武正公一の発言 (本会議)

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○武正公一君 民主党・無所属クラブの武正公一です。
 小泉首相の施政方針演説について、総理に質問を行います。(拍手)
 冒頭、きのうの松本議員への再答弁、再々答弁に触れます。
 再答弁で、質問に全部触れている、答弁に不満があることはわかります、委員会でお願いします、再々答弁で、答えています、本会議と委員会は違います、議運で協議してくださいとは、国会軽視も甚だしい、まさに問答無用の態度であります。(拍手)
 首相の言う国論を二分するイラク派遣だからこそ、丁寧な質疑が求められるのではないでしょうか。
 総理は、所信表明演説で憲法前文に触れました。では、憲法第四十一条に何と書いてありますか。国会は、国権の最高機関で、国の唯一の立法機関であると。なぜか。言うまでもなく、国民主権であるから。その代表者が集うのが国会であります。
 私たちは国会で、行政の、内閣のチェックを行います。三権分立であります。行政と国会は、お互い牽制し合うようになっています。本会議や委員会の質疑を通じてであります。それを封じたのであります。許されません。質問権の制約であります。御所見を伺います。(拍手)
 既に予兆はありました。さきの特別国会で、衆議院選挙後にもかかわらず、総理所信表明演説がなかったわけであります。そして、イラクへの自衛隊派遣、その基本計画の閣議決定という時期にもかかわらず、臨時国会開催要求を拒否いたしました。首相には、国会の権威を冒涜したことへの陳謝を求めます。(拍手)
 首相は、三年前、就任時に、国民に痛みをと言いました。私は、この場に初めて立ったとき、国民に痛みをという痛みは、安易に一人一人の国民に求めちゃいけない、痛みを求めるべき相手は、族議員であり、縦割り省庁であり、それにぶら下がっている業界団体、そして特殊法人などであると。今もその気持ちは変わりません。増税、減税取りやめ、そして支給額削減の前に、歳出の見直しです。それが相変わらずできていません。
 日本経済、企業収益の改善は喜ばしいことです。しかし、それら企業収益のかなりの部分が国外で計上されています。企業の収益をあらわす指標は連結ベースであり、日本以外の国で稼いだ金額も加算されることを忘れるべきではありません。日本のマクロの企業業績回復と地方経済の回復は、同じ意味ではないからであります。
 小泉改革の政策が、市場への信頼を高め、市場の厚みを増すことにつながっていないのです。そのためには、民主党が求める縦割り行政の打破が必要なのであります。(拍手)
 質問に入ります。
 雇用政策について伺います。
 この春高校を卒業する高校生の内定率が五〇%を切り、大学生の就職率、これが七三・五%、過去最悪であったこと、昨年十二月、ことし一月、相次いで報じられました。若年者雇用については、職業教育を充実させ、トライアル雇用などの導入が必要であります。
 また、高校の中退者約九万人の過半数は高校一年生です。これは、中学の進路指導に問題があると言えないでしょうか。そして、小中高と、将来どんな職業につくのかということを考えさせる指南役として、ガイダンスカウンセラーが必要です。これは、民主党が法案を提出したものであります。
 ただし、卒業しても、就職して、また再教育を受けて、そして職につく、これには教育政策と雇用政策の連携が必要です。文部科学大臣と厚生労働大臣は連携をと言いますが、縦割り行政の壁が立ちはだかります。六月、経済産業省が主導して四省庁の会合を立ち上げても、前述の就職率のありさまです。また、求職情報を自治体に提供して、自治体の雇用施策に寄与することについても実現できていません。数値目標の設定など、総合的な取り組みには首相の強いリーダーシップが求められますが、御所見を伺います。
 さらに、ハローワークで発表する就職率は約三〇%ですが、就職者を新規求職者で割った数字で、求職者で割ると実際は約六%です。首相の選挙区のある神奈川県、私の住む埼玉県はその半分、約三%台です。求人求職ミスマッチの正直な数字です。これは、国民年金の未納者の割合、これを未納率と言わず、払った人の割合、検認率を発表することと同じ、ごまかしであります。
