志位和夫の発言 (本会議)
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○志位和夫君 日本共産党を代表して、小泉首相に質問します。(拍手)
質問に先立って、私は、この間の連続した豪雨・台風災害で被災された皆さんに、心からのお見舞いを申し上げます。そして、政府が、被災された方々の生活基盤の再建のために、制度改善を含めた万全の対策を講じることを強く求めるものであります。
まず、首相の政治姿勢の根本にかかわって、二つの問題について伺います。
一つは、政治と金の問題です。
日本歯科医師連盟から一億円ものやみ献金を受け取りながら、記憶にない、責任はないという、余りに庶民の感覚とかけ離れた橋本元首相の言動に、国民の怒りが集中しました。やみ献金問題の真相を徹底的に究明するために、関係者の証人喚問を強く求めるものであります。
同時に、私が強調したいのは、小泉首相にとって、事は他人事ではない、自民党総裁としての政治姿勢が問われる自民党組織ぐるみの疑惑であるということであります。年間五億円前後に上る日歯連から国民政治協会への献金の大半が受け取り先の議員名を指定したものであり、自民党本部を経由して各議員に流れる迂回献金だったという疑惑が広く指摘されています。迂回献金は、政治家個人への献金を禁止した政治資金規正法に反する脱法行為であり、資金のわいろ性を隠すための極めて悪質な手口であります。
首相に伺いますが、迂回献金が脱法、悪質なものだという認識がそもそもありますか。この腐敗構造を根絶する上でも、政治家個人に対する献金禁止にとどまらず、政党に対する献金も含めて、企業・団体献金の全面禁止に踏み込むべきではありませんか。
政党へのものであれ、個人へのものであれ、企業・団体献金が政治を金で買うわいろであることには変わりはありません。政党の政治資金を企業献金から個人献金に切りかえていくということは、首相の諮問機関の選挙制度審議会も、発足以来、繰り返し答申してきたことであります。大体、政党助成金という国民の税金を三百億円も山分けした上、企業・団体献金を未来永劫続け、拡大するなど、到底国民が納得するものではありません。総理の答弁を求めます。(拍手)
いま一つは、イラクの大量破壊兵器の問題です。
六日、米調査団は、昨年三月の開戦当時、フセイン政権はいかなる大量破壊兵器も保有せず、開発計画もなかったとする最終報告を発表しました。これは、ブッシュ政権によるイラク戦争の口実が完全に破綻したことを意味するものです。同時に、米国の言い分をうのみにし、イラクが大量破壊兵器を保有していると断定し、それを戦争支持の最大の理由とした小泉首相の政治責任が厳しく問われております。
ところが、首相と政府は、この米報告書に対して、米国の立場と日本の立場は違うなどと述べ、相変わらず、かつてイラクが大量破壊兵器を保有し、使用したことは事実だ、イラクが国連の査察を拒否したことが問題だと繰り返し、日本政府の判断は正しかったとする立場に固執しております。
それでは、私は聞きたい。
かつて保有し、使用したというのは、一体いつのことなのか。米報告書では、イラクの大量破壊兵器開発能力は湾岸戦争直後の一九九一年に基本的に破壊されていたと述べています。首相は、それ以後の時期にイラクが大量破壊兵器を保有し、使用したとでもいうのでしょうか。はっきりお答え願いたい。
また、イラクが国連の査察を拒否したというのは、これも一体いつのことなのか。イラクが査察を拒否したのは、一九九八年十二月の話です。イラクは、一たんは拒否していた査察を二〇〇二年九月に受け入れ、十一月には国連安保理の決定に基づいて査察が再開していたのであります。
総理に伺いたい。査察再開以後の時期にイラクが再び査察を拒否したという事実があるとでもいうのですか。そう主張するのならば、国連安保理のいかなる決定によってそれが認定されているのかを明示していただきたい。再開された査察を力ずくで断ち切ったのが米英軍による無法な戦争だったではありませんか。
つまり、問われている問題は九〇年代の話ではないのです。昨年三月のイラク開戦時に、首相が戦争を支持する最大の理由として大量破壊兵器の保有を断定したことが、虚偽であったのではないかということなのです。さらに、首相が、この問題を私が党首討論でただしたことに対して、フセインも見つからないが存在していなかったと言えないとの詭弁を弄し、大量破壊兵器はいずれ見つかると言い繕って自衛隊派兵を強行した、このいずれ見つかるという言い繕いが虚偽であったのではないかということが問われているのであります。侵略戦争支持と自衛隊派兵という国の命運を左右する重大な問題で、その場その場で無責任な言動を繰り返し、二度までも国民をうそで欺いた、その政治責任が問われているのであります。
首相、この期に及んで、あなたにはそのことへの自覚と責任、反省がないのですか。はっきりと答弁を求めたいと思います。(拍手)
次に、国民の暮らしにかかわって緊急に問われている問題について質問いたします。
まず、年金問題であります。
