山下栄一の発言 (本会議)

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○山下栄一君 私は、ただいまの平成十三年度決算報告につきまして、公明党を代表し、質問をさせていただきます。
 従来より、決算重視の参議院と言われ、予算審議の衆議院優越に対し、参議院は決算審査を通し独自性を目指してきました。しかし、現実は、国会開会中は法案や予算の審査に追われ、決算は後回しになり、閉会中に審査を行ったり、二年分をまとめて審査を行うとか、一つの年度の決算を四年掛かりで審査した例など、決算軽視ともいうべき、憂うべき事態になっておりました。国民の税金がどう使われたか、行政を監視することが立法府の使命の柱の一つと考えたとき、決算重視の参議院の復権は待ったなしの課題でありました。
 従来より、公明党は決算審査の重要性を訴えてまいりましたが、このたび、参議院改革協議会の提案により、全会派の総意で決算審査の抜本改革が実現しようとしていることは画期的なことであります。参議院の決算審査のスタートの本会議が小泉総理以下全大臣出席の下に本日こうして行われていることは感無量であります。
 総理は、今回の参議院における決算審査の改革についてどのように評価されるか、また、昨年八月の閣僚懇談会で決算報告書の活用を全閣僚に指示されたとのことですけれども、その趣旨及び具体的な活用策についてまずお伺いします。
 我が国の行政を外部から監査する会計検査院は、憲法第九十条によって、国会、内閣、最高裁判所のいずれからも独立した第四の憲法機関ともいうべき地位を与えられております。しかしながら、一方で、検査院の予算、検査官人事、職員採用方式など、どれを見ても内閣の影響なしとしないのが実情であります。総理が目指す質の高い小さな政府を実現するためにも、会計検査院の抜本的な充実強化が必要であると考えます。
 検査院の自己改革が求められるところでございますけれども、例えば三名の検査官は官僚出身者からは登用しない、職員採用については一般の行政職員とは別の採用試験とする、さらに、人事交流は公正取引委員会、人事院など内閣から距離を置いた組織に限定するなどが考えられますけれども、総理は、会計検査院が憲法によって与えられ、さらに検査院法第一条に、内閣に対し独立した地位を有すると規定された理念についてどのように認識しておられるか。さらに、会計検査院がより独立性を明確にして任務が遂行できるような環境整備を内閣としてサポートするべきと考えますけれども、総理の所見を伺います。
 さて、平成十三年、政策評価・行政評価法が制定され、本年度より実施されております。現在、各省庁から最初の政策評価書が総務省に提出され、審査が進められているところであります。一方で、既に検査院の報告書の中でも、事業の有効性、経済性に着目した指摘や問題提起がなされております。
 例えば、十三年度の報告の中では、平成十二年度から始まった農林水産省の中山間地域等直接支払制度は、理念としては大事な施策ですけれども、実施率が低く資金が約百十億円滞留している事態、また原子力発電施設等の立地を促進するための対策交付金に毎年多額の不用額が生じ一千七百億円を超える剰余金が発生している事態、さらに厚生労働省関係では、介護保険制度の導入前に市町村が国庫負担金の交付を受けて特別養護老人ホームに交付した措置費が特別積立預金として使用予定がないまま約一千三百億円滞留している事態などは、いずれも何らかの政策転換を迫られているものと理解すべきです。しかし、残念ながら、こうした指摘は、関係省庁から総務省に提出された政策評価書には具体的な改善策に触れられておりません。
 行政改革の成否のかぎを握るのが政策評価制度であります。現在進められている最初の政策評価、確かにスタートしたばかりですけれども、後年度の政策や予算に何ら反映されない形骸化されたものとなってしまっては、行政改革の魂が抜かれてしまうと危惧するものであります。
 したがって、政策評価を実り多きものとするために、各省庁が行う政策評価は会計検査院の指摘を最大限生かしていくのが当然であると考えますが、総理、いかがでしょうか。
