後藤斎の発言 (本会議)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○後藤斎君 民主党の後藤斎でございます。
 民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました食品安全基本法案について質問いたします。(拍手)
 冒頭、この食品安全は農林水産大臣に大変関係することでありますが、きょう、大臣に対して質疑ができないことを大変遺憾に思っております。
 二〇〇一年九月十日、ちょうど米国の同時多発テロの前日でありますが、日本では、食の安全を脅かす重大な事件が起きました。BSE、いわゆる狂牛病が国内で初めて確認されたことであります。
 BSE問題は、何度となく国会でも議論しましたが、明らかに、行政の不作為で起こったことでございます。政府は、十年以上前からヨーロッパを中心とした各国で相次いで発見されたBSE感染牛の経済・社会的影響を知りながらも、それを無視し、また、国際機関からBSE発生可能性の警告を受けながら、有効な対策をとってまいりませんでした。これは重大な問題であり、食品安全行政に対する危機管理の欠如が露呈したわけです。
 また、BSE発生後の国と県との連携が不十分であったこと、農林水産省と厚生労働省の縦割り行政の弊害から、風評被害も含め、消費者、畜産農家、流通業者に甚大な影響を与えました。
 民主党では、BSE発生直後に、BSE問題対策本部を設置し、酪農家への視察、意見交換、情報収集に努め、風評被害はもとより、あるべき食品安全体制を検討することに着手いたしました。
 私自身も、十月末、一人で、議員としては多分最も早いヨーロッパ視察でありましたが、BSE先進国である英仏独三カ国を三泊五日で回り、各国のBSEへの対応状況及びその後の食の安全行政のあり方について、その経験と実施状況について調査をしてまいりました。
 BSE問題を皮切りに、さらに食の安全に対する信頼を失わせる数々の問題が発生いたしました。新聞紙上では、食品業者からのおわびの広告が並び、コンビニやスーパーで、食品の回収騒ぎが相次ぎました。
 香料を製造する事業者は、無認可添加物を違法と知りながらも販売し、外食産業では、輸入肉まんに無認可添加物が含まれていることを知りながらも販売を続けた業者や、原産地を偽って表示、販売する業者、消費の期限を書きかえて商品販売を行った業者、商品内容を正しく表示しない不正表示問題等々、数えれば切りがございません。昨年、JAS法の改正が行われましたが、単なる罰則強化で終わり、不正を防ぐための監視体制の強化は見送られました。
 輸入農産物の残留農薬の問題も、重大な問題です。中国では、農薬中毒で十万人以上の死者を出し、その実態も把握しないまま漫然と輸入を許可し続けた行政、また、それを隠ぺいしながら輸入した業者。国内消費の六〇%を外国農産物に依存する日本において、輸入食材が十分な検査も受けずに流通する実態を知り、消費者は慄然とさせられました。
 私たちは、食の安全に関する基本理念を明確にし、関係行政機関の見直しを行う必要性から、昨年の九月には、民主党の食品安全基本法案、食品安全委員会設置法案の骨子を取りまとめました。早期に公表を行ったため、今回の政府案も十分に我が案を参考にされたと思いますが、しかしながら、我が党案に比して不十分なところも多々見られます。
 BSE問題で明らかになった日本の食品安全行政にかかわる弱点は三つあると思います。第一に、リスクアセスメントとリスクマネジメントの混同、第二に、農林水産省、厚生労働省の縦割り行政の問題、第三に、飼料を含む六割の輸入食品の安全性についてむとんちゃくであったことにあります。
 これらの問題について、政府は、リスクアセスメントとリスクマネジメントの混同については答えを出した。しかしながら、食品安全行政のもろもろの問題が解消されたとは言いがたい面がございます。
 以下、法案について御質問を申し上げたいと思います。
 法案の第一条の「目的」は、国と地方公共団体及び事業者の責任と消費者の役割、食品の安全性を確保する施策の推進となっております。
 食品は、申し上げるまでもなく、日々、口にするものです。いつ、どこでつくられたか、どのようなものを口にしたかを過去にさかのぼって記憶しておくことは、個人的には不可能です。BSEのように、味やにおいを五感で異常がわからない場合には、国の責任によって安全性の確保を行わざるを得ないのです。そのためにも、本法の目的規定は消費者を軸に据える必要があると考えますが、谷垣担当大臣の見解を求めたいと思います。
 また、国、地方公共団体は、消費者が受けるべき権利を保障するため、本法の六条、七条において、責務規定が設けられました。しかしながら、その具体的内容は明らかにされておりません。昨今明らかになった食品安全に関する諸問題を含め、どのような手法を講じるのか、その手続に当たることを政令ではなく本法に明文化しておく必要があると考えますが、担当大臣の見解を求めます。(拍手)
 一連の食品安全に関する問題の数々は、関係行政機関や事業者の、ある意味では消費者軽視の風潮の中から生まれたものです。特に、安全不安に対する消費の低迷は、消費者心理を理解しない行政や不当業者の怠慢に起因しております。
