緒方靖夫の発言 (本会議)
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○緒方靖夫君 私は、日本共産党を代表して、エビアン・サミットについて小泉総理に質問いたします。
エビアン・サミットとその前後の各国外交の中で議論になったのが、二十一世紀を迎えて三年目の今日、イラク戦争の経験を経て世界はどうあるべきか、そういう国際政治秩序の課題でした。アメリカの国連無視も辞さないユニラテラリズム、単独行動主義か、それとも国連中心の多極世界か、異なる国際秩序の対立が見て取れるサミットでした。
議長国のシラク大統領は、サミットの終了後の会見で、米英の国連承認なしで行ったイラク戦争を承認しなかったし今後も承認しないと述べ、イラク戦争の不法性を強調し、アメリカの単独行動主義的な世界ビジョンに対して国連中心の多国間国際協調の必要を対置いたしました。さらに、フランスの提起する多極化世界構築の構想は多数の国々から支持されていると述べました。
ロシア、中国の首脳も同様に、国際法上の公認の原則を基礎として、多極的で公正で民主的な国際秩序の確立を提言いたしました。また、六日前のイスラム諸国会議機構、OIC外相会議は、共同宣言の中で、テロも単独行動主義も拒否すると述べ、名指しはしないものの、アメリカの行動への不同意を表明し、国連中心の多国間の協調を高く掲げました。
私は、二十一世紀の世界は、武力を行使しない、平和的な対話を進めていくこと、異なる文明の衝突ではなく平和共存が可能であると確信しております。しかし、小泉首相は、国連の定めている国際の平和のルールに反するアメリカの戦争に賛成いたしました。今後も単独行動主義を掲げるアメリカと進み続けるというのですか。ならば、総理、その道は国連中心の多国間の協調に反する道にならざるを得ないではありませんか。総理の答弁を求めるものであります。
アメリカが国連憲章に反して戦争を始めようとしたからこそ、国連で戦争の是非をめぐって大きな議論が行われたのです。戦争開始前の半年間、国連安全保障理事会は真剣な審議を行い、最後の最後まで安保理としてイラクへのアメリカの武力行使に承認を与えませんでした。
しかし、小泉内閣が、国連憲章に基づく平和のルールを守れという世界の理性ある奔流に背を向けて、それから逸脱した道を取ったことは、大きな汚点を残しました。総理、あなたの行動は国連の権威を傷付けるものとなったのではありませんか。明確な答弁を求めます。
今日、イラク戦争を行った根拠、さらに戦争を支持した理由が改めて鋭く問われております。私は、戦争を行ったこと自体、大きな誤りであったと考えていますが、イラクに大量破壊兵器を廃棄させるためなら米英軍が戦争をするのはやむを得ないと考えた人たちは、戦闘終了二か月近くを経ても大量破壊兵器が見付からないことに、米英国内でも政府に裏切られたという批判の声を上げています。米英の議会では調査が開始されます。
総理は、アメリカの戦争を支持した理由を、三月二十四日の衆議院予算委員会で、危険な独裁者が大量破壊兵器を持った場合、この脅威を除去するために立ち上がったものと答弁していただけに、その責任は極めて重大であります。さらに、UNMOVICのブリックス委員長は、かねてから、米英両国が持ち出した機密情報は当てにならない不確実なもので、国連を不当に傷付けることをねらったものと非難してきましたが、昨日、安保理への報告で、イラクが十分に説明責任を果たさなかったというだけで大量破壊兵器があるはずだと一足飛びに結論を出したことは正当化されないと、米英を批判しました。総理が米英の言うことをうのみにして、日本の進むべき道を誤らせたという重大な問題であります。
総理、あなたがイラク戦争の支持を理由として、戦争の結果廃棄されるはずであった大量破壊兵器がいまだ見付かっていないこの事実を一体どう説明されるのか、しかとお答えいただきたいと思います。
戦争が終わっても単独行動主義の問題は解決しておりません。イラクの石油管理や復興インフラの整備などはアメリカ企業がほぼ独占しており、アメリカは血を流しただけ分け前を取るという発想が見て取れます。OIC外相会議は、イラクの完全な主権の速やかな回復、イラク占領の終結、戦後イラクにおける国連の中心的役割を強調しております。今日の世界は勝者が利権を一切獲得するという世界であってはならないはずです。イラクの復興は文字どおり国連中心に進むべきではありませんか。総理の明確な答弁を求めます。
政府はイラクへの自衛隊派遣新法を検討すると言っておりますが、イラク国民からもアラブ周辺諸国からも要請がなく、アラブと日本の友好と信頼に傷をつくる自衛隊の派遣には断固反対する、このことをはっきりと申し上げたいと思います。
次に、北朝鮮問題についてお尋ねいたします。
北朝鮮の核問題、核開発はサミットや一連の各国首脳外交で重要な課題となりました。北朝鮮の核兵器開発を食い止める上で、これまで北朝鮮が従うとしてきた国際的な取決めの厳守は当然であります。しかし、それにとどまらず、強力な軍事的抑止力、物理的抑止力に依拠し、軍事力の強化にすべてを優先させる軍事優先思想による軍事的対決の論理と北朝鮮が決別し、周辺国との正常な関係をつくるように促すことこそ必要であります。
総理、核開発を正当化する論理を掲げる北朝鮮に対して、その誤りを道理をもって真正面から説く外交が求められているのではありませんか。答弁を求めます。
こうした相手の状況に合わせて道理を説くことを抜きにして、北朝鮮に対する圧力ばかりが独り歩きするとしたならば問題解決にならないであろうということを指摘しておきたいと思います。
北朝鮮にとっての安全保障上の最大の問題、それは軍事力や抑止力が足りないことではありません。北朝鮮が周辺諸国、さらには国際社会から孤立を深めていることにあります。この孤立は、北朝鮮が拉致、ラングーン事件、航空機爆破事件など、長期にわたる数々の国際的な無法を重ね、それらを清算するに至っていないことに起因しております。無法を清算してこそ北朝鮮が国際社会への仲間入りをすることができるし、それは国際社会にとっても歓迎すべきことであります。
北朝鮮の核保有も絶対認められないし、拉致問題の解決もしなければなりません。サミット議長総括には、北朝鮮の核及び拉致など人道問題を含む包括的解決を平和的手段で追求する努力を支持するとあります。提起されたこうした方向に沿って、総理、どう行動されるのか、答弁を求めます。
昨年九月の日朝平壌宣言は、安全保障、拉致や歴史認識の問題を含めて日朝間の諸問題を解決し、日朝関係を正常化する上で、内容上も形式上も引き続き重要な意義を持っております。この間、前進が見られなかったわけですが、今後の日朝関係で日本側として平壌宣言をどのように生かしていくおつもりなのか、総理に伺います。
最後に、北朝鮮にはなかなか道理が通用しないではないかという意見があります。
国際社会は道理を持った外交を協力して進めることを一致して呼び掛けており、これが今回のサミットの結論であったと思います。そうしたときに、北朝鮮の脅威をあおり立て日本の軍事的対決を強めていくことは、国際社会の合意と願いに逆行するものとならざるを得ません。軍事対抗ではなく、道理を尽くした平和的な外交交渉への努力こそ日本政府に求められている、このことを指摘して、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