小川勝也の発言 (本会議)

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○小川勝也君 私は、民主党・新緑風会を代表し、総理の施政方針演説に対し、質問をいたします。
 総理の施政方針演説を聞くのも三度目となりました。相変わらず改革という言葉をちりばめながら、国民に力強く訴える総理の政治家としてのすばらしいアピール力に心から敬意を表させていただきます。しかし、残念ながら、総理がこの国をどんな国にしたいのか、総理の話される改革の先にどんな暮らしや未来があるのか、私には全く理解することができません。国民も、総理のアピール力と結果のギャップを認識し、厳しい視線で小泉内閣を見詰め、真の改革を実現するために、新たな政権の担い手を真剣に模索し始めています。
 第二次世界大戦が終わり、今年で五十九回目の新年を迎えました。イラクへの自衛隊派遣、回復の兆しが見えない経済、将来を見通せない不安、我が国にとって戦後五十九回目の新年、そして小泉内閣が誕生して三回目の新年は、希望に満ちた新年というよりも閉塞感が漂う新年だったのではないでしょうか。
 まず、財政と景気の問題からお伺いいたします。
 平成十六年度予算編成では、歳出削減の跡は見られるものの、来年度の公債発行額は三十六兆五千九百億円となり、過去最高となっております。総理及び谷垣財務大臣は、二〇一〇年代初頭には基礎的財政収支を黒字化にすることを目指すとして、順調なスタートを切れたと自負しているようであります。
 しかしながら、財務省によると、二〇〇七年度には新規国債発行額が四十二兆八千億円になるとの試算をまとめ、さらにデフレ脱却が遅れた場合、二〇〇七年度には国債発行額が税収を超えると試算しています。更にデフレが続き、長期金利の上昇が重なった場合には、二〇一七年度末には総国債発行残高が九百兆円にも上るとの見方がございます。
 財政規律にはひときわ厳しい見方をしておられ、かつて国債発行額を三十兆円に抑えると公約をしておられました総理に伺います。
 日本の国債が国際的に厳しい評価を受ける中で、これ以上の国債の積み増しを余儀なくされるような財政運営が、綱渡りの財政運営と呼ばれているように、大変危険な姿が予測されています。このような状況が我が国や日本国債、さらには円の信用にどのような影響を与えかねないと認識しているのか、総理の御所見をお伺いいたします。
 先ほどの試算にもあるように、短中期的な財政上の課題としてデフレからの脱却、税収増につながる景気対策は不可欠だと考えます。しかるに、十五年度補正予算には、いずれの分野においても効果的な対策は盛り込まれておりません。このような効果のない補正予算、そして大変厳しい財政予測の中、二〇一〇年代初頭に目指すとされている基礎的財政収支を黒字化とする目標を本当に実現できるのか、その根拠をお伺いいたします。
 デフレについても、ここ数年定着した感があるので、かつてのようにデフレ対策、デフレの克服という文言を目にすることが減ったように思いますが、変わることなく大変重要なテーマだと認識しています。政府にはデフレ克服のための施策があるのか、デフレ克服のその時期がいつかという見通しをお伺いしたいと思います。
 次に、雇用について伺います。
 近年、雇用の情勢と雇用の実態が大きく変化し続けています。かつて日本は農業国でした。農村から都市の工場へ労働力が移動し、さらに雇用の大きな受皿であった工場の多くが生産拠点を海外に移しました。そのほかにも終身雇用制、年功序列型の雇用体系が薄れていく中で、能力給の導入などによる実力主義も浸透してまいりました。企業は先を争うかのように、人件費を削減すべく、コンピューター化、社内業務のアウトソーシング、さらに、不景気を理由にリストラが進み、正規職員を減らし、派遣社員、パート、契約社員、アルバイトなどで補充する動きが広がっています。
 衆議院本会議でも議論になりましたように、雇用が増えるということは、創出される職場の数がリストラなどで減っていく正規雇用者の数を上回るということなのです。更に申し上げると、日々倒産する企業、リストラされる人をしのぐ雇用創出がなければ雇用の絶対数は増えないのであります。
 このように、大きく情勢が変化していく中での厳しい雇用状況を本当に総理は御認識をされているのか、総理にお伺いをいたします。
 現下の厳しい経済不況下において、高いスキルや特殊なスキルがある人に対する求人はあるかもしれませんが、それ以外の人たちにとって新たな仕事を見付けるのは容易ではありません。更に深刻な社会問題となっているのは若年層の雇用状況です。
