に限って言えば、金融政策の出番だと言えましょう。この点について、総理の御認識をお伺いいたします。
そこで、金融政策について、いささか論じたいと存じます。
デフレの対処策として、フィッシャーの貨幣数量説をひもとくまでもなく、市場に潤沢な資金供給を行い続けることが重要です。確かに、日銀は一昨年二月以来、切れ目なく金融緩和措置を講じてきた結果、日銀当座預金残高は一年半前の四倍である二十兆円弱で推移し、市場への資金供給は超緩和状態であるにもかかわらず、民間金融機関は国内経済、産業活動への新たな資金供給に消極的になり、貸し渋り現象が見られます。すなわち、銀行がリスクをとらずに国債保有残高だけをふやし続ける状態です。
一月の月例経済報告を見ましても、マネタリーベースは一九・五%増となっていますが、逆に、銀行貸し出しは二・三%減となっています。これでは、デフレが進行するのは当然であり、日銀にも、従来型の手法で事足れりとしてきた意味で大きな責任があります。
日銀が資金を供給しても銀行貸し出しが減っていくのはなぜか。銀行が貸し渋りを行うのはなぜか。それは明らかに、不良債権処理問題が重くのしかかっているからです。
金融再生法に基づく開示不良債権は、大手十二行で平成十四年九月末現在二十三・九兆円という額に上っており、小泉政権スタート時の平成十三年三月期決算十八兆円からさらに増加しております。処理しても処理しても新しく発生してくる悪循環をどこかで断ち切る必要があります。その方途は、不良債権の迅速なる処理と、新規発生を抑止するための景気回復であります。
前者の方途としては、政府は、昨年十月、金融再生プログラムを決定し、不良債権処理を加速して平成十六年度に終結させる目標を立てました。今、最も求められているのはスピード感であり、解決のめどが示されれば、新たな民間投資の計画も立てやすくなります。したがって、不良債権処理と企業再生は車の両輪であるとの基本方針を改めて確認したいと思います。
今国会には、産業再生機構法が提出されます。早期成立に全力を挙げますが、産業再生は基本的には民間ベースで進めるものであり、また、そうでなければ実のある再生とはなりません。もちろん、政府としても手をこまねいて眺めていることは許されません。民間が主役であるとの基本線は守りつつも、強力にてこ入れを行う必要があります。
産業再生機構を単なる不良債権の塩漬け機関とせず、我が国産業再生の起爆剤としてどのような方針で立ち上げ、運営していくのか。モラルハザードを招くなどといって二次ロスの処理にかかる少々の国費の投入を忌避せず、不良債権処理のスピードアップを図るべきであり、その具体的手順とあわせ、総理のお考えをお聞きします。
不良債権処理のスピードアップとともに、日銀プロパーの金融政策について、期待感と不信感が交錯しています。
インフレ目標設定の是非論がその象徴的な事例です。この問題は賛否両論に分かれて論争を生んでいますが、日銀の速水総裁は、明確に反対の意見を述べておられます。確かに、日本銀行の独立性は、「日本銀行の通貨及び金融の調節における自主性は、尊重されなければならない。」とする日本銀行法第三条の規定等によって担保されています。
一方、同じ日銀法第四条には、「日本銀行は、その行う通貨及び金融の調節が経済政策の一環をなすものであることを踏まえ、それが政府の経済政策の基本方針と整合的なものとなるよう、常に政府と連絡を密にし、十分な意思疎通を図らなければならない。」とあります。したがって、政府と日銀は一体となって金融政策を推進することは当然であり、政府のデフレ脱却の基本方針と整合的かつ積極的な金融政策の展開を日本銀行に期待するゆえんもそこにあります。
この際、政府が日銀と連絡を密にし、十分な意思疎通を図ることができるよう、間もなく国会承認を経て決定される日銀総裁及び副総裁の人事において、柔軟かつ積極的な思考のできる人材の起用を強く期待いたします。
しかしながら、当面は、取りざたされている三月金融危機を不良債権処理の問題とも絡めて必ず回避すべきであり、政府も日銀も危機感を持って真剣に対処していただきたいと存じます。日銀による各種国民資産購入の提案もありますが、具体的な方策は当局にお任せいたします。当局の弾力的かつ大胆な対応を期待いたします。