 雇用労働市場に信頼感をもたらすために、わかりやすさ、透明さが必要です。きのうの答弁で首相は、三年でサービス分野の雇用は二百万人ふえたと言いましたが、再答弁で何と言ったでしょうか。ふえたのは百五十五万人、減ったのは百五十七万人では、ふえた額もサバを読み、結局二万人減ったのであります。これでは雇用労働市場に信頼感は生まれません。正直に国民に伝える努力が必要と考えますが、御所見を伺います。(拍手)
 年金改革について聞きます。
 選挙後ようやく出された厚生労働省案も、担当大臣みずから、長期的な視点に立っていないことを認めたものであります。政府・与党が年末合意した、保険料率一八・三五%への引き上げ、支給額は五〇%を確保、これが抜本改革なのですか。年内に取りまとめるならば、その方向性を示してください。また、支給額五〇%は今後も必ず維持できるんでしょうか、確保できるんでしょうか。御所見を伺います。
 四月から国民年金への国の拠出を二分の一に引き上げる財源は、取りやすいところから取る年金課税、そして働き盛り世代直撃の三兆五千億円に上る定率減税廃止であります。ビジョンが見えません。
 国民の皆さんが怒っているのは、納めた保険料がいいかげんに使われたことです。厚労省の試算では、グリーンピアと住宅融資事業で計一兆三千百億円の損失を出しました。グリーンピア十三施設のうち、地元自治体が買うのは二つで、あとは引き受けてもくれません。この損失の責任は、だれがどうとるんでしょうか、お答えください。特別国会で岡田幹事長が求めた調査報告書を出すべきと考えますが、その考えはありますか。
 国民が不安に思うのが、納めたお金の運用で昨年度末で過去最悪の六兆円の赤字を計上したことです。欧米では、株式運用を控えたり、リスクを分散したり、第三者の専門家に任せています。首相の言う郵政民営化による財政投融資改革の内実が、財務省資金運用部に預けないかわりに各省庁でお金の運用を行うのでは、国民の不安は解消されません。資金運用の透明性と信頼性をどう確保するのか、御所見を伺います。
 介護保険は、昨年四月、改定前に比べ一三・一%保険料率が上がりました。保険料負担を現行の四十歳以上から二十歳以上にしようと政府は検討中とも聞きます。医療保険も二割から三割に上がりました。社会保障保険料の月額換算が年収換算に変わったこともあわせ、年収五百万円の四人家族で約十万円の負担増という試算があります。これに定率減税廃止と年金保険料引き上げが加わります。
 実は、こうした法定福利関連諸制度転換により、事業主負担も増加しています。中小企業経営者が厚生年金保険料などの支払いのため、銀行から融資を受けているという実態を御存じでしょうか。これでは雇用抑制につながりかねません。御所見を伺います。
 民主党案は、基礎年金部分の財源捻出は歳出見直しで可能と、将来、景気が回復すれば全額消費税で賄うことを掲げました。また、歳出削減の具体策として、特殊法人改革、公共事業抑制、国会議員の定数削減、公務員人件費の一〇%削減等を挙げています。
 選挙中、首相は、民主党は役人集団の票を当てにしているから役所の構造改革ができないと言われましたが、民主党は公務員人件費削減を掲げ、自民党はそれに言及をしていません。総理の批判はこの点当たらないと思いますが、御所見を伺います。(拍手)
 昨年十二月二十二日、道路関係四公団民営化推進委員会の田中委員長代理と松田委員が辞任をされました。一昨年の委員会答申を基本的に尊重するとの閣議決定を総理が守らなかったことに対する抗議であります。総理は、基本的に尊重したと言いますが、尊重した部分はどこですか。具体的にお答えください。
 きのうの答弁では、債務は確実に返済と言っていますが、四十兆円以外に債務が拡大するという民営化推進委員会田中委員長代理の指摘をどう受けとめますか。お答えいただきたいと思います。
 民営化委員会は、やっているふりを国民に示すためのポーズだったのでしょうか。民主党は、委員会発足時、行政により強い力を行使できる国家行政組織法のいわゆる三条委員会を求めましたが、政府・与党は、より力の弱い八条委員会にしました。
 当委員会に限らず、行政改革に逆行の一点張りで拒否をし続けていますが、その真の理由は、担当省庁、担当大臣のさじかげんがきかなくなることを、そして族議員の無理を聞けなくなることを恐れてのものではないですか。御所見を伺います。(拍手)
