小泉純一郎の発言 (外交防衛委員会)
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○内閣総理大臣(小泉純一郎君) イラクの国が将来安定した民主的政権として立派に発展していただきたいというのは、日本国民ならず世界の多くの国民、国が願っていることだと思っております。
できるだけ早くイラク人のイラク人による政府を立ち上げて、希望を持ってイラク国民が自らの国づくりにいそしむような環境を作っていこうということで、今、米英始め各国の国々が部隊を送って、それぞれの任務を果たそうとしている。そういうときに日本として何ができるかと。資金的な支援、物的な支援、人的な支援、日本にふさわしい主体的に考えていかなきゃならない支援、いろいろあると思います。
そういう中にあって、今世界の中で、アメリカと日本の経済規模を含めますと、約四割近くを世界のGDPで日本とアメリカが二国で占めていると。かつて日本が、アメリカ始め各国から戦後援助を受けた、そして発展してきたという国から、むしろ援助大国と言われるように、世界の国々に支援をできるようにまで国民の努力によって発展、成長してきたわけであります。そういう中にあって、まあ、今後日本は自分のこと、この国だけ考えればいいという状況じゃないと。世界から、日本も、その発展した国としてどのような貢献が必要かということを期待していると。同時に、現在国連におきましても、加盟国に対してイラクの復興支援に努力するようにという訴えも来ている。
なおかつ、日本の平和と安全を確保する、これは日米同盟が基本であります。日本一国だけでは日本の独立、平和、安全を確保できない。だからこそ、日本の唯一の同盟国であります米国と日米安保条約を提携して日本の安全保障を確保している。同時に、日本としては国際社会の中で孤立してはいけない。国際社会と協調していくことが戦後、敗戦後、発展させる道だということで、日本の安全と繁栄を図るためには日米同盟関係を強化していこう、そして世界の中の日本として繁栄していくためには国際社会から孤立しない、協調していこうということが今までの日本の外交方針であったわけであります。基本方針であります。この方針は過去も現在も、私は将来も変わらないと思っております。また、変えてはいけないと思っております。そういう中で、日本が今、イラク人が希望するような、またイラク人から歓迎されるような復興支援をすべきだと考えております。
その際に、それは金だけ出せばいいという状況じゃないと。できるだけの人的な支援、汗もかいていこうと。そういうやさきに日本の貴重な外交官二人があの残虐非道な犯行で命を落とされました。あの付近では、日本の外交官のみならず、他の国の軍人でない方々も襲われて命を落としております。そして、このイラクの情勢におきますと、国連の本部が襲撃されてデメロ氏が亡くなる、あるいは赤十字まで攻撃すると。なおかつ、米英軍のみならず、またそれに協力している軍隊の人々のみならず、復興支援に何とか自分の国を立ち上げようと努力しているイラク人に対してまで襲撃している、殺害している。
こういう状況にあって、私は人的支援という、人的な支援をしようという場合に、果たして自分で安全確保もままならない、あるいは日ごろからどのような危険に対して回避する策も訓練していない、防止策も取り得ないという人を復興支援といって送ることができるかというと、これは無理だろうと。もし行った場合に、他国の軍隊に自分の安全を確保してくださいと頼まざるを得ない。あるいは自分のホテルはどうやって安全確保させるんだと。いろんな活動もどのように自分の活動分野があるんだろうかということは、個人で行くにはなかなか難しいと。NGOを支援していこうと。NGOの民間人は今引き揚げている状況です。じゃ、国連関与しなさいと。国連も安全確保対策にはできない、腰が引けている状況であります。
となれば、今全世界、国際社会は米英軍に撤退しろと言っていません。治安の確保、安定のためには今の占領当局、行政当局、治安確保が必要だと言っているんです。日本としては、そういう場合、人的派遣を考えた場合に、自分で安全確保策もできると、なおかつ日ごろから十分な訓練をしている、そしてホテルも泊まらないで自分で宿営地も作ることができる、近くに水があれば自分で水をきれいにしてその水を使うこともできる、物資も持っていって自分たちで料理することもできる、そういう自己完結性を持った人的支援を考えると日本には自衛隊しかいない。
自衛隊が行くから戦争だという見方されている方がおります。今でも自衛隊を戦争に行かせるなというデモで歩いている方もいます。しかし、自衛隊が行くから戦争に行くかと。そうじゃない。自衛隊が今回派遣される場合にも、戦争ではない、武力行使はしない、戦闘行為には参加しないと。人道支援、復興支援に自衛隊でできることをやろうと、その地域も非戦闘地域よく見極めて派遣しますと。
私は、そういう観点から、これは自分の国のことだけ考えないで、よその国が苦しんでいるんだったらその発展のために手をかすということが、自国の主権を外国から認められると同じように、外国と対等な関係に立とうとする、立とうとすれば、それは日本の責務じゃないかと憲法の前文で言っている。そういうことを考えると、私は、今回の自衛隊の派遣は、まずイラク人が希望を持って自らの国の発展のために努力していこうとする、そのイラク人が必要とし歓迎されるような活動に自衛隊諸君に行ってもらう。
同時に、今、長年の同盟国であるアメリカが大きな犠牲を払いながら、イラクがテロリストの温床になったらどこの国が困るんだと。日本だけじゃありません。世界が、あのイラクがテロリストの拠点になったり温床になったりしたら不安におびえなきゃならない。なおかつ日本は、エネルギーの面においても中東には、八〇%以上あの地域に石油エネルギーを依存しております。あの地域の安定というのは、日本の経済の発展のために欠かすことができない、日ごろの生活からいっても。そういう点に私は、アメリカが今苦しんでいる、同盟国が大きな犠牲を払いながら、イラクの安定した民主的政権を作るためには、世界が大きな関心を占めている、各国が協力していこうというときに、同盟国として、安全でないから日本はいたしませんということが、同盟国として、信頼に足る同盟国と言えるのかどうか。
そして、国連が全会一致で、すべての加盟国で要請しているんです、その国の事情に応じて復興支援に努力してくださいと。イラク人のため、まず。イラクの安定は、日本のみならず世界の安定にとって、平和にとって必要だと。同盟国の責任としてアメリカと協力する、これも日本の国益にかなう。なおかつ、国際社会の中で日本は国力にふさわしい責務を果たす。正にイラク人のためであり、日本のためであり、同盟国であり、国際協調体制を図る責任として、この支援活動が、私は、国際社会の中で名誉ある地位を占めたいという憲法の理念に合致しているんじゃないかと。普通の人には行けない。自衛隊だからこそ、訓練もし、事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に務めると宣誓して、志願して自衛隊に入隊している諸君だからこそこういう仕事ができるのではないかと。
こういう、危険を伴うかもしれない困難な任務に赴こうとしている自衛隊諸君に、また自衛隊の家族の皆さんには、私は心から敬意を表したいと思っております。願わくば、多くの国民が、普通の一般の市民にはできないイラクの人道復興支援に当たる自衛隊諸君に対して敬意と感謝の念を持って送り出していただければ有り難いと思っております。