市川一朗の発言 (憲法調査会)
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○市川一朗君 本年九月三日から十三日にかけて行われました特定事項調査第五班、憲法調査の概要を御報告いたします。
本班の調査目的は、コスタリカ共和国及びカナダの憲法事情につきその実情を調査し、あわせて、これらの国の政治経済事情等を視察すること、並びに平和主義と安全保障の実情について国際連合本部及び国連開発計画の動向等を実情調査することでありまして、本憲法調査会の調査に資する観点から御報告させていただきます。
憲法事情に関する具体的な調査項目といたしましては、ちょっと時間の関係でこの辺省略いたしますが、一、コスタリカ共和国、二、国際連合、三、カナダと、それぞれに多くの課題を掲げまして調査をいたしました。
以下、調査内容につきまして、その概要を調査日程に従って御報告いたします。
一九四九年に制定されましたコスタリカ憲法は、第十二条で「恒久的制度としての軍隊は禁止する」と定め、一九八三年には「積極的・永世・非武装中立」を宣言し、その平和主義への取組が我が国からも注目されているところであります。また、憲法の基本的人権規定におきましては、普遍的人権のほか、環境権を定めて環境保護を図り、また、公教育の充実を定めるなど、先駆的かつ充実した内容を有しております。さらに、司法機関等による人権救済制度が充実しておりまして、選挙の公正を確保するために選挙最高裁判所が設置されているのも特色の一つと言えます。
九月四日午前、まず、コスタリカ共和国議会を訪ねました。議会では、国際関係委員会、環境委員会、社会問題委員会等の委員に、議会の平和憲法への姿勢、平和主義・安全保障の実際、人権保障の確立等をお伺いいたしました。
チンチージャ国際関係委員、前公安大臣でございますが、らから、戦争は相手があって可能であり、非軍備で戦争の意思がないことを示すことが抑止力になっている、軍の廃止によって浮いた軍事予算を教育、福祉等に回し、中米一の高い教育水準、経済水準を達成できた、ニカラグアから過去に侵略行為があったが、米州相互援助条約、リオ条約及び国際世論に訴えることによって対処した、軍を持たないことは国民のコンセンサスとしても定着しており、再軍備の意思は国にも国民にもないこと、この平和憲法を世界に輸出したい旨の見解が述べられました。
また、憲法における環境権の明記は、長い環境保護に対する努力の結果であることなどの意見が述べられました。
続いて、議会事務局より、昨年の国民投票制の導入を例に、コスタリカ憲法の改正手続についての説明を受けました。
同日午後は、最高裁判所を訪ねまして、ソラノ憲法法廷長と会談しました。コスタリカ最高裁判所は四つの法廷を有していますが、その一つである憲法法廷は、憲法裁判所としての権限を有し、一、法律の合憲性の判断、二、庇護申請、三、立法に関するコンサルティング、四、国の諸機関の権限の調整等、多岐にわたる任務を担っております。
また、人身保護、人権擁護に関する護民官的役割を負っているため、扱う事件数は最高裁係属事件の八三%にも上ること、そして国民も身近な存在として深い信頼を寄せているとのことでありました。
続いて、環境エネルギー省のロドリゲス大臣と会談いたしました。
大臣は、コスタリカでは、憲法で環境権を定めて環境保護を積極的に図り、また実際に、生物多様性や熱帯雨林の保護等に努め、その環境保護の取組に対して世界から高い評価を受けている。その豊かで貴重な資源を持続可能な形で有効利用し、国立公園やエコシステムを整備するとともに、森林破壊を止めることにも成功したと言える。この環境保護を根付かせるために特に重要と心掛けているのは、市場原理を導入して経済的にもメリットあるものにし、森林所有者に森林を守る意義とメリットを知ってもらうことである旨を述べられました。また、環境権は権利と義務が表裏一体であり、常に責任を伴うことを強調されました。
コスタリカはまだ開発途上国でありますが、これらの環境への取組は、我が国の今後の国際協力にも参考になる点が多いと思います。
さらに続いて、選挙最高裁判所フォンセカ長官と会談いたしました。
コスタリカでは、選挙最高裁判所を設置し、強い独立性と権限を与えて、選挙に対する国民の信頼を守っており、その大きな役割は第四権力と称されるほどであります。
