小泉純一郎の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 伊藤英成議員にお答えいたします。
 公約についてでございます。
 先日の私の公約に対する発言は不適切なものだったと反省しておりますが、政策を遂行するに当たっては、基本的な方針を堅持しつつ、情勢を見きわめながら大胆かつ柔軟に対応していくことが必要だと思っております。今後も、基本的な方針に沿って改革を進めてまいりたいと思います。
 一昨年、私は、八月十五日に靖国神社への参拝を行う旨、表明しましたが、内外に不安や警戒を抱かせることは私の意に反すると考え、二日前に参拝を済ませました。それ以降も、特定の日の参拝にこだわることはいたしませんが、年に一度、欠かすことなく参拝しておりまして、一連の経緯から、私の真意につきましては、多くの国民から理解を得ているものと考えております。また、今後とも、近隣諸国の理解を得るための努力をしてまいります。
 ペイオフにつきましては、昨秋、不良債権処理をそれまで以上に加速することとし、同時に、金融システムの安定と中小企業金融等金融の円滑化に十分配意することも必要であることから、不良債権問題が終結した後の十七年四月から実施することとしたものであります。これは、不良債権処理の加速化という構造改革を強化するための措置であり、金融仲介機能の回復を図り、より強固な金融システムを構築するという大きな目標は全く変更しておりません。
 国債発行三十兆円につきましては、我が国の財政が厳しさを増す中で、財政の規律を確保し歳出構造を改革するため、平成十四年度の財政運営の目標としたものであります。この目標があったため、平成十四年度予算においては、医療制度改革や特殊法人改革等へ向け、財政支出の一兆円超の削減、公共投資予算の一割削減など、従来にない改革に向けた予算を実現できたところであります。
 他方、財政規律を確保しつつ、経済情勢に応じては大胆かつ柔軟に対応するとの私の考えは、一貫しております。
 十四年度補正予算におきましては、当初予算編成時には想定し得なかった税収の落ち込みへの対応や、現下の経済金融情勢に応じて柔軟に対応する観点からのセーフティーネットの構築などに必要な経費を追加するため、国債の追加発行を行うこととしたところであります。結果として国債発行額が三十兆円を突破したことは残念なことでありますが、この三十兆円の精神は、我が国の財政事情が厳しさを増している中で、財政規律を維持するため大切な役割を果たしてきたものと考えております。
 特殊法人改革についてでございます。
 特殊法人改革は、官から民へ、国から地方への流れのもとで、肥大化した公的部門を抜本的に縮小し、簡素、効率的、透明な政府を実現するために不可欠の改革であります。
 今回の特殊法人改革では、百六十三すべての特殊法人等について、ゼロベースからの事業の徹底した見直しを行い、その結果を踏まえ、組織形態について、主たる事業が廃止されたもの等については廃止、採算性が高く、かつ、国の関与の必要性が乏しいものについては民営化、政策実施主体として存続させるものについては独立行政法人化といった見直しを行うこととしたところであります。
 これにより、従来から指摘されていた経営責任の不明確性や事業運営の非効率性といった特殊法人の弊害を克服し、業務運営の効率性や透明性の高い法人へと見直すこととしております。
 既に、百十八の特殊法人等について法律改正等の必要な措置を講じておりまして、道路四公団についても民営化に向けた検討が行われております。また、こうした改革に伴い、新しく設立される独立行政法人の役員数を、法定数で約四割減、常勤役員数で約二割五分減と、大幅に削減したところであります。
 また、郵政事業につきましても、民間的な経営を取り入れ、質の高いサービスを提供する日本郵政公社が四月から発足することとなり、実質的な民営化の第一歩を踏み出しました。
 このように、改革は着実に成果を上げていると思います。
 ILO勧告についてです。
 今回のILOの勧告は、人事院勧告制度等の我が国の法制度についての理解が十分でなく、また、ILOの過去の見解と整合しないと認められる部分もあると認識しているため、政府としては、我が方の見解について十分な理解が得られるよう、ILOに対し、必要な情報提供等を行うこととしています。
