小泉純一郎の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 泉議員にお答えいたします。
 日本の将来ビジョンについてでございますが、小泉内閣は、構造改革を進め、二十一世紀にふさわしい仕組みをつくることによってこそ我が国の再生と発展が可能になるという認識の下に、現在、あらゆる改革に取り組んでおります。特に、デフレ克服を目指しながら、経済情勢に応じては大胆かつ柔軟に対応するとの方針ではございますが、基本的な、構造改革なくして成長なし、この基本路線は全く変更ございません。
 この改革が目指すのは、簡素で効率的な質の高い政府の下に、自助と自律の精神で、国民一人一人や企業、地域が持っている潜在力を自由に発揮できる、活力ある民間と個性ある地方が中心となった豊かな社会の実現であります。
 今後とも、この改革のためには時間が必要でありますが、この成果が明確に現れるまでにできるだけ多くの改革が実現できるように懸命に頑張っていきたいと思います。我が国には、高い技術力、豊富な個人資産、社会の安定など、経済発展を支える基盤は健在です。今後とも、悲観主義に陥ることなく、この改革を推進して、今眠っているもろもろの力、これを顕在化させ、自信と希望に満ちた活力ある経済社会の実現に全力を挙げて取り組んでまいります。
 憲法改正についてのお尋ねでございますが、どのような形で憲法が改正されるにせよ、基本理念である民主主義、平和主義及び基本的人権の尊重はこれまで一貫して国民から広く支持されてきたものであり、将来においてもこれを堅持すべきものと考えております。
 一方、憲法第九十六条は憲法の改正手続を規定しており、憲法が永久不変のものとは考えておりません。国の基本法である憲法の改正は、世論の成熟を見定めるなど慎重な配慮を要する問題であると考えております。
 憲法改正に関する手続につき必要な法整備を行うべきではないかということにつきましては、今後、憲法に関する議論の中で取り上げられる問題であると考えておりまして、十分見守ってまいりたいと思います。
 教育基本法についてでございますが、戦後半世紀を経て社会状況が大きく変化し、教育全般について様々な問題が生じております。この教育の根本にさかのぼった議論は大いに歓迎しますが、今後とも、教育基本法についての改革論が盛んに国会の中でも国民の中でも取り上げられることを見極めながら、いかなる教育基本法改正が必要かということを十分考えなきゃならないと思っております。
 根本を定めております教育基本法については、現在、中央教育審議会において審議されているところであり、その中間報告では、これからの教育において重要な基本理念として、個性や能力の伸長、公共の精神、伝統や文化の尊重、郷土や国を愛する心、国際社会への貢献などが指摘されているところであります。
 政府としては、今後取りまとめられる同審議会の答申を踏まえ、幅広く国民的な議論を深めながら、その見直しにしっかりと取り組んでまいります。御指摘の教育基本法の改正については、答申を踏まえ、与党とも十分相談しながら検討してまいります。
 社会保障と消費税についてでございますが、私の在任中、消費税を引き上げる考えはございません。まずは、歳出の見直し、徹底した行財政改革を進めていくことが先決だと思っております。ただし、消費税に限らず、所得、消費、資産という税制全般にわたる議論は大いに行ってもらいたいと考えております。
 社会保障制度については、安定的な、将来にわたって持続可能なものとして再構築していくため、年金、医療、介護などの分野において給付と負担の見直しを始めとする不断の改革を行い、国民生活の安定と将来に対する安心を確保してまいらなきゃいけないと思っております。
 その際、これらの制度を賄う財源については、社会保険方式を基本としつつ、保険料、税金、利用者負担の適切な組合せによるべきものと考えております。
 拉致問題解決に向けた今後の方策についてでございますが、拉致問題については、政府としては、被害者の方々及び御家族の連絡を引き続き密にし、その意向も踏まえながら、北朝鮮側に対し、事実解明、被害者御家族の帰国の実現等を強く求めていく考えでございます。
 御指摘のような北朝鮮に対する措置を含め、今後の対応については、関連国内法を踏まえ、諸般の事情を勘案しつつ検討していく考えであります。
 有事についてでございますが、継続審査となっている有事関連法案は様々な緊急事態に対応できる態勢づくりを進めるため必要であり、国民の幅広い理解を得て、今国会における成立を期してまいります。
 いずれにせよ、政府としては、国民の生命、財産を守るため、様々な観点から絶えず検討を重ね、いかなる事態にも対処できるよう最善を尽くしてまいります。
 集団的自衛権についてでございますが、憲法第九条は、戦争、武力の行使等を放棄し、戦力を保持しない旨定めていますが、政府は、自衛権の発動として自らの国を防衛するために必要最小限度の実力を行使することは同条の下においても許されると解釈してきたところであります。
 お尋ねの集団的自衛権とは、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず実力をもって阻止する権利と解されており、我が国がこのような集団的自衛権を行使することは、憲法第九条の下で許容されている必要最小限度の実力行使の範囲を超え、許されないと考えております。
 集団的自衛権を認めるべき時代ではないかという御指摘でありますが、将来に向かって政策論の議論をすることは結構でございますが、集団的自衛権に関し小泉内閣の見解を変えることは考えておりません。
 観光についてでございますが、観光産業は二十一世紀において極めて大事な、また国民にとっても大いに関心のある魅力的な産業だと私は位置付けております。
 特に、訪日外国人旅行者の増加は、国際相互理解の増進のほか、我が国における豊かな自然、歴史、文化等の観光資源を生かした旅行消費の拡大、関連産業の振興や雇用の拡大による経済の活性化といった効果が我が国にももたらされるものと考えております。このような観点から、現在約五百万人にとどまっている訪日外国人旅行者数を二〇一〇年に一千万人に倍増させることを目標として、観光立国懇談会を立ち上げたところでございます。
 五百万人、日本の方々が外国に旅行していたころ、一千万人、外国に旅行しようという目標は既に達して、今年、一年で既に千六百万人を超える日本人が外国に旅行しております。そういうことから考えて、五百万人を一千万人、外国人旅行者を招こうというこの目標は実現可能だと思っております。
 また、戦略的に外国人旅行者の訪日を促進するビジット・ジャパン・キャンペーンの実施を図るなど、観光の振興に政府を挙げて取り組んでまいります。
 政治家の責任についてでございますが、政治家の活動というのは常に国民から信頼されるものでなくてはならないと思っております。
 総理大臣の職責は誠に重いものでありまして、毎日緊張と重圧の中におることに変わりはございません。これからも毎日が有事の思いで、全力を尽くしてこの職責を全うしたいと思います。(拍手)
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発言情報

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発言者: 小泉純一郎

speaker_id: 9434

日付: 2003-02-05

院: 参議院

会議名: 本会議