長官から、選挙最高裁判所は単なる選挙裁判所ではなく、選挙過程について、組織し、管理し、監視し、解決するという選挙についての独占的な権限を有し、コスタリカの民主主義を守る上で極めて大きな働きを担っている旨が述べられました。
翌日は、常備軍のないコスタリカにあって治安維持の役割を担っている公安警察の実情を知るため、公安警察学校を訪問いたしました。
公安といいましても、一般の刑事警察と独立しているわけではなく、通常の警察機構の名称が公安警察であり、ほかに軍に類似するような特殊な警察機構があるわけではありません。この警察学校にはコスタリカ全地域から生徒が集まり、警察官として必要な訓練を受けており、その訓練の一部も視察いたしました。私は、訓辞もさせていただきました。
オバンド校長は、公安警察は主権を守ること及び国民を保護することの二つの役割を担っている。戦車や戦闘機はもちろん、軍に相当するような武器は一切なく、国境警備や森林パトロールにおいて、麻薬の密輸等を防ぐため、自動小銃やヘリコプターを備えている程度である。公安警察としても再軍備の意思は全くない。ニカラグアからの不法入国者の増大について、侵略ではなく経済的理由からと見ている。ただ、治安の悪化は我々が直面している課題であると述べられました。
続いて、国家緊急事態委員会のモラレス委員長と会談いたしました。委員長からは、コスタリカでは、人的、自然的とを問わず、一切の緊急事態に対処するため、関係省庁がシステマチックに対応できる体制を整えており、その調整や基本計画作成に当たるのが国家緊急事態委員会である。コスタリカでは戦争はなく、また軍備もないため、自然災害や事故等の人為的災害の対処が中心になっているという旨の説明がありました。
その夜は、国際開発事業団等、コスタリカで国際協力のために働く日本人の方々と懇談いたしまして、国際協力の重要性、現地での苦労などのお話を伺いました。
六日になりましてニューヨークに移動いたしまして、七日午前、グラウンド・ゼロを視察いたしました。あの九・一一同時多発テロから二年、外観はさながら再開発の大きな工事現場のようでしたが、二周年も近いためでございましょうか、弔意に訪れるアメリカ人の姿も多く、改めてテロの残忍さ、その被害と傷跡の深さを実感いたしました。
翌八日及び九日は、国際連合及び国連専門機関の一つである国連開発計画(UNDP)を訪れました。
ちょっと飛ばさせていただきます。
八日午前は、まず、アメリカ合衆国国連代表部カニングハム次席大使と会談いたしました。今回のイラク戦争においてアメリカ合衆国と国際連合とが対立し、国連の役割の一定の限界を指摘する声が我が国にもあったことから、国際的な平和・安全保障の構築における国際連合の位置付けと課題、PKO活動等に向けての努力、今後の国連改革等に関するアメリカ合衆国の立場をお伺いしようとしたものです。
折しも、その前日、ブッシュ大統領からイラクの復興支援に関して国連に大きな役割を求める演説があり、安全保障理事会に決議案を提出するとのことから、大使との話題もその問題が中心になりました。
大使は、米国は日本を国連における主要なパートナーとして位置付けてきたし、互いに共通する立場から幅広く国連の諸問題に対処してきた。米国は日本が安全保障理事会の常任理事国になることを支持している。昨日のブッシュ演説は、米国が今後もイラクの平和と安全を回復していくこと、また国際社会が一致団結してテロリストに付け込むすきを与えないようにすることを訴えるものであり、米国の政策変更ではなく、現実に起きている諸問題に応じた展開をしていこうというものである。北朝鮮問題については、米朝二国間だけではなく関係国と連携して対処したい。国連への財政的貢献は世界の平和と安全を確保するための良い投資であり、日本その他の国と協力しながら予算が賢明かつ有効に使用されるよう、していくようにしたいという旨が述べられました。
その後、昼食を挟みまして、国連及び国連専門機関で働く日本人職員の方々と懇談会を行いました。国連での様々な経験を伺いながら、日本人職員の数、特に幹部職員の数が絶対的に少ないこと、我が国政府も努力しているが、語学力と専門知識の点で志望者の層が薄く、またキャリア途中で転職する者も多く、更なる応援が必要等の話がありました。
午後は、国連で安全保障理事会を担当するプレンダガスト政務担当国連事務次長と会談いたしました。
