谷博之の発言 (本会議)
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○谷博之君 私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました防衛庁長官石破茂君の問責決議案に対し、断固賛成の立場より討論をいたします。
自民党、公明党などの連立政権は、今まさに我が国自衛隊を戦場に送ろうといたしています。その現場指揮官として陣頭指揮を行っている石破防衛庁長官は憲法破りの先陣であり、平和を希求する私たち野党がこれを看過することはあり得ないのであります。よって、石破君の問責決議は余りにも当然であると考えます。
同時に、石破君は自らが指揮する自衛隊員からも不信任を既に突き付けられている可能性が極めて高いと言えます。中東のゴラン高原に派遣されている国連兵力引き離し部隊は、イスラエルとシリア両軍を引き離す非武装の兵力分離地域があることから、安全なPKOと言われてきましたが、この安全なPKOで活動をし続けている自衛隊でさえ、派遣隊員に対して、ファストフードは持ち帰り、ヒッチハイクには応じないと注意を重ねており、隊員自身も、バス停には近寄らずレストランにも入らないと、自らに迫る危険をひしひしと感じているのであります。
そうした具体例一つを取ってみても、今回、総理を筆頭に防衛庁長官でさえ危険に遭遇する可能性が排除できないとするイラクに自衛隊を派遣することに対して、だれより怒りを感じているのは自衛隊員とその御家族ではないでしょうか。
五月一日のブッシュ大統領の戦争終了宣言の後も、百人以上の米英兵がイラク各地のゲリラ攻撃などで戦場での不幸な死を遂げています。これは戦後日本の駐留軍の状態とは明らかに異なり、ベトナム駐留軍の状態に近いと思われるのであります。
こうした中で、自衛隊の陸幕長は、先月の記者会見で、隊員が迷うことなく自信を持って任務を達成できる条件を整えてもらいたいと、温和な表現で制服組の心情を吐露いたしました。推察するに、実際に戦場に赴く自衛隊員としては、最低限、法律の根拠、国民世論の支持、能力を発揮できる装備を備え、堂々と派遣されたいというのがその本音だと思うのであります。
しかし、現実は大きく異なります。先日の全国紙の世論調査では、国民の過半数が自衛隊のイラク派遣に反対し、装備については与党からも不十分との意見も多く聞こえてきているのであります。
さらに、仮にイラク特措法案が成立したとしても、これが本当に十分な法的根拠となるのかどうかも定かではありません。なぜなら、政府の言う安全な地域とは勝手につくり上げたフィクションである可能性が高く、実際には戦闘地域である可能性が高いと考えられるからであります。
さらに、現内閣は自衛隊員の心情を踏みにじるような発言を重ねています。
小泉総理はさきの国会答弁において、戦って相手を殺す場合もないとは言えないと、自衛隊員があたかも当然のように殺人に及ぶケースを想定した発言を行いました。しかし、自衛隊員が何の心の苦しみもなく人に対して銃口を向けられると考えているのでありましょうか。訓練も行わず、心理的な壁が極めて高い、人を撃つという行為を安易に自衛隊員に求める現内閣の姿勢に対して、多くの自衛隊員は不信感を募らせています。
防衛庁長官として現に部隊を預かる石破君に対して、自衛隊の皆さんは、私たちと同様に、もしかしたら私たち以上に強い気持ちで不信任を突き付けているのかもしれません。そうした立場からも私たちの問責決議案は国民の多くの気持ちを代表するものであり、実際に戦地へ追いやられる自衛隊員の気持ちを最も強く代表するものであります。
また一方、国連高等難民弁務官事務所、UNHCRを通じて、三月三十一日に千六百人分の難民用テントを政府専用機に乗せて武装自衛隊員がヨルダンのアンマンまで運んだ支援の妥当性についても、木で鼻をくくったような政府答弁書や衆議院での石破長官の答弁がありました。
一億円掛けて百六十張りのテントを運び、現実には結局十張りしか使われていない。とどのつまりは難民一人当たりの仮住まいの費用に百万円ものお金を支出したという、正に経済的合理性のかけらもない支援も現に行っているのであります。
しかも、この支援は物資があふれるヨルダンのUNHCR現地事務所が望んだものではなく、日本政府からジュネーブ本部に話を持ち掛け行われた支援であったことは状況証拠から見ても既に明らかなことなのであります。つまり、PKO法でまず自衛隊派遣の実績を残し、今度のイラク支援法で自衛隊を派遣することにつなげていきたいという浅はかなねらいが見え見えだったのであります。
