市田忠義の発言 (本会議)

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○市田忠義君 私は、日本共産党を代表して、総理に質問いたします。
 昨日、米英軍は、国際社会と国際世論の強い反対を押し切って、イラクへの大規模な軍事攻撃を開始しました。この間、戦争反対、査察の継続強化による平和解決をの声は人類史上かつてない規模で地球全体に広がりました。国連加盟の圧倒的多数の国々も、国連安全保障理事会を構成する多数も武力攻撃に反対し、平和解決の道を真剣に追求してきました。米英によるイラクへの軍事攻撃は、こうした国際世論と平和解決への努力への最悪の挑戦であり、国際の法と正義に照らし、断じて容認できないものであります。
 日本共産党は、この暴挙に怒りを込めて断固抗議するとともに、軍事攻撃の中止を強く求めるものであります。何よりも、「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」とうたった憲法を持つ我が国政府がこの武力攻撃を支持したことは絶対に許すことができません。
 国連憲章は、二十世紀の二度にわたる世界大戦の悲惨な経験から、戦争を違法なものとし、武力の行使も武力による威嚇も禁止しました。その上で、自国が攻撃されたときの自衛反撃と、安全保障理事会が決定した集団的措置で行う場合にのみ例外として武力の行使を認めたのであります。今回の米英によるイラク攻撃は、第一に、この国際ルールを公然と踏みにじるものであります。
 ブッシュ大統領は、イラクが持っているかもしれない武器がアメリカに使われるかもしれないという二重の仮定の上に、大量破壊兵器の武装解除のために武力を行使する権利があるとして自らの攻撃を正当化しました。しかし、アメリカがイラクから侵略されたわけではない。攻撃も受けていない。にもかかわらず、イラクが大量破壊兵器を持っているかもしれない、その疑いがあるというだけで武力攻撃を行い、政権転覆を謀る。これは、国連憲章が厳しく禁止した先制攻撃そのものであります。
 こんなことが許されるなら、相手の国が自分を攻撃するかもしれないと認定しさえすれば、どこの国でも勝手気ままに他国を攻撃することができることになってしまうではありませんか。諸国民が長い間の努力で築き上げてきた平和のための秩序を崩壊させ、世界を、いつどこで戦争が起きてもおかしくない混沌とした状態に逆戻りさせかねない許し難い暴挙であります。それとも、総理は、今回の武力行使がさきに挙げた例外に当たるとでも考えているのですか。明確な答弁を求めます。
 国連安全保障理事会は今回の戦争の根拠となるいかなる決議も行っていません。これまでの決議では戦争ができないからこそ、アメリカ、イギリスは武力行使に道を開く新しい決議の成立を執拗に求めたのではありませんか。しかし、それは世界と安保理の多くの国々から拒否され、失敗に終わりました。ブッシュ大統領は、攻撃の正当性が問題なのではない、我々の意思が問題だと開き直りましたが、いかに国際法上の根拠がないかを自ら吐露したものであります。
 総理、あなたは今になって国連決議一四四一などが武力行使の根拠となり得ると述べています。しかし、一四四一決議が武力攻撃を容認するものでないことは、あなた自身が国会答弁でも繰り返し述べてきたことではありませんか。国際法上の根拠のなさを自覚していながら、アメリカを支持するためなら自らの公式の発言も国際的に確立した解釈も投げ捨ててもいいと考えているのですか。余りにも無責任、無定見ではありませんか。
 第二は、米英による武力攻撃が、査察の継続と強化という平和の手段で一致団結して成果を上げようという、国連を中心とした世界の努力を台なしにしてしまったことであります。
 一九九一年から続けられた国連の査察によって相当量の大量破壊兵器が廃棄された後、一九九八年の米英による大規模空爆で査察活動は中断されました。そして、四年を経て、アメリカも含め全会一致による国連決議一四四一によって査察による問題解決の道が動き始めたのが昨年の十二月、つい三か月前のことであります。
 この間の活動は、五回にわたる査察委員会やIAEAの報告によっても、それまでの四年間とは様相が一変し、曲折はありながらも査察活動は実質的な成果を上げつつあります。そして、国連決議一二八四に基づく今後の本格的な大量破壊兵器の廃棄に向けた作業手順と対象リストが国連安保理に提出されたのが一昨々日のことであります。査察活動は国連の決議に従って今本格的な軌道に乗り始めたところなのであります。
 十九日に開かれた国連安保理の外相会合では、提出された作業計画に基づいて、平和的な武装解除のための努力が今でも続けられています。
 総理は、フセイン政権に武装解除の意思がないということが断定された以上、私はアメリカの武力行使を支持するのが妥当と言われました。しかし、査察を行ってきた責任者のブリックス委員長は、ブッシュ大統領が最後通告を行った十八日、査察はやめるべきではない、査察団はイラクが依然として大量破壊兵器を保有しているとは断定してこなかった、説明されていない事項がたくさんあると主張してきただけである、三か月半で査察の扉を閉ざすのは筋が通らないと思うと述べました。
 総理、あなたが支持するアメリカなどの武力攻撃はこうした努力を力ずくで断ち切ってしまったではありませんか。はっきりと答えてください。
 アメリカ政府にとっては、結局、大量破壊兵器の廃棄が目的ではなく、武力によるフセイン政権の打倒が本当の目的だったということになるではありませんか。そのことは、ブッシュ大統領が、開戦に当たって、フセイン大統領親子のイラクからの退去や政治体制の転換を公然と求め、それが中東地域にとっての新しい民主的なモデルとなるという見通しさえ展開してみせたことにもはっきりと示されています。これは、他国の主権尊重、内政不干渉を定めた国連憲章を踏みにじり、アメリカ言いなりの政権を戦争によってイラクと中東諸国に押し付けることにほかなりません。総理が支持をすると言った今回のアメリカの方針にはこうした内容が含まれていることをどのように考えているのですか。明確に答えてください。
 第三に、この戦争は多くの罪なき人々の命を奪い傷付けるものであり、許すことのできない非人道的戦争であります。
 報道によれば、米英軍によるイラク攻撃は、開戦から三ないし四日間の間に、湾岸戦争のときの十倍に当たる約三千発の精密誘導爆弾や巡航ミサイルによる大規模空爆が予定されているといいます。あなたが支持したこの戦争で、総理は一体何人の犠牲者が出るとお考えですか。国連の報告によると、五十万人が戦闘の直接の犠牲になり、三百万人の難民、国内避難民が発生する、乳幼児とそれを抱えるお母さんなど五百万人が健康などの被害を受けるとされています。
 こんな戦争を自由と平和の名で行うことほど許し難い偽善はありません。あなたは、こうした無実の人々の命を奪い、傷付けることに心が痛まないのですか。
 今、日本政府がなすべきことは何でしょうか。日本国憲法は、戦争放棄、武力による威嚇と武力行使の禁止を高らかに宣言し、明記しています。この世界に誇るべき憲法九条の規定を誠実に実行し、米英に戦争の中止を呼び掛けるとともに、この戦争への支援を直ちに改めることではありませんか。
 日本共産党は、党創立以来八十年、侵略戦争反対を貫いてきた平和の党として、イラク戦争反対、平和のルールを守れの旗を高く掲げ、国内外の平和を求める人々との共同を更に強め、全力を尽くすことを表明して、質問を終わるものであります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 115615254X01220030321_008

発言者: 市田忠義

speaker_id: 16179

日付: 2003-03-21

院: 参議院

会議名: 本会議