事務次長は、安保理の拡大については過去十年にわたって議論しているが依然として合意には至っていない、ただ日本が有力候補であることはどの国も認めている。テロや核拡散等の新たな課題について国連は集団的対応を取るべきと考えている。イラク問題について国連が重要な役割を果たすためには米国の政策変更が必要であり、軍事力の拡大のみで対処できるとは思わない。米英はイラクの主権回復、憲法制定のプロセス・方向性をイラク人にきちんと明示すべき旨を述べました。
その後、フレシェット国連副事務総長と会談いたしました。副事務総長ポストは、一九九七年末の総会で新たに設けることが決議され、フレシェット氏はその初代として就任した女性の方でございます。
副事務総長は、国連の評価について国によって分かれるのは確かであるが、すべての責任を国連に負わせるのは問題がある。国連は加盟国の組織であり、それ以上のものではないからであって、重要なのは加盟国が結束を重視していくことである。国連改革については、今次総会でもミレニアム宣言及びそれに基づく今月提出の事務総長報告をベースに議論されるだろう。イラク問題に関する米国の新決議案について、安保理理事国の多くが国連としての結束について議論する用意ができている。イラクでの国連の最大の目標はイラク人の主権回復であるが、そのプロセスの合意はまだできていないと述べられました。
翌日は、国連開発計画(UNDP)マロック=ブラウン総裁と会談いたしました。また、西本政務局長にも御同席いただいて話を伺いました。
同総裁は、日本は財政面での貢献だけでなく、UNDPには二名の事務次長補を始め日本人職員も多い、日本国憲法が示す平和、発展、人道的観点からの安全保障はUNDPでも高い価値として評価されている、世界には貧困等の多くの問題があり、今後とも日本に期待するところは大きいと述べました。
また、西本局長は、若手を中心に日本人職員数は増えているが意思決定過程に関与できる幹部職員の数はまだまだ少なく、高いポストであればあるほど本国政府のバックアップが必要、現在世界には紛争中又は紛争中に近い状態の国が四十か国を超えており、紛争に関連する支援に力を入れていると述べました。
国連及び国連関係機関の環境・貧困・健康・教育等、人間の生存とその権利に果たしている役割は極めて大きいものがあり、我が国が唱える人間の安全保障の観点からも極めて重要であることから、今後とも多くの日本人職員が進出していくことを願ってやみません。
午後は、ゲーノPKO局長と会談いたしました。
同局長は、PKOは万能ではなく、成功するための条件として、一、紛争当事者間に停戦合意があること、二、様々な状況・課題に対応し得る部隊の派遣であることの二点が挙げられるといたしまして、この観点からDDR(武装解除、動員解除、社会復帰)は極めて重要であり、単純に部隊を派遣するだけでなく、人道的な支援活動を含め、文民による統治へ戻すための包括的な戦略を構築することが必要とされていると。国連そのものが暫定政府を構成したのは東チモールとコソボの二つだけであるが、シエラレオネ、コンゴ、リベリアなど弱い現政権を様々な場面で支援することは復興において極めて重要な意味を持つ。イラクについては様々な困難が予想されるが、透明性の高い包括的なプロセスを樹立することが長期的な平和構築のための最良の道である。いずれにしても、PKOは、国際環境の変化を反映して、軍事部門と非軍事部門が互いに協力し、統合された戦略の下で実施されることが重要である旨を述べられました。
ちょっと飛ばします。
その後、日本人として軍縮担当国連事務次長の要職にある阿部次長と会談いたしました。
阿部次長からは、国連にとって軍縮は重要な柱であるはずだが、残念ながら現在は優先課題とされていないと言わざるを得ない。実際、軍縮局の専門職員は約四十名、巨大な国連事務局機構の中では小さな部局にすぎない。冷戦崩壊後に平和が訪れるという安心感から軍縮に対する関心が失われたこと、一方で、最近の動向からテロや大量破壊兵器への対応策に関心が移っており、軍縮は向かい風の時代にあると考えている。その打開のためには、草の根の市民レベルでの取組、軍縮に関する意識の共有、特に教育が重要である。国連憲章には内政不干渉の原則があるが、時代とともに干渉の解釈も変遷しており、大量破壊兵器もその一つである。個別の軍縮案件として、化学兵器禁止条約は査察制度もきちんとしており、隠れて廃棄処理しようとしても原子が残り発見することができるが、他方、生物兵器は遺伝子なので熱処理や塩素処理すると何であったか分からないことになるためどう査察できるか難しい問題である。北朝鮮の核保有は軍縮の観点からは核不拡散の問題に入る。安保理が決めれば国連として乗り出す。日本は地雷問題や日本が提案して成立した通常兵器の登録制度など、率先して軍縮の個別問題にも取り組んでいるなどの説明がありました。