さらにまたこっけいなことには、テント運搬のために派遣した五十六名の自衛隊員はけん銃十四丁を装備していたとのことでありますが、この点についても、石破長官の説明によれば、安全な航路を飛ぶ政府専用機の中でさえ、自衛隊員たちは自らの身を守るためにけん銃を持つことが必要であったという奇妙な答弁をしているのであります。こんなばかげた話があるでしょうか。
一方、世間の関心が自衛隊の海外派遣に集まっている中で、この機に乗じて石破長官率いる防衛庁及び防衛施設庁は、十分な情報公開もせずに、また現場の意見も無視して国民への数々の背信行為を行っていることも事実であります。
そのまず一つは、海上自衛隊がひそかに小型空母を造る計画を進めているということであります。具体的には、二〇〇一年度から二〇〇五年度の中期防衛力整備計画において、現用のヘリコプター搭載護衛艦「たちかぜ」や「はるかぜ」二艦の更新が計画されております。これらは基準排水量一万三千五百トンであり、この大きさは太平洋戦争時の常識でいえば、重巡洋艦に相当するものであり、それを護衛艦と呼ぶことはいささか無理があり、現在のイギリス空母とほぼ同じ大きさであります。
さらにまた、その計画図を見ると、正に空母なのであり、この新造艦計画を見るだけでも、長官は国民にうそをつき、事実を隠ぺいしていることとなり、辞任に値すると考えるのであります。
次に、防衛施設庁は、沖縄の東海岸辺野古沖のリーフを埋め立て、普天間基地に代わる米軍のヘリポートを建設するための現地技術調査を四月八日から開始しています。しかし、この調査は地元への十分な説明もないまま行われ、名護市議会は全会一致で抗議の意見書を採択しています。手続が不十分なだけではなく、その調査の中身たるや、事実上建設工事と言える護岸建設の着手が含まれており、国際的に希少な海生哺乳類である北限のジュゴンの追い出しとも言える暴挙であります。
まだ環境省がジュゴンと藻場との広域調査を行っている最中に、防衛施設庁はジュゴンなど海中生物やサンゴ礁への影響が大きい各種の調査を強行しようとしているのであり、国内外の自然保護団体からも今、猛烈な抗議を受けているのであります。
また、潜水調査の具体的な内容と計画書も公表せず、地元の民意はいまだ全く意見が尊重されておりません。この隠ぺい体質、現場無視の姿勢こそが組織の責任者である石破長官の姿勢そのものであります。
すり替え答弁を繰り返し、対米追従に固執する小泉総理と、徴兵制を志向し、戦艦のプラモデル作製に興じ、現実と趣味の区別が付かなくなっている、はぐらかしと情報隠しの石破長官、この国民にとって極めて不幸な組合せの中で、民主主義が脅かされ、自衛隊のイラク派遣が行われようとしてきているのであり、一刻も早く石破防衛庁長官は自ら辞任をし、不幸なこの関係、組合せを解消すべきであります。
私たち民主党は、戦争被害に苦しみ続けるイラク国民に対し、人道上の見地から復興支援活動を進めることを強く求め、国際社会の喫緊の課題として強くこのことを認識しています。しかし、今般の自衛隊派遣が本当にイラク国民の苦しみを和らげ、国民生活の再建に寄与するものなのでありましょうか。自衛隊がイラクに行き、一体何をするのか、政府はまともな答弁を行っていません。自衛隊が米軍とともにイラクの地に立てば、比較的良好な関係を保ってきた中東における我が国の地位までも脅かすことになるのではないでしょうか。
我が国は、国連憲章及び日本国憲法の理念である平和主義、国際協調主義を最大限生かし、まずは国際社会が一致協力してイラクの復興を支援できるように、一日も早く国連及び関係諸国に強力に働き掛け、国連を中心とした枠組みと取組を実現させるべきであります。そして、自衛隊の派遣は、このイラク国民による暫定統治機構の要請を受けてから行うべきであり、それこそが、国際社会が求め、かつ我が国の国民が自信と称賛をもって送り出すことができる最低条件だと思うのであります。
私たちの問責決議案は、不戦の誓いを行ってきた我が国が、安易に自衛隊を海外に派遣することなく、国際社会と協調し、国際社会が求めたときに初めて自衛隊を平和貢献部隊として派遣する国家であるというメッセージでもあります。憲法を顧みず自衛隊を戦地に送り、隊員の身体と精神を危機に陥れようとしている石破防衛庁長官の責任を厳しく問うことによって、我が国の平和主義、国際協調主義を本議場の皆さんとともに確認し合おうではありませんか。
高邁なる理想と見識をお持ちの皆さんが本決議案の意見を理解の上、賛成されることを切にお願いを申し上げまして、私の賛成討論を終わらせていただきます。(拍手)