山口那津男の発言 (憲法調査会)

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○山口那津男君 公明党の山口那津男です。
 前回、集団的自衛権をめぐる、行使をさせないという政府の解釈、これをにわかに変える必要はないという理由を三つ述べました。法的安定性があるということ、国益を失うということが明白ではないということ、また変更すべき情勢変化はないということを主張したわけであります。
 これに関連するものとして何点か述べたいと思います。
 この九条というのは、元々政府の行為を制限するという趣旨の規範であります。せんじ詰めれば、その核心は他国の領域での武力行使を禁じることにあると思います。その理由は、人的、物的損失が非人道的であるということはもちろんでありますけれども、我が国においても国益を著しく失うという点があるからでありまして、これは国連憲章が戦争を違法化していることと軌を一にするものと思います。そして、その例外として論じられる点を何点か指摘いたします。
 この原則の例外として、他国の領域で武力行使が認められることも観念的にあり得ると、そういう主張もあるわけでありますが、これを安易に運用可能な制度とすることは厳に慎むべきであると考えます。自己保存のための武器使用は許されているわけでありますけれども、これが政府の行為として武力の行使になっていくということは、国際社会の承認がない限り独り歩きしないように制度的な保障を確保していくことが重要だと思います。
 また、武力行使との一体的な行為は許されないという政府の解釈があります。これは確かにそれ自体武力行使ではないとしても、それが武力行使と一体的になされる限り武力行使と同じ評価を受けるということは当然のことだろうと思います。しかし、これもつぶさにその行為の許される、許されないの限界を画することはなかなか技術的にも解釈的にも難しいわけでありまして、そこで政府はそれ以後、この解釈を主張した以後、その限界と思われる部分よりももう一歩外側に一つのゾーンを設けて、そしてそれの外枠で行動をするという立法をしてきているわけでありまして、これは賢明な立法の在り方だと思っております。
 それからもう一点、公空、公海での武力行使というものは現行の解釈上も必ずしも禁止はされておりません。しかし、これも無限定に許されるというものではありません。集団的自衛権の行使を認めないということによって一定の制限が課されているわけでありまして、この憲法上の解釈を変えるということはやはりその限界が憲法上なくなるということを意味するわけでありまして、その点も注意深く考える必要があると思うわけであります。
 憲法は、制限規範であるということから一定の歯止め機能を持っているわけであります。これを憲法上フリーにして法律にゆだねるという在り方を取りますと、多数決のレベルを低くして、より可変的なものにするということになるわけであります。しかし、私は、国会の中での多数決で物事を決めるのではなくて、国民、民意の多数というものも重ねる、そういう意思決定の在り方が望ましいと思っております。
 最後に、内閣法制局の役割でありますが、事実上我が国の有権解釈を実質的に行うただ一つの機関であると、こう思っております。そして、長年安定した解釈を取ってきたということは、行政府そのものを拘束しているわけであります。この憲法解釈を司法権に求めようとしても、今の司法制度の下では事件性の限界、あるいはこれがよしんば訴訟になり得たとしても、統治行為の限界によって司法権の憲法解釈は示されにくいものと思われます。
 また、立法府の役割を考えた場合に、単なる決議をする、法律を作るというレベルではこれは多数決のレベルを落とすものでありまして、現に憲法はこの改正手続という立法府の関与を既にビルトインしているわけであります。
 したがいまして、私は、この憲法の手続の在り方、また規範の重要性を考えて、この集団的自衛権の従来の政府解釈をにわかに変更するべきではないということを補足させていただきたいと思います。
 終わります。

発言情報

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発言者: 山口那津男

speaker_id: 1759

日付: 2004-04-07

院: 参議院

会議名: 憲法調査会