次に、規制改革について質問いたします。
小泉総理のキャッチフレーズに、官から民へという言葉があります。つまり、この民間にできることは民間に任せるとの方針を徹底し、さまざまな規制や制度が自由な経済活動を阻んでいる現状を改革して、民間経済活動の活性化と企業、産業の国際競争力強化を実現していくべきものと考えます。
構造改革特区についても、一層の活用が望まれます。例えば、今回、農業への一部株式会社参入が実現しましたが、農業者団体の理解を得つつこれをさらに進めれば、地方への人口定住、食の安全確保、自給率アップ、農業の輸出産品化と国際競争力強化等、多くのメリットが期待できるのではないでしょうか。
教育についても、慎重意見がありますが、国民が公立中高への不信を強めて私立を選択し、また、塾や予備校が教育の多くを担っている現状は、既に現実の方が先に進んでいることを示しています。
規制に守られ、緊張感もなく惰性的に存続できるシステムが、市場により淘汰されるシステムよりすぐれているとは思いません。経済活性化の観点からの規制改革、構造改革特区の推進について、総理にお伺いいたします。
次に、税制については、あるべき税制の構築に向け、構造改革の一環として国家戦略を明確にし、結果平等主義から決別して、国際競争力の高い企業や知恵とやる気を備えた中小企業がさらにその活動の幅を広げていけるよう、国際的な視点で、経済活性化のかぎとなる分野に集中的、重点的な措置を講じていくべきだと考えます。
その意味において、今回の税制改正が、国内産業の空洞化に対処し、日本ならではの技術を創造し独自の付加価値を生み出す底力を強化する観点から、米国の税制と比べても三倍から四倍の税額控除を可能とする研究開発税制を創設したのを初め、過去最大規模の設備投資減税、中小企業減税を盛り込んだことを高く評価いたします。
また、国内経済の観点からも、資産デフレの進行を食いとめるとの強い決意のもと、現役世代への資産移転を促すための相続税、贈与税の一体化、土地流通課税の大幅な軽減、貯蓄から投資へを加速する金融・証券税制の抜本的な軽減・簡素化等、資産課税全般にわたり数十年に一度の大改革がなされたことも高く評価したいと思います。
しかしながら、一点、難を指摘すれば、不良債権処理と金融システム機能回復の観点からすれば、金融機関の不良債権処理に係る貸し倒れ償却・引き当ての取り扱い、欠損金の繰り戻し還付等の検討が来年度改正に持ち越されたことを残念に思います。今後、不良債権処理を加速する中で具体的な議論を行い、政府・与党一体となって詰めていきたいと考えます。
税制のあるべき姿について、総理のお考えをお聞きします。
次に、エネルギー問題についてお伺いいたします。
我が国が今、未曾有のエネルギー危機に直面していることは、余り意識されていません。昨年、東京電力の原子力発電所のデータ改ざん問題が表面化したことで、同電力の原子力発電所は、順次、安全点検のため停止しなければならず、スムーズに再稼働できなければ全基停止の事態を招き、夏場のピークでは幅広い停電発生のおそれすら考えられる状況にあります。
一方、OPEC第三の産油国であるベネズエラでは、長期のゼネストにより原油輸出が平常時の二割に低下しており、原油価格への影響があらわれています。もし、今後、イラクに対する米国等の武力行使という事態が生じれば、イラクの原油生産停止の影響のみならず、中東情勢の緊迫化により、原油タンカーの航行不能という事態が生じる懸念もあります。
このような状況下で、一月二十七日には、高速増殖炉原型炉「もんじゅ」の安全審査をめぐる行政訴訟で国が敗訴するという事態も生じました。
既に我が国の電力供給の三四%を分担する原子力は、生活、産業を支える根幹であり、地球環境問題やエネルギー安全保障、コストなど、いかなる面において考えても、化石燃料主体のエネルギー体系への回帰は現実的でありません。将来、爆発的な技術革新が期待される燃料電池や太陽光発電など、クリーンなエネルギーの開発はもちろん重要ですが、家庭や地域のエネルギーとはなり得ても、鉄道や道路などの大動脈や産業を支える力は期待できません。
