高野博師の発言 (本会議)

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○高野博師君 私は、公明党を代表して、イラク問題に関して総理に質問いたします。
 今般、国連安保理において新決議案が取り下げられ、アメリカ等が対イラク武力行使に至ったことは誠に残念であります。我が党としても、平和的解決を目指し、神崎代表を中心に、アナン国連事務総長や米国のアーミテージ国務副長官、イラン高官、さらには在京関係各国大使等に対し、国際協調、国連の枠組みでの解決を強く要請するなど、独自の外交を展開してまいりました。
 国の内外での大きな反戦の動き、世論には真剣に謙虚に耳を傾けなければなりません。反戦・平和は自然な感情であり、戦争を嫌い、平和を願わない人はいないと思います。しかし、現実の国際政治の中では、責任ある対応、判断が求められることも事実であります。
 今日の世界の平和と安全にとって最大の脅威は何か。それはテロリズムであります。テロは、法と制度に基づいた秩序を持たない集団の行為であり、最も卑劣で非人道的な行為であります。
 一昨年の九・一一の同時多発テロは大量破壊兵器を使用して実行されたものではありません。通常兵器すら使用していないのであります。一本のナイフでハイジャックし、あれほどの大惨事を引き起こしているのであります。
 万一、あのテロリストたちが核兵器や生物化学兵器などの大量破壊兵器を保有したらどうなるか。無差別の大量殺りく行為はもちろんのこと、無防備な一国を支配することも可能であり、人類全体が恐怖に陥れられることも現実に起こり得るということを私たちは厳しく認識しなければならないと思います。
 国境なきテロリストは世界で数万人、シンパも入れれば数十万人とも言われ、豊富な資金を有し、大量破壊兵器の保有に必死になっていると言われています。
 先日のテレビの報道番組によれば、あのアルカイダのビンラディンが核兵器を入手し、あるいは製造しようとした証拠が残っているということでありました。イラク問題の本質は正にここにあると思うのであります。
 イラクが繰り返し安保理決議に違反し、国際社会を欺いてきた事実と、このイラクに対する対応を間違えば、テロ支援国家やテロリストに誤ったメッセージを送ることになり、大量破壊兵器の拡散につながる危険が十分あるということであります。
 テロ組織やテロ支援国家に対しては、国際社会が一致して毅然として廃棄を迫る必要があります。
 アメリカの単独行動主義に対する批判はあるにしても、このテロとの闘いに責任を持って対処しているのがアメリカであり、もしアメリカが手を引いてしまった場合はどうなるか。だれがその任に代わり得るのかという極めて深刻な問題があります。
 ちなみに、劇作家の山崎正和氏は、テロの背景に貧困や差別があることは事実だが、それを解決しなければテロは根絶できないとは思わない、テロそのものは軍事的、政治的な力で封殺すべきだとも言っています。
 私は、昨年暮れ、シンガポールのゴー・チョクトン首相にお会いした際に、日本は北朝鮮ばかり目が向いているが、アメリカの同盟国である日本はテロのターゲットになっている、マラッカ海峡を通る日本船舶は危険があるとの情報だと警告してくれました。テロ特措法に基づいて行動している主要国の一つである日本がいつテロ組織にねらわれても不思議ではありません。したがって、イラクの問題は、我が国自身の問題としてとらえる必要があると思います。総理のイラク問題の本質とテロに関する所見を伺います。
 さて、我が国は、自国民の安全と自由と繁栄を守るために、平和主義を取り、国連中心の国際協調主義を取ってきました。国連分担金も第二位の負担をしているのもそのためです。今回のイラクに対する攻撃に関しては、国際社会の一致結束が得られなかったのは残念でありますが、平和維持の国際機関としての国連の権威をおとしめ、無力化させてはならないと思います。
 そこで、アメリカの武力行使は国際法違反との見方もありますが、総理はその法的根拠は何だとお考えか、伺います。また、先制攻撃や予防攻撃という見方についても伺います。
 アメリカが国連という枠組みから離れて、国際社会の協力なくして単独でテロとの闘いを進めるのは困難であります。その意味で、アメリカが査察を継続すべしとの意見もある程度受け入れるべきではなかったかと思います。しかし、一方で、広大な土地の査察検証を百数十名で実施するのも限界があり、アメリカの軍事的圧力がなかったならほとんど進展がなかったであろうということも国際社会の認めるところであります。
 なお、イラクは化学兵器禁止条約に加盟していないのであります。
 米国政府が最後通告を突き付けたとき、イラクのサブリ外相は、十八日夜、何年も前からこのときのために準備してきたと発言しました。イラクの意図と不誠実さを如実に表現していると思います。
 いかなる戦争にも大義はないとの言葉に対しては、どんな説明も言い訳でしかないと思いますが、現実の政治は、よりましな選択をしなければならない、放置しておいて大きな悪とならしめてはならない、それが政治の責任であると思います。事ここに至っては、アメリカが徹底した自制を持って限定的かつ必要最小限度に武力を行使すること、そして早期終結を切に望むものであります。
 今般、安保理で新決議案の採択がなされなかったのは、拒否権の問題も含め、国連の制度上の問題があると思います。したがって、我が国がイニチアチブを取り、国連改革を推進すべきチャンスと思いますが、総理のお考えを伺います。
 大量破壊兵器の問題については、アメリカを筆頭に安保理常任理事国すべてが保有しており、他の国が保有することは許さないという態度は道義的説得力を欠くという意見があります。問題は、民主主義国家が保有しているのか、軍事独裁政権やテロ組織が保有しているのかは、危険度という点で大きく違いますが、いずれにせよ、保有国すべてが管理システムや削減、廃棄の道筋を付けなければならないと思います。
 ところで、北朝鮮が挑発行為を繰り返し、瀬戸際外交を行っていますが、テポドン二号の発射実験はいつでもやりかねないとの情報もあります。我が国にとり、北朝鮮の大量破壊兵器の開発は極めて重大な脅威であります。
 先般、アメリカのアーミテージ国務副長官と会談した際に、同副長官は、北朝鮮の軍事行動に対しては同盟国である日本と沖縄の米軍基地を守ると明言しました。
 北朝鮮に対しては対話と抑止が我が国の基本政策でありますが、北朝鮮の核やミサイル、生物化学兵器の脅威に対しては、我が国独自では対応できず、アメリカの軍事的協力を得るしか防衛する手段がないというのが現実であります。したがって、日米同盟の中でしっかりと抑止力を働かせる必要があります。
 自国の利益を守る、その最たるものが国民の生命と財産を守るということであります。それができないとすれば、政治の責任を果たしているとは言えないのであります。その意味で、日米の信頼関係は極めて重要であります。この点についての総理の見解を伺います。
 イラク攻撃により難民等が発生した場合に、政府は難民支援、食糧、医薬品などの人道支援についてどう対処するのか、また、戦後の復興支援に関しても伺います。
 また、中東問題の根源はパレスチナ問題であり、イラクの武装解除は入口にすぎないと思います。中東和平に我が国は一層の尽力をすべきと思いますが、総理の所見を伺います。
 今回のイラク問題については、政府は国民の不安を解消するために万全の危機管理体制を取るべきでありますが、小泉総理の決意を伺って、質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 115615254X01220030321_005

発言者: 高野博師

speaker_id: 15245

日付: 2003-03-21

院: 参議院

会議名: 本会議