なお、日本人職員の増強については、各国とも自国の職員を採用してもらえるよう強力に押しているわけでございまして、職員募集は原則全部公表しコンピューターで管理して透明性を高めている。日本人職員が増加しない背景に、明石元次長など第一世代は定年退職し、それに続く第二世代は経済成長等の影響で途中退職する者が多く層が薄いということがある。今後、帰国子女等が増加し競争に参加できるようになれば期待できると思うという話がありました。
同日夕刻、カナダ・オタワに移動しました。
カナダ憲法は、一八六七年憲法、その修正法及び一九八二年憲法から成り立っております。一八六七年憲法は、英国型の統治機構と連邦制を定めておりますが、一般的な人権保障規定は存在せず、またこの改正権も英国議会にあったため、一九八二年に、新たに権利と自由の章典を置くとともに、憲法制定権を英国から移管するなどして、全体を再構成した一九八二年憲法を制定したものでありました。ただ、英国国王がカナダの国家元首であり、その代理として総督が置かれているという点は変わっておりません。
十日午前は、カナダ上院を訪れ、ロバート上院事務総長補から説明を受けました。
事務総長補は、カナダ憲法について、一八六七年憲法が制定された当時は国自体も政府の役割も小さかったが、その後の時代の変遷、社会の複雑化に伴って連邦、州ともに政府の役割が拡大し、これを反映し、かつ基本的人権を明確にした権利と自由の章典である一九八二年憲法が成立した。カナダ議会は二院制であるが、上院が任命制であることから両院のダイナミックな関係が余り知られていないのは残念である、しかし、上院の承認なくして法案は成立できないなど上院は下院とほぼ同等の権限を有するとともに、第二院としての補完的機能もよく果たしている。上院を任命制にしたのは、母国英国の議会を模範としておるわけでございますが、上院を公選制にすると下院及び議院内閣制を弱めかねないという思想によるものであるという説明がありました。上院議員数は百五名で、カナダの元首・英国女王の代理人である総督によって任命され、定年である七十五歳まで務めることができます。任命に際してカナダを四つの地域に分け(東部・沿海、ケベック、オンタリオ、西部)そのそれぞれに分布した形で議席を配分しておりまして、その中で裕福で社会的影響力のある人が選ばれやすい、上院改革として州代表にすべきとの意見もあるが、国・連邦の制度や政府の在り方を大幅に変えることになるため多数意見には至っていない。余り注目されていないが、上院の特色として下院に比べより政党から独立している点が挙げられる、確かに任命のときは与党側から選ばれることが多いが、だんだん政府の立場から独立的になっていく傾向があるからであるというような話がありました。
同日午後は、最高裁判所を訪れ、まずマクラクラン長官を表敬いたしました。同長官は、世界でもまだ珍しい女性の最高裁判所長官であり、日本の司法制度改革についても大きな興味を持っていると述べられました。
最高裁判所の具体的な説明は、バスタラシェ判事から受けました。一九八二年憲法の制定目的は、一、それまで英国議会で決められていたカナダ憲法をカナダ議会で決めることによってカナダ化すること、二、憲法改正権を完全にカナダに移してカナダ各州の意向も反映できるようにすること、三、法律レベルではなく憲法として基本的人権を保障することにあった。包括的に基本的人権を保障した第一章権利と自由の章典は、議会、政府、裁判所、州すべてに大きな影響を与えている。裁判所は訴訟を通して法規に憲法に反する内容がないか解釈、判断する。同憲法の条文は州により基本的人権適用の違いを認めているように見えるが、それは誤解であって、だれにでも公平に適用される。州も憲法を制定しているから州により保障される権利もあるが、その最終的解釈はすべてこの最高裁判所が行う。同憲法制定当初は従来の法律でこれに合致していないものが多数あったため非常に多くの違憲訴訟があったが、現在は落ち着いている。基本的人権における平等原則については、米国と異なり、個人のみならず言語や宗教など集団の権利としても見ているのが特徴である。カナダはマイノリティーの権利保護にも力を入れているが、差別的な法律を違憲とし又は適用制限することによって、更に能動的な差別是正措置によって実現している旨が述べられました。