 また、八条委員会といっても、内閣総理大臣への勧告権が設けられました。それを初めて昨年十月二十八日用いて、法律案の中身を委員会にゆとりを持って国交省が提出するように首相の指示を求めたのに、それが来たのは二人の委員が辞任を発表する日の朝、十二月二十二日であったのはなぜですか。なぜもっと前に出せなかったのですか。一昨年半年で三十七回、昨年末までに四十九回の会合を重ねた委員の誠意に対して、余りにも失礼であります。
 結局、一昨年七月発足の与党三百人以上のメンバーによる高速道路建設推進議員連盟の建設ありきではなかったんでしょうか。
 おまけに、二十兆円を削って十・五兆円にしたと胸を張るうちの新直轄方式三兆円分は、最も不採算のDランクからつくるというむちゃくちゃぶりです。コスト削減と言うけれども、非常電話一台二百五十万円などの個別の単価の引き下げは、このコスト削減の計算に含まれているんでしょうか。公団が公正取引委員会から指摘を受けたファミリー企業を初めとする談合体質をどう変えるのか。以上、総理の所見を伺います。(拍手)
 個別路線の建設の判断をする国幹審も、質疑時間は、委員二十名で四十五分間足らずでした。抜本的見直し区間は百四十三キロのみ、それも、つくらないとは言っていない。結局、丸々二千キロ全部つくるなら、なぜ、政権公約、マニフェストに書かなかったのですか。国民をだますことになりませんか。御所見を伺います。(拍手)
 民主党案に触れます。
 道路公団廃止、高速道路原則無料化案は、小泉首相が就任当時盛んに触れ、最近とんと触れなくなった道路特定財源の一般財源化もあわせて盛り込んだものであります。政府にある三十二の特別会計、総額三百七十兆円になるにもかかわらず、各省庁が自由に使える財布として、国会もノーチェックであります。自民党、公明党両党ともこの改革をマニフェストにうたっていますが、どう具体化するんでしょうか。総理は、道路特定財源の一般財源化の旗をおろしたのですか。伺います。
 三位一体改革について伺います。
 総理は、平成十八年度までに四兆円の補助金削減の数値目標を掲げ、十六年度、一兆円の削減をうたいました。しかし、社会保障関係の補助金で一兆円以上の大幅増があり、合計の補助金額は増額しているのではありませんか。合わせて幾ら減ったのか、ふえたのか、明確にお答えいただきたいと思います。
 具体的な項目も、地方にとっては、歳出を削りがたい、使途に自由度のない項目が並んでいます。こうした項目を選んだ理由は何なのでしょうか。
 民主党は、約十八兆円の補助金を削減し、全国知事会も九兆円の補助金廃止を提言しています。四兆円というのは余りにも少ない。補助金削減の数字を見直すつもりはありませんか。
 税源移譲については、約四千二百億円の所得譲与税という暫定措置にとどめています。税源移譲は平成十八年度までにどのような規模を想定しているのですか、お示しください。
 郵政民営化について伺います。
 首相は、この本会議場で、信書便法案、郵政公社化法案提出時に、民営化の一里塚と言い、総務委員会に出席したときは、民営化の第一歩と後退し、政府提出法案も修正に応じました。具体的には、公社の資本金一兆七千億円を十兆円にふやすために内部留保を認める趣旨の改正であります。
 十兆円とは、二百五十兆円の郵貯残高の四%、すなわちBIS規制を守るためであります。もしBIS規制にこだわるなら、一兆七千億円の二十五倍の四十二兆円まで郵貯は縮小すべきではないでしょうか。そして、二〇一〇年初頭のプライマリーバランスを目指すのであれば、内部留保せず、国庫に納付すべきではないでしょうか。
 一方、郵貯、簡保で引き受けている百十兆円の国債は、民営化しても引き受けられるんでしょうか。その判断は、民営化会社の経営者にゆだねられていると考えていいんでしょうか。だとすると、国債を引き受けない可能性もあると思いますが、それで民営化は可能ですか。お答えください。(拍手)
 BSE対策等、危機管理について伺います。
 十九日帰国した調査団報告では、今後、米国においてBSEが発生しないという保証はないとしています。
 民主党は、昨年、通称トレーサビリティー法案が政府から出されたときに、国内消費の六〇%を占める海外産牛肉を含めるべきとして、野党四党共同で輸入牛肉トレーサビリティー法案を提出しましたが、強引に政府案を可決した経緯があります。
 政府が直ちにOIEカテゴリーに準じたBSE表示をすべての牛肉に求め、消費者がみずからの判断で牛肉を買い求めることができるよう改めるべきと考えますが、総理の御所見を伺います。
