小泉純一郎の発言 (本会議)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 大脇議員にお答えいたします。
これまでの政府の経済政策の効果についてでございますが、私が就任以来、いろいろ経済的な指標が悪いと御批判をいただいているのは承知しております。しかしながら、金融、税制、歳出、規制などの構造改革を進める以外に持続的な経済再生はあり得ないと思っております。そういう考えの下に、経済情勢に応じては大胆かつ柔軟に対応するという一貫した方針でこれからも経済運営に当たってまいりたいと思います。
効果ということでありますが、今まで私が政権を担当して以来、もう常に危機危機と言われてきました。しかしながら、実際こういう不安定な中でも危機は起こさせない、適切に私は対処してきたものと思っております。そういう意味におきまして、これからも金融危機は起こさせない、そして少しでも民間需要主導の経済成長が実現できるような改革をしていきたい。
また、国内総生産の実質成長率は、十四年度全体としては当初見通しの〇%を上回り〇・九%程度となることが見込まれているところであります。都市再生や構造改革特区など、地方や民間の意欲を生かした経済活性化に向けた取組も既に目に見える形で動き始めております。今後とも、デフレ克服に向け、日銀と一体となって総合的にいろいろな対策を打っていきたいと思っております。
平等社会の実現に向けてでございますが、私は、努力してもしなくても結果は同じだというのは真の平等だとは思っておりません。結果の平等から、機会の平等を重んじよう、そのことが私はこれからの日本の社会を考えますと大事である。一言で言えば、努力が報われ再挑戦ができる社会、この実現を目指していきたいと思っております。
そういう社会の中で、社会保障制度というのは極めて重要であります。国民が安んじて将来を設計できる環境が整備された下で、個々人の多様な挑戦が可能となる、多様な機会が提供されている、活力ある豊かな社会の実現につなげていかなきゃならない、これが平等社会の実現への道筋でなければならないと思っております。
減税の効果、増税の時期についてでございますが、今回の税制改革については、相続税、贈与税の一体化により相続税が課税されないと見込まれる個人についても住宅取得資金を始めとする生前贈与が行われやすくなること、金融・証券税制の見直しにより一般の個人投資家にとり預貯金を中心とした資産運用から株式市場への投資参加がしやすくなること、土地流通税の大幅軽減は土地建物を取得する個人の税負担が軽減されることを通じ土地の有効利用の促進に資すること、研究開発・設備投資減税や中小企業税制に係る措置は産業の競争力強化や中小企業の経営基盤の強化を通じて雇用の拡大につながるなど、持続的な経済社会の活性化に資する効果が見込まれると思います。
また、この税制改革の効果については、これまでも経済財政白書等において様々な形で試算を行うとともに、経済見通しについてもこうした税制改革の効果を踏まえた上で作成してきているところであります。
今般の税制改革は、現下の経済情勢を踏まえつつ、国、地方を合わせて一兆八千億円程度の減税を先行させるとともに、多年度では税収中立となりますが、具体的には、増収措置として、平成十五年度から酒税、たばこ税の見直し、平成十六年度から配偶者特別控除の廃止、消費税の免税点制度等の改革を行うこととしております。
労働行政についてでございますが、我が国の経済社会を活力あるものとして維持発展させていくためには、パートタイム労働、派遣労働などを含め、多様な働き方を可能とする労働環境の整備を進めるとともに、安心して働ける環境づくりが重要な課題であると認識しております。このような豊かでゆとりある国民生活を実現するためにも、働く時間を短くし、国民がバランスの取れた生活ができる社会を実現していくことが重要であり、労働関係法令等に基づき適切な労働条件の確保等に努めるとともに、法制度につき必要な見直しを行っていくこととしております。
解雇ルールや労働契約については、解雇ルールの明記、有期労働契約の期間の上限延長等を内容とする労働基準法の改正法案を今国会に提出する予定でありますが、これは、労働者が多様な働き方を選択できる環境を整備し、働き方に応じた適正な労働条件を確保する観点から行うものであります。
また、物の製造の業務への派遣解禁や派遣期間の延長等を内容とする労働者派遣法の改正法案を今国会に提出する予定でありますが、これは企業が求める臨時的、一時的な労働力需要に的確に対応するとともに、派遣労働者の様々な要望にこたえ、直接雇用を促進する内容も盛り込むこととしております。
ワークシェアリングについては、昨年末、政労使合意が取りまとめられ、その中で政労使がそれぞれ着実な具体化を進めていくことに合意しており、今後は現実にその導入が進んでいくことが重要と考えております。
今後のパートタイム労働対策については、パートタイム労働者と通常の労働者との処遇の均衡の問題も含め、現在、厚生労働省の審議会において議論が行われているところであり、その結果を踏まえ対応してまいります。
いわゆるサービス残業の解消や、過労死を始めとする過重労働による健康障害の防止を図るために、労働時間管理の適正化、時間外労働の削減、労働者の健康管理に係る措置の徹底等に努めてまいります。
