小泉純一郎の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 西山議員にお答えいたします。
自衛隊のイラク派遣についてでございますが、自衛隊は、戦争に行くのではありません、イラクの復興支援に赴くのであります。反対の立場を取る方の多くは、自衛隊がイラクで戦闘に巻き込まれたり、あるいはテロの襲撃を受けるのではないかという、そういうことを心配されているのだと思います。そういうことのないように、政府としては万全の対応をしていきたいと思います。
今後とも、このような政府の方針というものを国民の多くの方々に理解いただけるように、国会審議等その他あらゆる機会を通じて、私も国民に対して、このような立場、方針を理解していただくよう努力してまいりたいと思います。
イラクの大量破壊兵器問題でございますが、イラクはかつて実際に大量破壊兵器を使用しており、その後も大量破壊兵器の廃棄を立証しておりません。米国等によるイラクに対する武力行使は、安保理決議に基づき、イラクの武装解除等の実施を確保し、その地域の平和と安定を回復するための措置として行われたものであり、国連憲章にのっとったものであります。我が国がこれを支持したことは正しかったと考えております。
現在、イラク監視グループが引き続きイラクの大量破壊兵器を捜索しており、我が国としてもこれを注視していく考えであります。
国際協調に対する認識でございますが、イラク国民が自国の再建に希望を持って努力することができるように、日本としても国際社会の一員としてできるだけの協力をしていきたいと思います。
こういうことにつきましては、私は、アメリカのみならず、各国、国際社会と協力してやっていくことが重要でありまして、このイラクの復興につきましては、イラクが安定した民主的な政権を作るということは、日本の国家利益にとりましても、世界の平和と安定にとりましても、極めて重要なことでありまして、こういうことによって日本が国際的に社会から孤立するということではなく、むしろ国際協調体制を口だけでなく行動で示すことになるのではないでしょうか。
イラク復興支援における国連の役割とイラクへの統治権限移譲についてでございますが、私は、イラク復興支援については、国連の役割というものは十分になされるべきだと考えております。また、我が国は、政治プロセスが着実に進展し、イラク人による新しい政府が樹立され、統治権限の早期移譲が実現するように期待しております。
今後とも、このような考えに基づきまして、関係国や国連へ働き掛け等を行ってまいります。
イラクにおける米英等による暫定的な施政は国連安保理決議一四八三に従って行われておりまして、不法、不当な占領であるという指摘は当たらないと考えます。
安全確保支援活動の実施についてでございますが、自衛隊の部隊は人道復興支援活動を中心にするという方針の下に、人道復興支援活動を行う区域に限って、復興支援活動に支障を及ぼさない範囲で医療や輸送、修理又は整備、補給といった安全確保支援活動を行うこととしております。人道復興支援活動にせよ、安全確保支援活動にせよ、イラク特措法に基づく自衛隊の活動は、非戦闘地域においてイラクの再建を支援するために行われるものでありまして、御指摘は当たらないと思います。
自衛隊の活動と憲法の禁ずる武力行使との関係ですが、自衛隊は戦争に参加するんではありませんし、武力行使をするために行くわけではありませんということは先ほど申し上げたとおりであります。自衛隊が行う安全確保支援の活動も、国連安保理決議第一四八三において、国連は加盟国に協力を呼び掛けております。人道復興支援を行う地域において、また人道復興支援に支障のない範囲でそのような活動を行うことが私はあり得ると考えております。
いずれにせよ、自衛隊は占領軍の一員として行動するというようなことはなく、憲法違反との御指摘は当たりません。
イラク内の米英の存在が人道復興支援の障害になっているのではないかというお尋ねであります。
イラクにおいて、フセイン政権の残存勢力や国外から流入していると見られるイスラム過激主義者がイラク国内を混乱させ、イラク人による民主的な政府樹立を妨げる目的でテロ活動をしていると見られております。現在も、米英軍に対する攻撃だけではありません。イラク人に対してもテロリストは攻撃を加えております。
テロはイラク国民や国連など人道復興支援に尽力する人々に向けられているということは、テロリストにとってはイラクを何とかテロリストの温床にしたいという思惑もあるのではないかと思います。こういう思惑に乗ってはならないと私は思っております。今後とも、テロに屈することなく、イラクの再建に向けたイラク国民の努力を支援していくことが、日本としても国際社会の一員として必要だと私は考えます。
イラクの自衛隊派遣は憲法違反ではないかということでありますが、私は、これは先ほども申し上げたように、憲法九条には違反しません。第一、国権の発動たる武力行使と、自らの身を守るために使用する武器使用というものとは違うと思っております。そういうことから、私は、このイラク支援、自衛隊派遣は憲法九条に違反するとは思っておりませんし、むしろ、復興支援に赴く今回の自衛隊のイラク派遣は憲法前文の掲げる理念に沿うものであると考えております。