続いて、カナダ国防省でPKOを担当している国際安全保障局を訪れました。カナダは、世界の中でも最も早く積極的に国連PKOに参加した国であり、また世界唯一の国連PKO訓練センターとしてピアソン・PKOセンターを設置し便宜を図るなど、そのPKO活動への熱心な取組は世界的にも大きく注目されているところであります。
ロバーソン局長及びそのスタッフであるキーラー氏から、カナダのPKOについて説明を受けました。PKOは、カナダ人にとって身近な存在であり歴史的にもその初期から深く関与している。PKOのルーツは外交政策であり、より安定した世界の枠組みを目指して一国ではなく多国間で行うこと及び国連は重要だがすべてではないというポリシーの下に進められている。現在はカナダ軍六万名のうち三千七百名を海外に出しており、それは国連指揮下の派兵と国連からの委任を受けた多国籍軍への参加とに分けられる。特に、冷戦崩壊後、世界各地で地域紛争が頻発し紛争の形態も多様化していて、アフガニスタンやコソボのように国連だけでは対応し切れないものがあり、軍と文民を併せて派遣するなど、より複雑な形での派遣が増えている。PKOを決定するに際しては、一九九四年国防省の定めたガイドラインに従って、透明性、確実性を期するようにしている。ガイドラインは戦闘状況にあっては必ずしも役立つものではないが、重要なのは一つの共通した枠組みであり、それを基に政府内で議論できることであるとの見解でした。
翌日午前は、重要インフラ防御・緊急事態対応庁を訪問しました。カナダは、きめ細かく緊急・非常事態に備えた各種対処法を制定するとともに、重要インフラ防御・緊急事態対応庁を設置して、充実し入念な制度作りを行っています。
フィリップス対外局長及びソシエ同局戦略担当課長は、同庁は国防省の一機関であるが、現場に急行するのではなく緊急・非常事態に備えた体制作り・調整・援助等を行うことを主たる目的としており、またこれらの準備は民間等との連携も必要なため文民だけで組織されている。対象は、サイバー面を含むインフラ、山火事・地震等の天災、テロや化学工場事故等の人災、人・家畜・農作物の伝染病・疫病等幅広い。ただし侵略戦争に対処するのは軍である。米国の連邦緊急事態管理庁(FEMA)との相違についてこちらがお尋ねしましたので、その相違については、カナダでは現場における対応能力はなく、また一次的には州が対応するという点で異なっているということでありました。人権の保護とのバランスを考えなければならないことは十分承知しており、権限が与えられる場合を限定するとともに、期限も設ける、権限を付与する議会の権限にも制限があるなどの形で調整しているとのことでありました。
引き続いて、午後は、キングストン市にあるカナダ政府PKO訓練センターを視察いたしました。
説明に当たったボアソナール副所長は、このセンターは派遣前にPKOの特性に応じた事前訓練を行うことを目的としており、一九九六年に設置され、これまで約五千人が受講し修了している。紛争の形態は特に九〇年以降多様化しており、善意だけで割り切れるものではなくなった。したがって、派遣地がどのようなところか、そこで何が起きているのか等の背景情報をしっかり教え込むことが特に重要になっている。特に人種、宗教を問わず、人はだれもが同じ権利を持っているとの認識が重要である。もちろん、PKOに必要な救急医療や武器の使用方法のほか、地雷の知識、捕虜になった場合の対処、ストレス管理等も教えている。国連やピアソン・センターとも連絡を取り合い、世界水準の内容を目指していると述べられました。
また、紛争地でよく用いられるカラシニコフ銃などの武器の安全な解除方法、地雷原の見分け方の訓練方法等も視察いたしましたが、実践的で合理的なPKOに対する考え方に感銘いたしました。
以上が報告でありますが、今回の調査におきましては、数多くの要職にある方々と親しく意見を交換することができました。多忙の中、快く会談に応じていただいた方々、また仲介の労をお取りいただいた在外公館等の関係者の皆様に改めて感謝申し上げます。
報告書は既に議院運営委員会会議録に掲載されていますが、このほかに、別途、詳細な冊子を作成し、配付いたしますので、ごらんいただきたいと思います。
以上、御報告申し上げます。
ありがとうございました。(拍手)