一方、原子力については、核燃料サイクルやプルサーマル計画の推進、高レベル廃棄物の最終処理・処分問題など、解決すべき課題がなお山積しております。民間中心の推進体制が整っても、安全や安心など、社会的規制を通じて国民に対して保障措置を講ずることができるのは国や自治体であり、官から民への例外として、国がより前面に立って推進すべきだと考えます。エネルギー問題の現状に対する総理の認識とあわせて、お考えをお聞きいたします。
次に、社会保障問題について質問いたします。
少子高齢時代を間近に控え、年金、医療、介護等、社会保障制度について、国民が安心し、将来設計をしっかりと立てられるような改革を進めることが急務です。
国民に信頼され、持続可能で安定的な制度にしていくため、給付と負担の見直しを初め、不断の改革を行っていく必要があると考えますが、社会保障制度全体の改革の方向性をどのように考え、また、今後、具体的にどのように進めていくのか、総理にお伺いいたします。
国民の老後生活にかけがえのない役割を果たしている年金制度については、若い世代を中心に、自分が年金を将来もらうまで制度が維持されているのか、不安を感じる人も少なくありません。昨今言われている損得の観点からの次元だけでなく、年金制度の意義や役割について、若い世代の理解を深める努力が必要です。また、国民年金の未納・未加入問題、基礎年金の国庫負担の二分の一への引き上げの対応、女性と年金等、課題は山積しています。
どのような考え方を基本に置いて年金制度改革を進めていくのか、総理のお考えをお伺いします。
ここで、特に少子化対策についてお伺いいたします。
我が国では、少子化が進む中、これまでふえ続けてきた総人口が急速に減り始める人口減少時代が間もなく到来します。予想を超えた少子高齢化により、世界のどの国も体験したことのない規模とスピードで人口が減少するとされており、日本は持続不可能な国になるという指摘さえ聞かれます。こうした事態をどう受けとめ、対応しようとしておられるのか、総理のお考えをお伺いします。
人口の減少を和らげるためといって、国家が個々人の結婚や出産に介入することは、戦前の人口政策の反省からも戒めるべきことであります。ただ、若い世代の中に、本当は子供が欲しい、二人目が欲しいが産めないという声が少なからずあるのに、実際にはあきらめているという状況には問題があると考えます。そうした原因を、長時間、職場に拘束される働き方や、重い子育て費用、保育サービスの不足といった社会環境がもたらしていると言われており、こうした状況は早急に改善していかなければなりません。
子供たちは、社会のあすを担う希望であり、力です。日本を安心して子育てできる国にするため、次世代の育成支援に社会全体で取り組むという次世代育成支援宣言を総理が行い、内閣を挙げて取り組むべきだと考えます。
小泉政権は、待機児童ゼロ作戦をいち早く打ち出し、保育所の定員拡大に取り組んできましたが、保育サービスの需要は高まる一方です。介護保険の創設が、高齢者の介護を支える安心の仕組みとなりました。子育てについても、ゼロ作戦からさらに踏み込み、ばらばらになっている育児支援施策、児童手当、出産育児一時金、保育所への助成、育休手当などを財源も含めて統合し、強力な次世代支援システムとなるよう検討すべきと考えますが、総理のお考えをお伺いいたします。(拍手)
我が国の治安水準の悪化や心の荒廃、モラルの低下は極めて憂慮すべき状態にあり、世界一安全な国、日本の神話は崩れつつあります。
昨年一年間に発生した刑法犯は二百八十五万三千七百三十九件に上り、前年比で四・三%も増加、七年連続で最悪を更新しました。その一方で、二〇〇一年の一般刑法犯の検挙率は一九・八%と過去最低を記録、昨年は二〇・八%とやや持ち直したものの、極めて低い状態で推移し、犯罪の抑止力を失うとともに、国民の体感治安が深刻なまでに悪化したと報じられています。
このような状況はもはや放置は許されず、警察・司法体制の根本的な見直しが迫られていると考えます。凶悪犯罪の大宗を占めるのは、不法入国・滞在外国人によるものであり、犯人の特定が極めて難しく、入出国管理体制や税関業務機能の強化はもちろん、不法入出国を水際で食いとめるための領域警備体制の構築、警察官や入国管理、司法等にかかわる人員の増員、外国語教育の強化など、総合的な対策が何よりも急がれると思いますが、また、このことは観光立国推進の前提条件とも考えられますが、総理のお考えをお聞きします。