小泉内閣の経済運営についてでございますが、日本経済はようやく企業収益が改善してきており、設備投資も増加しております。倒産件数は減少しております。国主導の財政出動に頼らなくても、民需が主導する形で着実に回復傾向に入ってきたなと私は感じております。さらに、不良債権処理の進展も着実に進んでおります。動き出した構造改革特区、最低資本金特例を利用した起業の活発化など、多くの国民の努力によって改革の成果は着実に現れてきたなと思います。これまでの改革の成果を地域中小企業や生活の現場にも浸透させるとともに、引き続き改革を進めて、民間需要主導の持続的な経済成長の実現を図ってまいります。
年金保険料と給付水準についてでございますが、今回の年金制度改革案は、将来の負担が過大とならないよう極力抑制して、その上限を国民に明らかにするとともに、標準的な年金の世帯で少なくとも現役世代の平均収入の五〇%の給付水準を維持しつつ、急速な少子高齢化が進行する中で、年金を支える力と給付の均衡を取ることのできる仕組みに転換するものであります。これによって年金制度の持続可能性が高まることで、安心できる年金制度となると考えております。
自営業者の年金でございますが、御質問では年金額が二割引き下げられるかのような御発言をされましたが、今回の改革では、受給者共通に賃金、物価が伸びていく中で、名目額は確保しながら、時間を掛けて給付水準の調整を行うこととしており、年金受給者の生活にも十分配慮した調整の仕組みとなっております。
基礎年金の国庫負担割合の引上げ、また最低保障年金制度でございますが、基礎年金に対する国庫負担割合については、平成二十一年度までに二分の一に引き上げることとし、平成十六年度からその引上げに着手するなど、その道筋を明らかにする改革案を取りまとめたところであります。
共産党の提案する税財源と事業主負担のみで賄う最低保障年金制度については、自律自助という社会保険のメリットを放棄するとともに、年金給付と生活保護との関係をどう整理するのか、また巨額の税財源というものをどう賄うのかという大きな問題があると私は考えます。基礎年金の費用は高齢化の進展に伴い増大していくことから、これに見合う安定した財源を税制改革により確保していかなければならないと思います。
なお、共産党は、基礎年金の国庫負担の財源として歳出削減を挙げておりますが、同時に、大量に国債発行をするなということも提唱されていると思います。私は、現在の財政状況の中では歳出削減分は国債発行額の縮減に充てた方がいいのではないかと考えております。
リストラを抑制すべきだというお尋ねでございますが、政府としては、様々な政策手段により雇用の創出、維持、確保に努めるとともに、離職を余儀なくされた方に対する早期再就職の支援を推進するなど、雇用対策に全力を挙げてまいります。
年金積立金についてでございますが、今回の年金制度改正案では、既に生まれている世代がおおむね年金受給を終える百年程度の期間について、給付と負担の均衡を図ることとし、おおむね百年後に積立金の水準を給付費の一年分程度に抑制する財政計画となっております。
消費税についてでございますが、政府としては、国民の将来不安を払拭し、公正で活力ある経済社会を実現するため、与党大綱を踏まえ、社会保障制度の見直しや三位一体の改革と併せ、経済社会の動向を勘案しながら、中長期的視点に立って税制の抜本的改革に取り組んでまいります。
私は、その一環として、消費税を私の首相在任中に上げる環境にはないと見ております。だからこそ、私の在任中は消費税を上げる必要はないし、私はその考えはない。しかし、消費税という税というものはどうあるべきかについて議論を妨げる意思は全くありません。どういう税制改革が必要という中で消費税の議論が行われることは当然のことであり、このことについては大いに議論していただきたいと考えております。
中小企業予算と資金繰り円滑化借換保証制度についてでございますが、中小企業予算につきましては、厳しい財政事情の中にあって増額しております。千七百三十八億円を計上しております。金融セーフティーネット対策、再生支援策、新たな事業に挑戦する中小企業支援策などに重点化し、今後とも中小企業を支援してまいります。
資金繰り円滑化借換保証制度については、昨年二月の創設時から現在までに三十四万件、総額五兆円の保証実績を上げております。中小企業の資金繰りの円滑化に大きな成果を上げておりますので、来年度も本制度を円滑に実施していく予定であります。
消費税の免税点の引下げでございますが、消費税の免税点の引下げは、消費税に対する国民の信頼や制度の透明性を向上させる観点から行ったものであり、着実に実施することが必要であると考えます。
金融検査に当たりましては、信用秩序の維持、預金者保護等の観点から、すべての預金等受入れ金融機関に対し共通の会計基準やルールに基づき検証を行っており、足利銀行に対してだけ従来のやり方と異なる格段に厳しい検査を行った事実はございません。
また、金融検査においては、中小企業の経営実態を十分に勘案し、財務内容のみならず、業種の特性や代表者の資産内容等について十分に配慮しており、中小企業に対する貸し渋り、貸しはがしを招くものではないと考えております。
