広中和歌子の発言 (本会議)
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○広中和歌子君 私は、民主党・新緑風会、日本共産党、国会改革連絡会、社会民主党・護憲連合を代表いたしまして、ただいま議題となりました防衛庁長官石破茂君問責決議案につきまして、提案の趣旨を御説明いたします。
まず、決議案文を朗読いたします。
本院は、防衛庁長官石破茂君を問責する。
右決議する。
以上であります。
以下、本院が石破君を問責する具体的な理由を御説明いたします。
石破君を問責する最大の理由は、我が国の自衛隊員が他国においていたずらに生命を失う危険を未然に防止すると同時に、我が国の自衛隊員が他国において人民を殺傷する可能性を事前に防止することであります。
御承知のとおり、石破君は防衛庁長官として我が国憲法の定めるところにより、自衛隊の運用の遺漏なきに万全を期する責任者の立場にあります。しかしながら、現実には石破長官は、日々、日常的に国防、防衛力に関し持論を振りかざすばかりか、自衛隊についても、憲法はもとより国際法をも無視し、また国民世論にも耳を傾けず、そして自衛隊員の安全確保にも何ら関心を払わず、ただただ冒険主義者のごとく、国防オタクのごとく自衛隊の海外派遣を推進しております。
さきに自衛隊員が他国で生命を落とすと申し上げました。これは誇張や妄想に基づいたものではありません。カンボジアにおいて活動していた我が国の文民警察官が殉職したのはつい数年前のことでした。現在、イラク全土においては、アメリカ軍による戦争終結宣言にもかかわらず、組織的なゲリラ戦、フセイン政権の残存勢力による反米武力闘争が連日展開され、毎日のように米英兵が殺傷され、被害者の数は増え続けております。米英兵はイラク戦争の当事者であり、現地の戦闘で殺傷の危険を免れないことはやむを得ない宿命であり、それぞれの国の政治の犠牲者と言えましょう。
しかし、日本の自衛隊を彼らと同等の当事者としてよろしいのでしょうか。いつ日本がイラクに宣戦布告をし、フセイン政権打倒の政府方針を決めたのでしょうか。
現在のイラクの状況は、全国土が戦争状態と言っても過言でありません。一般国民とフセイン政権の残存勢力の区別を現実に何をもって見分けることができるのでしょうか。現在、米英兵が最も恐れているのは、市民と区別のできないフセイン政権の残存勢力、武装組織からの攻撃を受けることにほかなりません。
そして、もし見分けられたとして、自らの安全をどのように守るのでしょうか。怪しい人間を見たらいきなり発砲するのでしょうか。それとも、自動小銃で撃たれてから反撃するのでしょうか。ロケット砲を撃ち込まれてから反撃するのでしょうか。石破長官の言葉には何らの客観的、科学的根拠はなく、自衛隊員の安全を叫んでいるにすぎません。
いや、実際には、この間の石破長官の講演、演説でも、自衛官は、任官のときに、事に臨んでは身の危険を顧みず、身を挺して、もって国民の負託にこたえると誓い、厳しい訓練をした人たちだ、何の訓練もしていない民間人とは違うとして、また、私は安全なところに派遣するとそのまま言ったことはない、民間人なら危険かもしれないが自衛隊ならできることがあるとも発言しています。
石破長官自身、自衛隊が派遣されるのは安全なところなどということを信じていらっしゃらないのです。軍服を着用し、小銃を持ち、部隊で活動するなら、それは他国の人から見れば軍隊であり、日本の自衛隊は軍隊ではない、ここにいる自衛隊は復興の支援のためだけに派遣されているという説明は理解されるものではありません。それとも、米英軍は攻撃するが他国軍は攻撃しないなどという取決めでもゲリラ勢力と交わされたのでしょうか。
カンボジアで文民警察官でありながらも襲われ殺害された現実を考えるなら、派遣される自衛官の生命は極めて理不尽に危険にさらされるものと言わなければなりません。しかも、その行為は、国民の生命を守るためでもなく、国民大多数の負託でもありません。マスコミの調査においても、イラクへの自衛隊派遣に反対する世論が増えております。小泉政権が国民世論に背を向けてアメリカのブッシュ政権に追随しているゆえの暴挙によるものなのです。