一方、外国人犯罪と並んで深刻な問題となっている青少年犯罪増加の背景には、公徳心よりも個人主義を優先した教育のひずみや社会全体のモラルの低下等による心の荒廃が指摘できます。個に優先する公の概念をしっかりと身につけ、健全な思想と国際的な視野を持った青少年の育成は急務であり、政治がしっかりと問題を直視し、逃げることなく、公共の概念や、郷土や国を愛する心、我が国の伝統や文化を学びはぐくむ教育改革に取り組まなければなりません。
今国会には教育基本法改正案の提出が予定されていますが、我々国会議員に課せられた使命は、教育立国の見地に立ち、国民精神のあり方について憲法改正論議同様の徹底討議を行い、これを二十一世紀初頭に生まれた崇高な文化遺産とすることが、未来の国民と国家に責任を果たすことであると確信します。
教育改革、なかんずく教育基本法の改正について、総理の理念、哲学と決意をお聞かせ願いたいと思います。(拍手)
次に、外交・安全保障問題について質問いたします。
世界の安全保障環境は、東西冷戦の終結とその後の米国における九・一一テロ事件から一変し、平和に対する脅威の存在が、国家対国家という構図を超えた国際的なテロ組織に広がっています。大量破壊兵器の開発と拡散のおそれと結びついて、ポスト冷戦構造における新しい脅威が発生したものと認識すべきでしょう。
こうした中で、米国は国際テロ根絶に向けた闘いを継続し、我が国の自衛隊も、テロ対策特措法に基づき、米軍等に対する給油活動や物資輸送などの協力支援活動を行っていますが、残存するアルカーイダによる国際テロの脅威は今も除去されておらず、現在も、多くの国がアフガン周辺に部隊や艦艇等を派遣しています。
さらに、イラクの大量破壊兵器開発疑惑をめぐる状況をめぐって、国際情勢は緊迫度を日増しに高めています。イラクに関しては、総理は、米国に対して、昨年の九月の国連総会演説などで、一貫して、国際協調の枠組みを大事にすべきだと説くなど、日米同盟関係を尊重しつつも、国連決議に基づく行動を行うよう、正しく主張すべきことは主張してこられました。その後、イラクに対する国連による査察が実現したのも、見方によれば、総理の主張に沿った国連決議一四四一号の採択が実現したからであります。
そして、去る一月二十七日、安保理において、ブリクス国連監視検証査察委員会委員長及びエルバラダイ国際原子力機関事務局長より、査察結果の最新の報告が公開で行われましたが、これに対し、米国は、イラクは一連の主要な疑問に答える確固たる情報を全く提供していないと厳しい評価を示しました。
また、翌一月二十八日、米上下両院合同会議において、ブッシュ大統領は、一般教書演説を行い、その中で、イラクは十二年間、国連決議に違反し続け、国連安保理が最後の機会を与えたにもかかわらず、イラクの独裁者は武装解除せず、査察を妨害し、逆に世界を欺いていると指摘しました。その上で、二月五日に安保理の開催を求め、パウエル国務長官がイラクの違反の証拠を明らかにし協議すると述べ、武力行使による大量破壊兵器の根絶を辞さない決意を示唆しています。
いずれにしても、今後も国連機関による査察が継続され、その結果、明白な証拠が出れば、武力行使等、重大な局面の展開が予測されます。
イラクがみずから進んで大量破壊兵器の廃棄を明確にし、その保障措置が講じられない限り、イラクの大量破壊兵器の開発に対し、国際社会が危機感を共有し、国際協調下での対応が望まれます。したがって、米英軍等が武力行使に踏み切るためには新たな国連決議が採択されることが望ましいことは当然ですが、基本的に大事なことは、イラクのもたらす人類社会全体に及ぼす恐るべき脅威の根源を絶つ力は、究極において米国の軍事力しかないということも十分考慮すべきです。
本問題に関する総理の基本的なお考えを、この際、改めてお聞きしたいと存じます。