 また、平成十三年度の報告の中で、会計検査院が初めて国の機関の内部監査体制について検査し、注目すべき問題提起を行っております。それによりますと、各省庁の会計監査体制の中で独立した監査機構を置いているのはわずかで、行政機関の内部監査は監査対象である予算担当課内の組織又は職員が担っているという、全く公正性に欠ける事態が明らかになっております。
 公正、厳正なる内部監査を担保するためには、例えば全省庁に大臣直轄の部局として予算担当から独立した専担組織を設置するとともに、会計監査の専門職員を育成し、その職員の全省庁横断的な人事交流による公正な監査体制を確立するなど、体制を抜本的に見直すべきと考えます。
 内閣においても、総務省の若松副大臣を座長とするリスクマネジメント・プロジェクトで内部監査体制の見直し、強化について検討が始まっておりますけれども、内部監査体制の強化について総理の見解を求めます。
 次に、不適切又は法令に反した支出等に関する責任追及の在り方について伺います。
 今回の検査院の指摘の中で、財務省の全国複数の財務局等において、普通財産の貸付けに当たり債権管理事務が適切に行われなかったために、国が回収すべき債権約一億一千八百万円が取立てできない事態となったとあります。分かりやすく言えば、財務省の怠慢によって国、すなわち国民が一億一千八百万円の損害を被ったことになります。国民が被った損害賠償責任を所管庁の責任者たる財務大臣が負うべき事態であるのに、処置済み扱いとなり、責任を不問に付す状態になっております。総理、財務大臣、この責任問題をいかがお考えでしょうか。
 また、世間を騒がせた外務省のいわゆるプール金問題では、一昨年十一月、外務省が国民の信頼回復を懸けて徹底的に調査し公表したプール金約二億円が、一年後の昨年十一月、検査院の検査によってあっさりとその二倍以上の四億五千万円に訂正されました。
 そのこと自体、外務省の体質に憤りを感じざるを得ませんけれども、更に問題なのはその中身であります。既に、平成十三年度にプール金を私的流用したとして国家公務員法上の懲戒処分を受けた当事者十名のうち、金額が三十五万円から十八万円と比較的少ない者は停職又は減給にとどまっております。人事院の懲戒処分指針によると、公金又は官物を横領した職員は免職とするとされており、金額の多少にかかわらず、最も厳しい懲戒処分が求められているところであります。
 さらに、問題は、公金を私的に流用することを刑事罰としての公金横領の扱いとしていないことであります。四百十一万円を私的流用したとして懲戒免職となった外務省職員A氏は、検査院の指摘分を合わせ、合計で五百七十万円余の横領だったことが明らかになりました。しかし、刑事罰はありません。一方、総務省に関する指摘の中では、ほぼ同額の横領で懲役一年六か月の刑罰を受けております。プール金問題で公金横領した職員十名に対し、なぜ外務省は刑事告発をされないのでしょうか。
 このように、不正を働いた職員や不適切な措置を行って国に損害を与え、国民の行政不信を増大させた官庁や職員、その上司に対する責任追及の在り方が極めて不明瞭であり不徹底であることが公務員の不祥事や税金の無駄遣いが減らぬ原因であり、むしろ再発を助長していると言っても過言ではないと思います。
 私は、その意味からも、会計検査院が指摘した事項については、不当事項に限らず、処置済事項についても、各省庁において関係法令に照らし内容を精査し、処分すべきは厳正に処分する、また、検査院と人事院にその内容を報告させる義務がないことを改めると同時に、処分の妥当性をチェックする体制をつくるべきと考えますが、総理の率直な見解をいただきたいと思います。
 最後に、総理、小泉改革が本物かどうか、今が正念場であります。予算の無駄遣いを検証し、国民の行政への信頼を回復するために、参議院は何としても決算審査をよみがえらせたい。総理の強いリーダーシップの下、内閣の全面協力を念願して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 115615254X00820030221_012

発言者: 山下栄一

speaker_id: 16465

日付: 2003-02-21

院: 参議院

会議名: 本会議