平野達男の発言 (本会議)

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○平野達男君 私は、国会改革連絡会を代表し、ただいま議題となりました平成十五年度一般会計予算を始めとした三案に反対の立場から討論を行うものであります。
 去る日本時間三月二十日午前十一時半、国連安保理の決議を得ないまま、また、多くの国々の反対を押し切り、米英軍によるイラク攻撃が開始されました。
 小泉総理は、事態の深刻さに圧倒されたように、即座に武力行使への支持を表明、その場の雰囲気で考えるとの公約だけは見事に実行されました。
 イラクでの戦闘は激化しつつあります。最小の犠牲で一刻も早く戦争が終結することを切に祈るとともに、早期終結に向け、できる外交努力はすべて精一杯やるべきであります。また、今後は、国連を中心とした戦後復興支援と大きく傷付いた国連を中心とした国際安全保障体制の再構築、強化に我が国は全力を尽くさなければなりません。
 九・一一テロ事件、テロの直接の被害国である米国が大量殺りく兵器に感じる脅威は我が国が想像をする以上の大きなものであるかもしれません。しかし、だからといって、米国が意図するとしないとにかかわらず、結果として国際的に大きな反感を買う、あるいは孤立に通じる道を選択させてはなりません。それは、世界平和の維持、世界平和の実現、あるいは我が国の国益にも最も反することにほかなりません。そのため、我が国は米国に対し、その信頼に足る同盟国として、言うべきははっきり言っていくべきであります。
 ちなみに、外務大臣に求められているのは、もちろん二枚舌ではありません。また、可憐さでもなく、今求められているのは苛烈さであります。
 一方、本予算案の国会提出後も続く我が国経済情勢の悪化は、決して大したことではないと言えるようなものではありません。
 ちまたでは、早くも補正予算の議論が活発になっているようです。今の段階で補正予算編成が声高に叫ばれることは異常な事態でありますが、取りも直さず本予算案が全く信任されていないことをはっきりと証明するものであります。
 以下、本予算に反対の理由を説明いたします。
 そもそも、今回の政府予算案は困窮を窮める我が国のデフレ不況を断ち切るために役立つ予算とは到底言えるものではないということであります。最近でこそ、改革なくして成長なしとのスローガンもその実体の空虚さのゆえ余り聞かれなくなってはきましたが、今回の予算案は、正に旧来型の官僚主導、改革の意思などみじんも感じることのできないものであります。
 今、我が国が未曾有のデフレ不況から脱却するためには、企業の投資意欲を高めるとともに、デフレスパイラルへの突入を辛うじて食い止めている個人消費の活発化が必要であることは論をまたないところであります。
 しかしながら、多年度税収中立、医療制度改革などに名をかりた新たな国民負担増、酒、たばこなどの大衆増税は、ただでさえ冷え切った景気に冷や水を掛けるものであり、経済の実情を無視したものであります。せっかくの減税も続く増税を前提としたもので、これでは効果は極めて限定的であります。
 大局を見据えることなく目先の収支に拘泥し、見せ掛けの減税と取りやすいところから税を取るという帳じり合わせに終始した結果にほかなりません。これではあたかも、国民に将来の展望はまだ開けないから、しばらくは投資や消費はやめた方がいいですよと説いているかのようであり、全く支離滅裂であります。
 芽出しをしたという地方財政の三位一体改革は、国の財政の都合で進めるもので、都市と地方の格差を拡大するのみならず、地方の自主的な選択を阻害する地方の切捨ての措置と言わざるを得ません。将来の財政不安をあおるお仕着せの市町村合併推進は、地方の混乱を引き起こす、数合わせのみをねらった、地方分権に逆行するものであります。
 総理は三位一体とか三方一両損とか、三という言葉にこだわるようですが、正にこの国を散々なものにしています。
