佐藤道夫の発言 (憲法調査会)
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○佐藤道夫君 先ほどから大変興味を持って、また関心を持って皆さん方の御意見、拝聴させていただいておりました。
ただし、私、基本的に疑問としたのは、こういう議論を国民の前で展開しまして、国民がどれだけ関心を持って理解してくれるかと。恐らくゼロに近いんじゃないかと、こういうふうにしか思えない。地方自治も大切だと、しかしそれは、じゃ政治家の立場で考えてくださいと、それはあなた方の仕事でしょうというのが返ってくる答えだろうと思うんです。
私、実はある大学で憲法を教えておりまして、毎年もう十年来やっているわけで、学生たちに憲法についてまずどんな感想を持っているのか、少し条文を読んで、そしてこの場で自分として疑問を持ったことを展開してほしいと、述べてほしいと、こういうことを言いますと、みんなやっぱり真剣に考えてきて、仲間内でも議論をしているんでしょう。そして、彼らが言うことは、何といっても、先生、九条はどういうふうに理解すればよろしいんでしょうかと、いかなる戦力もこれは保持しないと言いながら、自衛隊は、あれは一体何ですかと、もし自衛隊が必要ならば、きちっと法改正をして、憲法を改正して持つべきでしょうと。
それからもう一つ、政教分離についても学生の大半がやっぱり首をかしげますね。いかなる政党も政治上の権力を行使したり、国から特権を受けたりしてはいけないと、こうはっきり書いてある。そうすると、ちょっと公明党の方には恐縮だと思いますけれども、一体創価学会と公明党の関係をどう理解すればよろしいのかと、憲法上あれは合憲なのかどうなのかと。自民党と連立を組んで、そして閣僚を派遣していろんなことをやっておる、あれは政治権力の行使ではないのかと、こういう疑問を持つようです。
それから、さすが学生ですから、私学助成、私学共済、あれを大学の、恐らく事務職員からでも教わってくるんでしょうかね、こんなややこしい規定があるんですよと。そして、何と何と全国の大学で五千、何千億ですか、年間ね、私学助成が入っているのは。あれについての政府の説明なんか幾ら聞いたってだれも分からないでしょう。日本にはもう私学学校はないと、みんな国の規定に従って運営しているから、あれは公の支配に属している学校なんだと、教育に関する事業なんだというのがずっともう政府の説明で通ってきているわけですよね。
ですから、学生たちも、もし本当に私学助成が必要ならばはっきりともう八十九条は削除してはどうなんでしょうかというふうに思いますよと、こういうことなんで、法律の本当の理解者というのはそう最後はなるわけですよ。決めるのは国民ですからね、国民の前に今私が言ったような疑問ほかにもたくさんあろうかと思いますし、今の現行憲法をめぐって。何しろ不磨の大典と言われて、明治以来憲法典というのは一回も改正してないんですから、積もり積もってその間、行政当局あるいは政府のインチキ解釈が挟まっちゃってどうしようもなくなっているわけです。
憲法九条だって、政府の説明ですと、何、集団自衛権は認められないけれども個別的自衛権は、あれは自衛権の行使だ、要するに正当防衛なんだと、刑法の正当防衛からきているんだというふうな、国家の行為について刑法を適用して、これは正当防衛だから認めるとか、そんなあほな、ばかな考えはないわけで、もう少しみんなが、国民一人一人が憲法を自分の問題としてとらえて、そして職場でも家庭でも今の私挙げたような問題、私学助成どう考えたらいいんだとか、憲法九条がもしどうしても自衛隊が必要だと思えばどう考えたらいいんだろうかということを議論をして、その上に積み重ねていくことが大変大事だろうと思いまして、こういう議論を幾ら繰り返していても国民はそっぽ向くというのか、関心を示してくれないと思うんですよ。
率直に言いまして、こういう改正議論の進め方についてもう少し考えていただければなと、こう思いまして、私の感想を述べさせていただきました。