 かつて日本は終身雇用型の社会であり、多くの企業が中学、高校や大学から来る真っ更な新入社員に長期の比較的安定した雇用を保障し、会社にふさわしい人材に育て上げるため、能力開発や配置転換を企業内で行ってきました。しかし、こうした長期安定的な日本型終身雇用制が崩れ、先行き不透明な時代となった現在、大企業といえども、二、三年を待たずに途中で辞めてしまう新人教育に十分なコストを掛けることができなくなっています。
 今や、いわゆるフリーターと呼ばれる若者が二百万人とも四百万人とも言われています。更に付け加えれば、若年層の完全失業率は高年齢層同様高い状況にありますが、求職活動をしていない若者が失業者にカウントされていないことは言うまでもありません。
 日本の将来を担う若者が自分の職業や人生のイメージを抱くことのできない社会、自らのキャリアを磨くチャンスのない社会が豊かであるはずはありません。今、政府が本気で雇用を作り出し、職業教育や能力開発システムの抜本改革を図らなければ、この国は根底から大きく変質することになるでしょう。教育、保育、福祉、環境、食の安全などの分野で思い切った雇用創出をするべきではないでしょうか。総理はいかがお考えでしょうか。
 不安定なフリーターの人たちにも国民年金に加入する義務があります。この中には当然未払の人たちもいます。政府は、この人たちから、若者に人気がある有名女優をポスターに起用し、ほほ笑み掛け、更に取立てを厳しくするとの方針を固めています。政府の失政で安定した職に就けない若者に何てむごい仕打ちをするのでしょうか。さらに、政府を信用せず、高い収入があるにもかかわらず払わない人たちも増えています。我が国の年金制度は完全に破綻しています。小手先の数字合わせでその場しのぎの愚を犯してよいわけはありません。
   〔議長退席、副議長着席〕
 基礎的な部分を間接税で賄い、だれもが給付を受けられる、安心できる新たな年金制度に抜本的な改革をするべきではないでしょうか。総理の答弁を求めます。
 総理は選挙などで全国各地を回られております。人が大勢集まるところには多く出掛けられているでしょうが、地方都市のシャッターが下りた商店街や、かつてにぎわった盛り場を歩いたことがありますか。
 私は、新年に当たり、ある経済人の方に二〇〇四年、今年の景気動向について話を伺いました。その方は簡潔に私に示してくれました。東京が勝ち地方が負ける、大企業が勝ち中小企業が負ける、零細企業は生きていくだけだ。
 総理は、様々な経済指標を用いて景気が上向いていると指摘していますが、東京以外の地ではほとんど実感が伴わないのではないでしょうか。東京が景気の牽引車となり地方を引っ張っていく、それが望ましい日本経済の姿だと考えます。
 しかし、現状では、東京は地方を牽引せず、地方は自治体財政の悪化と相まって大変苦しい状況の中にあります。かつて国土の均衡ある発展という言葉がもてはやされました。それは、社会資本の整備を誘導するための方便だったとしか思えない有様です。
 総理は、東京と地方との格差の広がりをどのように認識しておられますか。東京だけ元気であればそれでいいと思っているはずはありません。私は、地域経済の発展なくして日本経済の安定なしと申し上げたい。総理の御認識をお伺いいたします。
 総理は、中小企業中心の地域経済をどのように活性化するおつもりかをお伺いいたします。
 さらに、地域経済や中小企業が元気にならない理由があります。総理は、不良債権処理は着実に進んでおるとしておられますが、金融機関は融資を拡大するどころか、むしろ資金の回収を進めています。この五年間、銀行貸出しは五百二十兆円から三百九十兆円にと百三十兆円減り、小泉内閣直前から見ても六十兆円も減っています。端的に言いまして、地方経済に流れている資金量は大幅に収縮しています。これでは間接金融に頼らざるを得ない中小企業が活性化するはずはありません。
 まず大事なことは、不良債権比率の数字を下げることだけしか考えない金融行政を改め、金融機関が前向きな融資を拡大することができる、すなわちお金を貸せる銀行を作る金融行政に転換すべきではないでしょうか。とりわけ、メガバンクよりも地域金融機関の方が問題は深刻です。ペイオフが完全に解禁される来年四月までに地域金融機関の健全化を急ぐべきではないでしょうか。総理の御認識を伺います。
 さらに、地域金融機関の評価については、世界を舞台に活動する都市銀行とはその役割が大きく異なることにかんがみ、自己資本比率だけではなく、地域経済にどれだけ貢献しているかという視点も必要ではないでしょうか。民主党は、そのような考え方の下、地域金融円滑化法、いわゆる金融アセスメント法を作るべきだと主張してまいりました。与党の一部にも理解が得られつつありますが、総理のこのような法律の必要性についての御見解を伺います。