政府は、十月からのサラリーマンの保険料値上げを皮切りに、負担増と給付減のプログラムを実施に移しています。しかし、この間も、出生率、年金納付率、厚生年金の赤字など、改悪年金法の根拠とされた数字がどれも虚構だったことが次々と発覚しています。これは、この法律が国民に約束した給付と負担の水準すら既に机上の空論になってしまっていることを意味するものではありませんか。
総理に伺いたい。既に法律の前提が崩れてしまっているという認識を持っていないのですか。答弁を求めます。
既に破綻が避けられないことが明白であるにもかかわらず、負担増と給付減だけは予定どおり押しつける。こんなことは、国民のだれも納得できないことであります。改悪年金法の実施は今からでも中止し、法律を白紙に戻し、安心できる年金制度へのやり直しをすべきではありませんか。総理の答弁を求めます。
次に、介護保険の問題であります。
政府は、来年度、導入から五年目の抜本的な制度見直しを行うとしています。今の介護保険制度の最大の構造的欠陥はどこにあるか。それは、保険料と利用料が高過ぎて、必要な介護サービスが受けられないことにあります。
在宅サービスの利用限度額に対する利用率は、平均でわずか四割程度であります。低所得者の利用率は、その平均のさらに半分であります。内閣府の行った調査でも、一割自己負担のために介護保険導入によって低所得者の介護サービスが減少した可能性があると指摘しているほど、所得の少ない人にとって使いづらい制度になっているのであります。
ところが、厚生労働省の見直し意見を読みますと、この最大の構造的欠陥を検討した形跡すらうかがえません。サービスがふえ過ぎた、それを減らすためにいかに負担をふやすかという話ばかりであります。
年金を削られた上、介護でも追い打ちでは、高齢者は生きていくことはできません。所得にかかわりなく、必要なサービス、国が必要だと認定したサービスは受けられるようにする。そのために、保険料、利用料の減免制度を、多くの自治体でやっているように国の制度としてもつくる。首相、見直しというのだったら、ここに正面から取り組むべきではありませんか。答弁を求めます。(拍手)
次に、郵政民営化について質問いたします。
首相が幾らこれが改革の本丸だと叫ぼうと、どの世論調査を見ても、郵政民営化に期待する国民はごく少数であります。それもそのはずです。この構想そのものが、銀行業界の利益から出発したものであり、利用者である国民の利益から出発したものではないからであります。
民営化で身近な郵便局がなくなってしまうのではないか、国民の民営化に対する一番大きな不安はここにあります。政府の基本方針では、郵貯、簡保は全国均一サービスを義務づけないとしており、これは、採算の合わない地域から郵貯、簡保が撤退すると宣言したのと同じであります。そうなれば、郵便局の経営は成り立たなくなり、全国の郵便局網はずたずたにされ、郵便の全国均一サービスもその基盤を失うことになるではありませんか。首相は、この不安にどう答えるのでしょうか。
さらに、政府の基本方針では、民営化後の郵貯、簡保の業務内容を民間金融機関と同様にするとしていますが、今、銀行業界が進めているのは何か。少額の預金からも手数料を取り立てる、支店を閉鎖して機械に置きかえる、庶民サービスの切り捨てであります。それを進める上で国営の郵政事業が邪魔で邪魔で仕方がない、だから銀行業界のもうけのために民営化で国民サービスを切り捨てる、これが事の真相ではありませんか。
改革というのならば、郵貯、簡保の資金を使ったむだな公共事業をやめること、郵政事業に巣くう利権と腐敗の構造を根本から断ち切ることこそ必要であります。答弁を求めます。
最後に、在日米軍の再編問題について質問します。
再編の中で浮かび上がっている計画の一つに、神奈川県の米軍座間基地に米国ワシントン州から米陸軍第一軍団司令部を移転させ、その司令官に在日米軍の四軍、陸海空軍、海兵隊全体を統括させるという構想があります。
ところが、米陸軍第一軍団とは、アジア太平洋全域とインド洋、アフリカ東岸までを活動範囲としている部隊であります。首相は、その司令部を日本に置くことが、在日米軍の活動範囲を極東と定めた日米安保条約第六条に照らして許されると考えているのでしょうか。首相の基本認識を伺いたいのであります。
アメリカが世界的規模で米軍の再編を行うというのならば、日本政府は、在日米軍の主力が、沖縄と岩国の海兵隊と、横須賀を本拠にする空母打撃群という海外遠征、殴り込み専門の部隊であるという、世界でも類例のない異常な状態から脱却することこそ真剣に考えるべきであります。
首相は、沖縄の負担軽減を口実に、在沖縄の米軍基地の本土移転を進める、そのために本土の自治体に受け入れを迫っていくことを表明していますが、これは海兵隊基地の拡張そのものではありませんか。世界のどこに海兵隊基地の拡張を求めている政府がありますか。海兵隊と空母打撃群の抜本的な縮小、撤去を正面から求めるべきではありませんか。私は、そのことこそ、戦後長きにわたって基地の重圧に苦しみ、普天間基地の無条件の閉鎖と撤去を強く求めている沖縄県民の声に真にこたえる道だと考えるものであります。
今こそ基地のない平和な日本への一歩を踏み出すべきときだ、そのことを強く主張し、質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