小泉純一郎の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 市田議員にお答えいたします。
暮らしと経済の危機的状況への認識についてでございますが、雇用情勢は厳しく、自殺の増加といった事態については誠に痛ましいことと認識しております。
日本経済は、世界的規模での社会経済変動の中、単なる景気循環ではなく、複合的な構造要因による景気低迷に直面しているものと考えます。また、不良債権や財政赤字などの負の遺産を抱え、世界的な株価低迷の中で戦後経験したことのないデフレ状況が継続しているなど、厳しい内外経済環境が生じていると認識しております。
小泉内閣は、大胆な構造改革を進め、二十一世紀にふさわしい仕組みをつくることによってこそこうした状況を打破し、我が国の再生と発展が可能となるとの認識の下、デフレ克服を目指しながら改革を推進し、経済情勢に応じては大胆かつ柔軟に対応するという一貫した方針で経済運営に当たってまいりました。
今後とも、金融、税制、歳出、規制などの改革の取組を更に加速させ、日銀と一体となってデフレ克服に取り組むことにより、民間需要主導の持続的な経済成長の実現を図り、日本経済を再生させていくことが私に課せられた責務であると考えております。
医療費の患者負担の引上げや社会保障制度改革に伴う負担増の経済に与える影響についてのお尋ねでありますが、今回の改正は、中長期的には医療保険制度の持続可能性を高め、全体として将来の国民負担の増加を抑制するものであり、国民全体にとってプラスになるものと考えています。
また、自己負担の引上げに当たっては患者負担に一定の歯止めが設けられており、特に低所得者については自己負担限度額を据え置くなどの配慮がなされており、必要な医療が抑制されることはないと考えております。
社会保障を賄う財源は、保険料、税金、利用者負担のいずれであっても国民の負担であることに変わりはありません。社会保障制度を将来にわたって持続可能で安定的なものとしていくためには、給付と負担の見直しを始めとする制度改革が不可欠であると考えております。
なお、当面の景気との関係については、個々の負担増のみを取り上げて議論するのではなく、社会保障給付の拡大等のプラスの側面や先行減税の効果なども含め、総合的に考えるべきものと思います。
いずれにしても、政府としては、今後とも、デフレを克服しながら民間需要主導の持続的な経済成長の実現を図っていく考えであります。
税制改革について、大企業・資産家減税を行い、庶民増税を行うものでないかというお尋ねでありますが、そうではございません。
今般の税制改革におきましては、相続税、贈与税の一体化により、相続税が課税されないと見込まれる多くの個人についても住宅取得資金を始めとする生前贈与が行われやすくなること、金融・証券税制の見直しは一般の個人投資家にとり預貯金を中心とした資産運用から株式市場への投資参加がしやすくなること、土地流通税の大幅軽減は土地建物を取得する個人の税負担を軽減することなど、様々の減税措置を講じることとしており、これらの措置は資産家のみならず広く個人を対象とするものであります。
さらに、研究開発・設備投資減税や中小企業税制に係る措置についても、二十一世紀をリードする戦略分野への投資による産業の競争力強化や中小企業の経営基盤の強化を通じて雇用の拡大につながるなど、大企業のみならず、中小企業や個人に広く恩恵を及ぼすものと考えております。
また、個人所得課税、酒税、たばこ税、消費税の免税点制度の見直しは、税負担のゆがみの是正や制度の透明性の向上を図るなど、国民が広く公平に負担を分かち合うとの基本的考え方によるものであります。
このように、それぞれの措置は持続的な経済社会の活性化に資するあるべき税制を構築する観点から一体として行うものであります。
不良債権処理と中小企業金融の問題についてでございますが、不良債権処理の加速は、金融機関の収益力改善や貸出し先企業の経営資源の有効活用などを通じて、新たな成長分野への資金や資源の移動を促すことにつながるものであり、他の分野における構造改革と併せ実施することにより、日本経済の再生に不可欠なものと認識しております。
政府としては、こうした認識に立って、平成十六年度に不良債権問題を終結させることを目指し、金融再生プログラムを策定し、現在、着実に実施しているところであります。
あわせて、不良債権処理の加速に伴う影響にも細心の注意を払い、中小企業への円滑な資金供給を確保するためのセーフティーネット対策を取りまとめ、着実に実施に移しているほか、金融機関に対し中小企業への資金供給の一層の円滑化を繰り返し要請しているところであり、引き続き、やる気と能力のある中小企業への資金供給については万全を期してまいります。
雇用情勢についてのお尋ねでありますが、雇用情勢については引き続き厳しい状況が続いておりますが、政府としては、不良債権処理の加速などに伴う雇用への影響には十分配慮することとし、平成十五年度当初予算及び平成十四年度補正予算において、早期の再就職の支援など雇用のセーフティーネットについて万全を期したところであります。
長時間労働の抑制、解雇ルール及び雇用保険制度の見直しについてでございますが、長時間労働を抑制していくことは重要な課題と認識しており、政府としては、労働基準法の遵守徹底を図るとともに、所定外労働の削減等に重点を置いて、政府目標である年間総実労働時間千八百時間の達成、定着に向けて取り組んでいるところであります。事業所においても、長時間労働を前提としない業務計画及び人員計画を作成するなどの工夫が行われることが重要であると考えております。
