船田元の発言 (憲法調査会)

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○船田委員 衆議院憲法調査会報告書の決定に際しまして、私は、自由民主党を代表して意見を述べさせていただきます。
 アメリカ合衆国の独立宣言を起草した第三代大統領トーマス・ジェファーソンは、次のような言葉を残しています。「およそ人間の創造物で完全なものはない。時間の経過とともに、紙に書かれた憲法の不完全さが明白になることを、免れることは出来ない。」という言葉であります。我が国の憲法も、もちろん例外ではないと思います。
 日本国憲法について、国民の代表である国会の立場から広範に調査するという憲法調査会は、東西冷戦の終えんという国際環境の劇的な変化や、我が国のグローバル化、情報化の急速な進展、さらには社会環境の悪化などを背景として、現行憲法と現実との乖離が顕著になったことが発足のきっかけとなりました。また一方、本調査会が国会に設置されたことによって、国民の間に憲法を論ずることに対して抵抗感を少なくしていったことも事実であります。
 平成十二年一月にスタートした本調査会も、おおむね五年の審議期間を経過し、いよいよ最終報告書を議長に提出する運びとなりました。超党派の憲法調査委員会設置推進議員連盟の発足からも八年が経過しており、まさに感無量といったところであります。この間、終始民主的で、またよりよい環境で議論できる調査会の場の設定に腐心された中山会長に、敬意と感謝を申し上げます。また、貴重な時間と御意見をいただいた公述人や参考人の皆様に感謝するとともに、真摯な態度で議論してきた歴代の幹事会メンバーや委員各位、さらには事務局の諸氏にも、ねぎらいの言葉を贈りたいと思います。
 このたびまとまった報告書は、過去五年間の本調査会における議論を丁寧に記述するとともに、それぞれのテーマごとに、一定の基準に基づいて意見の多寡をも記載することによって、憲法に対する所属委員の考え方をあらまし把握することを可能とし、さらには今後の国民の憲法論議の参考に資するという点でも、大いに評価すべきものと考えております。
 具体的内容について言えば、現行憲法の制定過程においてGHQの関与はあったものの、戦後長い間に国民に定着したことを積極的に評価する意見が多かったことは、戦後世代の共通の認識でもあり妥当な結果と言えましょう。象徴天皇制の維持や基本的人権を構成する諸権利の維持、国会の二院制や議院内閣制を継承する意見が多かったことも、現行憲法の基本的事項がおおむね定着していることを反映しており、安定感のある結論ではないでしょうか。
 一方、現行憲法に新たな規定を設けたり、修正すべきとする意見を幅広く記載している点も大いに評価されます。皇位継承のあり方は皇室典範によって規定すべきものでありますが、女性の天皇を認める方向性をいち早く打ち出したのは、当調査会であると自負しております。焦点の第九条については、まず第一項の戦争放棄を堅持することでおおむね共通の理解が得られました。さらに、自衛権の行使や自衛隊の存在については、個人的にはより明確な記述を望む立場でありますが、憲法上何らかの措置をとることを否定しない意見が多かったとの文言が多くの政党によって合意されたことには、大変大きな意義があります。国連の集団的安全保障措置に積極的に参加することが多数意見であったり、意見は分かれたものの集団的自衛権の行使について、その限界を設けるかどうかをめぐっても現実的な議論ができたことは、画期的なことであったと思っております。
 さらに、いわゆる新しい権利として、環境権や国民の知る権利、プライバシー権を追加すること、二院制を維持しつつ衆参両院の役割分担や選出方法の差別化によって二院制のメリットを生かすこと、公選制は退けつつも首相のリーダーシップを強化すること、憲法裁判所を設置して違憲審査機能を強化すること、地方自治の本旨を明確にするとともに、道州制の導入などに積極的な意見が多かったことなど、閉塞状況にある我が国の将来に適切な処方せんを与える内容となっております。
 また、最終報告書では、今後の憲法論議についても明確な方向性を示しております。憲法改正手続の重要部分である国民投票法についても、制定すべきという意見が多かったこと、憲法問題を取り扱う国会の常設機関の設置に積極的な意見が多かったことなど、国権の最高機関として果たしていくべき憲法の見直し作業に向けて、今後の指針となる報告書の内容となっております。
 我々は、将来の憲法見直しに向けての議論の場を視野に入れつつ、まずは現在の調査会の枠組みを維持し、これにさらなる憲法調査と国民投票法案の起草並びに審議権を付与することを強く願うとともに、今後とも憲法に関して各党各会派が垣根を乗り越えて、真に国民のために、また将来の国民のために、真摯で現実的な議論を展開していかなければならないと存じております。
 以上でございます。(拍手)

発言情報

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発言者: 船田元

speaker_id: 31837

日付: 2005-04-15

院: 衆議院

会議名: 憲法調査会