 我が党の考え方は、食品安全委員会が食品安全に関する基本方針を定めるに当たって、それぞれの段階で公聴会、協議会を公開で行い、消費者の意向を十分に反映させる手段を確保することを提案しております。
 イギリスの食品基準庁は、消費者第一で、透明性を高め、情報公開を前提とする食品安全行政を実施しております。開かれた体制こそが、リスクを正しく認識し、冷静に対応できる消費者を形成する第一歩と考えますが、その点、政府案は不十分であります。担当大臣の見解を求めます。
 また、民主党案は、食の安全に関する年次報告、いわゆる「食の安全白書」を国会に提出することを義務づけ、行政機関としての情報公開を進めるべきとしています。政府にこのような考えはないのでしょうか。担当大臣の見解を求めます。(拍手)
 政府案は、食品安全委員会をいわゆる八条委員会として位置づけております。しかしながら、私たちは、独立した権限を持つ第三条委員会とするべきであると考えます。
 食の安全行政は、公正中立で、科学的知見により評価、判断されなければなりません。にもかかわらず、担当大臣が置かれた内閣府の審議会となれば、政策遂行上のいわゆる調整が行われ、真に食の安全の確保がなされなくなるのではないでしょうか。
 担当大臣として予定されている谷垣大臣は、国家公安委員会、産業再生機構の担当大臣も兼務されています。これらの担当分野は、食の安全と両立し得るのでしょうか。食品安全委員会は、公正取引委員会と同様、独立した位置づけを確保すべきと考えますが、内閣全体を統括する官房長官の見解を求めたいと思います。
 これまで、食品リスク管理を行う農林水産省、厚生労働省は、国民の健康への悪影響について、縄張り意識から関係相互の情報交換を怠り、また、国際的な動向、食品の安全性についての科学的な知見などの十分な研究蓄積をしてまいりませんでした。縦割り行政の体制は、本法案により食品安全委員会を設置しても、変化するとは到底考えられません。
 EUのBSE発生に対するリスクレポートを無視した農林水産省に見られるように、海外の動向を把握しつつも、それを無視することがあれば、何の進歩もないまま、消費者の不満を単に解消する法律づくりに終わってしまうのではないでしょうか。
 食品安全委員会の設置は食の安全確立の第一歩であるというふうには私自身も評価するところでありますが、海外の動向も見据えつつ、日本型食品安全体制の確立を進めていくことが必要と考えますが、担当大臣の見解を求めたいと思います。
 食品安全委員会の適切な業務遂行を保障するためには、人的、資金的に、農林水産省、厚生労働省や事業者からの強い独立性の確保が必要であります。EUと同様な組織と比較しても、事務局体制はイギリスの十分の一、フランスの半分となっています。行政の肥大化を防止するという考え方はわかりますが、必要な組織に人、資金を配置するのは当然であると考えます。内閣全体を把握している官房長官の見解を求めたいと思います。
 また、委員、事務局には事業者と関係のある者は除く、EUの食品安全庁のような、人事や活動の独立性にも十分配慮する制度設計にする必要があると考えますが、谷垣大臣の答弁を求めたいと思います。
 食品の表示について、いわゆるトレーサビリティーの確立が食の安全だけではなく安心をもたらす有効な手段であることは、民主党の骨子においても強調したところであります。安全と安心は別次元のものではありますが、安心のないところでは安全の認識は成り立たないというふうに考えております。
 昨年のJAS法改正時には、抜本改正を要するということがたびたび国会でも指摘されましたが、いつの間にか、うやむやになってしまいました。表示制度の適正な運用の確保だけではなく、それぞれの法律にばらばらに規定されている表示制度そのものの統一的な改革も必要であると考えますが、谷垣大臣の見解を求めたいと思います。
 先ほども指摘しましたように、日本の食料自給率は四〇%であり、口に入れる六〇%の食品は外国産のものであります。しかし、その安全性を確認する手段は極めて貧弱であり、消費者の健康を考えた施策、体制とは言えません。
 食品安全基本法においては、日本の食品供給体制の実情を反映し、輸入食品に対する取り組みについて特に明記すべきと考えますが、担当大臣の見解を求めたいと思います。(拍手)
 最後に、EU、特にドイツにおいて、BSE発生を契機に農業政策そのものを大転換してまいりました。消費者保護を優先させるため、連邦食料農林省を連邦食料保護省に変更させました。また、食料の基礎を安全という質に大転換させました。この基本法が、我が国において、真の二十一世紀型食料行政推進の中心法として、関係機関が十分に連携し、消費者の食の安全に対する信頼回復に貢献し、食品安全行政の改革が大いに前進することを願って、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
    〔国務大臣福田康夫君登壇〕

発言情報

speech_id: 115605254X01420030313_008

発言者: 後藤斎

speaker_id: 14344

日付: 2003-03-13

院: 衆議院

会議名: 本会議