解雇ルールについては、労働基準法の改正法案を今国会に提出する予定でありますが、これは解雇をめぐるトラブルの防止、迅速な解決に資するため、最高裁の判例で確立している解雇ルールを法律に明記することなどを内容とするものであります。
雇用保険制度の見直しについては、この制度が失業中の生活の安定と再就職の促進を図ることを目的としていることなどを踏まえ、失業給付の水準について再就職時の賃金との関係を考慮した見直し等を行うものであり、適切な措置であると考えております。
都市基盤整備公団の賃貸住宅での家賃滞納による強制執行についてでございますが、都市基盤整備公団の賃貸住宅において家賃の滞納が生じた場合には、通常、居住者との交渉を継続しながら督促や契約解除の予告等を行い、なお滞納が続くときに訴訟を提起し、その判決を受けて明渡し請求をすることとしております。また、これらの対応に当たっては、必要に応じて公営住宅申込窓口の紹介や福祉事務所との連携を行うなど、機械的な処理にならないよう、個別の生活事情を勘案しているところであります。
歳出の優先順位についてのお尋ねでありますが、歳出改革の一層の推進を図るとの基本的な考えの下、十五年度予算におきましては、活力ある社会、経済の実現に向けて、経済活性化や将来の発展につながる分野に重点的に配分することとしたところであります。
防衛関係費については、災害派遣能力の充実や防衛力の質的な向上等の重要課題にこたえつつ、効率的で節度ある防衛力整備を行うこととし、前年度予算から〇・一%削減し、約五兆円となっております。
公共投資関係費については、公共投資全体の規模について、前年度予算から三%以上削減した約八兆九千億円としつつ、都市の再生や地方の活性化など、雇用、民間需要の拡大に資する分野へ重点配分を行っております。
社会保障予算については、安定的、効率的な社会保障制度を構築する観点から、年金等の物価スライド、雇用保険制度改革等を行うとともに、少子高齢化や厳しい雇用情勢等に対応するための各般の施策を推進することとしており、一般歳出を厳しく抑制する中、その予算規模は約十九兆円で、その伸びはプラス三・九%と大きなものとなっております。
市町村合併についてでございますが、市町村合併は市町村や地域住民が自主的、主体的に取り組むことが重要であります。また、自民党総務部会の中間報告や第二十七次地方制度調査会の西尾私案についても、それぞれの場において議論のたたき台の一つとして活用されるものと期待しております。
特定寄附を受け取っていたのではないかとの報道についてのお尋ねがありました。
私が代表を務める自民党支部に対する寄附についての報道がございますが、この寄附は特定の選挙資金ではなく、一般的な政治活動資金として受け取ったものであると承知しております。これについては、政治資金規正法に沿って適正に処理がなされております。
自民党の企業献金に対する姿勢についてのお尋ねでありますが、自民党長崎県連の浅田前幹事長らが公職選挙法及び刑法違反容疑により逮捕された事件については、現在、当局において捜査中であります。
自民党においても本件について調査を開始したところであり、できるだけ早く調査することが必要であると考えております。自民党としては、今回の事件を重く受け止め、必要な対応につき検討を進めてまいりたいと考えております。
公共事業受注企業からの献金禁止についてのお尋ねがありました。
公共事業受注企業からの献金については、野党各党から改正法案が既に国会に提出されている一方、自民党において現在検討が進められているところであり、一歩でも前進するような措置を講じたいと考えております。
自民党の政党助成金についてのお尋ねと、政党交付金を廃止すべきとの御指摘がありました。
政党が政党活動をするために財政をどのように運営するかについては、それぞれ政党によって違ってくると思います。政党助成金制度は、言わば民主主義のコストというべき政党の政治活動の経費を国民全体が負担するものであり、民主主義の発展に重要な意義を持つと考えております。
いずれにしても、御指摘の点については各党会派において議論していただくべき問題と考えております。
イラクに対する国連査察の継続及びイラク問題の平和的解決についてのお尋ねでありますが、イラクが査察に対して十分に協力していないというのが国際社会の一致した認識であります。
イラク問題の解決のためには、安保理を始め国際社会が協調して毅然たる態度を維持し、イラクが査察に全面的かつ積極的に協力するよう求めることが何より重要であり、我が国としてその外交努力を継続してまいります。
また、アメリカに対しまして、私もブッシュ大統領に対し、米国が構築してきた国際協調を維持することが重要であるということを繰り返し述べております。
イラク問題をめぐる我が国の態度についてのお尋ねでありますが、米国は対イラク軍事行動を決定したとは言っておりません。また、我が国は米国より具体的な支援要請も受けておりません。我が国としては、査察の状況、安保理の議論等、今後の事態の推移を注視して対応を判断してまいります。
イラク攻撃のもたらす被害についてでございますが、重要なことは、イラクが査察を単に妨害しないだけでなく、自ら能動的に疑惑を解消し、大量破壊兵器の廃棄を始めとするすべての関連安保理決議を誠実に履行することです。それが実現できれば平和的解決が達成されることができるわけでありまして、このことが最も望ましいと考えております。(拍手)