吉岡吉典の発言 (憲法調査会)

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○吉岡吉典君 日本共産党の吉岡です。
 平和と安全保障という問題について我々が大局的に誤らないためには、第一に、歴史的展望の中でこの問題を考えることが重要だと考えます。世界の歴史は戦争の歴史であったとともに、多くの先人たちが戦争を防止し、戦争のない世界を目指して努力し続けてきた歴史でもありました。私たちは、その戦争のない世界を目指す努力の到達点を受け継ぎ、発展させる見地に立つべきであります。
 私たちは、戦争史上最も大きな悲惨をもたらした二つの世界大戦の教訓を生かした国連憲章と、それを一層発展させたものと評価される日本国憲法を基本とすべきだと考えます。もう少し突っ込んで言えば、国連憲章に規定された平和の国際秩序を擁護し、この秩序を破壊するいかなる覇権主義的な企てにも反対するということであります。言うまでもなく、これは現行憲法を守ることを前提としたものであります。
 戦後、確かに国連は、米ソ対決の冷戦激化でその目指した機能を発揮できませんでした。しかし、ソ連崩壊、ワルシャワ条約機構解体による米ソ対決の解消によって国連への期待が強まったことは、一九九一年のロンドン・サミットの政治宣言が、今や国際連合にとって、その創立者の公約と理想を完全に実現するための条件が整っているものと信ずると宣言したことによっても証明されております。その点からいって、米英のイラク戦争をアナン国連事務総長が、昨年九月、国連総会で、過去五十八年間、世界の平和と安定が依拠してきた原則に対する根本的挑戦によって、国連が創立された一九四五年に勝るとも劣らない決定的な時期、岐路に立っていると警告したことは極めて重大です。世界各国は、国連の平和のルールを守るためにこそ行動すべきであると考えます。
 アナン事務総長は、最近も、安全保障理事会も国連も戦争を承認しなかった、イラク戦争や開戦の決定は米国と英国が主導する一部の加盟国によって行われたと述べております。
 日本は今、世界の歴史的到達点である国連憲章の平和の国際秩序を守る立場に立って努力するか、国連無力論を唱え、国連に挑戦する有志連合に走るかの選択を迫られております。
 次に、日本国憲法を、占領下強制された憲法、特殊な憲法のようにみなして、これを改定しようとする議論についてです。
 私どもは、これは歴史的な憲法の流れを無視した議論だと考えます。戦争のない世界を目指す歴史的な努力を振り返ってみれば、そのことははっきりします。
 この分野で学者の研究によれば、世界で初めて戦争放棄を憲法上明記したのは、二百十数年前のフランス革命のとき作られた一七九一年のフランス憲法であります。一八九一年のブラジル憲法にも征服の戦争を禁止しております。
 第一次世界大戦後、国際連盟の下、戦争違法化、犯罪化、二国間、多国間の安全取決めが進む中で、一九二八年には不戦条約の締結となります。この不戦条約を受けて、スペイン憲法、フィリピン憲法などに戦争放棄条項が盛り込まれました。
 第二次世界大戦後、戦争の違法化を武力行使禁止へと発展させた国連憲章の下で日本国憲法の制定となり、一九四九年にはコスタリカの憲法、またビルマ憲法など、戦争放棄の条項を盛った憲法が制定され、今日、それは十か国を超え、小国ではありますが、軍隊を持たない国が十七か国にも広がったという研究論文もあります。
 こういう世界の流れの中で日本国憲法も制定されたのであります。押し付け憲法であるように言うのはとんでもない一面的な見方であります。
 反対に、今、日本国憲法は、二十一世紀を平和で戦争のない世紀としようとする人々への導きの星ともなっております。これを守り抜くことへの世界の期待が強まっており、私どもはこれにこたえたいと思っております。
 第二に私が強調したいことは、世界の中で日本を見ること、一面的にならないよう多面的な見地に立って我が国の現状を見るということであります。
 戦後初めて戦争継続中のイラクに自衛隊を派遣したこと、さらに今、憲法改定の大論議がされていることについても、ブッシュ政権を始め歓迎する世界と、かつて日本に侵略された歴史的体験を持つアジアを中心として、歓迎しないどころか不安と警戒を強めている国もあります。日本はあの戦争の責任者も不明だという国会答弁がある状況で、アジアでは、戦争の真の清算がない国とみなされております。その日本の軍隊が再び海外に出兵するようになることへの強い危惧があります。これを無視した外交政策、安全保障政策は取るべきではないと思います。
 最近の議論にも現れている、自衛隊派遣抜きの国際協力、国際協調はあり得ないとする議論も、人々を誤らせる一面的な議論だと思います。日本が国際的に協力できる分野は、政治、経済、人的協力など、各分野にわたって多面的なものがあります。自衛隊派遣だけが国際的貢献ではありません。自衛隊派遣による国際貢献は、イラクへの自衛隊派遣が国連への挑戦と言われるアメリカの武力支配への支援とならざるを得ないことから、国際的にも強い反対、批判があることを、特に中東諸国との長年の良好な関係を壊しかねないことへの不安も重視しなければなりません。
 そして、アメリカの著名な人々も含めて世界的に広がっている、日本は憲法第九条を持つ国にふさわしい国際貢献を行うようにと望む声があることを重視しなければならないと考えます。世界の声が分かれているとき、我々が依拠すべきは、長期的展望に立ってどの声が歴史の進歩と二十一世紀の平和を固めるのに役立つかということを基本にすべきだと思います。
 小泉首相の下で一段と活発になった集団自衛権容認論に反対であることも言及しておかなければなりません。集団自衛権というのは実際は武力の乱用の歴史であったことも参考人の意見陳述で明らかになりました。国連の集団安全保障の例外として、日本が武力攻撃を受けておらず、また攻撃を受けていない下で自衛隊を派遣、派兵するということは他国防衛のための派兵にほかならず、我々の選択の対象にはならないと私は考えます。
 最後に、議論の対象にはなりませんでしたが、非同盟諸国会議について一言しておきます。
 冷戦下、日本は日米安保条約を締結してアメリカを中心とする軍事ブロック網の一翼を担いましたが、この時期、いずれの軍事ブロックにも加わらず、平和、中立、非同盟を目指す運動が広がりました。
 今日、非同盟諸国会議は百十四か国が参加して、アメリカの一極支配打破、国連の民主的改革、発展途上国の経済の擁護、核兵器廃絶などの諸課題を掲げて世界政治を動かす力になっております。アジアで非同盟諸国会議のメンバーでないのは、オブザーバーの中国と日本、韓国だけであります。
 以上の結論として、日本共産党は、日米安保条約を廃棄し、安保条約をなくして、日本がアメリカを始めすべての国との対等、友好の関係を結び、非同盟諸国に参加して平和、中立、非同盟の道を進むことを提起しております。
 以上です。

発言情報

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発言者: 吉岡吉典

speaker_id: 4589

日付: 2004-04-07

院: 参議院

会議名: 憲法調査会