 また、政府は国民の生命財産等を守ることが最重要課題です。拉致事件、北方領土、救急医療など、枚挙にいとまがありません。しかし、危機管理体制が阪神大震災以来相変わらず変わっていないことをまたもや露呈したのは、SARS対策でありました。問題発生から厚生労働省に連絡が行くまで十六時間かかりました。
 私が成田空港に行ったとき、まだサーモグラフィーはテスト中でした。一人いたお医者さんはアルバイトの大学院生で、その専門は整形外科でした。また、耳ではかる検温計も、売り切れて置いておりませんでした。検疫は厚生労働省、入管は法務省、税関は財務省の所管で、連携がとれていませんでした。
 縦割り行政を打破しなければ危機管理は機能しません。また、現場に判断の決定権があるため、現場が対応できなくなって初めて上部機関の指示を仰ぐような行政の仕組みは、危機管理には不向きであります。見直しについて御所見を伺います。
 信楽高原鉄道の遺族の方々が法案をつくりました。遺族からは、何で事故が起きたのか、なぜ犠牲になったのか知りたい、早く知りたい、そのためにも、犯人捜しではなく、原因究明、再発防止のための強い調査権限を持った組織が必要であるという内容です。御所見を伺います。
 電子政府について伺います。
 世界最先端のIT国家と首相は胸を張りますが、世界における日本の電子政府の位置づけは、国連で十八位、アクセンチュアで第十五位です。その理由として、日本は、利用者サイド、国民サイドの視点よりも供給者サイド、政府サイドの視点が先行しているからとのことです。
 また、e—Japan戦略2には、行政の効率化という言葉はありますが、行政改革という言葉はありません。ITには、国、地方合わせて三兆円の巨費が投ぜられています。その入札、受注のあり方も問われています。さらに、IT化により、公務員人件費が一・四兆円、建設関係経費が一・三兆円削減できるとの試算もあります。
 あくまでも電子政府化は利用者の利便性を中心に考えること、行政改革の視点を盛り込むことについて、総理の御所見を伺います。
 国会議員になって驚いたことは、私たち国会議員一人一人に国政調査権がなく、両院に、そして委員会にあるとの解釈です。だから、委員会で多数決をしなければ国政調査権は行使できないとのことです。そこで、ある自民党の若手の議員が情報公開法で役所に資料請求をしているという記事が新聞に載りました。行政が、求める情報を国会に提供しないからであります。
 これを打破するためにも、国会法百四条の見直しとともに、司法制度改革は必要であります。三権分立を働かせるため、裁判員制度導入に当たって、裁判員数は裁判官一人に対して十名前後とすべきというのが民主党案です。国民参加を進めるためです。御所見を伺います。
 また、情報公開法を改正して、国民の知る権利を入れることの御所見を伺います。
 さらに、さきの選挙はマニフェスト選挙、政権選択選挙とされました。総理は、政権交代の必要性を制度上認められますか。また、イギリスは、野党、影の内閣の報道を政府・与党と同程度に割くという暗黙の了解があるそうです。御所見を伺います。
 規制改革に対する総理の意気込みについて伺います。
 政府の総合規制改革会議の位置づけは、第三次答申が出されて以降、今後どうなるのでしょうか。また、規制改革に対する意気込みについて総理の答弁を求めます。
 環境政策について伺います。
 京都議定書の早期発効を、ロシアへ働きかけが必要であります。また、EU等と連携を図り、アメリカに対しても強い働きかけが必要ではないかと考えます。御所見を伺います。
 民主党では、百年間で三度上がった大都市の気温、東京の気温を三十年で三度下げる方策を講じるという提案をまとめました。数値目標とともに、関係省庁挙げての取り組みが必要です。御所見を伺います。
 目指すべきは、世界、そして近隣アジア諸国から信頼される日本、日本スタンダードの確立。信なくば立たず。国民が信頼するために首相は説明責任を果たすことを求め、質問を終わります。果たさなければ、本会議のルールにのっとり、以上の質問に関連のある問題について再質問させていただくことを申し上げ、以上で質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕

発言情報

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発言者: 武正公一

speaker_id: 18971

日付: 2004-01-22

院: 衆議院

会議名: 本会議