 公務員制度改革については、今後とも、職員団体と誠実に交渉、協議を行いつつ、国家公務員法の改正等の検討を進めていきたいと思います。
 社会保障制度に関するガルブレイス氏の指摘についてでございます。
 社会保障制度が国民生活の安心のために重要であるとのガルブレイス氏の指摘は、そのとおりであると考えております。
 我が国では、急速な少子高齢化が進展しており、将来的に社会保障制度を安定的に運営し、国民の安心を確保していくためには、制度全般について、給付と負担の見直しは不可欠であります。
 昨年の医療制度改革は、このような観点から行ったものであり、診療報酬を引き下げるとともに、保険料負担の上昇をできる限り抑制するため、自己負担を引き上げることとしましたが、低所得者の方へは、高額療養費制度の自己負担限度額を据え置くなどの配慮を行っているところであります。
 なお、政府としては、今後とも、社会保障制度改革に加え、金融、税制、規制、歳出の四本柱の構造改革を一体的かつ整合的に実行し、デフレの克服を目指しながら民間需要主導の持続的な経済成長の実現を目指してまいります。
 ガルブレイス氏の、社会的弱者の痛みを増すことに力を入れているとの御指摘は当たらないと思います。
 医療制度改革の基本方針についてでございます。
 医療保険制度の体系のあり方、新しい高齢者医療制度の創設、診療報酬体系の見直し等の諸課題については、昨年十二月に厚生労働省が公表したたたき台をもとに、各方面の御意見を伺いながら、今年度中に基本方針を策定し、将来にわたり持続可能な制度としていくため、さらなる改革に全力を挙げて取り組んでまいります。
 年金制度改革についてです。
 年金制度が将来にわたって国民から信頼されるものとなるためには、今後、少子高齢化の急速な進行に伴って現役世代の負担が過大なものとならないことにも配慮し、持続的で安定した制度を確立することが重要であります。
 平成十六年に行う次期年金改革に向けては、どのような給付と負担のあり方が望ましいのか、正面から取り上げ、国民的な議論を行い、持続的で安定した年金制度を構築してまいりたいと考えます。
 なお、繰り返し申し上げているとおり、歳出の見直しを含めた徹底した行財政改革を行うことが重要でありまして、社会保険財源などの解決策として安易に消費税に頼ることは、私は考えておりません。消費税議論は封殺いたしませんが、在任中に消費税率を引き上げる考えはありません。
 治安情勢と対策についてでございます。
 近年、凶悪事件が多発し、国民の多くが治安の悪化に不安を抱いており、また、刑務所などの過剰収容も深刻な事態になっております。
 政府としては、警察、入管、刑務所など関係職員の増員や国際化に対応した教育の充実を含め、一層の体制強化に努めるとともに、施設、装備面の充実にも力を入れてまいります。
 さらに、治安の悪化に対する不安の背景に、密入国や不法滞在の外国人による犯罪の多発が見られることから、入管、税関、海上保安庁を含めた、国境における取り締まりに関係する当局の機能を強化するとともに、連携の一層の向上を図り、世界一安全な国の復活を目指していきたいと思います。
 有事関連法案についてでございます。
 継続審査となっている有事関連法案は、さまざまな緊急事態に対応できる態勢づくりを進めるため、ぜひとも必要であると考えております。
 政府としては、今後とも、行政の説明責任を十分に果たすことにより国民の信頼確保に努めるとともに、有事関連法案については、幅広い国民の理解を得て、今国会における成立を期してまいりたいと思います。
 有事法制について、国民保護法制やテロ、武装工作船への対策を並行して進めるべきとの御指摘であります。
 米国の同時多発テロ、北朝鮮当局による武装工作船や拉致事件などは、現実の脅威として国民に大きな不安を与えていると考えます。政府としては、こうしたさまざまな緊急事態に対処できるよう、態勢の整備に一層努めてまいります。
 国民保護法制については、国民の権利義務と深い関係を有することから、地方公共団体や民間機関等の意見を聞き、幅広い御理解を得ながら内容を深めてまいります。