一方、昨年九月十七日、小泉総理の英断による北朝鮮訪問で、歴史的な日朝首脳会談が実現いたしました。その際、北朝鮮の拉致事件への関与が明らかにされ、金正日国防委員長の正式な謝罪と再発防止が約束されるとともに、五人の拉致被害者が帰国しましたが、死亡されたとされる八人の安否と、さらなる数多くの被害者がいるのではないかとの思いは、国民の心に重くのしかかったままです。
その後、日朝国交正常化交渉は中断しており、再開のめどは立っておりません。拉致問題の全面的な解決こそが国交正常化の前提条件となりますが、局面打開のための一層の外交努力を要望いたします。
また、その後、北朝鮮では、濃縮ウランの開発疑惑から、核兵器の再開発が行われている可能性が表面化し、核施設に対するIAEAの封印撤去や監視要員の国外退去措置、NPT条約脱退表明、核燃料棒の移動など、無謀としか言いようのない瀬戸際外交の矢継ぎ早の展開に、我が国のみならず、国際社会全体が危機感を持ち、危惧の念を強めています。
北朝鮮に対しては、IAEA、国際原子力機関が国連安保理に対応をゆだねるのは確実な情勢となっています。我が国としても、いわゆるP5、国連安保理常任理事国プラス2、日本と韓国の枠組みで対応措置を話し合うことを提案していますが、北朝鮮が現在のような対応を続ける限り、国際社会が経済制裁等の措置をとることは避けられず、北朝鮮は体制の存続そのものが重大な岐路に直面することになります。
いずれにせよ、北朝鮮が核開発を放棄することがすべての前提であり、米国も、それを北朝鮮が受け入れれば対話に応じ、武力攻撃せず、さらには、新たな大胆な支援を行う考えを表明しています。この際、我が国としても、北朝鮮暴走封じ込めの基本的枠組みである米国、日本、韓国三国の連携を一層強化するため、小泉総理がブッシュ大統領や盧武鉉次期大統領との積極的な対話を行い、首脳外交を通じて北朝鮮の国際協調路線への転換を促すべく、我が国の主体的な外交努力の展開を求めます。
その上で、平壌宣言にうたわれたように、日米韓中ロと北朝鮮の六者協議による、朝鮮半島のみならず、北東アジア全体の安全保障の枠組み構築を行っていく努力を行うべきだと考えますが、総理のお考えをお聞きいたします。
総理、私は、こうした予断を許さない国際情勢の中で、昨年、与党が国会に提案した武力攻撃事態対処関連三法案の修正案を一刻も早く国会で成立させるなど、我が国の安全保障体制を盤石に導くことが急務だと考えます。(拍手)
同法案は、与党三党において、党派を超えた国民の幅広い支持が大切だと考え、民主党の意見等も取り入れて修正を行ったものであり、その中で、国民の関心の高い国民保護のための法制についての法案作成に向けた準備作業の加速、また、テロ・不審船対策等について、関係機関の緊密な連携の強化とその対処能力の充実を政府に求めています。
以上、国際テロ根絶への協力の決意、拉致問題解決への対処方針及び北朝鮮情勢についての認識、国交正常化交渉の今後の展開、イラク情勢についての基本認識と我が国の対処方針、武力攻撃事態対処関連三法案への対処など、総理の安全保障に対するお考えをお聞かせください。
また、中国では、昨年、新しい指導者が誕生し、韓国もことし二月には誕生しますが、北朝鮮問題を考えれば、その他の問題も含めまして、一日も早く両国首脳との緊密な関係を構築する必要があると考えます。中国、韓国外交に対する総理のお考えをお聞きします。
終わりに、総理は施政方針演説を通じて、悲観論から新しい挑戦は生まれない、挫折してもくじけず、また立ち上がることが大事、難局に敢然と立ち向かった歴史に学び、勇気と希望を持って新しい日本をつくり上げると訴えられました。私の座右の銘も、「可能性を信じる」という言葉です。国民は、小泉総理が「聖域なき構造改革」に着手した以上、途中で投げ出すことなく最後までやり遂げてほしいと期待しているはずです。
私は、昨年の代表質問で、総理をネバー・ギブアップの言葉で激励いたしました。今回も、再び、ネバー・ギブアップを大声で申し上げますので、ことしこそ、小泉政治の成果が正当に評価されることによって、本年末には流行語大賞をとらせていただきたいと思います。
ネバー・ギブアップ。(拍手)
〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