さて、相手にも米英軍との区別が付かぬのなら、こちらの自衛隊も一般の市民とゲリラの見分けが付かないことは自明であります。もし、自衛隊が自らの生命の安全上、反撃をすることができるとしても、撃ってみたら、一般国民の可能性も出てくる、ゲリラではないかもしれない、こういう事態が発生したとき、我が国政府はどのような補償を行い、日本国民はイラク国民にどのように謝罪したらよろしいのでしょうか。以前のように、イラクの復興を支援する大きな目的のためには市民に多少の犠牲が出たとしても大した問題ではないとおっしゃるのでしょうか。
殺しても殺されてもいけない、しからば、安全なところに行けばよい。石破長官はこれに対しても正直に答えています。非戦闘地域であれば安全というわけではなく、自衛隊はその中の比較的安全な地域で活動するということとしております。そして、報道によれば、首相が空港まで出向いて最大級の栄誉礼で迎えるほかはないなどと、派遣自衛隊員から死傷者が出た場合への対応についても様々な政府・与党内で取りざたをしていらっしゃるようです。
非戦闘地域だが安全なわけではない、戦争は終わっているが襲撃と戦闘は毎日行われ、連日死傷者が発生している、このような矛盾に満ち、いまだ危険に満ち満ちた自衛隊のイラク派遣を推進している石破長官に我が国閣僚、防衛庁長官としての責任感は皆無であり、即刻自ら辞任すべきところ、本人に何らの自覚がないことをもって国会の名において問責することが最後の手段と考えます。
そもそも、イラク戦争の大義は大きく揺れ動いております。第一には、国連決議もない戦争、そして自衛隊の派遣も国連の要請でもなく、アメリカ軍への助っ人、支援にすぎません。そして、大量破壊兵器の存在に対する疑義の問題です。小泉総理は、イラクにフセイン大統領がいたのと同じで、大量破壊兵器が存在していることも事実などと強弁していらっしゃいますが、大量破壊兵器は発見されるどころか米英政府による情報操作の疑惑が次々に浮上し、ブッシュ大統領もブレア首相も防戦の一方というのが現実です。こんなあいまいな戦争に日本が参加してよろしいと思われるのでしょうか。
政府は様々に言葉を弄しておりますが、イラク国民から見れば、日本が米英軍に協力し、米英軍によるイラク占領に加担していることは明白です。ゲリラ、反米武力闘争が激しくなるようなことがあれば、我が自衛隊は戦争に参加し戦わぬ軍隊となってしまいます。
石破長官が、憲法をよりどころにせず、国際協調主義を貫くこともせず、極めて安易、安直に自衛隊を海外に送り出そうとしていることは明らかであり、防衛庁長官としては全く不適任であります。
以上をもって石破長官の問責は十分かつ不可避であると思いますが、更に付け加える点がございます。それは、石破長官の自衛隊、我が国の防衛力に関する特異な主張であり、防衛庁長官としての本質的な適格性の問題であります。
例えば、長官は専守防衛という我が国の国是に対して疑義を持っていると指摘せざるを得ません。それは、あなたの発言の中で、ミサイルや大量破壊兵器が拡散している中で専守防衛の在り方をどう見直していくかだと述べていることに示されており、専門家はこの発言を自衛隊の敵基地攻撃能力の保有、すなわちトマホーク等の巡航ミサイルの保有、あるいは爆撃機等の保有を意味するとしております。そして、石破長官は、記者会見で、敵国内の弾道ミサイル基地を攻撃する兵器の保有を検討に値すると発言をエスカレートさせていらっしゃるのです。
さて、これが小泉内閣の一員たる防衛庁長官としての発言、内閣を代表する発言であるか否かということですが、全く個人的逸脱というのがその後の政府・与党内の弁明でございました。
さらに、石破長官は、海外メディアに対し、日本の憲法は攻撃されるのをただ待つだけということを想定していないとし、先制攻撃論があり得るかの発言もしていらっしゃいます。そして、徴兵制についても、本当は憲法に書きたい、少なくとも徴兵制を取ってはならないとだけは絶対に書いてはならないと申しております。このような考え方を保有する人が、現在の憲法解釈、政府見解、小泉内閣の施政方針と合致するのかと問われれば、明確に否と断ずるほかはございません。
以上申し上げましたことが本院が防衛庁長官石破茂君を問責する理由です。
議員諸氏が良識に立ち返り、満場一致、本決議案を採択されることを御要請し、また確信して、趣旨説明を終わります。(拍手)
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