なお、地域における金融の円滑化は極めて重要でありますが、地域金融活性化法案は、基本的に自主的な経営判断にゆだねるべき多様な金融機関の業務を都道府県が画一的な基準に基づいて評価し公表するものであり、問題があるのではないかと考えます。
農政についてでございますが、やる気と能力のある経営の支援など、競争力強化に向け積極的な農政改革に取り組んでいるところでありまして、食料・農業・農村基本計画もこの方向に沿って見直しを進めてまいります。
ミニマムアクセスにつきましては、ウルグアイ・ラウンド交渉の中で、すべての加盟国の合意の下に設定されたものであり、それ自体の撤廃は困難ではないかと考えております。
BSEについては、米国産牛肉の輸入再開の検討に当たりましては、消費者の安全、安心の確保の観点から、国産牛肉について講じているBSE全頭検査及び特定危険部位の除去と同等の対策が必要と考えております。また、輸入の停止により経済的影響を受ける中小企業者に対する金融措置を講じており、今後とも適切に対応してまいります。
半年前の卵が販売された件でございますが、本件については、京都府が本年一月二十日、食品衛生法違反として、卵生産業者に対し七日間の営業停止処分とし、厳正に対処したところであります。
食品の製造日表示の義務付けについてでございますが、食品の安全性を確保するためには、現在、食品衛生法に基づき、欧米と同様に、食品を安全に摂取できる期限の表示を既に義務付けております。製造日の表示については、必要はないと考えております。
長時間労働やサービス残業の問題ですが、これらの是正等が若者の雇用の拡大にどの程度つながるかは単純に推し量れるとは思いませんが、ゆとりある国民生活を実現するため、政府としては引き続き、いわゆるサービス残業の解消に努めるとともに、所定外労働時間の削減や年次有給休暇の取得促進を通じた労働時間の短縮に取り組んでまいります。
乳幼児医療無料化についてでございますが、医療費は受診者に一定の負担をいただくのが原則であります。
なお、少子化対策の重要性にかんがみまして、平成十四年十月より、三歳未満の乳幼児に対する一部負担を三割負担から二割負担に引き下げたところでございます。
保育所の待機児童についてでございますが、待機児童問題の解消を図るため、政府としては、平成十三年当時の待機児童数を前提として待機児童ゼロ作戦の目標を掲げまして、平成十四年度から平成十六年度まで毎年度五万人の受入れ児童数の増大を図ることとし、これを現在、着実に実施しております。平成十五年四月現在で、なお約二万六千人の待機児童が存在しておりますが、政府としては、待機児童解消のため、保育所の整備など更なる施策の推進を図ることとしているところであります。
なお、公立保育所につきましては、地方自治体が自らその責任に基づいて設置していることにかんがみ、その運営費を一般財源化することといたしましたが、引き続き、保育所の公設民営を推進するなど、質の高いサービスが効率的に提供されるよう努めてまいります。
女性労働者及びパートタイム労働者についてでございますが、女性が性別により差別されることのない雇用環境を整備するため、男女雇用機会均等法に基づき適切な指導を行うとともに、事実上の格差を解消するための企業の積極的な取組を支援してまいります。
また、パートタイム労働者については、改正パートタイム労働指針により、正社員との均衡処遇の確保に努めてまいります。
衆議院選挙における選挙違反についてでございますが、さきの総選挙に関し現職の衆議院議員が公選法違反容疑で逮捕されるなど、政治の信頼を揺るがす一連の選挙違反事件が起きたことは、誠に遺憾であります。司法当局によりまして、事実の解明を見守ってまいります。政治に対する信頼を回復するためにも、政治家一人一人が襟を正していかなければならないと思います。今後とも、政治改革を更に進めてまいりたいと思います。
政党交付金を廃止すべきということでございますが、民主主義のコストというものをどのように負担していくか、政党の政治活動の経費の一部を国民全体で負担していこうということで政党助成金が設けられたと思います。政党の政治活動の経費を政党助成金のような公費、献金、あるいは政党自体の事業収入のいずれかに頼るべきかというのは、それぞれの党の事情があると思います。どれがいいか、どれにするべきか、それぞれの党の事情もありますので、各党においてよく議論していただきたいと考えます。
政党交付金の総額については、国勢調査により確定された人口数に二百五十円を乗じた額と法定されておりまして、平成十六年度予算案においては約三百十七億円が計上されております。
企業・団体献金についてお尋ねでございますが、企業・団体献金は政党に対する支援活動として過去の最高裁判決でも認められております。
いずれにしても、政治資金の透明性を確保しながら、どのような政治資金を提供するか、また政党が受けるかということについては幅広い国民の理解が必要でありますし、各党間で今後とも十分な議論を深めていただきたいと思います。
お互い民主主義をいかに健全に発展させていくか、それぞれが、国民がどのようにそのコストを提供するべきかについては更なる議論を皆さんの間で、各党各会派の間で真剣に議論をしていただきたいと思っております。(拍手)