岡崎トミ子の発言 (本会議)

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○岡崎トミ子君 私は、民主党・新緑風会、日本共産党、国会改革連絡会、社会民主党・護憲連合を代表して、ただいま議題となりました外務大臣川口順子君問責決議案について、提案の趣旨を御説明いたします。
 まず、決議案を朗読いたします。
  本院は、外務大臣川口順子君を問責する。
   右決議する。
 以上であります。
 川口大臣、今日は真っ赤な勝負服でおいでになりましたね。しかし、顔色はやや青ざめて見えております。
 以下、これから問責する理由を御説明申し上げたいと思います。
 川口外務大臣は、小泉総理が一内閣一閣僚という自らの公約を破って前任の田中眞紀子外務大臣を更迭したことに伴い、物議を醸し、首に鈴が付けられない前大臣の轍を踏まないように、元官僚としての手堅い手腕を買われて登用された外務大臣でありました。しかし、旧弊で国際化の現状にそぐわない日本外交、そして田中外務大臣が伏魔殿と称した外務省外交の抜本的な改革の断行という国民的な期待は次々と裏切られました。
 今や、我が国の国益を損ねる外交の積み重ねによって、日本外交は崩壊の危機に瀕しており、政府・外務省への信頼は国内外とも失墜していると断言せざるを得ません。もはや、これ以上、川口外務大臣がその席にとどまることは、日本外交に取り返しの付かないダメージを与えることになります。
 第一に、不信任の最大の理由は、イラク特別措置法案に対する外務大臣の一貫した無責任な対応にあります。
 イラク国民が現に戦争被害に苦しんでいる以上、人道的な立場からの復興支援に積極的に取り組むことは重要であります。しかし、イラク現地の治安情勢は日々悪化し、全土が戦場と言っても過言ではない状況です。それにもかかわらず、そしてイラク国民を代表する新しいイラク政府からの要請あるいは国連からの要請もない現状で、我が国の憲法上も疑義がある上に、現地のニーズにも乏しい自衛隊のイラク派遣のお先棒を担いでいる外務大臣の姿勢は、外務大臣としての識見に欠ける、官僚の言いなりで政治のリーダーシップを放棄した態度と言わざるを得ません。
 外務省がただひたすらアメリカの顔色をうかがうことを優先させていることは明白であります。国連決議なきアメリカ、イギリス軍によるイラク攻撃の正当性は、大量破壊兵器に係る米英政府の情報操作によるマスコミ・世論誘導の疑惑など、イラク攻撃の是非、我が国政府の支持表明の適否が大きく問われています。そうした中で、イラクへの開戦支持に向けた外務省の恣意的な国際法の解釈と情報把握のお粗末さをそのまま採用した川口外務大臣の姿勢は極めて遺憾です。川口大臣は、官僚やアメリカにではなく、日本国民の多くが自衛隊派遣に反対している事実に目を向け、重く受け止めるべきでありました。
 戦闘地域と非戦闘地域、戦闘員と非戦闘員の峻別すら定かではありません。占領行政と自衛隊との関係も重大な論点でありながら不明確。自衛隊の海外派遣の在り方についての議論も不十分。より大きな対中東政策上の下での視点からの分析も足りない。何より、この法案による自衛隊派遣は、憲法の下で我が国がこれまで貫いてきた外交方針を大転換するものでありながら、それにふさわしい議論に基づいた国民の理解という最低限の大前提が全く欠けたままです。そもそも、九・一一事件以降、一連の動きの中で、国際的な問題を解決するのに当たって、武力によらず、国際協調主義とルールによるべきだという大きな視点に立った取組姿勢、そうした悩みが大臣の姿からは見て取ることができません。
 第二の理由として、北朝鮮による拉致事件への対応で見せた定見のなさです。
 拉致被害者家族らの真摯な訴えを放置してきた官僚たちの秘密交渉に頼り切り、自国民の生命、安全の確保に第一義的な責任を有すべき政治の責任を果たそうとはしませんでした。問題解決のためにあらゆる機会をとらえて全力で取り組むべきであったにもかかわらず、国際社会に拉致事件を訴える重要な場であった国連人権委員会作業部会に対して新たな情報はないなどと薄っぺらな資料しか配付しなかった外務官僚の非行を容認したことは、拉致事件の矮小化を図ろうとするものであり、そうした姿勢が発覚した後に幾ら言い訳と弁明を繰り返したところで、失ったものは大きく、外務大臣の失態は明確であります。
 また、今年五月に行われた日米首脳会談で、小泉総理が北朝鮮に対して対話と圧力が必要と述べた発言に対して、外務省内での動きによって記者への説明資料から圧力の文言が故意に削除されたとも言われています。
 こうした行動が事実なら、政治のリーダーシップを放棄してしまっているいま一つの証左であり、二十数年間生き地獄の苦しみを味わい続けてきた被害者とその家族に対しても説明の付かないものであります。川口大臣は、一連の事実関係を明らかにすることもなく、外務官僚の掌で踊っています。
 昨年の日朝交渉以降、日本社会に広がる動揺もまた、この問題に対する直視と深い洞察を欠いた外相の姿勢と無関係だとは言えません。指導力を発揮せず、国の最重要課題である外交を官僚のなすがままに放任している川口大臣は、即刻外務省を去っていただきたいと思います。
 第三に、昨年の五月に発生した瀋陽総領事館事件へのお粗末な対応であります。
 北朝鮮からの亡命家族が我が国領事館に駆け込みながら、日本の主権を侵害する中国の武装警察官の侵入を許し、保護下にある亡命希望者の連行を許したことは我が国の権威を著しく傷付けました。それにもかかわらず、迅速かつ断固とした関係者の処分も行わず、我が国の国家主権を揺るがした中国官憲の責任もまたあいまいなままの状態であります。このようなことを繰り返すとするなら、我が国は国際社会において尊敬と信頼をかち取ることはあり得ないでしょう。