 東京一極集中の問題も提起をしたいと思います。
 ここ数年、地域経済が疲弊している中で、東京では丸の内、品川、汐留、六本木などの再開発ラッシュに沸いていました。首相官邸も完成し、国会の周りにも大きなビルが建ち並び、首都機能移転の話はいつの間にかさたやみとなりました。人、物、金、すべてが集中している東京及び首都圏は一層の人口の増大が進むと見込まれています。首都機能の移転が問題提起されたころよりも、東京への集中は更に進んでいます。この東京一極集中に対する総理の問題意識をお伺いいたします。
 多くの生命を奪った阪神・淡路大震災から九年が経過をいたしました。さらに、昨年は北海道において十勝沖地震が起きました。大きな地震が起きるたびに、もしこの地震が東京で起きた場合の被害の想定や議論がなされています。東京及び首都圏で発生が危惧されている地震への対策についても総理にお尋ねをいたします。
 バブル経済が絶頂期を迎えるまでは、日本的経営が注目を浴びるなど、世界第二位の経済大国として私たちの国民は誇りと自信に満ちていました。しかし、バブル崩壊から経済がなかなか立ち直れない中で、市場経済万能主義や過度な競争社会というグローバルスタンダードが我が国を覆い、大変なストレス社会が到来しました。
 将来不安の増大、生活・雇用の不安、貧富の差の拡大、治安の悪化、少年犯罪や凶悪な犯罪も激増いたしました。そんな社会情勢の中で誕生した小泉総理と小泉政権に国民は一度期待をいたしました。ところが、その期待はほとんどかなえられず、痛みだけが直接国民に及びました。総理には、国民に対して、いつまで我慢すればどんな社会になるのか、明確なメッセージを発する義務があるのではないでしょうか。ここでしっかりとした説明責任を果たしていただきたい。
 産業の空洞化が懸念されています。製造業は我が国の基幹産業でした。国際競争力の観点から多くの工場が国内から海外へ拠点を移す中で、国内でも高い技術力がある企業は今でも厳しい経済事情の中で健闘しています。特殊な技術を持つ企業や世界シェアを維持している企業でも円高の影響で苦しんだりしています。政府には製造業を下支えしていただきたい。金融やバーチャル経済が幅を利かせる中で、日本は製造業の伝統の灯をともし続けるべきだと考えます。政府の製造業分野で頑張る企業への支援について、総理のお考えをお聞かせください。
 IT化に引き続きユビキタス化が進む中で、我が国の行政対応が心配です。二十世紀から続いた経済産業省と総務省との間の省益の対立から、情報通信網のインフラ整備やユビキタス化が後れたり、海外市場における競争力低下につながらないようにしなければなりません。情報通信省構想も出ていますが、改めて総理の見解をお尋ねいたします。
 我が国は、高度経済成長の中で二度の石油危機を経験しましたが、先人の努力により乗り越えてまいりました。石油依存を低くすることが我が国の経済基盤を安定させる上で重要な課題であると認識しています。技術開発は産業基盤の強化にもつながります。科学技術を生かし、代替エネルギーの開発、別な資源への転換など、クリーンエネルギーの開発に力強く取り組むべきではないかと考えますが、総理の御見解をお尋ねいたします。
 さらには、サハリンで開発が進んでいる天然ガスを我が国にパイプラインで輸入するという構想について、いかが考えておられますでしょうか。
 ちなみに、先進国中でパイプラインを持たない国は日本だけであり、将来的に考えても社会資本としてとらえることも可能だと考えます。あらゆる観点からガスパイプライン構想、ガスパイプライン整備についての政府の考え方を総理にお尋ねいたします。
 経済基盤を確かなものにし、国際競争力を高めるために政府があらゆる対応をするのは当然のことですが、政治は、グローバルスタンダードにしっかり対応する分野と市場原理に依拠し過ぎてはいけない分野を使い分ける必要があると考えます。
 経済効率だけで論じてはいけない分野の最たるものが農業であります。農業は産業ではなく、国の礎です。独立国であるならば、自給率を一〇〇%に近づけようとするのが当然の姿だと考えます。ましてや、食の安全が大きな関心事となり、国民は国内で安心、安全な食糧を供給されることを望んでいます。自給率が極めて低い我が国が、食糧自給率を高めるためにどのような政策を取ろうとしているのかをお尋ねいたします。総理の答弁を求めます。
