泉信也の発言 (本会議)

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○泉信也君 私は、自由民主党・保守新党を代表し、総理が歴史に学び勇気と希望を持って新しい日本をつくり上げようと訴えられた施政方針演説が国民の心を奮い立たせることを期待し、総理にお尋ねいたします。
 日本は、間もなく総人口が減少するという、かつて経験したことのない時代を迎えます。しかも、高齢者世代は、平成三十年には現在の二千二百万人が三千四百万人に増加し、総人口の二七%を超えることになります。地方にあっては、地域社会をつくる人的構成が崩壊し、国土の形成すら危ぶまれる事態も予想されます。我々は、日本の総人口が九千万人程度に減少した時代を想定し、国土の在り方、生活を支えるしなやかな仕組みなどを構想すべきときに至っていると認識しなければなりません。
 小泉内閣は、今日まで改革を旗印に、旧弊を打破し、新たな社会の創造に取り組んでまいりました。国民は、総理が言われる、改革には時間が必要であることもよく承知し、推移を見守り、じっと耐えています。真の活力は、人も企業も、そして社会も、改革という命題を乗り切る努力の中にしか再生されないことを知っています。
 それでも国民は不安の中に新年を迎えました。ちょうだいした年賀状にしたためられた短い言葉の中に深い思いが込められています。それは、経済の先行きに対する厳しい見通しと同時に、将来に夢を描き切れないからであります。総理は、日本の将来をいかに構想し、今日の国民の不安をどう受け止め、対処しようとしておられるのでしょうか。
 今日のように、国民が笑顔を忘れ、社会が夢や自信をなくしているとき、政治に求められるものは、国民のだれにも分かる明示的な転換のシグナルを送ることだと思います。
 その一つは、憲法を変えるという意思表示であります。
 新しい憲法の制定は、国民に戦後の終わりを改めて認識させ、新しい時代への歩みが始まったことを実感させるに違いありません。改正すべき内容については衆参両院の憲法調査会の議論を待つといたしましても、憲法九十六条に規定する国民投票にかかわる法律の制定など、憲法改正への姿勢を明確にすることは可能だと考えます。総理の憲法改正についての認識及び必要な法整備についてのお考えをお伺いいたします。
 また、憲法と同じく、戦後今日まで指一本触れることがなかった教育基本法の改正も、国民に新たな時代の到来を知らしめるでありましょう。教育基本法の改正は、次の世代を背負う子供たちをどうはぐくむかということであり、二十一世紀の日本の国家戦略に基づくものでなければなりません。総理は教育基本法の改正にしっかりと取り組むと表明されましたが、改正に際し、銘記すべき基本的理念は何だとお考えでしょうか。また、総理は、この国会に教育基本法の改正案を提出し、成立させる、させたいという不退転の決意をお持ちでしょうか。
 さらに、老後の不安という国民の身近な問題に安心と笑顔が戻るシグナルを送らなければなりません。総理も、国民が安心して将来を設計できる社会を構築すると述べておられます。しかし、厳しい十五年度の福祉関係予算に国民は身構えています。しかも、この厳しさは来年度だけの特異な現象でないことを国民は察知しています。人間としての尊厳を持って人生を送れるよう、仕組みの再構築を明らかにすべきであります。
 我々保守新党は、基本政策の一つに、基礎年金、高齢者医療、介護の福祉の基礎的三分野は安定した財源である消費税を主体に賄う仕組みに改めることを掲げています。消費税の福祉目的税化は、所得の多寡にかかわりなく、国民一人一人がともに老後の社会を支えるという考え方に立つものであります。過半の国民はこれら福祉に充当する消費税の税率アップに相応の理解を示しています。
 総理は、在任中は消費税は引き上げないと再三答弁しておられます。しかし、これでは国民の老後の不安を取り除く処方せんを描くことはできません。景気の状況を見極めなければなりませんし、歳出の削減合理化が先決だとするのも理解できます。とは申せ、どの程度の歳出の見直し、削減が実現すれば次のステップへ進むのか、総理はその具体的な目安、プログラムを明らかにする必要があります。その上で、福祉三分野と消費税の在り方、消費税率の考え方についてのお考えをお伺いいたします。
 次に、北朝鮮問題を始めとする外交、平和構築の問題についてお尋ねいたします。
 拉致問題が膠着状態になっていますことは誠に残念なことであります。この問題に対し、我が国は、万景峰号など北朝鮮船籍船の入港禁止、送金制限などの新たな措置が必要だと考えます。拉致問題について総理はいかなる取組を指示しておられるのでしょうか。
