土井たか子の発言 (憲法調査会)
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○土井委員 第百五十九回国会、ただいまの国会で行われました当調査会での議論の内容については、その都度発言を私は、憲法尊重擁護ということが基本であるという立場で述べてまいりました。したがって、ここでは、この憲法調査会が設置されました経緯等を顧みながら、議論をめぐる二つの基本的な見解と、当調査会運営上、三つの提言を申し上げさせていただきたいと思います。
まず、当調査会は、日本国憲法について広範かつ総合的に調査を行うため設置された、その目的からいたしますと、憲法改憲のための論議の場ではないということでございます。当初、常任委員会としての設置を目指していたことをやめて、議案提出権を持たない調査会として設置された経緯を見ましても、それははっきりいたしております。また、常任委員会とすると憲法の改憲に直結するという危機感から反対する意見が強かったという事情が、実は、常任委員会ではない憲法調査会という、この調査会を設置することになったということも聞いております。
この基本的な認識からいたしますと、日本国憲法九十九条の憲法尊重擁護の義務ということに対して、一体実施状況はどうなっているかということを調査するということこそ命題であると申し上げねばなりません。現実は、自衛隊のイラク派兵に象徴されるように、これまで政府自身が自衛隊を合憲的存在とするために課してきた専守防衛や文民統制や武器輸出禁止三原則などなどの諸原則が次々と破られ、あるいは破られようとしております。日米安保共同宣言、新ガイドラインによって日米安保条約が変質をして、その適用範囲が大きく拡大されて、違憲の体制の中で憲法の空洞化が進みつつあるときに、憲法を現実に生かす努力が放棄されたままこの現実に憲法を合わせようという論議ほど本末転倒、主客転倒の議論はございません。
それだけに、四つのテーマ、最高法規としての憲法のあり方に関する調査、安全保障及び国際協力等、そして三つ目には基本的人権の保障、四つ目は統治機構のあり方、それぞれの小委員会での参考人として出席されました各専門家の御意見を承っておりますと、その多くが、改憲よりも日本国憲法の実施に向けた立法、制度、政策の充実整備こそ先決であるという御指摘をいただきました。これは実に適切、示唆に富んだものだというふうに私は思います。
二つ目に申し上げたいのは、さきの年金の問題、国民年金法等の一部を改正する法律、年金積立金管理運用独立行政法人法、この取り扱いの中身などを見ておりますともう端的なんですけれども、国民生活に直接かかわる最重要法案が次々と不十分な審議のままで打ち切られて強行採決されるという審議状況がこの節強まっております。質問予定者の質問が封殺されるということは、国会審議の封殺でもございます。国会軽視も甚だしいというばかりではなく、憲法前文の冒頭にもございます、「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、」とございますこの国民に対して、これほど無視した国会の対応はございません。
この国会に最高法規である憲法の改正を発議する場としての資格が認められるでありましょうか。少なくとも、憲法の改憲の是非を論議する舞台は国会であります。その国会に、国民からの信頼が損なわれていて、しかもこの憲法に対しての論議を国会がしてまいりますときに、国民が果たして支持するということがありましょうか。私は、この点を考えますと、非常に憲法調査の基本的姿勢が問いただされているというふうに考えます。
さて、続いて、憲法調査会の運営上の問題として、三点申し上げます。
一つ目は、当調査会の調査期間はおおむね五年程度を目途とするということに決められております。したがって、調査活動についての報告書を五年目にはまとめるということになるはずでございます。二○〇五年がその年に当たります。この常会を終えれば、恐らく次の常会でこの作業が問題にされるということなのでありましょう。中間報告の場合も、種々そのあり方と方向性について論議された経緯がございますけれども、最終報告書となれば、この討議はさらに私は非常に大事と思います。
その際、当調査会が常任委員会とは異なりまして五十人の調査会として設けられたのは、調査会の中には小会派も委員として出せるように、小会派に対しても配慮されたと聞いております。かつ、当初は幹事に、小会派からオブザーバー幹事も認められていたことも聞いております。
そうであるならば、最終報告書の編集方針についても、小会派も含めて全員討議の場に付して、編集方針、最終報告書の取り扱い方針などについては討議すべきであると思います。
憲法について党派を超えての討議になる、与党も野党もなく、憲法についてこの討論をするということはあくまで尊重するという運営が考えられてきたというふうに聞いておりますから、したがって、今申し上げたことは、これはひとつしっかり受けとめていただきたいと思うのです。
さて、この問題は、一九五七年から作業を開始した内閣の憲法調査会を見ましても、七年目のその最終報告書の作成のためには約一年という年月を要したということがございますので、実にこの点は重要な課題というふうに思います。
二つ目。国民のための憲法でございますから、国民から広く意見を聞くということは大事だと思いますが、五月十二日、十三日、広島での地方公聴会に次いで中央公聴会の場はまた有意義であったと思います。
公募された中から来られた公述人の方々に意見をお尋ねしたところ、この公聴会のありように対しては、憲法調査会の存在が知られていないという現状についても御指摘がありました。したがって、メディアを駆使して発信する必要性や、公募を幅広く募って、多様な市民の意見が反映できる公聴会を幾つか今後も実現してほしい、普通のサラリーマンは月曜日から金曜日まではなかなか休みがとれないから、土曜、日曜、祝日あたりに開催されることが一回、二回あってもよろしいのではないかというふうな御意見も聞かれました。
中央公聴会を一度で終わりにするのではなくて、このような御意見も参考にして、中央公聴会は言うまでもなく、地方での公聴会もその機会を用意することが必要であるというふうに思われます。
最後に三点目を申し上げたいと思いますが、調査会の審議、参考人聴取、自由討論、公聴会、いずれの場合においても、定足数を満たしていて開会されることは当然でございます。国会法の四十九条には、「委員会は、その委員の半数以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない。」とある。特に、衆議院のこの憲法調査会規程十一条では、「憲法調査会は、委員の半数以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない。」ということが決められているわけでございます。
定足数を満たさない討議が認められるというはずはございません。特に、国と国民の政治の基本にかかわる最高法規に対する討議が不熱心であるとのそしりを免れないということにもなります。当委員会の討議の場が定足数を満たさない場面は、ただいままで一度だけではございませんでした。どうして、このようなそしりを受ける状況をそのままにして民主政治や立憲政治の将来に責任が持てるのですかという声を耳にしているということをここで申し上げて、終わりにします。
ありがとうございました。