 有事法制における人権の問題についてです。
 武力攻撃事態対処法案では、基本理念として、日本国憲法の保障する国民の自由、権利の尊重を定めています。今後の個別法制の整備においても、この基本理念にのっとり、国民の自由、権利の尊重に最大限配慮するとともに、ジュネーブ諸条約等の国際人道法の的確な実施を確保してまいります。
 日朝平壌宣言についてです。
 日朝平壌宣言は、今後の日朝関係のあり方を規定した重要な文書であり、これに署名したことは、私は正しい判断であったと思います。
 この日朝平壌宣言に基づいて、拉致問題及び核問題等の諸懸案を解決し、地域の平和と安定に資する形で国交正常化を実現するという我が国の基本方針については、北朝鮮側も十分承知しており、引き続き、我が国は、さまざまな機会をとらえ、北朝鮮側に前向きな対応を働きかけていく考えであります。
 北朝鮮の核問題等に関するお尋ねであります。
 核兵器、生物化学兵器の問題を含む北朝鮮に関する安全保障上の問題につきましては、日米韓三カ国の緊密な連携を維持し、その他の関係国や国際機関とも協力しつつ、北朝鮮に対して問題解決のための前向きな対応を引き続き強く求めていく考えであります。
 なお、現時点での北朝鮮とのホットライン開設や特使派遣は、検討しておりません。
 拉致問題解決に向けた今後の方策についてです。
 拉致問題につきましては、御家族を初めとする関係者が納得する形で問題が解決されることが重要であります。政府としては、被害者の方々及び御家族との連絡を引き続き密にし、その御意向も踏まえながら、北朝鮮側に対し、事実解明、被害者御家族の帰国の実現等を引き続き強く求めていく考えであります。
 北朝鮮からの脱出者への対応についてです。
 北朝鮮からの脱出者への対応の問題につきましては、国内のさまざまな議論を踏まえ、関係者の身の安全、人道上の観点等の種々の観点を総合的に勘案しながら、真剣に対処してまいります。
 私の靖国神社参拝と北朝鮮問題との関係についてでございます。
 中国及び韓国に対しては、今回の参拝の趣旨につき、必要に応じ説明し、我が国との友好は今後とも変わりないことを理解してもらいたいと考えております。
 また、北朝鮮問題につきましては、米国や韓国に加え、中国等の近隣諸国と緊密に協力してきているところであります。
 イラク問題をめぐる国際社会の協調体制についてでございます。
 安保理を初め国際社会が協調して毅然たる態度を維持し、イラクが査察に全面的かつ積極的に協力するように求めることが、何よりも重要であります。米国に対しても、先日の電話会談で、私からブッシュ大統領に対しまして、国際協調の維持の重要性を述べたところであります。
 新たな安保理決議については、安保理において議論が行われると承知しておりまして、今後の事態の推移を注視する必要があります。いずれにせよ、我が国は、現在行われている査察の状況、安保理の議論等を踏まえ、イラクが誠実に決議を履行するように、我が国として外交努力を継続してまいります。
 イラクへの特使派遣についてでございます。
 昨年末の特使派遣に際しましては、イラク側より政治的に利用されないような配慮が必要であるという考えから、イラクには派遣しませんでした。しかし、イラクに対しては、先般、川口外務大臣から在京イラク臨時代理大使に対し、改めて我が国の立場を強く申し入れるなど、働きかけを行ってきております。
 イラク問題に関する日本政府の対応についてでございます。
 重要なことは、イラクが査察を単に妨害しないということだけでなく、みずから能動的に疑惑を解消し、大量破壊兵器の廃棄を初めとするすべての関連安保理決議を誠実に履行することであります。我が国としては、このために、さきに述べたような外交努力を継続してまいります。(拍手)
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発言情報

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発言者: 小泉純一郎

speaker_id: 9434

日付: 2003-02-03

院: 衆議院

会議名: 本会議