 また、北朝鮮の核問題は、北朝鮮が核拡散防止条約からの離脱を表明するなど、前途が憂慮されます。この問題が平和裏に決着するか、それとも悲劇的結末を迎えるかは予断を許しません。日本有事に対する法律の未整備、体制の不備が危惧されます。仮に北朝鮮が暴発した場合、生物化学兵器、核物質兵器などの我が国への持込みを排除し、国民を守る日本の体制に懸念はないのでしょうか。総理の御認識を伺います。
 北朝鮮に限らず、イラク問題などの世界に緊張した課題が山積する中、政府の集団的自衛権に関する見解は、国際社会における日本の平和貢献に大きな制約を課しています。PKO活動の任務に就く自衛隊員の命を守るため、政治はどれほどのことをなしてきたのでしょうか。事あるごとに新たな法律をつくり、当面の責務を果たすやり方では、世界の国々と安定した強固な信頼関係を築くことなどできません。
 政府は、集団的自衛権は有しているが、その行使は憲法上許されないとしています。昭和三十五年の安保条約改定のころにほぼ固まったこの政府見解を、世界が大きく変化している今、いつまでこれに固執するのでしょうか。政府見解の論拠を憲法との関連から平易に、簡明に御説明ください。
 また、政府の言う、その行使は我が国防衛の必要最小限度の範囲を超えるとは、具体的に何を言い、範囲を超えるか否かの判断は法律論なのでしょうか、それとも政策論なのでしょうか。
 北朝鮮との間に緊張感が高まり、米国などが行動を起こした場合、日本は傍観者的な立場でいることは許されません。また、ミサイル防衛構想の開発、配備などの今後についても、集団的自衛権の現行解釈が大きな足かせであると言われます。集団的自衛権に関し、小泉内閣の閣僚の中にも行使できるという見解をお持ちの方があるやに伺っています。しかし、そのことが、小泉内閣の統一見解に至っていない、政府見解を変えるに至っていないことは誠に遺憾なことであります。政策論として集団的自衛権の行使を認めるべき時代だと思いますが、総理の見解をお伺いいたします。
 平和への思いは人類に共通した願いであります。そして、平和への最も確かな道は、民族、宗教、言語、歴史、地域などを超え、お互いを知り、学び、相互のきずなを強めることであります。それは、人と人との交流、すなわち観光であります。観光は平和へのパスポートと言われるゆえんはここにあると思います。
 総理は、先月末、観光の振興を図るため観光立国懇談会を設置されました。保守新党は、さきに観光立国推進宣言を世に問うたことからも、このことを高く評価しています。日本人の人生観、生き方など、価値観の変化は観光に対する認識をも新たにしています。歴史や文化への驚き、一木一草へのいとおしみ、住む人々のもてなしの心など、より良い地域づくりが魅力ある観光の対象になってまいりました。世界の人々もまた、ここに成熟した日本の姿を見、日本人の物の考え方を知り、日本をお訪ねくださるものと思います。また、観光を産業としてとらえ、国の内外からの観光客を増やし、雇用の創出、地域経済の起爆剤とすることも大切な視点であります。
 総理は観光をどのように位置付け、具体的な施策を進めようとしておられるのか、お考えをお聞かせください。
 国の行く末を占う上に、政治家の責任は誠に重たいものであります。政策や政治家の判断が国の運命を左右した歴史的事実は枚挙にいとまがありません。政策には、その効果の発現までに比較的懐妊期間の長いものもあります。判断ミスが直ちに国民の目の前に現れるとは限りません。しかし、過去の政策や判断が時を経て国家国民に重大な影響を与えた事例を我々は知っています。サンフランシスコ平和条約の締結に際し、単独講和か全面講和かの吉田総理の判断、さらに安保条約改定の是非を問われた岸総理の決断などであります。
 歴史に、同時に二つの道を選択させ、その結果を語らせることはできません。しかし、少なくとも、その後の日本の国情は、全面講和、安保破棄の道が誤りであったことを証明しています。日本を混乱させ、世界の信頼を損ねた一部の政治家の責任は重大であります。政治家は、単に次の選挙で議席を得たからとて、すべて信任されたということにはならないと思います。
 日本の進路に慎重かつ大胆な決断が求められます今、総理は、政治家の責任についていかなる認識の下、政治の大局に臨んでおられるのかお伺いし、質問の最後といたします。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 115615254X00620030205_023

発言者: 泉信也

speaker_id: 919

日付: 2003-02-05

院: 参議院

会議名: 本会議