 また、歳出面においても、族議員、官僚への迎合によって、特殊法人改革は進んでいません。重点配分とのお題目は十年一日のごとく唱えてはおりますが、事業内容を含め公共投資のシェアはほとんど変化がありません。口利き疑惑の反省などどこ吹く風、政官業の癒着構造を温存した税金の無駄遣いは依然として温存されたままです。目玉とも言える科学技術振興費についても、大胆な再配分が実施されたと自画自賛していますが、実態は総合科学技術会議へのお得意の丸投げであり、国家戦略的な見地に立った真の科学技術振興が行われるのか甚だ疑問であります。
 今こそ当初予算を根本から見直すという王道に立った経済財政運営を進めるため、ただいま議題となっている政府予算案を否決し、野党が提出した案に沿って直ちに組み直し作業に入るべきであります。
 我が国市場にも激しい砂嵐が吹き荒れております。株価は二十年ぶりに日経平均が一時八千円を割り、連日、バブル後最安値を更新するなど、決算を控えるメガバンク、生保を始めとした金融危機が現実のものとなってまいりました。三月十三日、王道とはとても言えない株価対策が発表されましたが、市場の評価は案の定、冷たいものでありました。竹中大臣の誇る骨太の方針が骨粗鬆症にかかり、ぼろぼろになり掛けたと見るや、昨年末、内閣があたかも切り札のごとく打ち出した金融再生プログラムも、そのひずみが早くも露見しています。
 そもそも、金融再生プログラムなるものは、長引くデフレ不況に何ら有効な施策を取ることができず、ペイオフ解禁の延期を余儀なくされるなど、破綻した金融政策を覆い隠さんと、まず金融機関を悪者に仕立て上げ、政策転換を政策強化と言い繕い、打ち出したものであります。そして、追い込まれたメガバンクは苦し紛れの資本増強策を余儀なくされてしまったのであります。しかしながら、いまだに金融システムは健全になったとの声は全く聞こえません。
 また、この金融再生プログラムも予想された効果が出ないと見た政府が次に標的にしたのが日銀であります。
 政府は確たる自信と理論的かつ実態的根拠がないにもかかわらず、金融緩和がデフレ克服の決め手のように仕立て上げました。これを基に日銀に国債の買上げの大幅増加、さらにはETFの買上げなど、危険なかけとも言える前代未聞の金融緩和を迫っています。正に、場当たり政策の典型と言うほかありません。
 ちなみに、ETFがもうかるものであるとの旨の発言が竹中大臣からあったようです。その発言の適否は別として、まずは全閣僚の歳費の全額を一種のストックオプションとしてETFで支給するようにすればよかったかもしれません。そうすれば、閣僚の皆さん、株価を上げるため経済の活性化に一生懸命になり、あるいはちょっとは効果があったかもしれません。ちなみに、現内閣の下、私の歳費までETFで支給されることは、無限大のリスクを抱えることであり、謹んで遠慮申し上げます。
 今必要なことは、需要を生み出すためのしっかりとした政策と経済の実情を反映した予算、それらを基礎に市場に成長期待を形成することであります。
 成長期待を形成するには更に何が必要か。言うまでもなく、政策を打ち出す内閣への国民、市場の信頼が不可欠であります。場当たり的な経済政策を続け、三十兆円枠やペイオフの実施といった公約すら実行できない現内閣に、市場に成長期待を醸成する力はありません。総理の言葉にも市場は全く反応せず、悪くなる一方であります。特に、国会での総理の答弁は、極度に性能の悪い迎撃ミサイルのようなものであります。既に擦れ違いなのであります。これでは、総理の気持ちはおろか、考えさえ伝わってきません。
 かつて、私は、この場で、総理の言う経済という生き物は総理の一挙一動を悲しい目で見ていると申し上げました。しかし、一連の経済・財政・金融対策、相変わらずの総理のパフォーマンス、そして効果の期待できない内閣提出の平成十五年度予算案を前に、経済という生き物は、今や総理に愛想を尽かし、総理を見詰める気力さえなくし、完全にそっぽを向いてしまっていると申し上げ、私の反対討論といたします。(拍手)

発言情報

speech_id: 115615254X01520030328_015

発言者: 平野達男

speaker_id: 8154

日付: 2003-03-28

院: 参議院

会議名: 本会議