 WTO交渉の中でも、農産物貿易ルールに関しての大変厳しいやり取りが行われていることを承知しております。輸出産業に大きな影響を与えずに自給率向上をなし得ようとすれば、耕作地に環境保全の考え方から直接支払を導入するしか道がないと考えます。直接支払制度導入に対しましての政府の考え方及びWTO交渉に臨む総理の考え方を改めてお尋ねいたします。
 民主党が指摘していたとおり、米国においてBSE感染牛が発生いたしました。この感染牛は肉骨粉由来のえさが与えられていたとの報告も受けています。
 ヨーロッパからBSEが我が国に及んだときに、肉骨粉をめぐって、草をえさとする反すう動物に本来口にすることのない同種の牛由来のえさを与えることが神様のげきりんに触れたのだろうという学者の話を聞いたことがあります。人間は、人間の暮らしのために、効率を上げるために何をしてもいいというわけではないということを改めて痛感をさせられたことを覚えています。
 ちなみに米国では、OIE基準の検査体制が確立されておらず、日本で義務付けられている全頭検査も実施されていません。現在のところ考えられるアメリカからの牛肉輸入再開基準について、明確な総理の御答弁をいただきます。
 京都で鶏卵の虚偽表示という信じられない事件が起きました。事件のことに言及するつもりはありませんが、私は以前から日本の鶏卵生産現場に大きな疑問を抱いていました。
 卵は物価の優等生と言われてきましたが、余りにも安過ぎます。現在の養鶏の大部分は大きな鶏舎で数十万羽が小さなゲージに閉じ込められて、小さな体で大きな卵を数多く産むように品種改良され、夜もこうこうと電気がともる中で飼われています。大変な病気になると全頭処分になるので薬が投与されているとも伺っています。卵の例はやや情緒的な感想ですが、北米から来るかんきつ類や中国大陸からの野菜やシイタケがいつまでたっても腐らないなどという報告もあります。
 地産地消、身土不二、スローフードなどという言葉も広く認識されておられますが、総理御自身の食あるいは食文化に対する考え方をここでお伺いしたいと思います。
 農業と同じように、経済効率だけで測れないのが森林の整備です。
 かつては森林は、建築土木の資材を供給することや、燃料として高い価値を有していました。木材が高値で取引される時代には日本の森林はきれいに整備されていました。しかしながら、外材との価格競争に敗れて以来、森林の整備はおざなりにされてきました。
 森林が持つ多面的な価値は、木材供給という価値以外にも、空気・水の浄化、治山治水、農業や漁業への貢献、さらには地球温暖化対策における森林吸収源の目標達成や雇用の創出など、時代のニーズは最高に高まっています。森林整備に大きな予算を振り向けると同時に、国産材の、あるいは間伐材の利用に政府としてインセンティブを与えるなど、思い切った施策が求められています。総理の答弁を求めます。
 我が国では、経済を優先し環境を犠牲にしてきました。大きな意味での環境とは、我々が経済的利益を享受するために犠牲にしてよいものであってはなりません。どの世代に生きる人も良い形で環境を後代に残していく義務を負っています。
 かつて参議院議員であった萱野茂氏は、私にアイヌの英知を教えてくれました。太陽と森と大地があれば生きていくことができる。私たちは、太陽の光を地球温暖化ガスで変質させ、森の木々を営利をむさぼるために切り倒し、手を加えることなく森を荒廃させ、大地を化学物質で汚染してきました。経済活動と環境保全を両立させるためにも、環境に負荷を与えることにペナルティーを科し、環境を維持回復することにインセンティブを与えるための環境に依拠する税制の創設が望まれていると考えます。総理のお考えを伺います。
 だれもが安心して暮らせる社会を作るのが政府の大事な使命です。少子化現象が続いていることに大きな懸念を感じざるを得ません。育児休業の万全な対応をお願いすると同時に、保育所の充実、児童福祉手当の拡充には一定程度の評価をいたします。
 しかしながら、少子化の原因を様々な観点から探ってみますと、経済的な理由のほかにも、社会的な要因もあると思います。子供が生まれない社会は健全とは言えません。様々な方法を駆使して原因を分析し、中長期的な施策対応が必要ではないでしょうか。総理からの御答弁をいただきます。
 子供をめぐる状況も悪い方向に変化しています。児童虐待を含め、子供が被害者や加害者になる事件が増大しています。心を病み、不登校になる子供たちも増えています。子供の安全対策、精神的な安定を図るためのカウンセリングの充実など、子供政策への対応をお伺いいたします。
