山口那津男の発言 (憲法調査会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○山口那津男君 公明党の山口那津男でございます。
憲法裁判の在り方について意見を、個人的な意見を申し述べたいと思います。
現状が司法消極主義に傾き過ぎているという国民の不満といいますか、見方というのは定着しているだろうと思います。いろいろな原因が指摘されるわけでありますが、一つには上告事件が余りにも数が多く多忙であってその違憲判断に十分な時間と議論を重ねることができていないという点であります。また、憲法判断を回避する傾向が強くて、その憲法規定を正面からとらえて解決を図るというよりは、立法のレベル、その解釈を通じて解決を図るということに終始しがちであるということ。また、全体にその司法判断、最終的な判決までに時間が掛かり過ぎるということなどから国民の不満は生じていると思います。これに対して、現状の制度というものが一定の限界を持っていることも確かであります。
仮に、憲法裁判所を作るべきであるという考え方に立って問題点を考えてみますと、一つは、今のその付随的審査制とかあるいは事件性の限界と言われるもの、これを取り払って一般的に憲法判断をできるとした場合に、果たしてそれを求めるような社会的なニーズというのがどれだけあるのかということであります。何のためにそういう判断を求める必要があるのか、この点をよく吟味する必要があると思います。仮に、それらのニーズがあったとして、それを何でもかんでも憲法裁判所で取り上げるということはすべきではないと思います。
そこで、どういった条件、要件を付してそれを絞り込んでいくかということであります。さらにまた、その憲法裁判所の判決にどういう効果を持たせるかと、それによってその機能と意味は大きく変わってくるだろうと思います。それらの議論を十分に尽くす必要があると思います。
それからもう一点は、おのずと政治性の高い問題というものが持ち出される可能性は高く、それに対する憲法裁判所がどれほどの責任を負えるかということであります。
まず、現状では任命権は内閣にある、裁判官の任命権は内閣にあるわけでありますが、憲法裁判所を持つ多くの国々が、これを国会あるいはその他の分野から任命権者を選ぶという国民的基盤をどう広げるかというところで腐心をしているわけでありまして、まずその政治的な判断をしなければならないとした場合にその正当性の根拠というものをどこに求めるか、そういう制度をどうやって仕組むかということが非常に重要な課題となりますが、これは今の制度を大きく変えるものでありまして、まだ十分な議論が尽くされているとは到底思えないと思います。
そこで、この現状を一応の前提として、それぞれの三権の役割というものに言及したいと思います。
一つは、立法府がもっと司法府の判断を尊重し、積極的に行動すべきであると思います。例えば、選挙制度に関して、投票価値の平等をめぐってしばしば違憲判決が出されるわけでありますが、これに対する立法府の迅速な回答というものがない。だからこそ訴訟が繰り返されると、こういう点が一つあります。
あるいは、現状で司法が憲法に対して判断を加えるというのは、言わば消極性の前提で、よくよくのことでありますから、たとえそれが傍論であったとしても、これは大きな意味を持つ。それを立法府が真摯に受け止めなければならないということであります。
何度も言及しておりますが、永住外国人の問題で、これは憲法が否定をしていない、永住外国人の参政権を否定していないと言っているにもかかわらず、傍論であるからといって無視するような議論が行われているというところ、ここは非常に問題があると思います。立法府はもっとここを真摯に取り上げるべきであると思います。
それと、司法それ自体、ここが国民審査制度をもっと生かすとすれば、この消極主義をもっと自ら改めていく余地は十分にあるだろうと思います。その判断の結果によって国民審査が、つまり国民の目がより司法府に厳しく及ぶということも出てくるわけでありまして、その点の司法府自体の改革というものが必要だろうと思います。
それから、内閣法制局、現状においては、この憲法尊重遵守義務を負う立場で憲法についての有権解釈をするという事実上の重要な機関であります。立法府の憲法論というのは、改正論を受けての議論というものも可能でありまして、必ずしもこの憲法尊重擁護義務の裏付けある発言とは限りません。でありますから、内閣法制局がその義務の裏付けを持って一つの見解を示すというのは非常に重要な機能を持っている。それだけに、この役割、中身というものを私はもっと重視すべきであるというふうに強く思うわけであります。
以上、何点かについて私の意見を述べました。
終わります。