社会保障の給付と負担の在り方についてでございますが、急速な少子高齢化が進む我が国にあって、この社会保障制度を将来にわたって持続可能で安定的なものとしていく観点から、世代間の公平性の確保にも配慮しつつ、給付と負担の見直しを始めとする不断の改革を行ってまいります。
なお、現役世代の負担する保険料が過大なものとならないようにするためにも、少子化対策を推進するとともに、規制改革を進めるなど、成長の見込まれる分野などにおいて新たな雇用機会の創出を図っていくことも重要と考えております。
消費税は年金生活者などにとって厳しい税ではないかとのお尋ねがあります。
消費税は消費一般に広く公平に負担を求める税であることから、少子高齢化社会において、世代間の公平確保、安定的な歳入構造の確保といった点で優れている点も多々あると思います。中長期的にはその役割は重要になっていくものと考えます。
なお、私の在任中は消費税率の引上げを行う考えはございません。議員の御懸念が税制の所得再分配機能の低下にあるとすれば、それは所得税等を含めた税制全体、さらには社会保障制度等の歳出を含めた財政全体で判断すべき問題であると考えております。
教育基本法についてでございますが、戦後半世紀を経て社会状況が大きく変化し、教育全般について様々な問題が生じております。こういう教育問題について根本にさかのぼった改革が求められていると認識しておりますが、現在、中央教育審議会において、個人の尊厳、真理と平和、人格の完成など、現行法の普遍的な理念は大切にしながら、新しい時代にふさわしい教育基本法の在り方について御審議いただいているところであります。政府としては、中央教育審議会の答申を踏まえ、国民的な議論を深めながら、教育基本法の見直しにしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
なお、次の世代を担う子供たちが、人権尊重の意識を高めるとともに、国際社会に主体的に生きる日本人としての資質を養うため、我が国及び世界の歴史に対する理解を深め、世界平和の必要性や平和と人類の福祉等に寄与する我が国の役割を理解することは大変重要であると認識しております。政府としては、このような教育の一層の充実に努めてまいります。
私の靖国神社参拝についてでございますが、先般、私が靖国神社に参拝したのは、心ならずも国のために命をささげなければならなかった多くの戦没者に対する敬意と感謝をささげたい、哀悼の誠をささげたいという気持ちと、二度と戦争を起こしてはならない、現在の平和もこういう尊い命を犠牲にしなければならなかった方たちの上に今の平和があるんだということをかみしめながら、政治家として二度と戦争を起こしてはならないという不戦の誓いを新たにするものであります。中国、韓国との友好関係を図る考えに今後も変わりないことを中国、韓国にも理解していただきたいと思っております。
イラク問題の平和的解決についてでございますが、イラク問題の解決のためには、安保理を始め国際社会が協調して毅然たる態度を維持し、イラクが査察に全面的かつ積極的に協力するよう求めることが重要であり、我が国としての外交努力を継続してまいります。
イラク問題をめぐる我が国に対する要請についてでございますが、米国とはあらゆるレベルにおいて率直な対話を行っており、イラクが関連安保理決議を履行することを確保するため、国際的連帯の下、日米両国が緊密に連携していくことを確認してきています。しかし、米国は対イラク軍事行動を決定したとは言っておりません。また、米国より具体的な支援要請を日本は受けておりません。
北朝鮮の核問題に関するお尋ねですが、北朝鮮の核開発問題は、国際的な平和と安定、核不拡散体制の問題であるとともに、我が国自身にとっても重大な懸念であります。我が国としては、米国、韓国に加え、ロシア、中国など関係諸国と緊密に連携、協議しつつ、平和的解決を図っていきたいと思っております。
日朝国交正常化交渉についてでございますが、拉致問題や核問題への対応をめぐり、現在、日朝間では国交正常化交渉を直ちに再開する状況にはありませんが、政府としては、日朝平壌宣言に基づいて諸懸案を解決し、地域の平和と安定に資する形で国交正常化を実現するという基本方針に変わりなく、北朝鮮に対し、問題の解決に向け前向きに対応するよう引き続き働き掛けていく考えであります。
拉致問題及び北朝鮮からの脱出者への対応でございますが、拉致問題については、御家族を始めとする関係者が納得する形で問題が解決されることが重要であります。政府としては、被害者の方々及び御家族との連絡を引き続き密にし、その意向も踏まえながら、北朝鮮側に対し、事実解明、被害者御家族の帰国の実現等を引き続き強く求めていく考えであります。
また、北朝鮮からの脱出者への対応の問題については、国内の様々な議論を踏まえ、関係者の身の安全、人道上の観点等の種々の観点を総合的に勘案しながら対処していく考えであります。
韓国の北朝鮮に対する太陽政策についてでございますが、政府としては韓国政府の太陽政策を支持しており、日朝平壌宣言に基づき北朝鮮との関係に取り組む中で、引き続き韓国及び米国と緊密に連携していく考えであります。
有事関連法案についてでございますが、継続審査となっている有事関連法案は、憲法の範囲内で様々な緊急事態に対応できる態勢づくりを進め、国民の安全を確保するため是非とも必要であると考えております。政府としては、幅広い国民の理解を得て、今国会における有事関連法案の成立を期してまいります。(拍手)