 さらに、DV法が本院参議院の調査会の議論からスタートして成立して三年がたとうとしています。今国会でも、各党が協議機関を設置し、有意義な改正を行われようとしています。ストーカー規制法への対応を含め、DV法に対しても一層の取組と決意についてお伺いをいたします。
 二〇〇二年、二年前になりますが、札幌でDPI、障害者インターナショナル世界大会が開かれ、多くの市民ボランティアの協力を得て有意義な大会となりました。既に四十か国以上が制定している障害者差別禁止法を望む声が様々な市民団体から沸き上がってきています。議員立法の動きも出てきているようでありますけれども、総理の考え方をお尋ねいたします。
 治安テロ対策に関し、入国管理業務が煩雑になってきていると認識をしています。政府が今国会で特定外来種の規制法を準備していることや、食の安全に対する期待が高まっていることにも関係して、検疫や防疫対策の充実にも万全に臨んでいただきたいと考えます。
 ちなみに、我が国の入国管理業務は大変厳しいチェックの下に行われているとの認識を私も持っておりますが、それでもなお多くの不法滞在外国人が日本国内にいると聞いています。現在把握しておられる不法滞在者の数と、なぜ増大しているのか、総理に説明をいただきたいと思います。
 かつて江戸時代は、交通も整備されていなかったこともあり、地方に独自の文化が花開いていました。しかし今は、どこの駅前に降り立っても同じ看板が並ぶ。全国に独自性のある文化が生まれるための思い切った地方分権をすべきだと考えます。
 中央主導の画一的な全国の町づくりが必要な時代は終わりました。特区という小出しの分権ではなく、一日も早く地方が権限を持ち、地域からその特色や様々な工夫を生かせる地方主権型の国に変わることが望まれます。思い切った地方分権、地域主権の考え方に対する総理のお考えをお伺いいたします。
 さらに、その試金石となるかもしれない道州制特区として北海道を取り上げておられましたが、政府はどのような内容を考えておられるのか、お伺いをいたします。
 恐らく、北海道がどのような提案をしてくるのかという受け身でおられることとは思いますが、例えば北海道が日本とのあるいは一時間の時差を要望した場合、あるいはカジノを認めてほしいと要望した場合は、政府はどう回答なされるおつもりか。私自身の個人的な考えではありますけれども、石原都知事が東京にカジノを建設することに大反対です。もしカジノを認めるとするならば、国への財政的依存度が高く、地域経済の自立が最も望まれている北海道と沖縄県に限定すべきだと考えています。
 冷戦が終わり、アメリカ合衆国が世界の中で唯一の超大国となりました。日本が様々な関係において友好協力関係をアメリカとの間で保っていかなければならないことは言うまでもありません。
 しかし、十九世紀から二十世紀初頭まで欧米の国々だけで世界の覇権を維持してきたその中にあって、二十世紀の日本が敗戦国であるにもかかわらず、世界経済の一翼を担う地位に上り詰めたことには欧米以外の国々の共感と信頼を得ていると確信をしています。さらには、ヨーロッパ諸国も、超大国アメリカと協調しながらも、ヨーロッパ共同体を発展させ、ついにEUとして欧州統合を成し遂げました。日本は、アメリカとの関係を維持しつつも、アジアの一員として、アジアとの共同体作りに心血を注ぐべきであると考えますが、総理のお考えを伺います。
 もしアジアとの共同体作りが重要だとするならば、総理が一月一日に靖国神社に初もうでをなさったことは国益に反することだと思いますけれども、総理の御認識をお伺いをいたします。
 以上、様々な観点から質問をさせていただきましたが、私は、元気の出ないこの私たちの国日本を元気にする方策はさほど難しくないと考えています。
 一つは雇用を創出すること、二つ目は中小企業にお金を貸せるようにすること、三つ目は安心して稼いだ金を消費に回せる安心と信頼の社会保障制度を確立すること、四つ目は市場原理にゆだねる分野と経済効率にそぐわない分野を明確に区別すること、この四つが重要であろうと考えています。いずれの観点からも総理の施政方針演説からは日本が元気になる要素は感じ取れませんでした。日本をどの方向性に進ませたいのかが伝わってきません。
 もし立場が違っても、小泉総理大臣も私たちも国民を幸せにしたいという思いが共通だとするならば、総理大臣にとっての幸せ観がどのようなものなのかお伺いをして、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 115915254X00320040123_012

発言者: 小川勝也

speaker_id: 4765

日付: 2004-01-23

院: 参議院

会議名: 本会議