 第四に、日米地位協定の改定問題が挙げられます。
 基地周辺における米兵の犯罪は増加傾向にあります。自国で起こった犯罪を自国民と同様に処罰できない現状をどう改善しようとしているのか、外務大臣のこのことに対する姿勢と行動が全く見えません。一般に、外国軍隊が駐留する場合、国家間で司法制度に差があるのは当然の前提であり、その相違を超えて自国民の利益をどう守るかという視点は閣僚としての当然の資質です。外務大臣には、重要閣僚としての責任感、資質、取組の基本姿勢のすべてが欠落していると指摘せざるを得ません。
 とりわけ、本土復帰後三十年以上たった今なお沖縄に在日米軍基地面積の約七五%が集中し、過重な負担を県民に強いている事態を私たちは重く受け止め、一刻も早くその負担の軽減を図らなくてはなりません。そうした沖縄の視点から見ても、川口大臣の取組は極めて不熱心であると言わざるを得ません。
 第五に、鳴り物入りで期待された外務省改革のてんまつです。
 改革は進んだのでしょうか。既得権に守られた伏魔殿は変わったのでしょうか。自民党内にも主張があった条約局の廃止、大使任用の改善などは一体どうなったのでしょうか。今回のイラク問題への対応を見ても、外務省改革は何ら実現していず、かつては官邸と外務省の二元外交の弊害が言われましたが、今や外交は官邸に一元化され、外務省の存在価値は低下の一途をたどっています。
 様々な疑惑や外交政策としての効果に疑問が呈されてきたODAについても、抜本的なメスが入っておりません。ODAの新たな理念を示していないどころか、情報公開や事業評価を徹底させ、透明性、効率性を確保し、インフラや箱物等ハード重視型から、教育、人材育成や技術支援、医療・福祉、保健衛生、環境といった人や生活、ソフト面重視型とすべきとの我々の提案を無視して、旧態依然としたODAを垂れ流している川口大臣の責任は極めて重いと言わざるを得ません。国民の血税を使って、途上国の人々の生活改善につながらず、感謝もされない現状は、納税者の立場からいっても到底許されるものではありません。
 以上、問責の理由を申し述べてまいりました。すべて共通するのは、川口外務大臣は外務官僚を超えて閣僚としての責任を果たすのではなく、官僚OBとして外務官僚にうまく乗っかろうとする姿勢が目立ち、また国会に対しては木で鼻をくくったような官僚答弁を繰り返し、いまだに官僚の役割を務めているだけだということ、閣僚の任にあらずだということであります。良き官僚はあしき政治家である、このような言葉がありますが、川口大臣の姿からこの言葉を思い出さざるを得ません。
 一昨年の九・一一以降、従来の米国追従一辺倒の外交方針の踏襲が完全に破綻していることはますます明らかになっています。二十一世紀日本の外交をどのような理念で組み立て直すのか、その責任が、日本の外交をこれから、最終的に小泉総理にあるとはいいながらも、川口大臣が何を考え、何を感じているのか、残念ながら私たちは大臣の声を十分に聞いたとは言えません。
 冒頭、イラク特別措置法案への無責任な対応を問責の第一の理由として挙げました。
 米英のイラク攻撃開始後、イラクの民間人が少なくとも六千人亡くなったと言われています。この数字の大きさに私たちは圧倒されますが、NGOの調査で、あの攻撃がイラクの人々をどのように殺し、傷付けたか、明らかになりつつあります。例えば、爆発で顔じゅうにガラスが突き刺さって失明した二十四歳の女性、妊娠八か月だった彼女は二歳の娘を失い、また生まれてきたばかりの子供もすぐに亡くしたそうです。彼女の悲しみ、怒りはいかばかりか。そして、不幸なことに、彼女は、爆弾を落とした米軍のパイロットに復讐をしたいと語っている。悲しい、憎しみの連鎖の新しい鎖をつくってしまいました。このような現実に対して、川口大臣は何を考え、どう感じているのでしょうか。
 米英によるイラク攻撃について国会で追及した野党の質問に対して、川口大臣の答弁には、イラクの民衆の生活、心に対するまなざしが一切感じられませんでした。このような想像力の欠如した人に外交のかじ取りを任せるわけにはいきません。
 揚げ足を取られまいとする余り、仮定の質問には答えられないと連発し、国会、国民への説明責任を放棄する姿勢は、国会軽視そのものであり、目に余ります。イラク問題、北朝鮮情勢、難しいかじ取りが必至の日本の外交をこれ以上、川口大臣に任せるわけにはまいりません。
 そもそも、私たちは、川口順子君が環境大臣であるときから閣僚としての適格性に疑いを持ってきました。私たちは、再三にわたり、米国を京都議定書に引き戻すよう求めてきましたが、人類の将来が懸かった地球温暖化という最重要課題について、川口大臣は米国に対して十分に毅然とした態度を取らなかった。このような人物が今度は外務大臣に就任するなどということはあってはならないことであります。
 以上申し述べたことが本院が外務大臣川口順子君を問責することの理由であります。
 これまで、川口君の官僚的で無味乾燥な答弁に対して、与党席からも厳しい批判やため息、失笑を数多く見聞きしました。議員諸氏が与野党の立場を乗り越えて、本決議案に御賛同賜らんことを訴えて、趣旨説明を終わります。(拍手)
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発言情報

speech_id: 115615254X04320030724_003

発言者: 岡崎トミ子

speaker_id: 6694

日付: 2003-07-24

院: 参議院

会議名: 本会議