船田元の発言 (憲法調査会)
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○船田委員 今回の私どものEU調査議員団でありますが、二つの意味で、まさにグッドタイミングであったというふうに感じております。一つは、加盟国が拡大をいたしました。二〇〇四年五月に、ポーランド、チェコなど、東欧諸国を初めとして十カ国が新規に加盟をして、二十五カ国体制、総人口で四億五千万人、各国のGDPを合わせますと世界のほぼ四分の一に当たる巨大な経済圏が形成された、その直後に訪問したということ。もう一つのタイミングは、今もお話が出ましたが、EUが一つの共同体として憲法の必要性を感じて、二〇〇四年六月のブリュッセル欧州理事会においてEU憲法条約が採択をされ、今後二年間、各国での批准を待つこととなる、そのまさに真っただ中に行った。この二つのグッドタイミングであったと思っております。
私は特に、EU加盟国の憲法とEU憲法条約をどう調整しようとしているのか、あるいはEU拡大の今後の方針、その機能の強化がどのようになっていくのか、そういったことに関心を持って見てきたわけでございます。
そこで、まずEU憲法条約でありますが、これも今まで話が出ましたように、EU大統領それからEU外務大臣を任命して、共通の外交・安保政策を進めることとしておりますので、当然これは、各国の主権の一部をEUに移譲するという行為になるわけであります。
これは、言うまでもなく、従来の経済統合から政治的な連邦制、連邦ではないという御意見も出ましたが、一部連邦制に発展する、そういうことを私は意味しているんだと思います。これは民主主義の新たな挑戦だと思います。このことが成功するかしないか、大いに注目するところでございます。また、加盟各国の批准には国民投票をやらなければいけない、そういう国々も少なからずありまして、一定の時間と非常に労力がかかるであろう、このように推察をいたしました。
しかし、そういう中で、私どもが訪問したスウェーデンとフィンランドにおいては、EU憲法と自国の憲法との使い分けという知恵も働かせようとしているんではないかと考えております。国民投票を経ずして批准をする可能性が両国においては大きい。これはまさに大人の対応ではないかと考えています。
なお、この北欧二カ国におきましては、NATOとは微妙な間合いをとっている。例えば、平和のためのパートナーシップ協約、いわゆるPFP協約ということで、NATOと両国軍との協力関係を保ちながら、しかしNATOには加盟しない。あるいは、NATOとは別に危機管理を行うEU独自の緊急対応部隊、いわゆるRRF、これには積極的に参加する、そういった独特の立場をとるということについて理解を深めることができました。
もう一つのEUの拡大につきましてですが、この二〇〇四年五月の十カ国の新規加盟は、独自の安全保障政策や経済水準が他に比べて低いということなどから、先行きを心配する声が出始めていることは事実であります。特に、二〇〇七年に予定されておりますルーマニアとブルガリアの加盟、これは、面積で三〇%ふえ、人口でも一億人ふえるということになりますが、単に量的な変化だけではなくて、EUそのものが変質をしてしまうんではないか、このような懸念があり、これをEUがいかに克服していくか、注目すべき部分だと思います。
一方、従来から加盟申請をしておりますトルコに対しては、域内国において、やや否定的な意見を多く聞いたところでありました。従来のEUはキリスト教文化圏とオーバーラップしておりますが、イスラム文化圏であるトルコにその点での抵抗感があるのかもしれません。しかし、EUがイスラム世界あるいはイスラム精神を知り、より多様で柔軟な組織となるためには、あえてその加盟基準、クライテリアを下げてでもトルコをやはり将来において入れるべきではないか、このような私見も持った次第でございます。
EUのこれからのさまざまな試みあるいは挑戦というものを非常に私たちもこれからも注目をしていきたいというふうに考えております。
以上でございます。